19日オープン「パイオニア プラザ銀座」を先行体験

-卵型試聴室から2,200万円のTADハイエンドまで


パイオニア プラザ銀座の入り口

 東京・銀座のマロニエ通りに、2月19日にショールーム「パイオニア プラザ銀座」をオープンするパイオニア。オープンに先立つ16日、その内部が報道陣に公開された。

 「パイオニア プラザ銀座」が入っているのは、銀座にあるデビアス銀座ビル(東京都中央区銀座2丁目5番11号)。有楽町駅からプランタン銀座とマロニエゲートの間にあるマロニエ通り沿い。松屋側から見ると、松屋の向かいのシャネルとカルティエの間の通りに位置している。1F、2FとB1Fで構成され、営業時間は11時から20時まで。月曜日が休館日となる。

 同社の技術や新製品を通して、「新しい価値やライフスタイルを体感してもらうこと」をテーマとしており、製品の展示だけでなく、実際に音を聴いたり、触れてみたりと、体験できるショールームとなっている。


有楽町駅を出て、交通会館を左に見ながら銀座方面へ歩くプランタン銀座とマロニエゲートの間にあるマロニエ通り沿いパイオニア プラザ銀座が入っているデビアス銀座ビルは、個性的な形をしているため、とても目立つ


■ 1階

 1階は最新のテクノロジーやアイデアを体験する場と位置付けられており、入り口には2月~3月の間は、三菱自動車の「i-MiEV」をベースにした、音楽や映画を楽しめるエコな電気自動車「Music EV」を展示。薄型で明瞭な音が出力できる独自のHVTユニットを使ったセンタースピーカー、サテライトスピーカーを採用し、運転席と助手席にはシートスピーカーも配置。電気自動車ならではの静粛性と組み合わせ、静かな車内で高品位な再生を実現。映画表示も行なえるナビも搭載している。

 さらに、CEATECなどのイベントでも展示されていた、NTTドコモの車載機器向け情報サービス「ドライブネット」とパイオニアが開発したクレードル、Android OS用アプリを組み合わせて実現する「スマートクレイドル」も紹介。クレードルには、Android端末を搭載でき、クレードル内にGPSや加速度センサー、ジャイロセンサーなども内蔵。Android端末にはパイオニアが開発したナビアプリ「ドコモ ドライブネット powered by カロッツェリア」をインストールしており、通信とクレードルのセンサーを用い、さらにパイオニアのスマートループ渋滞情報も取り込むことで、従来のスマートフォンのナビアプリを超える精度や機能を実現している。

音楽や映画を楽しめるエコな電気自動車「Music EV」映画表示も行なえるナビも搭載スマートクレイドルを本格的なナビとして活用できるスマートクレイドル

 また、スマートフォンと連携した次世代の車載用ディスプレイ「ネットワークビジョンヘッドアップディスプレイ」(HUD)も体験できる。車のフロントガラスをスクリーンに見立て、RGBのレーザーを光源としてスマートフォンからの各種情報を投写。フロントガラス前方の空間に鮮明な情報コンテンツを浮かびあがるように表示できる。

 さらに、クラウド技術を使った車用の新サービスも展示。音声認識技術とSNS機能を組み合わせて実現するもので、スマートフォンやタブレット用アプリとして提供する。現在AndroidとiOS用のプログラムを開発中で、例えば、最寄りのレストランの検索や、友人の現在地の検索などが音声コマンドで行なえ、レストランの検索結果には米国のクチコミサイト「Yelp」の評価も付与。結果や評判などを音声で読み上げてくれるため、運転中でも店舗の検索、決定などの操作が音声のみで行なえる。

ネットワークビジョンヘッドアップディスプレイクラウド技術を使った車用の新サービスも紹介。対応端末はスマートフォンやタブレットなどで、AndroidとiOS用にアプリを開発しているという

 お店までのルート検索も音声で指示でき、Twitterとも連携。お店の情報をメッセージを貼付した上で、友人にTwitter経由で送信して、そのお店でのランチに誘うといった使い方が可能。ネットラジオの検索・再生なども音声で行なえるという。3月に米国でβサービスを開始予定で、夏頃に本格サービスを展開予定。音声認識は現在英語だけの対応となっているが、将来的には日本語対応と日本でのサービスも視野に入れているという。

新サービスの利用の流れ。様々な操作が音声のみで制御できるレストランのジャンル選び。ジャンルが音声で読み上げられ、音声で選択できるため、運転に集中できる検索したお店の場所にメッセージをつけて、Twitterでランチに誘うことができる

 自転車関連でも新しい提案を行なっている。基本は車輪の回転数などをセンサーで検出し、それを無線で受信し、速度や距離などを表示するサイクルコンピューターだが、それにGPSや音楽プレーヤー機能を内蔵したモデルとして開発されているもので、搭乗者に聴きやすく、周囲にあまり音を広げない自転車用スピーカーの開発も予定している。回転数に合わせて再生する音楽を変えたり、交差点で停車した時にボリュームを自動で下げるなどの機能も盛り込まれる。

 GPSを搭載しているが、本格的なナビ機能は搭載しない予定。「目的地を入力し、その方角や距離などを表示したり、最寄りのトイレや休憩ポイントなどを知らせる機能は想定しているが、あえてナビ機能を搭載せず、新しい道を探す楽しさ、時には迷う楽しさも味わえる、自転車に乗ることそのものを楽しむため、手軽に使える機器にしていきたい」という。

自転車用の新製品も開発中車輪の回転数などをセンサーで検出し、無線で受信。距離や速度などを表示するのが基本機能本格的なナビ機能はあえて省き、目的地の方角や距離、最寄りのトイレなどの情報を表示する事で、ゆったりとしたサイクリングが実現できるという
卵のようなリスニングルーム「Sound Cocoon」

 1階にはほかにも、夏頃に本格展開を予定している有機ELを使った照明器具や、浮遊映像表示モニター「フローティングビジョン」の活用提案を実施。さらに、卵のようなリスニングルーム「Sound Cocoon」も用意。中に入るとスピーカーと振動機能を備えたソファが入っており、音楽に包まれ、低音を体感しながらくつろげるというもの。持参したポータブルオーディオの音を楽しむ事もできる。


「Sound Cocoon」内部。スピーカーを備え、iPodなどの音楽も楽しめる
タブレットで色を選択すると、瞬時にその色の光を表示できる有機ELを使った照明浮遊映像表示モニター「フローティングビジョン」独自のHVTユニットを使って実現した、薄型スピーカー


■ 2階

 2階は新製品が体験できるフロアとなっており、AV機器も多数用意。AVアンプやスピーカー、それらを組み合わせたシアターも構築し、ライフスタイルの提案を行なっている。

 本格的なAV機器以外にも、大人の書斎や子供部屋をイメージし、iPodとデジタル接続できるミニコンポ「X-HM50」や、スタイリッシュなiPodスピーカー「X-NAS50」などと組み合わせたインテリアも用意している。

AVアンプのラインナップも展示シアタールームも構築し、提案大人の書斎をイメージした提案

 さらに、壁にはイヤフォンやヘッドフォンのラインナップを展示。実際に音を体験する事もできる。

 また、奥の壁には155インチの有機ELディスプレイを展示。三菱電機と共同開発したもので、小さなOLEDのモジュールをタイルのように組み合わせていくことで、大画面が構築できるのが特徴。商業施設や交通・公共施設などでの利用を想定した製品となる。

壁にはヘッドフォンやイヤフォンが多数展示実際に聴く事もできる155インチの有機ELディスプレイ


■ B1階

 地下には防音処理を施した試聴ルームを設けており、TADのスピーカー「Reference One」や「TAD-CR1」、DACも搭載したプリアンプ「C2000」、プレーヤーの「D600」など、ハイエンドオーディオの音が楽しめるようになっている。TADの機器の総額は約2,200万円。

 また、DJ機器も用意されており、椅子を片付けてダンスフロアのように使い、DJイベントにも対応できるという。

TADのラインナップが体験できる地下の試聴ルームDJ機器も用意されている

 今後は新製品体験会やDJスクールなども予定されているほか、DJ Ami Suzuki(鈴木亜美)さんや、小野リサさん、藤田恵美さんらを招いてのミュージックイベントや、アフタヌーンティーサロン、オズモールとのタイアップによる「心地良い音楽とネイルケア」、「癒しの音楽とヘアメイク」といったプレミアムサロンなども企画されている。



■ 「“今”と“これから”のパイオニアを知っていただく場に」

小谷進社長

 小谷進社長はショールーム開設の目的として「今のパイオニアだけでなく、これからのパイオニアを知っていただくため」と説明。「2015年にお客様と一緒に“街でも家でも車でも、笑顔と夢中が響き合う”会社になるという“2015ビジョン”を掲げているが、パイオニアは新しく変わっていくんだ、新しい取り組みをやっているんだというメッセージを発していく場所にしていきたい」と語る。

 さらに、「昨年の株主総会で、赤ちゃんを連れた若い女性から“パイオニアには、私たち(女性)が買う商品がまったく無い。どうしたんだ”と言われ、新川崎の本社の近くでは、女子高生に“パイオニアって何をやってる会社なの?”と言われ、愕然とした」という体験談も紹介。「私の世代や、私より上の世代に向けた製品がメインで、若い世代や女性に向けた商品を出せてこなかったのは事実。これからはそういった面も含めて、新しい商品を出していきたい」と決意を語った。

 また、銀座を選んだ理由としては「昔はサラリーマンやお年寄りが多いというイメージだったかもしれないが、今はまったく違う。若者向けの店も増え、海外からも沢山の人が訪れる街になっており、まさにパイオニアがアピールしていきたいお客様と合致している」と説明した。


(2011年 2月 16日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]