NTT西、Hulu対応のHDMI搭載STB「光 BOX+」を発売

-YouTube/radiko/DLNA対応で簡単操作。9,240円


光 BOX+(左)をテレビに接続して、Huluを表示している画面

 NTT西日本は、テレビで有料動画配信サービスのHuluや、YouTube、radikoなどが利用できるSTB「光 BOX+」を3月22日より発売する。価格は9,240円。

 販売はNTT西日本エリアで行なうとしており、設置サービス(有料)などのサポートは富山県、岐阜県、静岡県以西の30府県に限られるが、購入とサービスの利用はその他の地域でも可能。回線契約は不要。

 「光 BOX+」は、OSにAndroid 2.3を搭載した、HDMI装備の小型STB。Huluがこの製品向けに開発した視聴アプリを搭載するほか、YouTubeのおすすめチャンネル表示や、ニュース/天気の表示、radiko.jpの聴取などが行なえるアプリを用意する。YouTubeを観るときに十字キーだけで選べるといった簡単なインターフェイスが特徴で、テレビをザッピングする感覚でネット動画が楽しめるという。

 無線LANはIEEE 802.11b/g/nに対応。100BASE-TのEthernetを備える。テレビへの出力はHDMIのみで、1系統。USBホスト端子2系統や、SDカードスロットも備える。

 Webブラウザや、Google Map、メールアプリも用意。「ePrint」対応のプリンタでブラウザなどの画面を印刷することもできる。なお、Google Play(旧Android Market)は利用できないが、専用の「光アプリ市場」からアプリをダウンロードして使える。

光 BOX+本体Huluの画面十字キーで簡単に操作できることが特徴
YouTubeのおすすめチャンネル画面最新ニュースの表示も可能ePrint対応プリンタを使って、ブラウザ画面や地図などを印刷できる

 Huluアプリは、一部のテレビ向けに提供しているアプリをベースに開発。Huluが国内でSTB向けにHulu視聴機能を提供するのは初となる。従来のサービスと同様に月額1,480円で視聴でき、PCやスマートフォンなどと共通のアカウントで利用できる。配信中の動画を「テレビ番組」、「映画」というカテゴリで絞り込み、映画では「スタジオ」、「ジャンル」、「地域」といった項目で表示可能。

 映像は、スマートフォンなどのHuluのサービスと同様に、回線の速度に応じた画質で視聴でき、スマートフォン/タブレットを使って外出先で観ていた映像の続きを、家のテレビで見るといったレジューム機能も利用可能。光 BOX+のブラウザやメールアプリを使うことで、Huluの初回登録もPCレスで行なえる。

 YouTubeのアプリでは、スポーツやニュース、音楽など7ジャンル、30チャンネルを「おすすめチャンネル」として表示。リモコンの十字キーで操作できる簡単なインターフェイスを採用している。なお、Webブラウザで利用した時のようにキーワードなどで検索するといったことも可能。なお、YouTubeの動画は無料コンテンツのみ視聴可能で、映画などの有料作品を購入することはできない。

 「Myシアター」のアプリも用意。現在は映画の予告編動画や映画の情報を見る機能だが、スマートフォンアプリなどに採用されている映画館のチケット購入機能についても検討中としている。そのほかにも、今後は「スカパー! オンデマンド」や、「ひかりTV」、「U-NEXT」のサービスにも対応予定で、各社と協議中だという。

Huluの画面タブレットで観ていたをテレビで観ることも可能今後、スカパー! オンデマンドやひかりTVなども対応予定


ニュース&ラジオの画面。右側にradikoガジェットが表示される

 「ニュース&ラジオ」のアプリは、msn産経ニュース、ライブドアニュースのコンテンツを表示できるもので、ニュースはRSSで自動取得して、テレビ向けのUIで表示。ニュースと合わせてラジオサイマル配信のradiko.jpも利用可能で、対象エリアの局の番組を聴くことができる。なお、radiko単体のアプリも用意する。

 付属リモコンにはジャイロセンサーを搭載。Webブラウザ表示時に、リモコンの「ポインター切替」を押しながら上下左右に動かすことでマウスポインタが移動。Wiiリモコンのような感覚で操作できる。リモコン用にストラップも付属する。

 ローカルの動画/音楽/静止画再生機能も備え、USBメモリやSDカード、内蔵メモリ(4GB)に収めたコンテンツをテレビに出力可能。さらに、DLNAのレンダラー(DMR)にも対応し、LAN HDDなどのサーバー(DMS)にあるファイルを、スマートフォンのコントローラ(DMC)アプリ「Twonky Mobile Special」を使ってテレビに再生するといったことも可能。なお、BDレコーダに録画した番組などのDTCP-IP再生には対応しない。

 再生対応ファイルは、動画がFLV/WMV/MKV/XviD/MP4/WebM/F4V/3GP。音楽がWMA/WAV/FLAC/OGG。静止画がJPEG/PNG/BMP/GIF。

 CPUはCortex A8(1GHz)で、512MB DDR2メモリを搭載。記録ストレージとして、4GBのフラッシュメモリを内蔵する。OSにAndroidを採用したことで、スマートフォン向けアプリを比較的容易に流用できることも特徴としている。

 外形寸法は、122×100×27.2mm(幅×奥行き×高さ)、重量は240g。電源はACアダプタを使用し、消費電力は最大15W。

付属リモコンジャイロセンサーを使ってWebブラウザのマウスポインタを操作できる背面


■ 手持ちのテレビが簡単にネット対応

 

NTT西日本の村尾和俊副社長(左)と、フールージャパンのジェイソン・リーキーナン日本代表代行(右)

 発表会は大阪で行なわれ、東京は中継映像を使った会見となった。NTT西日本の村尾和俊副社長は、光回線を使ったインターネットサービスの「フレッツ光」が700万以上の会員を得て、テレビもインターネット対応モデルが急増した一方で、地デジ移行後はこの伸びが頭打ちになると予想されることに懸念を示し、「今後スマートテレビとして、多くのアプリを提供するテレビ、いわば“スマートフォンの拡大版”に移行すると思っているが、今すぐに光を利用して、多彩なインターネットサービスを多くの方に利用していただきたいということで、今お持ちのテレビで使える光 BOX+の発売に至った」と述べた。

 今回採用した簡単なインターフェイスについては「ネットには多くのコンテンツがあるが、パソコンで検索しなければならない。YouTubeでコンテンツを探すのは初心者には難しい。また、ニュースは探さなくても知りたいニュースに巡り合える」とした。

 大阪の会場には、フールージャパンのジェイソン・リーキーナン日本代表代行も出席。「Huluにとって、サービス向上になる新たなデバイス追加となった。ネット接続されていないテレビを持っている人には朗報になるだろう」と今回の協業を歓迎した。

 また、同社のコンテンツ&アライアンス本部長の長澤一史氏は「Huluをテレビ単体で観られるのはVIERA(パナソニック)とBRAVIA(ソニー)のみだった。カスタマーセンターには『テレビで観たいがどうしたらいいのか』といった問い合わせが日々きている。ようやく、こういったサービスがあるとおすすめできてうれしい」と述べた。さらに、今後のHuluの施策として「日本の動画やアニメについて、近いうちに案内ができるかもしれない」と加えた。

フールージャパンの長澤一史氏Huluの対応機器にSTBが追加された協業におけるNTT西日本とHuluそれぞれの役割と、今後の狙い


(2012年 3月 21日)

[AV Watch編集部 中林暁]