東芝、“全録”や3D対応の小型フルHDなど新「REGZA」

-新RD/タブレットや裸眼PC。年内に40型超の裸眼3D TV


 東芝は、6チャンネル同時録画の「タイムシフトマシンCEVO」や3Dに対応した液晶テレビREGZA最上位「ZG2シリーズ」や、ゲームやアニメなどの対応を強化し、偏光方式の3Dに対応した32/26型“プレミアムパーソナルモデル”「ZP2シリーズ」などの発表会を開催。新REGZAは5月下旬より順次発売する。

 2番組同時で長時間録画ができる新「ブルーレイREGZA」も5月下旬より発売するほか、新BDプレーヤーでREGZAからのBDダビングに対応した「D-BR1」も6月下旬に発売。また、バッテリを内蔵し、電力消費のピークシフトを図った19型液晶テレビの「REGZA」も7月に発売予定。

 東芝のAV事業は、4月1日付でテレビなどのビジュアルプロダクツ社の事業に加え、パソコン事業も集約した「デジタルプロダクツ&サービス社」の新体制に移行。裸眼3D「グラスレス3D」のノートPC「dynabook Qosmio T851/D8CR」を6月に、Android 3.0搭載のタブレット「レグザタブレットAT300」も7月に発売する。


55ZG232ZP2RD-BZ810

 REGZA ZG2シリーズは55/47/42型の3モデルを用意。「レグザエンジンCEVO Duo」を搭載し、高画質2D-3D変換や新しいブロックノイズ低減処理、高画質2D-3D変換などを実現。さらに、過去30時間/6チャンネルなどを同時録画することで、番組放送時間を超えた視聴体験を可能とする「タイムシフトマシンCEVO」を搭載する。タイムシフトマシンは、CELL REGZAシリーズの特徴的な機能として訴求されていたが、通常のREGZAシリーズでは初対応となる。


REGZA ZG2シリーズ

型番サイズ特徴発売日店頭予想価格
55ZG255型最上位REGZA
フルHD IPSパネル
3D(フレームシーケンシャル方式)
レグザエンジンCEVO Duo
タイムシフトマシンCEVO
ゲーム/アニメモード
500GB HDD録画
USB HDD録画
5月下旬49万円前後
47ZG247型39万円前後
42ZG242型30万円前後

 「REGZA ZP2シリーズ」は、26/32型でフルHD IPSパネルを採用した“プレミアムパーソナルモデル”。レグザエンジンCEVOの高画質化機能などを搭載。さらに、パッシブ型の偏光メガネを使った3Dに対応するほか、ゲーム入力信号の徹底した低遅延化、アニメの高画質化などを強化している。

REGZA ZP2シリーズ

型番サイズ特徴発売日店頭予想価格
32ZP232型パーソナルプレミアム機
フルHD IPSパネル
3D(偏光方式)
レグザエンジンCEVO
ゲーム/アニメモード
USB HDD録画
6月上旬15万円前後
26ZP226型13万円前後

 Blu-ray Discレコーダ「REGZAブルーレイ」は、USB HDD録画を強化したほか、AVCHDファイルの取り込みなどに対応。上位2モデルでは2番組同時のMPEG-4 AVC長時間録画も可能となった。1TB HDDとダブルチューナを搭載した「RD-BZ810」と、500GB HDDとダブルチューナの「RD-BZ710」、500GB HDDとシングルチューナの「RD-BR610」の3モデルをラインナップする。

REGZAブルーレイ

型番HDDW録特徴発売日店頭予想価格
RD-BZ8101TBUSB HDD
15倍録画
スカパー! HD録画
5月下旬11万5,000円前後
RD-BZ710500GB10万円前後
RD-BR610-8万円前後
D-BR1

 また、単体のBDプレーヤーとして利用できるほか、REGZAやREGZAブルーレイのダビング先ととして指定し、ネットワーク経由でBDにレグザリンクダビングできる「D-BR1」も6月下旬に発売する。店頭予想価格は35,000円前後。Blu-ray 3Dの再生が可能なほか、AVCHDのカメラ映像取り込みに対応する。

 「レグザタブレット(AT300)」は、Android 3.0(Honeycomb)を搭載した10.1型タブレットで、6月下旬に発売。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は6万円前後。

 10.1型/1,280×800ドットのタッチパネル液晶を搭載し、バックライトはLED。OSはタブレット端末向けに最適化された Android 3.0。GPUにはNVIDIA Tegra 2 1GHzを搭載し、1080pのHDビデオ再生などに対応する。内蔵メモリ容量は16GB。前面に200万画素、背面に500万画素のWebカメラを内蔵する。

 REGZAの高画質/高音質技術を採用した点も特徴で、環境光の状態にあわせてバックライト輝度やコントラストなどの画質パラメーターを自動で調節する「Adaptive Display」を採用。超解像技術「レゾリューションプラス」も搭載している。IEEE 802.11b/g/nの無線LANとBluetoothを搭載し、YouTubeなどの再生も可能。Androidマーケットにも対応する。

 「dynabook Qosmio T851/D8CR」は、裸眼3D視聴に対応したノートPCで、7月下旬より発売する。店頭予想価格は23万円前後。OSはWindows 7 Home Premium(64bit)。

 15.6型/1,920×1,080ドットのフルHD液晶やBlu-rayドライブなどを搭載したノートPC。特徴は、裸眼での3D表示「グラスレス3D」に対応したことで、Blu-ray 3Dや3D放送番組などをメガネをつけずに楽しむことができる。2D-3D自動変換機能なども搭載し、放送番組やDVDなども3Dで楽しめる。また、全画面の3D表示だけでなく、1部のウィンドウのみの3D表示も可能で、3D映像を見ながらメールやネットなどを楽しめるという。この「部分3D」に対応した製品はQosimio T851/D8CRが世界初という。

 また、バッテリを内蔵し、電力供給電源をAC電源からバッテリに切り替えて利用できるピークシフト機能搭載のREGZAも7月1日より発売する。19型の1モデルで、型番や価格は未定だが、店頭予想価格は4~5万円前後の見込み。

dynabook Qosmio T851/D8CRレグザタブレットAT30019型のピークシフトREGZA

 


■ TVとPCの事業を一体化し、新興国を攻める。タブレットも強化

東芝デジタルプロダクツ&サービス社 大角社長

 東芝は、テレビやレコーダのビジュアル機器を展開していた「ビジュアルプロダクツ社」と、パソコン事業を統括する「デジタルプロダクツ&ネットワーク社」を統合し、4月1日より「デジタルプロダクツ&サービス社」としてスタート。東芝執行役上席常務でデジタルプロダクツ&サービス社の大角正明社長は、テレビやPC市場をとりまく環境を説明するともに、2011年度の事業方針を説明した。

 2010年度のテレビ事業の実績はグローバルで1,400万台、REGZAの認知度も2009年11月の77%から2010年11月には89%まで上昇したという。PCにおいては、グローバル販売台数が1,900万台、ノートPCの累計販売台数は1億台を突破した。


2010年度のテレビ、PC事業の実績

 2011年度以降は、テレビやPCともに中期的に新興国での事業拡大を図る方針。テレビは先進国が2013年にかけて約2%成長、一方で新興国は約23%の市場成長を見込む。ノートPCにおいても、2013年までの成長率が先進国が11%に対し、新興国は21%と市場伸長を予想。「いかにして新興国市場を取り込んでいくか。これが東芝のテレビ、PC事業の最重要課題だ」とする。

 また、タブレット市場が2010年度の2,400万台から2013年度には9,600万台と大幅な拡大が予想される。タブレット市場については、「単一の商品ではなく、テレビ、PCの融合商品でサービスなどを組み合わせた市場になるのではないか。ここにどのようなサービス、戦略を持っていくかが課題になる」と分析した。


テレビの需要推移予測PCの需要推移予測タブレットの需要推移予測

 新興国における成長戦略としては、市場に密着した拠点確立を加速する。具体的には、中国市場向けにテレビの販売拠点「東芝ビジュアルプロダクツ(中国)」を2010年9月に設立したほか、エジプトに液晶テレビ製造合弁会社を1月に設立、さらに4月にはフィリピン市場向けのテレビ/PC販売拠点「東芝フィリピン社」を立ち上げた。

 具体的な製品としても、テレビについては、停電時にバッテリ駆動に切りかわる「PowerTV」を投入し、アジア市場でのシェアを向上。PCも防塵対応のノートPCや電源安定機能搭載モデルなどを投入。2010年度のアジア市場におけるテレビ販売台数は前年比で約240%に、ノートPCも同170%になった。インドネシアにおいては、テレビのシェアが9%から17.3%に向上、ノートPCも16.8%から23%に伸長した。

新興国市場への取り組み地域密着製品の例
TV/PC事業を融合し、多様なニーズに対応

 4月に映像事業とパソコン事業を統合した「デジタルプロダクツ&サービス社」を発足したことで、テレビとPCの融合や連携を加速し、テレビやPC、タブレットなどをアプリケーションやサービスで連携させていく。

 事業体制でも、地域密着型のマーケティングや販売体制を構築。従来は製品別だったデジタル機器の事業体制を改め、テレビ、PCの横断的商品統括部門を新設し、設計開発、生産調達なども一元化。その下に地域別の事業体制を構築し、日本、北米/欧州/豪州/ロシア/中南米、アジア/インド/中近東/アフリカ、中国の4地域体制とする。

 新体制により、液晶テレビやPCのグローバル市場での高いシェアによるスケールメリットを生かして、生産/調達によるコスト力向上、開発リソースの最大活用を図る。「(PCとテレビの事業融合により)総合的な調達力と、ODMを使ったコスト力をさらに加速できる。ODMマネジメントの管理ノウハウを築けている。設計の部分においても、ある意味少数精鋭といえるが、コスト構造上の固定費の優位性があるのではないかと信じている。グローバルなパソコン産業と、リージョナルなテレビの文化を融合して、新しいサービス、製品を作っていく」と新事業体制について自信をのぞかせた。

 新体制により、「2013年度にグローバルの液晶テレビおよびノートPCの合計販売台数6,000万台、シェア10%を目指す」と宣言。新興国においても、従来のエントリーモデルだけでなく、都市部の富裕層向け商品を投入し、ブランドイメージの向上を図る。タブレットも独自の映像技術を駆使して、地域ニーズに対応。2013年度にグローバル市場シェア10%を目指す。

デジタルプロダクツ&サービス社の新事業体制2013年度にテレビとノートPCで6,000万台、シェア10%を目指す

 


■ 大画面裸眼3Dやタブレットも計画。Cell REGZAは終息へ

4~55型までのスクリーンを「レグザ」ブランドに統一

 2011年度の国内テレビ市場については、「'10年のような2,200万台という規模は考えられない。地デジ停波までの上期は前年並みが見込めるが、下期は落ちる。前年の半分から6掛けぐらいとみている」とする。PCの市場規模は対前年で3~5%の増加を予想、レコーダは、「大きく伸びると思っている。上限で800万台ぐらい」と予測する。

 その中で、東芝の2011年度国内戦略は、REGZAとdynabookのブランドを積極展開。特にREGZAについてはスマートフォンの4型からテレビの55型まで全てのサイズで「レグザワールド」としてブランドをレグザに統一する。

 スマートフォンやタブレットからのTVやレコーダのコントロールに加え、2011年度中にREGZAブルーレイを進化させ「レグザサーバー」を商品化。サーバーに蓄積したコンテンツをREGZAで見たり、タブレットやスマートフォンに持ち出すなどの提案を行なっていく。

 3Dについては、「グラスレス3D」を積極展開。裸眼3DノートPCに続き、「2011年度内に大画面グラスレス3Dレグザやグラスレス3Dタブレットを商品化する」という。グラスレス3Dレグザのサイズについては、「40、50インチ以上で年内には発売。少しでも早く秋のタイミングに市場投入したいと考えている」とする。

REGZAブルーレイの進化版「レグザサーバー」を年度内発売40型以上のグラスレス3Dレグザなどを年内発売へ

 なお、アクティブシャッターメガネのZG2シリーズ、偏光メガネのZP2シリーズ、グラスレス3DのGL1シリーズなど、東芝の3Dテレビは多数の3D方式が混在することとなる。大角社長は、「東芝が目指すゴールはグラスレス。これは昨年末から変わっていない。一番大きな技術的な課題は解像感をどう保つか、あとはコストだ。たくさん方式があって、わかりにくいかもしれないが、それぞれの使い方や時代にマッチしたものを出していきたい。東芝はパネルを持っていないので、世の中にある最もいいパネルを使って、いかにいい製品にするかということをやり続けたい」と語った。

 2010年12月に商品化したグラスレス3D「12GL1」、「20GL1」の手応えについては、「12型のほうが数が出ると思ってたが、結果的には20インチが伸びている。(裸眼3D)テレビでは高解像度が必要と認識した。販売台数については、目標の月販1,000台には届いておらず、半分ぐらい。ただ、いまでも売れているところを見ると一定の理解を得ていると考えている」という。

 なお、Cell REGZAの今後については、「ZG2シリーズは2TBのHDDを搭載し、タイムシフトマシンにも対応。エンジンのCEVOは、Cellからある部分で落ちるとはいえ、Cellの機能を継承しながら、30万円前後の売価で実現できた。Cellが普通のテレビに落ちてきたといえるのではないか」と言及。さらに「Cellそのものについては発表できないが、さらなる高みを目指したものを、Cellプラットフォームではない形で、秋の大型グラスレス3Dを含めていろいろとやっていく。Cellプラットフォームではないけれど、それを超えたものを出していく」と語り、Cell REGZAで実現した機能を踏襲/強化しながらも、プラットフォームとしてはCellを使わない方針を示唆した。

ピークシフトTVを7月発売

 新機軸としては、震災の影響による電力需要のひっ迫に応えるべく、バッテリを内蔵し、電力消費のピークシフト化が行なえる「ピークシフトTV」を7月に発売する。19型で、価格は4~5万円前後。

 大角社長は、「企画のきっかけは計画停電。停電中に情報が途切れるのは辛く、バッテリ対応商品を投入しようと決めました。バッテリにより3時間ほどでテレビが見られる。3月末に企画して、7月に投入する段取り。反響も大きいので7月に19型を市場投入して、32型まで拡大したいと考えている」とし、数量については、「まだ言えないが、かなり関心が高いと感じているので需要の見直しを図っていきたい」とした。


サービスやアプリも強化

 サービスやアプリケーションも強化。4月20日から凸版グループのBookLiveと協業し、電子書籍ストア「ブックプレイス」をスタート。レグザタブレットなどから利用可能で、東芝独自の音声合成エンジンを使った「音声読み上げ機能」などを訴求していく。

 また、レグザAppsコネクトも積極的に展開。レグザフォン/タブレットにプリインストールするなどアピールしていく。さらに、Real Dと協力し、3Dコンテンツの普及にも取り組む。第1弾としては、Real Dと英国ロイヤルオペラハウスによる3Dオペラ「カルメン 3D」に協賛する。

 Real D日本・アジア代表の長谷瓦二氏は、3Dシアターやサイドバイサイドの配信技術などの同社の事業を紹介。東芝とも、ハードウェアを通じた技術支援/協力を行なってきたが、Real Dも東芝もコンテンツを通じた取り組みを強化したいとの意向が一致し、「カルメン 3D」の展開で協力することとなったとする。カルメン 3DのBlu-ray 3Dの独占供給権は東芝が持つため、今後東芝の3Dテレビのプロモーションなどでも、カルメン 3Dが使われる模様だ。


Real D日本・アジア代表の長谷瓦二氏カルメン 3Dを共同でPR
凸版印刷 湊常務取締役

 凸版印刷常務取締役 情報コミュニケーション事業本部長の大湊満氏は、電子取次としてのブックプレイスの位置づけを紹介。紙の書籍とともに電子書籍市場においても、出版社や著作者などと協力していく方針を説明し、「本の魅力を訴求していきたい」と語った。また、「東芝さんも新たなコンテンツ配信の出口として、テレビにも機能を持たせると伺っている。テレビが新たな配信のデバイスとしていろいろな選択肢を与えるのではないか。事業拡大の発展を祈っている」とした。

 また、広告展開においては、REGZAは福山雅治氏を、dynabookは山下智久氏を引き続き起用。さらに省エネ、節電を促すCMも用意し、東芝製品の使い方も含めTVCMなどで節電への協力を呼び掛けていく。


REGZAのPRには福山雅治氏を引き続き起用。色超解像をアピールdyanbookは山下智久氏

(2011年 4月 20日)

[AV Watch編集部 臼田勤哉]