アフレコなどの“しゃべり”も可能な「VOCALOID-flex」

-ヤマハが提供開始。メタルギア新作の音声制作に採用


VOCALOID-flexの概要図

2月25日発表


 ヤマハは25日、歌声合成ソフト「VOCALOID」(ヴォーカロイド)の合成エンジンを進化させ、表現豊かな“しゃべり”にも対応したという「VOCALOID-flex(ヴォーカロイド フレックス)」の提供を開始した。提供方法はソフトウェアのライセンスベースで、企業向けとなっており、一般ユーザー向けの提供予定は無い。

 採用第1弾として、コナミデジタルエンタテインメントが4月29日に発売予定のゲーム「METAL GEAR SOLID PEACE WALKER」のキャラクターの音声制作ツールとして使用することが決定。今後のビジネス展開例としては、映画やアニメなど動画のアフレコ用途のほか、ロボットやキャラクター玩具、工場現場などでのアラート音声といった使用を想定し、英語版にも対応する。

 従来のVOCALOIDは「歌唱のみをターゲットとしていたため、『しゃべり』の実現には多大な労力と時間を有する上、『しゃべり』特有の表現力にも限界があった」という。「VOCALOID-flex」は、VOCALOIDの歌唱合成技術を活かす形で、従来のText to Speech(TTS)とは異なる表現力豊かな「しゃべり」を実現するために開発してきたとしている。

 特徴は、音韻(音素などの音の構成や長さ)や韻律(音の高さ、強さ)の編集を可能にしたこと。これまでできなかった母音の無声化(例:北[ki ta]の[i])や脱落化(例:~です[de su]の[u])が表現可能となり、子音の長さや音の高さ/強さも細かく編集できるようになった。その結果、より人間に近い発話ができ、話し声における細かいニュアンスや、方言のアクセント/イントネーションもつけられるようになったという。

 VOCALOID-flexで使用する音声ライブラリは新しい音の素材を追加することなく、既存の歌声ライブラリの活用が可能。ライセンシー企業が「しゃべり」のサービスを実現するには、VOCALOID-flexと、コントロール用のユーザーインターフェースアプリケーションが必要となる。

 同社は、従来のVOCALOIDの歌唱合成に更なる表現力を加えることで、2009年4月に発表したネット上のサーバーで動作させるサービス「NetVOCALOID」とともに、幅広いユーザーへのVOCALOIDの普及と浸透を目指すとしている。



(2010年 2月 25日)

[AV Watch編集部 中林暁]