音展'11【秋葉原UDX編】オンキヨーDLNAスピーカーなど
-40万のステンレスヘッドフォンや新スピーカーも
オーディオ・ビジュアル関連の総合展示会「オーディオ&ホームシアター展 TOKYO」(音展)が21日、東京秋葉原で開幕した。会場は秋葉原UDXと、富士ソフトアキバプラザ。会期は10月21日~23日までの3日間。入場料は無料だが、Webで事前登録、もしくは当日会場での登録が必要。
主催は社団法人日本オーディオ協会(JAS)。ここでは秋葉原UDXブースの模様をレポートする。富士ソフトアキバプラザについては別記事でレポートしている。
■ オンキヨー、DLNAアクティブスピーカーを参考展示
オンキヨーは無線LAN内蔵のDLNAスピーカーを展示 |
オンキヨーは、無線LANを内蔵し、DLNAレンダラーとして動作するアクティブスピーカーを参考出展している。
DLNAレンダラー機能を装備し、Windows Media Player 12などのDLNA対応プレーヤーから、出力先として選択して再生できるアクティブスピーカー。PC以外にもNASのファイルをDLNAコントローラで選択し、出力先として選んで再生することもできる。MP3やWAVなどの多くのオーディオコーデックに対応するが、DRM付きの楽曲についてはDLNA経由では再生はできない。
発売日や価格は未定だが、近日の製品化を目指して開発を進めているとのこと。なお、AppleのAirPlayには対応していない。出力は非公開だが、独自のデジタルアンプ「VLデジタル」を搭載し、ノイズの少ない音楽再生が可能とする。無線LAN以外にアナログ音声(RCA)の入力端子も備えている。
ワイヤレスDLNAスピーカーの利用例 | 接続例 | アナログRCA入力も装備 |
ステレオプリメインアンプのリファレンスモデル「A-9000R(S)」や、iPhoneデジタル接続/Bluetooth対応のアクティブスピーカー「SBX-200」なども展示している。
A-9000R(S)など展示 | ネットワークレーシーバー「TX-8050」 | SBX-200 |
■ ファイナル、フルステンレスヘッドフォンを展示
ファイナルオーディオデザインは、ステンレスハウジングとステンレス製ユニットを採用したヘッドフォンを参考展示。ドライバは2ウェイで、振動板もステンレスを採用した新設計のものを採用。「ホールの最前列のような“強い”音が特徴」とのこと。
開発中のフルステンレスヘッドフォン |
展示された試作機には一部に樹脂が使われているが、フルステンレスでの製品化を予定。展示機の重量は1.3kg、側圧も1kgとなる。試聴したところ、ステンレスハウジングならではの付帯音の少ない、クリアな再生が実感できた。重さと側圧のキツさが気になるが、製品版ではさらに軽量になり、装着感も改善する予定だという。
製品版ではイヤーパッドを使わないアイデアもあり、ユーザーの耳に合わせた木などのパーツを使う事も検討されている。2012年の早い時期に製品化する予定。価格は未定だが、「今のままだと40万円を超えそう」としている。
金属ハウジングのカナル型上位モデル |
イヤフォン新製品の試作機も見る事ができた。新開発の8mmダイナミック型ユニットを採用したカナル型(耳栓型)イヤフォンで、11月下旬の発売を予定しているモデル。左右でカラーリングが異なり、装着時に容易に左右を判別できるのが特徴。価格は6,000円程度になる見込み。
さらに、同じく8mmのダイナミック型ユニットを使った金属ハウジングの上位モデルも開発中。こちらは12,000円~13,000円程度になる予定だ。
11月発売予定の8mmダイナミック型ユニット採用イヤフォン |
■ HiFiREVERB採用のスピーカーをマクセルが参考出品
花岡無線のHiFiREVERBエンコーダ |
NTTエレクトロニクスが開発した3Dオーディオ技術「HiFiREVERB(ハイファイリバーブ)」。同技術を採用したスピーカーをマクセルが参考出展している。
HiFiREVERBは、ステレオ音源の自然なマルチチャンネル化や、5.1chソースをサラウンド感を維持しながらステレオ化できる技術。マルチチャンネルからステレオ化しても、しっかりとした定位感が残ることが特徴という。
花岡無線電機は、放送局など業務/スタジオ用向けHiFiREVVERBエンコーダを開発。1Uラックサイズで業務向けの展開を予定しており、価格は150万円前後。また、日本モレックスは、HiFiREVERBの開発/評価用ボードを展示しており、その効果の違いを確認できるようになっている。
マクセルはHiFiREVERB対応無線スピーカーを展示 |
日立マクセルはこのHiFiREVERB用ボードを採用し、コントロールユニットと無線スピーカー部から構成されるワイヤレススピーカーを参考展示している。価格や発売日は未定だが、製品化を目指して開発中とのこと。
HiFiREVERBユニットを搭載したコントロールボックスと、2.4GHz帯無線で接続するワイヤレススピーカー。ワイヤレスヘッドフォンもセットになる。コントロールボックスにはアナログ音声入力(ステレオミニ)を装備し、入力した音声信号を演奏と演奏会場の響きに分離し、目的の再生システムに合わせた音像を生成し、ワイヤレスで出力する。
2.4GHz帯を使って非圧縮伝送するため、音質劣化もなく、HiFiREVERBを適用できるとする。ヘッドフォンとスピーカーへの同時出力にも対応する。
HiFiREVERBコントロールユニット | スピーカーの概要 | モレックスによるHiFiREVERB音質比較のデモ |
なお、このスピーカーとコントロールユニットの間の無線接続は、SYNCOMM TECHNOLOGYのオーディオ技術「EZWA」を採用。2.4GHz無線帯域で音質劣化無く、オーディオ伝送できるだけでなく、複数の機器に同時にオーディオ伝送する「ブロードキャストモード」も搭載している。
EZWAで様々な機器に無線伝送 | EZWA対応のヘッドフォン |
■ CAVはスクリーンやiPadスピーカーなど
CAVジャパンは、19日発表の真空管ステレオプリメインアンプ「T-5」や、20日発表の米SOUL by Ludacris(ソウル バイ リュダクリス)ブランドのヘッドフォン/イヤフォンなどを展示している。
SOUL by Ludacrisのヘッドフォン「SL300」 | 真空管ステレオプリメイン「T-5」 | フロア型スピーカー「MD-VI(157万5,000円)」 |
100型の電動スクリーンHD-F1(仮) |
参考展示品として、100型の電動スクリーン「HD-F1」を出展。同社はプロジェクタ向け製品として昇降台などを販売しているが、安価な電動スクリーンが少ないこともあり、参入を計画しているとのこと。
リモコンにより電動でスクリーン位置を調整可能で、スクリーンゲインは1.0。スクリーンケースの設置用金具を工夫するなど、扱いやすさにこだわったとする。
また、iPadスピーカー3製品も参考展示。車のステアリングをイメージした2.1chスピーカーや、薄型モデルなどを開発中。価格や発売日は未定としている。
3種類のiPadスピーカーを参考展示 |
■ ティアックは最新製品展示
A-H01(下)とDS-H01(上)。スピーカーは「S-300NEO」 |
ティアックは、20日に発表したUSB DAC/ICEpower搭載の小型アンプ「A-H01」と、iPhone/iPodトランスポート「DS-H01」、同軸2ウェイスピーカーシステム「S-300NEO」のセットを展示。PCとA-H01をUSBで接続し、S-300NEOで再生するデモを行なっている。
また、USB DACの「UD-H01」などの新製品も展示している。
USB DAC「UD-H01」の体験型展示 |
■ カナルワークス「ポータブルアンプシステム」
ポータブルアンプシステム |
カナルワークスは、3ウェイ/4ユニットのバランスドアーマチュア(BA)イヤフォンと専用ポータブルヘッドフォンアンプを組み合わせた「ポータブルアンプシステム」を参考出展している。
同社の「CW-L31」と同じ3ウェイ/4ユニットのイヤフォンで、高域1基、中低域2基、低域1基の各帯域のBAユニットを独立して駆動する専用ポータブルアンプと組み合わせたシステム。
アンプ側にチャンネルデバイダを内蔵しており、各帯域を独立して駆動するため、イヤフォン側のネットワークは必要なくなる。アンプ部はバッテリを搭載する。製品化については未定だが、「今回の展示などで意見を聞きながら検討していきたい」としている。
ポータブルアンプシステム |
■ MPEG-4 ALSのロスレスストリーミングサービスなど
音楽端末でサーバーからのMPEG-4 ALSストリーミングオーディオを受信 |
NTTエレクトロニクスは、NTTぷららなどと共同で、ロスレスコーデック「MPEG-4 ALS」を利用した楽曲ストリーミング配信の実験システムを紹介している。
MPEG-4 ALS(Audio Lossless)は、MPEGで標準化されたロスレス音声圧縮規格。FLACやApple Losslessなどロスレス圧縮コーデックは多くあるが、今回のデモではMPEG-4 ALSにリアルタイムで変換しながら、遠隔地のクライアントに伝送するという点が特徴。高音質な音楽配信サービスや、レコード店の試聴機向けシステムなどへの展開を想定し、開発しているとのことで、年内の実用化を目標としている。
MPEG-4 ALSの概要 | ストリーミング実証システムの概要 |
グローバル電子では、ESSの32bitオーディオDAC「ES9018S」を紹介。採用ヘッドフォンアンプでの音質アピールを行なっている。また世界初の32bit ADC「ES9102A」なども紹介している。
ES9018Sの評価ボード | ES9018Sの概要 | 32bit ADC「ES9102A」 |
フォステクスは「PM-02」よりも小さいモニタースピーカーを参考展示。型番や発売日は未定 | ローランドはXLR端子を備えたポータブルPCMレコーダ「R-26」(実売45,000円前後)を出展。別売のウィンドスクリーンも用意している | エムズシステムは透明筐体のスピーカーを参考展示 |
(2011年 10月 21日)
[AV Watch編集部 臼田勤哉]