2011年BSデジタル新規参入が決定。WOWOWなど

-HD/有料放送重視。通販放送は落選


6月10日発表

 

 総務省は10日、2011年10月1日を目処に放送開始予定の、新たなBSデジタル放送に参入する事業者を決定。WOWOW、スター・チャンネル、アニマックス、ビーエスFOXなど、8者が選ばれた。ハイビジョンで11番組が放送される。通販番組を手掛けるQVCジャパンなどは落選した。

 これとは別に、110度CS放送に生まれる24スロットの周波数空きに対して参入を希望していた事業者の中から、キッズステーションが認定されている。

申請者名認定に係る番組
及びスロット数
使用する
周波数
WOWOWHD放送2番組
48スロット
BS5ch
スター・チャンネルHD放送2番組
26スロット
BS7ch
アニマックス
ブロードキャスト・ジャパン
HD放送1番組
16スロット
BS7ch
ビーエスFOXHD放送1番組
16スロット
BS11ch
マルチチャンネル
エンターテイメント
HD放送1番組
16スロット
BS11ch
放送大学学園HD放送1番組
超短波放送1番組
16スロット
BS11ch
財団法人
競馬・農林水産情報
衛星通信機構
HD放送1番組
16スロット
BS19ch
ジェイ・スポーツ・
ブロードキャスティング
HD放送2番組
32スロット
BS19ch
キッズステーションHD放送1番組
24スロット
110度CS
ND8ch

 BS放送用周波数については、利用できる衛星中継器(トランスポンダ)のスロットに上限があり、具体的には放送大学(16スロット希望)を引いて、176スロット(HDテレビ放送7~11番組相当)の周波数空きがある。

 しかし、参入を希望した事業者は18者にのぼり、希望スロットは合計362(HDテレビ22番組分)と、空きスロットを大幅に上回った。そこで総務省では、事業計画の確実性や、番組の多様性、ハイビジョン制作の番組の多さ、個人情報保護、青少年の保護、視聴覚障害者への配慮などの面から審査を実施。さらに、通販番組などの「広告放送の割合が3割を越えないこと」も重視された。

 総務省は認定にあたり、CATVの普及やブロードバンド配信など、新メディアが立ち上がっている現状を考慮。新しい衛星放送における、有料放送の加入件数や無料放送の視聴率/広告収入を予測する事は難しいため、あえて厳しい市場環境を設定し、申請者の財務的基盤が耐えられるかを審査したという。

 有料放送の場合、提供チャンネルがハイビジョン化することに伴い、視聴料の値上げを予定している申請については「値上げしない申請と比較し、顧客流出リスクがあることから、一定の減点を行なった」という。また、無料放送についてはテレビの広告市場が急激な縮小傾向を示していることも考慮された。その結果、有料放送チャンネルが多く選ばれる結果となっている。

 なお、今回の決定によりBSで6スロット(SD解像度テレビ1番組相当)と、110度CSで周波数の空きが新たに発生することになったため、別途あらためて申請を受け付けるという。

 BSデジタルのテレビ放送は、1/3/13/15chの4周波数を使って、2000年の12月にNHKのBS1/2やBS-hi、BS日本、BS朝日など、10チャンネルでスタート。その後、NHKのアナログハイビジョン放送が2007年9月に終了したことで、1周波数(9ch)に空きができた。そこで、同年の12月から「BS11(イレブン)デジタル」と、「TwellV(トゥエルビ)」の2チャンネルが追加。さらに、スター・チャンネルのハイビジョン化も実現された。そのため、現在では1/3/13/15/9chの5周波数を使い、12番組の放送が行なわれている。

 それとは別に、2007年7月の電波監理審議会答申を受け、2011年以降、現在アナログ放送を行なっているアナログWOWOW(5ch)やNHK BS1(7ch)、BS2(11ch)が終了することが決定。使っている3周波数を、BSデジタルに使用することが決められた。さらに、国際調整手続きの結果、BS放送用周波数として日本は新たに4周波数(17/19/21/23ch)の割り当てを取得。前述の3周波数と合わせ、2011年以降は7つの周波数がBSデジタル用に利用できるようになり、参入希望事業者の認定審査が行なわれていた。


(2009年 6月 11日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]