三菱、120Hz倍速フレーム補間対応の23型フルHD液晶

-範囲指定での超解像や、24pモードも。実売54,800円


6月11日発売

標準価格:オープンプライス


 三菱電機は、フルHD液晶ディスプレイ「Diamondcrysta WIDE」の新モデル「RDT232WM-Z(BK)」を6月11日に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は54,800円前後。

 23型/1,920×1,080ドットのTNパネルを搭載する液晶ディスプレイ。表面はグレア仕上げ。大きな特徴は、120Hzの倍速表示に対応したこと。60フレームの映像を、2倍の120フレームで表示することにより、滑らかな動画を実現する。前後2つのフレームから、間のフレームを予測して画像を生成することで、単純にフレームを2倍に増やした場合に比べて滑らかな動画表示を可能にした。この機能は、国内のスタンドアロン型パソコン用液晶ディスプレイで初としている。なお、3D映像の表示には対応しない。

 応答速度は3ms(G to G)。120Hz表示としたことで、新たに動画応答時間「MPRT」の値も公開しており、従来モデルの22msから大幅な向上となる8msを実現した。

左が倍速オン、右がオフにした状態倍速表示の説明単純に120Hz化した映像に比べ、補間フレームを加えることで滑らかに表示できることをアピールした

動画応答時間のMPRTは8msとした

 輝度は300cd/m2、コントラスト比は1,000:1で、CRO(Contrast Ratio Optimizer)動作時は5,000:1となる。視野角は上下160度/左右170度で、寝ころび視聴時など、見上げて視聴する際の色反転を抑える「ルックアップモード」(2段階)も利用できる。

 また、24pのシネマモードも採用。24pの動画が入力された場合に自動で判断し、24フレームのまま表示する「フイルム」モードと、オリジナルの24p映像のフレーム間に4枚の補間フレームを生成する「なめらか」、または「オフ」から選択できる。

 「ギガクリアエンジン」による超解像機能を搭載し、補正レベルを0~100%の10段階から選べる。また、画面全体のコントラスト感を向上するダイナミックコントラスト補正や、局所コントラスト補正、階調数拡張処理、ノイズリダクション、色変換技術などの高画質化技術も搭載する。


24pのシネマモードを採用超解像技術も搭載

 PinP(子画面表示)では、従来のデジタル/アナログの2画面のほか、HDMI/HDMIやHDMI/DVIなどデジタル/デジタルの表示にも対応。子画面の表示位置は4隅のいずれかから選択できる。また、子画面だけに超解像技術を適用することも可能。子画面用の超解像も、10段階から選べる。

 さらに、パソコン用の機能として、新たに「ギガクリア・ウィンドウ」を採用。専用ソフトを使って、マウスで指定した範囲にのみ超解像効果を掛けられるというもの。指定範囲外は超解像処理がされないため、動画以外のテキストなどが見づらくなるのを防げる。超解像は10段階から選択できる。なお、パソコンとディスプレイの間の通信は、同社キャリブレーションソフトなどと同様に、DDC/CI通信を利用。そのため、この機能は、DDC/CIがサポートされているWindows Vista/7のみで利用できる。

デジタル/デジタルのPinPにも対応マウスでの範囲指定で超解像を適用できる「ギガクリア・ウィンドウ」「ギガクリア・ウィンドウ」で左上の動画部分に超解像を掛けた場合。テキストが入ったウィンドウを試しに重ねてみると、超解像をかけた部分は文字もシャープになっている

 新たに、3次元IP変換回路も搭載。480iや1080iのインターレース信号も、ちらつき無く表示できるという。そのほか、ゲーム用のモードとして、倍速表示やシネマモードなどの映像処理をオフにして遅延を抑えるスルーモードも用意。また、コンテンツに合った適切な画質を簡単に設定できるという「DV MODE」も利用できる。10bitガンマ機能も搭載。オーバースキャンは、100%(フル)、98%、95%、93%から選べる。

 入力端子は、HDMI(Ver.1.3)が2系統で、D5、HDCP対応DVI-D、アナログRGB(D-Sub 15ピン)を各1系統備える。音声入力はRCA 2chとステレオミニが各1系統。3W×2chのスピーカーと、ヘッドフォン出力も備える。歪みを抑え、クリアな音を再現するという「DIATONE リニアフェイズ技術」も採用している。

 消費電力は72Wで、スリープモード/オフモード時は1W以下。省エネ機能「ECO Professional」も投資ア。室内の明るさに応じて輝度を調整する明るさセンサーも備える。スタンドは、後部を取り外すことで壁寄せも可能。ブロックネックによる3段階の高さ調整も行なえる。上20度/下5度のチルトにも対応。スタンドを含む外形寸法は、546×230×453mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約6.1kg。リモコンが付属する。

端子部。HDMIや音声入力などは側面に装備し、着脱しやすくしているスタンドは後部を取り外すことで、壁寄せも可能付属リモコンは、超解像のレベルや輝度などの調整も可能


■ 「動画関与率」が高いユーザーに

三菱電機の山内浩氏

 今回の製品を発売する背景として、デジタルメディア事業部 モニター事業センター 営業部 業務課の山内浩課長は、「37型以上の大型液晶テレビでは、倍速フレーム補間や、超解像などの機能が搭載されているのに、小型テレビ(30型以下)には無い。一方で、パソコンは地デジ対応機種が増えるなど、機能の拡充が進んでいるの。そこで『大型液晶テレビのように、倍速補間機能や、超解像を搭載した液晶ディスプレイがあったらいいのに』という要望に応えた」と説明した。

 山内氏は、同社ユーザー調査において、ヘビーユーザー向けの「VISEO」シリーズや、気軽にマルチメディアを楽しむユーザー向けの「WM」シリーズの製品が、テレビやBD/DVD視聴、ゲームといった動画への関与率が、ライトユーザー向けの「WLMシリーズ」に比べ高かったという結果を紹介。このことから、動画機能を強化した今回のモデルを「WMシリーズ」に投入するという。

 今後、VISEOなど他のシリーズに倍速フレーム補間などの機能を広めていくかどうかについて山内氏は、「これから市場の反応をみて判断するが、我々が見るところでは非常に効果がある機能なので、検討していきたい」と前向きな姿勢を示した。

同社ディスプレイのラインナップと、想定ユーザーVISEOとWMのユーザーは、動画関与率が高いという結果にパソコンの地デジ対応などを背景に、小型ディスプレイでも動画関連の高機能化を実現した


(2010年 5月 18日)

[AV Watch編集部 中林暁]