「32型でも3D」。Qriocityなどネット強化の新BRAVIA

-Twitter/Skype/FeliCa機能拡充で「新しい価値を提供」


 ソニーは20日、液晶テレビ「BRAVIA」の新製品4シリーズ13機種の発表会を開催した。

 3D対応の「BRAVIA EX720/72Sシリーズ」は、同社が“スタンダード機”と位置づけるBRAVIAの中核製品で、120Hzの倍速パネルながら3Dに対応。新映像エンジンの「X-Reality」を搭載し、画質向上を図っているほか、新ビデオ配信サービス「Video On Demand powered by Qriocity」対応や、Skype対応、スマートフォンによるテレビ本体操作などネットワーク関連機能を大幅に強化している。

 エントリーモデルとなる「BRAVIA EX420/CX400シリーズ」もX-Realityを搭載し、画質向上を図っているほか、EX720/72Sシリーズと同様のネットワーク機能を搭載した。また、新BRAVIA全モデルで別売USB HDDへのデジタル放送録画に対応する


BRAVIA EX720/72SシリーズBRAVIA EX420/CX400シリーズKDL-EX46EX72S
ソニーマーケティング コンスーマー AVマーケティング部門 ホームエンタテインメントプロダクツマーケティング部 平間統括部長

 発表会では、ソニーマーケティング コンスーマー AVマーケティング部門 ホームエンタテインメントプロダクツマーケティング部の平間陽一郎統括部長が、新製品について、「3Dの拡大」と「ネットワーク機能の拡充」の2点を挙げて解説した。

 平間氏は、昨年の3D対応テレビ市場において、ソニーが71%のシェアを獲得したことや、11モデルにおよぶ充実したラインナップを構築したことをアピール。また、パッケージソフトや3D放送が増加した点や、ゲームでもヒットタイトルが出たこと、さらに、3DハンディカムBloggieなど「パーソナルコンテンツ」における3D対応を進めていることを紹介し、「ソニーとして、ソフト、ハードともに両面で3Dをサポートしていきたい」とした。

 新ラインナップの最大の特徴として訴えたのが、「32型というパーソナル領域でも3D対応を果たしたこと。スタンダード価格帯でも3Dが選択できる」という点。新たに導入したバックライト制御技術や新タイミングコントローラなどで、120Hzパネルでも3Dを実現し、3Dラインナップを6シリーズ19モデルまで増加。豊富な3Dのラインナップを強調した。


3D、ネットワーク、高画質を訴求する新モデル3Dコンテンツやパーソナルコンテンツの充実に向けた取り組み120Hzパネルで3Dを実現

 ネットワーク機能については、「もはやスタンダード」と語る。同社のユーザー調査によれば、YouTubeや音楽情報検索、ビデオオンデマンド、Skypeなどに期待が高まっているとのことで、それらの機能やTwitter、視聴中のコンテンツの音楽情報をネットワーク経由で取得できるTrackIDなどを追加したことを紹介した。

 ビデオ配信については、アクトビラなどの既存サービスに加え、Qriocityのビデオオンデマンドを日本で26日から展開することを発表。同サービスの開始は世界で7カ国目となる。

テレビのネットワーク対応への期待BRAVIAの新ネットワーク機能Qriocityのビデオオンデマンドに対応

 また、新映像エンジンのX-Realityについても新しい超解像技術を導入したことを紹介するとともに、HD/SD映像だけでなく、テレビ放送、アップコンバートされたSD映像やIPTVなどさまざまなソースに対応した高画質化処理を行なえ、「全モデル」に導入した点をアピール。「2011年にアナログ停波を迎えるが、停波後の需要減退に対し、従来のテレビとは全く違う価値を提供することで需要を創造していきたい」と意気込みを語った。

X-Realityを搭載HDコンテンツだけでなく、SDやIPTVなども高画質化

 


■ Qriocityだけでなく、SkypeやTwitterなどネット機能を大幅強化

 発表会場では、120Hzパネルで3D表示を実現した「モーションフローXR 240」の体験デモやX-Realityによる高画質化などのデモを実施。新超解像処理や4種類のノイズ低減処理を搭載したX-Realityについては、特にモスキートノイズの低減、ディテール感の向上などで顕著な違いが感じられた。

X-Realityにより画質を向上モーションフローXR 240により、120Hzでもクロストークが少ない点をアピールモーションフローXR 240によるバックライト上下分割制御により、2D表示時の残像感も大幅に改善した
Video On Demand powered by Qriocity

 Qriocityのデモでは、BRAVIAの画面に最適化したコンテンツ検索や、操作レスポンスの良さ、画質などをアピール。ストリーミング配信のため、コンテンツ購入後に若干のバッファ時間は必要なものの、再生を開始すると早送り/戻しなどの操作もかなり高速に行なえた。

 視聴中のコンテンツの音楽情報をネットワーク経由で取得する「TrackID」はテレビ放送だけでなく、QriocityのようなVODや、Blu-ray/DVDなどソースを問わず、BRAVIAに入力/表示しているコンテンツであれば利用可能。実際にQriocityのコンテンツ再生中にもTrackIDで楽曲情報を検索できた。


Qriocityでスタジオやジャンルごとの検索も可能QriocityでもTrackID検索BRAVIAで視聴中のコンテンツの楽曲情報をネット経由で取得するTrackID

 スマートフォン連携については、Xperia SO-01BとAndroid用のアプリ「Media Remote」を使ってデモ。タッチパネルを使った操作でリモコンの全機能が利用可能で、アプリキャストや3D、TrackIDなどの専用ボタンも用意されている。なお、アプリは既に公開中だが、Media Remote機能への対応は製品発売後の今春になる見込み。

Media Remoteを使って、XperiaからBRAVIAを操作スマートフォンのキーボードでBRAVIAのYouTube検索の文字入力を行なう通常のリモコンのようなUIや上下操作可能なタッチUIのほか、3DやTrackIDなどのボタンも用意している
アプリキャストでソニー純正Twitterクライアント

 Twitter機能も新搭載。従来からBRAVIA用ウィジェットの「アプリキャスト」で、個人ユーザーが制作したものが用意されていたが、新モデルに搭載されるのはソニー自社開発のウィジェットとなる。アカウントを入力することで、自分のタイムラインが表示できるほか、返信(Mention)やダイレクトメッセージ(DM)、検索などが可能。視聴中のチャンネルのハッシュタグを使って、放送中の番組を見ながら関連するツィートをチェックできる。

 Twitter機能は春のアップデートで追加する予定で、新モデルのほか、BRAVIA 2010年モデルのアプリキャスト搭載機でも利用可能になる。

 Skypeは今春のアップデートで対応予定。別売のマイク「CMU-BR100」を追加することで、Skypeによるビデオ通話や音声通話が可能となる。なお、テキストチャットには対応しない。相手はパソコンや携帯電話でも通話可能となっている。

 また、ソニー独自の機能として、受信時にテレビ画面を切り替えることなく、音声通話を行なうことができる。他社のテレビにおけるSkype通話では、テレビと音声通話時には画面表示が専用の壁紙などに切り替わってしまうが、ソニーでは番組の内容を確認しながら音声通話ができるという。ただし、通話時にはテレビの音声を聞くことはできない。

BRAVIAからSkypeでビデオ/音声通話が可能にSkype用マイクの「CMU-BR100」。価格は未定
受話時にビデオと音声を選択テレビ画面を見ながら音声通話できるのはソニーだけとのこと

 おき楽リモコン採用のBRAVIA EX720/EX72S/EX420は、FeliCaリーダー機能も搭載。Edy、Suica、WAON、nanacoの4種類の電子マネーの残高が確認できる。Edyについてはアクトビラの決済などにも利用できるほか、利用履歴や残高照会、チャージに対応。WAONとnanacoは利用履歴と残高照会が可能で、Suicaは残高照会のみとなる。

Edyは残高照会のほか、決済やチャージに対応4種類の電子マネーに対応する

(2011年 1月 20日)

[AV Watch編集部 臼田勤哉]