コーレル、2D-3D動画変換対応の「VideoStudio X4」

-コマ撮り動画や、ミニチュア風の動画作成も可能


VideoStudio Ultimate/Pro X4

 コーレルは、Blu-rayオーサリングも可能なビデオ編集ソフトの「Corel VideoStudio」シリーズの最新バージョンとして、2D動画の3D変換などに対応した2モデルを発表した。ダウンロード版は3月8日より発売を開始しており、パッケージ版は4月15日より発売。対応OSはWindows XP/7/Vistaで、64bit版OSもサポートする。

 価格は下表の通り。なお、特別優待版は、他社製ソフトからの乗り換えが可能となっている。


製品名販売形態価格
VideoStudio Ultimate X4通常版パッケージ20,790円
ダウンロード
特別優待版
/アップグレード版
パッケージ15,540円
アップグレード版ダウンロード
アカデミック版パッケージ12,390円
VideoStudio Pro X4通常版パッケージ15,540円
ダウンロード
特別優待版パッケージ10,290円
アップグレード版パッケージ8,379円
ダウンロード10,290円
アカデミック版パッケージ8,190円

 

編集画面

 主な新機能は、Webカメラなどを利用してコマ撮り動画が作成できる「ストップモーション」や、動画/静止画のコマ数を減らすことでパラパラマンガのような動画を作ることができる「タイムラプス」、2D動画をサイドバイサイドまたはアナグリフ方式の3Dに変換できる「2D-3D変換」など。なお、パッケージ版にはアナグリフ方式の3Dメガネ(赤青メガネ)が付属する。

 インターフェイスも改善されており、新たにプレビューウィンドウをフロート表示できるようになった。また、ウィンドウの表示レイアウトを3パターンまで保存でき、キーボードショートカットですぐに切り替えられる。パフォーマンス面では、第2世代のIntel Coreプロセッサーや64bit版OSに最適化され、処理速度が向上している。

 

パッケージ版に付属するアナグリフの3Dメガネ
 前バージョンの「X3」と同様に、Blu-ray Disc/DVDオーサリングにも対応。また、iPod/iPhone/PSPなどで再生可能な動画出力や、YouTube/Facebook/Flickrなどへのアップロードも可能。新たにYouTube 3Dへのオンラインアップロード機能も備えている。

 

 UltimateとProの違いはエフェクトの種類で、Ultimateにはタイトルアニメーションなどの豊富な編集機能を備えた「Boris Graffiti」や、手ブレ補正などが可能な「proDAD Mercalli」といったプラグインを同梱している。入出力ファイルの種類は両バージョン共通。

 新機能の「ストップモーション」は、デジタルカメラなどで撮影した静止画や、PCに接続したDV/HDV/Webカメラの映像を利用して、クレイアニメのようなコマ撮り動画を作成できる機能。接続したWebカメラの映像を見ながら、直前のキャプチャ時からの移動量を把握できるオニオンスキンを搭載している。撮影方法は手動/自動の切り替えが可能で、例えば5秒に1回、計50秒撮影するといった頻度や取り込み時間を指定できる。フルHDなど、解像度の指定も可能。撮影後に静止画の複製や削除などの再編集も行なえる。

ストップモーション機能Webカメラを使って、一定間隔での自動撮影も可能フレームの数を指定して、動画の長さを決められる


タイムラプス機能

 また、「タイムラプス」機能は、複数枚の静止画や、1本の動画から、パラパラマンガのような動画を作る機能。動画の場合は、例えば1~12フレームのうち1、4、7、10のみをつなぐというように、フレームを間引く処理を行なう。1秒間のフレーム数の指定や、10~1,000%の速度変更が可能となっている。

 タイムラプス機能を利用して、ミニチュアでコマ撮りしたような動画も作成可能。動画の彩度を上げて、ビデオフィルタにより上下をぼかすといったエフェクトを加え、同社の静止画編集ソフトPaintShop Photo Proなどによりフレームマスクでぼかす部分とぼかさない部分を指定することにより、ミニチュア風の動画を作成できる。


1秒間のフレーム数などを指定ビデオフィルターなどと組み合わせて、ミニチュア風の動画が作成可能作成されたミニチュア風動画の例


2D-3D変換にも対応

 2D-3D動画変換機能は、2Dの動画をサイドバイサイドまたはアナグリフ(赤青)方式の3D映像に変換して出力できる機能。YouTube 3Dへのアップロードや、AVCHD、WMVでのファイル出力が可能。DVD/Blu-rayへの書き出しも行なえる。変換時に3Dの深度(デプス)の調整も可能。ただし、テキストのみ飛び出すといった、複数レイヤーの深度を個別に調整することはできない。パッケージ版にはアナグリフ方式の3Dメガネを同梱する。

 なお、3D対応ビデオカメラからの取り込みについては、サイドバイサイド記録のカメラからの取り込んでトリミングして出力することは可能だが、フレームパッキングなど他の方式の3D映像は取り込めない。

3Dに変換した動画は、DVD/Blu-rayやAVCHD形式などで出力できる3D変換時に深度の調整も可能作成したアナグリフ式の3D動画


■ ハードウェアエンコードで最大2.7倍高速化。テンプレートからの動画作成も機能強化

 パフォーマンスの面では、新たに第2世代Intel Core CPUに最適化。フルHDのMPEG-2動画10分をAVCHDに変換する場合、ハードウェアエンコード無効時は9分30秒だが、有効にすると約2.7倍高速化され、3分33秒まで時間を短縮できるという。

テンプレートにある複数の静止画/動画を一括して置き換える機能も

 また、64bit版OS使用時は、メモリ使用率の高い動画変換時の変換速度や安定性を改善。32bit版OSに比べ1.8倍のスピードアップを実現したという。GPU支援による変換機能はX3でも搭載されているが、新たに編集作業時にもハードウェアデコードが可能になり、プレビュー再生をスムーズに行なえるようになった。

 テンプレートを選んで、作品例の中にある動画を使いたいファイルに置き換えることで簡単に動画が作成できる「インスタントプロジェクト」機能では、新たに「オープニング」や「本編」、「エンディング」といった特定部分のみの作成も可能。また、テンプレートに複数のPinP(子画面表示)がある場合に、ファイルを一括して置き換えられる機能も追加された。

 ユーザーが作成した動画のプロジェクトを、テンプレートとして保存する機能も搭載。他のユーザーとも共有できるシェアサイトを今後用意する予定だという。

タイトルトラック編集の自由度が向上した

 また、テキスト表示については、従来のタイトルトラックだけでなく、オーバーレイトラックにテキストを入れることも可能となり、最大8本のトラックでタイトル編集可能。オブジェクトの前に表示するだけでなく、後ろから前へ移動させるといった自由な表現ができるようになった。

 Ultimateのみにバンドルされるプラグインの「Boris Graffiti」は、手書き風のテキスト作成や、任意のパスに沿ったテキスト配置などが可能。文字を個別に動かしたり、文字に影を付けて他の被写体に重ねるといった効果も加えられる。EPSデータの読み込みも可能で、ポイントの追加や削除にも対応。また、「proDAD Mercalli」は、動画を解析して補間処理を行なうプラグインで、手ブレ補正や、ローリングシャッター歪みの補正が可能。

 Ultimateでは、従来のX3より約100種類多い全233種類の効果音素材を収録。追加された素材としては、サイレン音、エンジン音、雨音、爆発音、笑い声、打撃音などがあり、これらは全て著作権フリーとなっている。Proの効果音は全135種類。

Boris Graffitiの主な機能テキストに影を付けて、他の被写体に重ねた例proDAD Mercalliの主な機能

 動画の入力対応フォーマットはUltimate/Pro共通。AVI、MPEG-1/2/4、HDV、AVCHD、M2T、MPEG-4、M4V,MPEG-4 AVC/H.264、QuickTime、WMV、MOD、M2TS、TOD、BDMV、3GPP、3GPP2、DVR-MS、FLI、FLC、FLX、SWF、DivX、RM、UIS、UISXに対応する。出力は、DV-AVI、MPEG-2/4、MPEG-4 AVC/H.264、QuickTime、WMV、3GP、3GP2、AVCHD、BDMV、FLI、FLC、FLX 、FLV、RM、DivX、UIS、UISXをサポート。

 なお、一部ビデオカメラやコンパクトデジカメが対応している1080/60pの動画に対しては、取り込みは可能だが、出力時は30pとなる。静止画の入力は、X3では非対応だったPSDにも対応した。



■ 「コマドリスト」も納得の新機能

コマ撮り映像作家の竹内泰人氏

 発表会には、ゲストとしてコマ撮り映像作家の竹内泰人氏が来場。「オオカミはブタを食べようと思った。」などのユニークな動画をYouTubeなどにアップロードしていることで知られる“コマドリスト”の竹内氏が、新機能の「ストップモーション」を使ったコマ撮りの楽しみ方を紹介した。

 YouTubeでは300万以上再生されている「オオカミはブタを食べようと思った。」は、制作に8カ月もの期間を要したとのことだが、VideoStudio X4では、オニオンスキンにより直前のコマとの差分が見やすいことから、「楽にコマ撮りが作れるソフト。映像を作るのが大変だと思う人は、コマ撮り動画を作ってみては」と述べた。

竹内氏の「オオカミはブタを食べようと思った。」は、紙焼き写真を1枚1枚並べて撮影された、手の込んだ作品竹内氏が自らの作品を使って、X4の使いやすさなどを紹介した


(2011年 3月 8日)

[AV Watch編集部 中林暁]