アップル、App Storeで購読/更新型サービスを開始

-ビデオ/音楽も。外部でアプリより安価な販売は禁止


 アップルは16日、App Storeで雑誌や新聞、ビデオ、音楽などのコンテンツ配信向けに、新しいサブスクリプションサービスを発表した、

 News CorpのThe Dailyアプリケーションに対してアップルが提供したサブスクリプション課金サービスと同じもの。App Store内で購入されるサブスクリプションは、従来のIn-App Purchase(アプリケーション内課金)と同様に、App Storeの課金システムを通じて販売。コンテンツ提供者は、価格とサブスクリプションの継続期間を設定する。期間は週、月、隔月、3カ月、半年、1年が選択できる。

 購読者が、サブスクリプションの継続期間を選択すると、その期間に応じて自動的に請求が行なわれる。購読者はアカウントページで購読中のコンテンツをまとめて確認、管理可能で、自動継続をキャンセルすることもできる。なお、この場合のサブスクリプションに関わる支払い手続きのすべてをAppleが処理し、30%の手数料が発生する。

 パブリッシャーは、アプリの外で購読者を獲得する他の手法を活用することもできる。例えば、ウェブサイトで別途サブスクリプション販売を行なったり、既存の購読者に対して無料購読を提供する方法などが考えられる。こうしたアプリ外の取引についてはAppleは関与せず、売上の分配も発生せず、購読者の情報をAppleとやり取りすることもない。この場合、パブリッシャーは、アプリ内に独自の認証プロセスを用意する必要がある。

 なお、パブリッシャーがサブスクリプションをアプリケーション以外の場所でも販売することを選んだ場合は、それと同じサブスクリプションを同価格もしくはそれ以下の価格で、アプリ内でも提供する必要がある。また、今後は、購読者をアプリケーションの外部に誘導し、コンテンツやサブスクリプションを購入させるようにするリンク(ウェブサイトなど)を、アプリ内に設置することはできなくなる。

 Appleのスティーブ・ジョブズCEOは、「私たちの考えはシンプルだ。Appleが新しい購読者をアプリケーションに招き入れた場合、Appleは売上の30%を得て、パブリッシャー自身が既存もしくは新規の購読者をアプリケーションに招き入れた場合には、パブリッシャーが売上げの100%を手にし、Appleの取り分はゼロになる。パブリッシャーがアプリ以外の場所でサブスクリプションを提供する場合には、外部での提供条件と同じ、もしくはより有利な条件のサブスクリプションをアプリ内部でも提供し、購読者がアプリ内で、簡単にサブスクリプションを購入できるようにして頂きたい。Appleはサブスクリプションサービスが、パブリッシャーのコンテンツをiPad、iPod touch、iPhoneに向けてより広くデジタルで提供するまったく新しい機会となり、新規および既存の購読者の皆様にも喜んでいただけるものと確信している」と述べている。

 なお、ユーザーがApp Storeを通じてサブスクリプションを購入する際には、自分の名前、メールアドレス、郵便番号をパブリッシャーに提供するか否かを選択できる。これらの個人情報の利用方法はパブリッシャーのプライバシーポリシーによって管理される。


(2011年 2月 16日)

[AV Watch編集部 臼田勤哉]