NHKと三菱電機、ハイビジョン映像対応の電子透かし
-高画質の違法動画も検出。埋込みを20倍に高速化
番組制作システムへの電子透かしの導入イメージ |
日本放送協会(NHK)と三菱電機は19日、共同で開発している「電子透かし」技術において、ハイビジョン映像に高速で映像関連情報を埋込み/読出しする技術を開発したと発表した。
この技術は、高画質な映像の情報管理や著作権保護に利用可能。映像が違法に使用された場合などに、映像の情報を確認することができる。
従来技術では、圧縮した映像を対象として電子透かしの埋込みを行なっており、放送用の高画質映像には利用できなかったほか、映像情報として十分な情報量のデータを高速で埋め込むことが困難だったという。
新開発の電子透かしは、分割処理による埋込みアルゴリズムを採用することで、画質劣化を抑えながら十分な量の情報(番組の放送日時やコードなどを表す100ビット程度の情報)を短時間に埋込むことに成功。画質劣化が少なく、放送番組の撮影から、編集、送出までのすべての過程で一貫した情報管理ができるという。
また、新しい映像処理技術により、数秒程度の映像からでも埋込まれた情報をすばやく取り出せるようになった。さらに、様々な圧縮方式や、サイズ縮小/アナログ変換を行なった映像からの検出も可能になった。
前述の多分割埋込みアルゴリズムと、検出アルゴリズムの最適化により、画質劣化を伴わずに埋め込み処理を20倍に高速化(一般的なパソコンに搭載されているGPUを使用した場合。画像圧縮などの映像符号化処理時間は除く)。検出に要する画像フレーム数を1/5~1/10に削減したという。
なお、ソフトウェアは 汎用的なライブラリ形式で作成されており、映像伝送システムや編集装置など、さまざまな分野の映像機器に利用できるとしている。
(2011年 7月 19日)
[AV Watch編集部 中林暁]