「春のヘッドホン祭 2011」。タイムロード/TEACなど

-イヤーピースの無い「ドブルベ」やKOSS未発表品


フジヤTVにも出演した福島花乃さんらが、「ヘッドフォン女子会」も実施した

 東京・中野にあるAV機器の専門店フジヤエービックのデジタルスタイルショップが主催する「春のヘッドホン祭 2011」が5月7日に開催された。会場は前回と同じ、外苑前駅近くの「スタジアムプレイス青山」。7階全フロアと8階ホールA2階・ホールB2階が使われた。入場は無料。

 フジヤエービックは、薄型テレビやビデオカメラ、各種オーディオ機器を扱っており、業務用機材のプロショップも設けるなど、 AV関連機器専門の総合販売店として知られている。また、国内外のヘッドフォンや、ヘッドフォンアンプなどヘッドフォン関連製品の販売にも注力している。

 「ヘッドホン祭」は同店が扱う製品や、各メーカーの新製品が体験できるイベントとして年2回開催されているもの。国内外のヘッドフォン/ヘッドフォンアンプなどの新製品が出展された。




■タイムロード

 タイムロードのブースでは、ULTRASONEの高級ヘッドフォン「edition 10」をバランス接続仕様にカスタマイズするサービスが発表された。改造費用は52,500円(送料別)で、5月10日から受注を開始するという。ケーブルは「余計なキャラクターを付加せず、微弱な信号を確実に伝送するため、フラットかつニュートラルな特製で信頼性も高い業務用マイクロフォンケーブルを採用した」という。長さは260cm。コネクタはノイトリック製のXLR。

バランス改造を施したedition 10コネクタはノイトリック製のXLR

 また、April MusicのUSB接続対応DDコンバータ新モデル「Stello U3」も参考展示。USB接続に対応し、PCの音声をSPDIFおよびI2Sで出力するDDコンバータで、発売中の「U2」は24bit/96kHzまでの対応36,540円だが、「U3」では24bit/192kHzまで対応する。さらに、AES出力を備えているのが特徴。

 内蔵のUSB 2.0レシーバにはXMOSを使用し、高精度インターナルクロックに同期させてSPDIFへ変換。同軸とXLR各1系統の出力を備え、後段のDACとのアイソレーションを確保するため、高速パルストランス経由で出力される。また、サンプリングレート44.1kHz/48kHz それぞれの系統に個別のTCXO(温度補償水晶発信器)を搭載しているのも特徴。価格は「U2」よりも高価にはなるが、10万円を切る見込み。発売日は未定。ジッタが少なく、非常に音質が良いという。ドライバはMacとWindowsに対応予定。

左にあるのが「U2」、右が「U3」Stello U3背面の端子部
iPadなどからライン出力するケーブル

 ほかにも、Qablesの新製品として、iPad接続用のDock接続のライン出力ケーブルも参考展示。アクティブスピーカーなどと接続し、コンパクトなオーディオシステムが構築できると言う。




■TEAC

 TEACのブースでは、KOSSの日本未発売ヘッドフォン/・イヤフォンを多数展示。いずれも参考展示であり、日本で発売するかは未定とのことだが、「日本でのラインナップ拡大を予定しており、その感触をつかむために出展した」というもの。

 耳掛けタイプやネックバンドタイプなどで、いずれも2,000円~3,000円程度の低価格な製品だという。また、ダイナミック型ユニットを採用したカナル型(耳栓型)イヤフォンも含まれており、価格は4,000円程度のイメージ。

 また、TEACブースでは4月上旬に発売が開始された、独beyerdynamic製モニターヘッドフォン「DT 1350」(37,800円)も展示。コンシューマ向けのハイエンドモデル「T 1」や「T 5 p」にも採用されている、1テスラ(=10,000ガウス)を超える強力な磁束密度のテスラテクノロジーを搭載しながら、コンパクトに構成しているのが特徴。その音質を確かめようという来場者が列を作っていた。

KOSSの日本未発売モデル。耳掛け式やネックバンドタイプ、カナル型イヤフォンなどが展示された独beyerdynamic製モニターヘッドフォン「DT 1350」



■オヤイデ

 中国のメーカーFiioのポータブルヘッドフォンアンプの新モデル「E11」を参考展示。ライン入力とヘッドフォン出力を各1系統装備。DACは内蔵していない。

 「E5」と「E7」の中間に位置するというモデルで、「フラットな音のE7に比べ、低域を中心に迫力のある音作りになる」という。ロータリー型のボリュームコントローラーを備え、簡単にボリュームダイヤルが回らないようにガイドパーツが設けられている。3段階のバスブーストを装備。USB充電で動作し、動作時間は公称10時間以上。内蔵のリチウムイオンバッテリが簡単に取り外しできるのも特徴で、交換用バッテリは1,000円程度で用意する予定という。外形寸法は92.5×54.2×13.4mm(縦×横×厚さ)。重量は65g。

Fiioのポータブルヘッドフォンアンプの新モデル「E11」アナログライン入力、ヘッドフォン出力を装備バッテリ交換ができるのも特徴

 また、2011年夏発売予定のモデルとして、「D3」と呼ばれる小型DACも発売予定。光と同軸デジタル入力と、RCAのアナログ出力を装備。USB入力を備え、アナログRCA出力を備える「D5」も発売予定で、価格はどちらも未定。「D3」は参考展示も行なわれていた。

D3とD5の発売も予告された会場で参考展示されたD3



■ラディウス

 ラディウスのブースでは、2ウェイのダイナミック型ドライバを搭載したイヤフォンとして存在感を発揮する「W(ドブルベ)」シリーズのカラーバリエーションを参考展示。「ドブルベ」と、上位モデル「W n°2(ドブルベ ヌメロドゥ)」の両方で、ハウジング部分をグリーンやブルー、シルバーなどにしたモデルが展示され、来場者からの意見を聞いていた。

グリーンのドブルベブルーのドブルベW n°2(ドブルベ ヌメロドゥ)の試作カラー

 さらに、イヤーピースを省いたドブルベも参考展示。「どんな音になるか作ってみた試作機」という。ドブルベシリーズの新たな展開を期待させる展示だ。

イヤーピースを省いた試作機も登場した

 また、同じく参考展示モデルとして、ラディウス初のオーバーヘッドタイプのヘッドフォン「3STAGES HP-OHF11」も出品。5,000円以内を想定しているという低価格なヘッドフォンだが、片出しのケーブルが着脱できるのが特徴で、標準で3m、1.2m、60cmの3種類のケーブルが同梱されており、用途に合わせて付け替えられる。

 また、ハウジング部分の折りたたみにも対応。コンパクトに持ち運ぶ事もできる。密閉のダイナミック型で、40mm径のドライバを採用。インピーダンスは16Ω。再生周波数帯域は10Hz~25kHz。入力はステレオミニ。ブラックハウジングに赤いケーブル、ホワイトハウジングにブルーのケーブルの2色をラインナップする。

 さらに、カナル型イヤフォンも参考展示。こちらも5,000円以内が想定されており、6mm口径のダイナミック型ユニットを採用している。

3STAGES HP-OHF11折りたたみも可能。ケーブル着脱もできるカナル型イヤフォンも参考展示された



■ファイナル

 ファイナルオーディオのブースでは、カナル型イヤフォンの上位モデルとして、4月22日に発売が開始されたばかりの、金属削り出しの筐体を採用した3機種を出展。価格は全てオープンプライスで、店頭予想価格は、筐体にクロム銅を使った最上位「Piano ForteX-CC」が220,000円前後。ステンレスを使った「Piano ForteIX」が98,000円前後、真鍮の「Piano ForteVIII」が78,000円前後。

 型番は「FI-DC1602シリーズ」で、それぞれ「Piano ForteX-CC」(FI-DC1602SC-C)、「Piano ForteIX」(FI-DC1602SS)、「Piano ForteVIII」(FI-DC1602SB)となる。なお、ユニットのサイズや構造などは3機種共通で、違いは筐体に使っている金属の素材のみ。ブースには、高級イヤフォンの音を体験しようと、多くの来場者が集まった。

 さらに、新モデルの試作機も参考展示した。これは、イヤーピースの無いイヤフォンで、夏頃の発売を予定。5,000円以下で投入を予定しており、「ファイナルの音を低価格で楽しんでもらえるモデルとして予定している」という。

発売されたばかりのハイエンドモデルが試聴できた新モデルの試作機。イヤーピースの無いタイプで、購入しやすいモデルになるようだ



■イーフロンティア

 バッフル部分に、片側に寄せた小さな孔を設けることで、低域の共振を抑えた自然な再生音を実現し、耳穴の中での定在波の発生も防ぐ「DUAL Anti-Standing Wave System」を採用したインナーイヤフォン「NW-STUDIO PRO」(オープン/実売15,800円前後)でイヤフォン市場に参入したナインウェーブ。同社の第2弾モデルも参考展示された。

 モデル名は第1弾から「PRO」を省いた「NW-STUDIO」と呼ばれるもので、6月発売を予定。PROに投入された技術をそのまま使いつつ、筐体の素材をアルミからプラスチックに変更。さらに、PROに付属している高品質なキャリングケースも省くことで価格を抑えているのが特徴で、6,000円程度での発売を予定しているという。

NW-STUDIO PROより低価格なNW-STUDIO筐体の素材は異なるが、使われている技術は上位モデルと同じだ

(2011年 5月 9日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]