ソニー、3D+2番組AVC録画対応の新BDレコーダ
-約0.5秒の瞬間起動や同時動作改善、BDXL対応
ソニーは、2番組同時長時間録画などマルチタスク性能を向上しながら、Blu-ray 3D再生にも対応したBlu-ray Discレコーダ新モデル6製品を9月22日より順次発売する。
上位モデルのBDZ-AX2000/AX1000は、画質/音質に配慮した専用シャーシを採用したほか、1~2TBの大容量HDDを搭載。BDZ-AT900/700/500はデジタルダブルチューナモデル、BDZ-AT300Sはシングルチューナモデルとなる。価格はいずれもオープンプライスで、店頭予想価格は9万~27万円前後の見込み。
全機種で大容量Blu-ray DiscのBDXL記録/再生に対応。10月下旬には3層/100GBのBD-R XLメディア「BNR3VAPJ4」も発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は5,000円前後。
製品名 | HDD容量 | 特徴 | チューナ | 発売日 | 店頭予想価格 |
BDZ-AX2000 | 2TB | 高画質/音質シャーシ Blu-ray 3D W AVC録画 瞬間起動 番組おでかけ転送 スカパー! HD録画 CREAS Pro MS/SDスロット HDV/DV HDMI 2系統 | ダブル | 9月25日 | 27万円前後 |
BDZ-AX1000 | 1TB | 10月22日 | 20万円前後 | ||
BDZ-AT900 | 1TB | Blu-ray 3D W AVC録画 瞬間起動 番組おでかけ転送 スカパー! HD録画 | 15万円前後 | ||
BDZ-AT700 | 500GB | 11万円前後 | |||
BDZ-AT500 | 320GB | 95,000円前後 | |||
BDZ-AT300S | 500GB | Blu-ray 3D AVC録画 瞬間起動 | シングル | 9万円前後 |
BDZ-AX2000。前面パネルを開くと、USBやi.LINK、メモリーカードスロットなどが現れる |
プラットフォームを一新し、従来のソニーBlu-rayレコーダの課題であった2番組同時録画中の制限などを撤廃。Blu-ray 3D再生中でも2番組の同時MPEG-4 AVC/H.264録画が可能となるなど、多くの機能改善を図っている。
加えて、番組表のフルHD化やUIの改善、起動の大幅な高速化を実現。待機時の消費電力も抑制するなど基本性能を大幅に向上している。上位機のBDZ-AX2000/AX1000では高品位パーツや高剛性シャーシの採用で、画質や音質も強化。HDMIも上位2モデルでは2系統備えている。
BDZ-AX1000 | BDZ-AT700 | BDZ-AT300S |
BDZ-AX2000 | BDZ-AT900 | BDZ-AT300S |
■ 録画時の同時動作や高速起動など「快適操作」を実現
ダブルチューナモデルのBDZ-AT500とシングルのBDZ-AT300S |
上位5モデルが、地上/BS/110度CSデジタルダブルチューナを搭載。BDZ-AT300Sのみデジタルシングルチューナモデルとなる。なお、新モデルから地上アナログチューナは省略されている。
上位2モデルは専用の高画質/音質設計シャーシを採用。ダブルチューナモデルの「BDZ-AT900/700/500」は高さ56mmで従来モデル(RXシリーズ)から約13mm薄型化、シングルチューナモデルの「BDZ-AT300S」は業界再薄の49.5mmを実現している。奥行きも284~288mmと大幅に短縮している。
新設計のプラットフォームの採用により基本性能を向上。録画モードはMPEG-2 TSをストリーム記録するDRのほか、MPEG-4 AVC/H.264エンコードに対応。XR(16Mbps)/XSR(11Mbps)/SR(8Mbps)/LSR(4Mbps)/LR(3Mbps)/ER(2Mbps)の6モードを選択できる。DVD用にXP/XSP/SP/LSP/LPの各モードも選択可能。
「新世代AVCエンコーダー」を搭載し、AT300Sを除く5モデルは、新たに2系統の同時AVC録画に対応した(従来モデルは1系統のみAVC録画対応)。同時録画対応とともに、録画画質の向上も図られている。新ダイナミックVBRの採用により、シーンに合わせてビットレートをダイナミックに制御。画質を向上しているという。さらに、人物の顔など、画面内の注目されやすい部分を画像処理で解析し、そのエリアに重点的にビットレートを割り当てる「ビジュアルアテンション」も採用。この機能には、サイバーショットやハンディカムで培った「顔検出技術」が採用されている。
加えて、EPGの番組ジャンル情報に応じて画質パラメーターを最適化するジャンル別エンコーディングを採用。[アニメ]では輪郭部分のモスキートノイズを、[スポーツ]では動きの激しいシーンのブロックノイズなどに最適化したエンコードを行なう。
また、従来モデルでは各チューナ系統を録画1、録画2と区別して管理する方式だったが、新モデルではユーザーが録画系統を意識せずに利用できる方式に改めた。
さらに、従来は「録画1のAVC録画中にBD-ROM再生ができない」、「録画2利用中はチャンネル切替できない」、「録画1利用中はBDへ高速ダビングできない」など、同時動作に多くの制限があった。新モデルでは、これらの録画時の同時動作制限を大幅に改善し、2番組AVC同時録画中のBD高速ダビングやBlu-ray 3D再生が可能となるなど、大きな改善が図られた。2番組同時録画時でも、CMなどを自動検出して、チャプタを自動付与する「Wおまかせチャプタ」に対応する。
フルハイビジョン番組表 |
番組表(EPG)は、「フルハイビジョン番組表」を新たに採用。最大9チャンネルの同時表示に対応し、4/7/9チャンネルの3種類の表示を切替できる。EPGで任意の番組を選択し、録画モードの選択や毎週予約の設定を行なう通常の録画予約に加え、EPG上で番組を選んで[録画]ボタンを押すだけで、予約が完了する「番組表一発予約」も新たに搭載した。
さらに、EPG画面上でリモコンの[緑]ボタンを押すと、チャンネル別表示に切り替え可能となり、各チャンネルの任意の6時間/8日分の番組情報を確認できる。ジャンル別の色分けにも対応している。ユーザーの好みを学習し、自動録画を行なう「x-おまかせ・まる録」にも対応する。
予約番組数は130番組/1カ月。チャプタ編集やタイトル分割/結合、部分削除、プレイリスト作成、プレイリストダビングなどの編集機能も備えている。
加えて「日時指定検索予約」機能も強化。VHSデッキのように、日時とチャンネルを選択して、録画予約を行なう機能だが、日時と時間を選ぶと、EPG情報から該当する番組をリアルタイムで検索/表示し、番組を絞り込んで確認できる。
「My! 番組表」も搭載。人気番組を集めた「特集」に加え、専用のUI画面上に、好みのジャンルやキーワードの情報を最大10件まで登録可能。例えば「田村正和」で登録しておくと、EPG情報の検索結果をリスト化し、表示する。また、ユーザーの好みを学習して紹介する「おすすめ番組」も用意している。
MY番組表。好みのジャンルやキーワードを最大10件登録できる | MY番組表(お気に入りドラマ) | 日時指定検索予約。任意の日時/チャンネルを選ぶと、EPG情報から自動的に絞り込み検索を行なう |
起動時間を大幅に向上する「瞬間起動」を搭載 |
同時動作や録画機能の強化に加え、動作速度の高速化も特徴。「すぐに起動」、「すぐに録画」をキーワードに開発し、約0.5秒で起動する「瞬間起動」に対応した。新プラットフォームの開発時に、レコーダユーザーの不満で最も多かったという「起動が遅い」という問題に対処するために開発したという。
ただし、瞬間起動が行なえるのは、一日最大6時間となっている。時間設定は、ユーザーの使用状況を確認し、任意の時間で瞬間起動を行なう「学習設定」と、ユーザーが任意の時間帯(2時間毎×3)を設定できる「時間帯設定」の2つを用意している。
任意の時間帯以外においては、通常起動となるが、通常起動においても起動時間を約12秒まで短縮。従来モデルでは高速起動で15秒、標準モードで約70秒となっていたため、従来の高速起動モードより、新モデルの標準起動のほうが高速という。
瞬間起動を行なう任意の時間を選択 | 起動時間の学習機能も備えている |
標準起動モードより消費電力を抑える低消費待機モード(待機時消費電力0.08W)も装備。この場合は、起動時間は約50秒となる。従来では標準起動モードでもHDMI CEC(リンク機能)がOFFになってしまっていたが、低消費待機モードにもいてもリンク設定がONのままで利用できる点も特徴とする。
■ 操作性向上やBDXL対応も。スマートフォンからも録画予約
録画番組の「オートグルーピング」機能も搭載。録画番組をジャンルやタイトルごとに自動で分類し、管理できる。「家族フォルダ機能」も搭載。録画予約時に任意のマークを設定し、「おとうさん」などの家族名をつけて録画番組を管理できる。
録画予約時に[マーク]を指定 | 指定したマークでフォルダ分類可能 | マークの名称設定も可能になった |
ダイジェスト再生 |
BDドライブはBDXL対応 | 天板にBDXLロゴも | 3層BD-R XLメディア「BNR3VAPJ4」も発売。実売価格は5,000円 |
BDドライブは、BD-R/REとDVD-R/RWに加え、大容量規格のBDXLの記録再生にも対応。記録速度はBD-R/R DLが6倍速、BD-REが2倍速、BD-R XL(3層/4層)が4倍速、BD-RE XL(3層)が2倍速。
任意の番組を選んで高速ダビングが行なえるほか、ディスク容量にあわせたレート変換ダビングが可能。ただし、HDD内での録画モード変換(DR→TSRなど)や、ダビング時に任意のモードを選択/変換することはできない。また、パナソニックの新ブルーレイDIGA「DMR-BWT3100」など6製品では、BDからDIGAのHDDへムーブする機能を備えているが、今回のソニー新BDレコーダでは対応していない。
スタートメニューに[録画した番組を消す]を追加 |
スカパー! HDチューナや、ビデオカメラとの連携機能も装備。Wチューナ搭載の上位5モデルでは、スカパー! HD録画に対応。ネットワーク接続した、スカパー! HD番組を直接レコーダに記録できる。スカパー! HDの3D放送も録画可能となっている。なお、スカパー! HD録画のためには、1系統の録画系統を占有するため、本体のチューナでW録中は、スカパー! HD録画はできない。
加えて、BDZ-AT300S以外の5モデルでは、PSPやウォークマンへの「ワンタッチ番組転送」に対応。録画時にPSPやウォークマン用のビデオファイルを同時作成し、USB接続したデバイスに転送可能とするもので、新たに640×480ドットのVGAファイル作成に2Mbpsモードを追加。VGA 2Mbps/1Mbpsの2モードに対応する。加えて、転送時間を従来の約2倍に高速化。従来は1時間番組の転送で約2分かかっていたが、1分で転送完了するという。
おでかけ転送にも対応 | 新たにVGA 2Mbpsモードを追加した |
自動スライドショー作成機能の「x-Pict Story HD」もリニューアル。新たに表示写真の選択や、タイトルの挿入、プリセット曲の選択などが可能となった。
7月7日からベータ版として提供されているスマートフォンからのリモート録画サービス「Chan-Toru(チャントル)」にも対応。外出先からのリモート録画予約や、番組予約の確認、録画リストの整理などが可能となっている。対応スマートフォンはXperia、iPhone/iPadなど。ダブルチューナ搭載5モデルでは、DLNAサーバー機能も備えており、録画した番組を「ソニールームリンク」対応のテレビから、再生できる。
■ ディスプレイにあわせた画質処理も。CREAS 3を搭載
再生画質の向上も図っており、新バージョンの14bit処理高画質化LSI「CREAS 3」を搭載。液晶/プラズマ/有機ELなどのディスプレイタイプに合わせて画質を調整する「おまかせ画質モード」や、8つのシチュエーションにあわせたプリセット画質モード「おすすめ画質プリセット」、BD-ROM用の専用画質設定などを新たに搭載した。加えて、I/P変換も新しい処理を採用しており、斜め線や動きのあるシーンの画質を改善している。
おすすめ画質プリセット | ディスプレイの種類にあわせた画質モードも用意 |
CREAS Pro |
HDMI出力は、BDZ-AX1000/2000が2系統、その他4モデルが1系統。その他の出力端子は、D4出力×1やS映像×1、コンポジット×1、アナログ音声×1、光デジタル×1、同軸デジタル×1(BDZ-AX1000/2000のみ)。入力端子はS映像×1、コンポジット×1、アナログ音声×1。BDZ-AX1000/2000は各端子に金メッキ処理を施している。
超解像設定も可能 | フイルムグレインの調整も可能となっている | 画質モード。CREAS Pro搭載機ではより詳細なパラメーター設定が行なえる |
リモコンも新デザインの「新おまかせリモコン」で従来モデル比で約30mmサイズを短縮。縦220mmと小型化しながら、使用頻度の高いホーム/スタート/操作系のボタンを大型化している。従来機と同様に他社テレビの操作も可能な点が特徴となる。
BDZ-AX2000の背面。2系統のHDMIなどを搭載 | BDZ-AT700の背面 | 新おまかせリモコンを採用 |
機種名 | BDZ-AX2000 | BDZ-AX1000 | BDZ-AT900 | BDZ-AT700 | BDZ-AT500 | BDZ-AT300S | |
HDD容量 | 2TB | 1TB | 1TB | 500GB | 320GB | 500GB | |
チューナ | 地上/BS/110度CSデジタル×2 | 地上/BS/110度CS デジタル×1 | |||||
AVC録画 | 2番組 | 1番組 | |||||
Blu-ray 3D対応 | ○ | ||||||
高画質回路 | CREAS Pro | CREAS3 | |||||
HDMI | 2 | 1 | |||||
USB | ○ | ||||||
HDV/DV | ○ | - | |||||
メモリーカード スロット | メモリースティック、SD | - | |||||
ルームリンク (DLNA) サーバー | ○ | - | |||||
おでかけ転送 | ウォークマン、PSP、携帯電話、Nav-u | - | |||||
出力端子 | HDMI×2 コンポーネント×1 D4×1 コンポジット×1 S映像×1 アナログ音声×1 光デジタル音声×1 同軸デジタル音声×1 | HDMI×1 D4×1 コンポジット×1 S映像×1 アナログ音声×1 光デジタル音声×1 | |||||
入力端子 | S映像×1 コンポジット×1 アナログ音声×1 | ||||||
消費電力 | 47W | 45W | 39W | 37W | 29W | ||
待機時消費電力 | |||||||
瞬間起動[入]、HDMI制御[入] | 30W 0.6W 0.08W | 28W | 22W 0.6W 0.08W | 18W 0.6W 0.08W | |||
年間消費電力量 | 43.9kWh/年 | 41.1kWh/年 | 33.8kWh/年 | 33.2kWh/年 | 33.2kWh/年 | 28.9kWh/年 | |
外形寸法 (幅×奥行き×高さ) | 430×288×81mm | 430×56×284mm | 430×49.5 ×284mm | ||||
重量 | 約6.3kg | 約6.1kg | 約3.9kg | 約3.8kg | 約3.8kg | 約3.5kg |
(2010年 8月 26日)
[AV Watch編集部 臼田勤哉]