「東京ゲームショウ 2011」。Vitaがtorneと連携

-VitaでTV視聴。カードを使わないAR技術も


会場は幕張メッセ

 社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)が主催する、国内最大のゲームイベント「東京ゲームショウ 2011」が15日、幕張メッセにて開幕した。

 会期は9月15日から18日の4日間で、15/16日はビジネスデー。17日と18日の2日間が一般公開日となる。一般公開日の入場料は、一般(中学生以上)が当日1,200円、小学生以下は無料。ビジネスデイは5,000円。

 最大の注目は、前日に日本での発売日や、3Gモデルの通信料金などの詳細情報が発表された次世代携帯型エンタテインメントシステム「PlayStation Vita」。ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)のブースには、80台以上の試遊台が用意され、試遊できるゲームも31作品を用意。5型有機ELディスプレイの表示や、背面のマルチタッチパッドの操作性など、Vitaの特徴を実際に手で触れ、体験できるようになっている。

 また、ブースの奥にはVitaのパッケージや、ゲームソフトのパッケージ、周辺機器なども展示。さらに参考展示となるが、Vitaのカラーバリエーションモデルも展示されていた。


PlayStation Vitaの試遊が可能Vitaの背面タッチパッド
Vitaの上部にあるカードスロット部分Vitaのパッケージも展示されている参考展示だが、カラーバリエーションモデルも展示
こちらもカラーバリエーションの参考展示
Vita用インナーイヤーヘッドセット、2,800円Vita用メモリーカードVitaのACアダプタ
カーアダプターとポータブルチャージャーは2012年春に発売予定USBケーブル、1,300円
クレードル、2,800円Vita用のゲームソフト。メモリーカードに入った状態で販売される右は「二ノ国 白き聖灰の女王」と、本体に特別なデザインを施したPS3をセットにした「PlayStation 3 NINOKUNI MAGICAL EDITION」
PS3の新色「スプラッシュ・ブルー(CECH-CH3000B SB)」と、「スカーレット・レッド(CECH-CH3000B SR)」PSP(PSP-3000)のツートンカラーの限定モデル「レッド/ブラック(PSPJ-30026)」PS3用の24型/4倍速、3D対応液晶ディスプレイ「CECH-ZED1J」
ディスプレイ「CECH-ZED1J」は、2人でプレイするゲームで、プレーヤーそれぞれに異なる映像を2D表示できる新機能「SimulView」を搭載。SimulView対応のコンテンツと同梱3Dメガネを利用することで、プレイ可能になる。写真は3Dメガネ「CECH-ZEG1J」


■VitaでもPS3+torneとのリモートプレイが可能

SVP兼第2事業部長の松本吉生氏

 15日に行なわれた基調講演では、SCEワールドワイドスタジオの吉田修平プレジデントと、SVP兼第2事業部長の松本吉生氏が登壇。「PlayStation Vitaの全貌」と題して、Vitaの詳細なスペックの解説や、専用ソフトウェアタイトルについての最新情報を紹介。日本での発売日は12月17日と発表されているが、欧米は年明けの発売に向けて準備を進めているという。

 Vitaの開発に携わった松本氏は、3G回線やSNSとの連携など、これまで発表されているVitaの特徴を改めて紹介した上で、Vitaのシステムソフトウェアについても言及。「これまで以上に簡単にゲームや各種コンテンツが楽しめるシステムソフトウェアになっている。PS3などでは新機能追加、セキュリティ強化などでアップデートしてきたが、Vitaでも最新バージョンにアップデートする事で、ネットワーク機能の拡充やPS3との連携など、新しいエンターテイメントの世界が体験できる」と語り、PS3やPSPと同様にVitaもシステムソフトウェアの更新により進化していく端末である事を強調した。


SCEワールドワイドスタジオの吉田修平プレジデント

 その一例として、吉田氏はVitaとPS3の連携について紹介。吉田氏は「VitaはPS3に近い性能やメモリ量を持ち、PSNのネットワークにも接続できるため、PSPの時とは比較にならない大きな可能性を秘めている」とした上で、「Cloud Save」機能を紹介。これは、PS3とVitaでセーブデータを共有するもので、セーブデータをPSN上のサーバーに保存する事で、「PS3の続きをVitaで」といった遊び方が可能になる。開発中のRPG「Ruin」で実現するとのこと。

 「Close Platform Play」は、PS3とVitaで対戦プレイを実現するもの。Vitaで発売予定のレースゲーム「ワイプアウト2048」のプレーヤーと、PS3の「ワイプアウトHD」のプレーヤーが、オンラインで対戦できるようになるという。

 PS3のゲーム用データをコンバートし、Vitaで使うという事例も紹介。「ModNation RACERS」というゲームはPS3向けに発売されており、レーストラックやキャラクターなど250万個以上のデータがサーバーに記録され、ユーザー間でシェアされているが、Vita版の「ModNation RACERS」を買えば、全てのデータがVitaでも活用できるという。

 さらに、VitaからPS3のリモートプレイも可能。リモートプレイはPSPとPS3で既に実現しているもので、無線LANやインターネットを介して接続し、PS3に保存されている写真やビデオ、リモートプレイ対応ゲームなどをプレイするものだが、VitaとPS3でも同様の事ができるようになるという。

 会場では、開発中のゲーム「KILLZONE3」をPS3で実行し、Vitaからプレイするというデモが行なわれた。PS3のコントローラーはVitaに比べてボタン数が多いが、Vitaではバックタッチパネルの下側を使ってPS3のR3ボタンを代用するなど、バックタッチパネルの部分部分にもボタンを割り当てる事で、対応できるという。

VitaをPS3のコントローラとして活用するデモ。左がPS3の画面、右がVitaの画面。Vitaのタッチパネルで協力しているPS3プレーヤーを補佐できる

 VitaをPS3のコントローラとして活用する事も可能。例えばPS3のアクションゲームで、先に進めない時に、Vitaを持った他のユーザーがそのゲーム画面をVita上で確認。ディスプレイを指でなぞる事で道を作り、PS3のユーザーがその上を歩いて先に進む……といった協力プレイも可能になる。

 さらに、PSPとtorne+PS3で実現しているリモートプレイ連携もVitaでサポートする事を発表。torneのEPG表示や予約録画がVitaから行なえるほか、torneで受信したテレビ放送をリアルタイムでVitaで観る事ができる。録画した番組をVitaから視聴する事も可能。PSPで可能な機能をVitaでもサポートするというカタチになるが、Vitaの高解像度有機ELディスプレイを用いる事で、吉田氏は「より美しい映像でリモートプレイが楽しめる」という。


VitaからtorneのEPGを表示し、放送中の番組を視聴するデモが行なわれた
SCEブースでも、torneとVitaの連携画面が展示された

 現在、Vitaが発売される12月にtorneの対応ソフトウェアアップデートを予定。「アップデートのスケジュールや、torneからVitaへの録画番組の書き出し機能などの詳細については、別途ご案内させていただく」(吉田氏)とした。



■Vitaの処理能力を活かし、ARが進化

 新技術の一例として、AR(Augmented Reality/拡張現実)技術も紹介された。1つめは「ワイドエリアAR」と呼ばれるもの。既存のARでは、ARマーカーと呼ばれるマークが描かれたカードを机の上などに設置。それをゲーム機のカメラでとらえ、キャラクターなどを登場させている。しかし、この方式では、ARマーカーをカメラが見失うと、キャラクターが画面から消えてしまうという問題がある。

 Vitaでは1枚のカードを認識してキャラクターを表示できるほか、処理能力の高さを活かして、複数のARカードを同時に認識。例えば、カードを複数置いたテーブル全体など、広い範囲をARのフィールドとして扱う事ができる。これにより、Vitaを移動させてもキャラクターが消えにくくなっている。

 また、リアルタイムで認識しているため、例えば複数のARカードを繋ぐようにカーレースのコースが生成され、その上を車が走る……というゲームの場合、ARマーカーの距離を離していくと、リアルタイムでゴムのようにコースが伸びて、その上を車が走る。机の上と床の上にARカードを起き、キャラクターがジャンプして飛び降りるなど、高低差を活かした処理も可能になっている。この技術は現在開発中とのこと。

机の上全体がARのフィールドにカーレースのコースが、ARカードを動かすとリアルタイムに変化する

 さらに進んだAR技術として「マーカレスAR」も紹介。その名の通り、ARマーカーがいらない技術で、目の前の物体の特徴点をマーカーとして記憶するもの。例えば部屋にある机や壁などに向けてVitaを動かす事で、Vitaがそれらの特徴を検出。3D空間として把握し、ディスプレイから見える部屋の中にキャラクターなどを登場させる。ARマーカーを使っていないため、自由にVitaのアングルを変えてもキャラクターが正しい位置に表示される。

 また、空間を把握しているため、奥行きがある道路などにVitaを向けて、沢山のキャラクターをそこに登場させると、道路の手前にいるキャラは大きく、奥にいるキャラは小さく、“距離的に正しい大きさ”で表示される。会場では、普通の街中を恐竜が歩いたり、魚型の飛行物体がマンション屋上を飛行する姿を、Vitaを空に向けて追うなど、ARマーカーがいらない利点を活かした活用例が紹介された。この技術はβバージョンをデベロッパーに提供しており、「フィードバックを得ながら高速化&使いやすい技術にしていく。同技術を使ったゲームが近い将来出てくる事を期待している」(吉田氏)という。

ARカードを置いていない部屋にVitaを向ける。Vitaが部屋の特徴を検出して、3D空間として認識床からキャラクターが出現道路にキャラクターが出現したところ。遠くのキャラクターは小さく、近くのキャラは大きい
何もない空に魚型飛行物体が泳いでいる街の中を恐竜が闊歩会場でのデモも行なわれた。ゲームショーのパンフレットからキャラクターが出現


■ゲームの情報を簡単収集

 通常のゲームをプレイする場合も、Vitaならではの機能がある。ホーム画面からゲームを選ぶ際に、そのゲームの最新情報が画面上に表示されるようになっている。デモされた「Resistance Burning Skies」というゲームでは、オンラインコミュニティのWebページへのリンクや、スコアの表示、他のユーザーが「○○ステージをクリアした!」といった情報も表示される。

 また、オンライントーナメントが開催されている場合などは、その情報が表示され、その部分を選択すると、単にゲームが立ち上がるのではなく、オンライントーナメントのロビーにユーザーが入った状態でゲームが起動するといった、利便性を高めたシステムになっているとのこと。

 「Resistance Burning Skies」は斧や銃器でモンスターを倒していくFPS(ファーストパーソン・シューター)だが、Vitaのデュアルスティックでキャラクターの移動と照準がスムーズに行なえ、武器の持ち替えや、手榴弾を投げたい場所などは有機ELディスプレイのタッチで操作できるなど、Vitaの機能を活用し、ストレスの少ない操作ができる事もアピールされた。同ソフトはオンラインマルチプレイにも対応し、2012年の発売が予定されている。

「Resistance Burning Skies」を起動させようとしているところ。周囲にゲームに関する様々な情報が表示されている「Resistance Burning Skies」のゲーム画面


■PlayStation Suite

 最後に松本氏が、「PlayStation Suite」について解説。1月の「PlayStation Meeting 2011」で発表された「PlayStation Suite」は、PlayStationのゲームをAndroidマーケットに提供し、Android端末上でのソフトウェアエミュレーションでPSゲームをプレイできるようにするもの。PSPやVitaといった専用ゲーム機以外にもPlayStationのプラットフォームを展開する新サービスとなる。

 松本氏によれば、現在このPlayStation Suite用のゲームを開発するための「Suite SDK」を準備している段階で、作られたプログラムは、デバイス内のバーチャルマシン上で作。Android端末だけでなく、Vita上でも動作するという。プログラム開発言語はC#を採用。ゲームアプリ開発用3Dグラフィックスのライブラリ、ゲーム以外の一般アプリを開発するためのUIツールキットも提供。「様々なアプリを効率的に、少ない予算で開発できる」という。

 SDKは幅広いデベロッパーに提供され、一定の審査を経てた後、PlayStation Certified認定を受けた端末向けのPS Storeより販売される。SDKは今年の11月からβ運用を開始。詳細や入手方法は後日特設サイトで案内されるという。また、来春にはPS Storeを拡充し、同SDKで開発されたコンテンツを春以降に配信していくという。

 なお、対応デバイスはVitaに加え、PlayStation Certified認定を受けたXperia Play、Sony Tabletが存在するが、「既に発売されているAndroid端末や今後発売される端末にも、技術検証を進めていく」とのこと。また、対応端末向けの、初代プレイステーション用のゲームを中心とした配信は10月下旬よりPS Storeにて開始。日本、アメリカ、カナダ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、オーストラリアの9カ国を皮切りに、順次拡大。ラインナップは20タイトルから順次拡大する予定とした。



■ゲームショウのその他の展示

 LGエレクトロニクス・ジャパンのブースでは、14日に発表したばかりの、視差バリア方式を採用した裸眼3D対応20型液晶ディスプレイ「D2000N-PN」を展示。10月上旬に発売予定で、価格はオープンプライスで、店頭予想価格は13万円前後。

 「CINEMA 3D」シリーズ初の視差バリア方式を採用したモデルで、パネルは20型/1,600×900ドット。パネルに施された液晶フィルタが視差バリアとなり、左眼用と右眼用の映像を分離。裸眼での立体視を可能にしている。

 さらに、偏光方式の3Dに対応した液晶テレビ「CINEMA 3D」の新製品「LW6500」シリーズも展示。こちらも10月上旬発売予定で、55型「55LW6500」(30万円前後)、47型「47LW6500」(24万円前後)、42型「42LW6500」(18万円前後)をラインナップ。240Hz駆動の「TruMotion240」パネル採用したハイグレードモデルであり、パネルエッジをクリアブルーがかった透明色とすることで、背景の色を拾い、空間へ溶け込むデザインも特徴となっている。

、視差バリア方式を採用した裸眼3D対応20型液晶ディスプレイ「D2000N-PN」偏光方式の3Dに対応した液晶テレビ「CINEMA 3D」の新製品「LW6500」

 ブースにはPC用ディスプレイのラインナップも展示。未発表で10月中旬頃の発売を予定しているという、IPSパネルとLEDバックライトを用いた27型「CINEMA 3D」(偏光方式の3D対応)も参考展示。日本での発売は決まっていないが、3D表示に対応したノートPC「LG X-NOTE CINEMA3Dモデル」も参考展示され、3D表示対応機器を幅広くラインナップしている事をアピールしていた。

偏光方式の3Dにおける利点を紹介する展示も10月中旬頃の発売が予定されている、IPSパネルとLEDバックライトを用いた27型「CINEMA 3D」

PSP用ゲーム「セブンスドラゴン2020」は、未来の東京を部隊にドラゴンを狩るRPGノンターゲットシステムが話題のMMORPG「TERA」アクワイアのプレイステーション3用ソフト「グラディエーターバーサス」カプコンブースでは、3DS拡張スライドパッドをアピール

(2011年 9月 15日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]