「ヘッドフォン祭'12」。v-modaのiPhone用アンプなど
-フォステクスはUSBでDSD伝送。新製品多数
東京・中野にあるAV機器の専門店フジヤエービックのデジタルスタイルショップが主催する「春のヘッドフォン祭 2012」が5月12日に開催された。会場は東京・外苑前駅近くの「スタジアムプレイス青山」。入場は無料。7階の展示を中心にレポートする。
■ V-modaのiPhone用ポータブルアンプ「vamp」など
vamp | 側面に低音強化する専用ボタンも |
フォーカルポイントのブースでは、V-modaの新製品としてヘッドフォン2モデルと、ジャケットタイプのヘッドフォンアンプ「vamp」を参考出展している。
vampは、iPhone 4/4S用のジャケットタイプのヘッドフォンアンプ。バッテリも内蔵している。6月に発売予定で、価格は55,000円前後。
開発元はGo-DAPを発売しているベンチャークラフトだが、電源や回路設計はvamp専用のもので、オペアンプもより高品位なバーブラウンの「OPA1612」ものを選択。出力も大幅に向上し、150mW×2ch(32Ω)を実現している。さらに通常再生モードのほか、低域を強化する「VQモード」を選択できる専用ボタンも用意。より迫力あるサウンドを実現するという。
ヘッドフォンは、折りたたみ可能な密閉型ヘッドフォン「Crossfade M-100」を参考展示。発売日や価格は未定。また、オンイヤー型「Crossfade M-80」は新色ホワイトを展示。こちらは6月に発売予定で、価格は25,800円。
Crossfade M-100 | 折りたたみ可能 | Crossfade M-80の新色ホワイト |
■ 単体USB DACになるヘッドフォンアンプ「Go-DAP X」
Go-DAP X |
ベンチャークラフトは、iPhone/iPod touchとの接続のほか、単体USB DACとしても利用できるポータブルアンプ「Go-DAP X」を発表。7月の発売を予定し、価格は3万円前後。
iPhoneとはDockで接続できるが、Go-DAPのようなジャケットタイプではなく、単体のポータブルアンプとして動作。別途ジャケット型のケースなどを発売する。iPhone/iPodの接続だけでなく、USB端子も装備し、単体のUSB DACとして動作。光デジタル出力を備えており、USB入力した音声信号をヘッドフォン出力、もしくはデジタル出力できる。対応デジタル入力は16bit/48kHzまで。
ヘッドフォン出力は80mW×2ch(32Ω)で、ヘッドフォン/デジタル出力端子は兼用の丸型ジャック。本体上部にハードウェアのボリュームを備えている。ボリュームコントローラはTOCOS製。バッテリ容量は2,200mAhで、連続動作時間は約7時間。外形寸法は136×67×17.3mm(縦×横×厚み)、重量は135g。
ブラックとレッドの2色を用意する予定。ボリューム部のデザインは変更の可能性も | Go-DAP Xの上面。ヘッドフォン出力はデジタル出力と兼用 | 下面 |
また、Go-DAPの新色ホワイトも発表。iPhone 4SとiPhone 4に対応し、価格は34,800円。
Go-DAPのホワイトモデルも発売 | Go-DAP XとiPhoneを収納できるジャケットも発売予定 |
■ FOSTEX「HP-A8」はDSD over USB対応へ
HP-A8のDSD over USBデモ |
フォステクスは、ヘッドフォンアンプ/USB DACの「HP-A8(105,000円)」で、DSD over USB方式によるDSDファイル再生対応とするファームウェアのデモを行なっている。ファームウェアは開発中で、提供時期については「なるべく早くしたいが、未定」とのこと。
現在のHP-A8は、DSDファイルを再生する場合は、本体のSDカードスロット内のDSDファイルのみの対応となる。DSD over USB対応により、パソコンからの再生が可能になる。
DSD再生ソフトをインストールしたパソコンでDSDファイルを再生し、音声データをDoP(DSD Audio over PCM)方式により、USB経由でHP-A8に伝送するファームウェア。パソコンのDSDプレーヤーソフトは、Signalystの「HQPlayer」を利用していた。なお、HP-A8の搭載チップでは、DSDの信号は2.8MHzまでの対応となっており、5.6MHzへの対応予定はないとのこと。
新ファームでは、DSD over USB対応のほか、MENU内にINPUT、VOLUME値を記憶させるモードを追加する。また、SDカード内に複数個のフォルダを持てるように改善する予定。
HP-A8 | USBで2.8MHzのDSDを伝送 | KOTORIなどのヘッドフォンも |
■ ファイナル、新BAイヤフォン開発中
新バランスアーマチューアイヤフォンの試作機。heavenシリーズの最上位機になる |
ファイナルオーディオデザインは、新製品のheaven IVやAdagioシリーズなどを出展。試聴可能としていた。
また、展示はしていないものの、開発中のバランスアーマチューアイヤフォンも見ることができた。heavenシリーズの最上位モデルとなる予定で、2基のバランスアーマチューアユニットを内蔵する。特徴は2基のユニットがいずれもフルレンジということ。そのため、ネットワークも必要なく、アーマチューアながら力強い表現が可能となる。
試作機は、ステンレスとクロム銅のハウジングを採用。製品版では、ケーブル着脱も可能とする予定という。8月頃の発売を予定しており、価格は8万円以上の見込み。
以前大阪で開催した「イヤフォン自作教室」で使ったパーツ類。6月頃に東京での開催も計画しているという | ファイナルオーディオデザインブース |
■ CAVは有線利用もできるBluetoothイヤフォン
SOULのBluetoothスポーツイヤフォン「RUN FREE」 |
CAVジャパンは、米SOUL by Ludacris製品などのほか、SOULブランドのBluetoothスポーツヘッドフォンの「RUN FREE」を参考展示した。オリンピック前に、パートナーとなるスポーツ選手共にブランド名を発表、オリンピック後に製品発売する予定。価格は未定。
特徴は、「高音質」、「ケーブル着脱」、「防滴」の3つ。SOUL by Ludacrisのカナル型「SL99」のユニットをベースにスポーツ用にチューニング。Bluetoothでも音質にこだわったという。さらに、ケーブルを接続することで、有線でも利用できるため、スポーツ以外の用途ではBluetoothによる圧縮のないサウンドを楽しめるという。
BuruTtaのBluetooth振動スピーカー「BRT-G1」 |
また、自社ブランド「BuruTta(ブリュッタ)」の新製品を展示している。BuruTtaは、CAV独自ブランドとなり、第1弾となるBluetooth対応振動スピーカー「BRT-G1」を10日に発表している。
同ブランドの第2弾として計画しているのが、ヘッドフォンアンプ。'12年夏~秋の発売を予定しており、価格は2万円前後。
アナログ音声入力とバッテリを内蔵したポータブルヘッドフォンアンプ。DACは搭載しない。音質にはこだわっているが、Hi-Fi志向ではなく「あえて重低音と気持ちよさを重視した」とのことで、BassBoost機能を搭載する。ダイナミックレンジは102dB、S/Nは103dB。
BuruTtaの低音重視ヘッドフォンアンプ |
■ フォーカル初のヘッドフォン「Spirit One」
ロッキーインターナショナルのブースでは、フォーカル初のヘッドフォン「Spirit One」を展示。4月29日より発売しており、価格は40,950円。
密閉型のヘッドフォンで、40mm径のマイラーチタン製ドライバを搭載。再生周波数帯域は6Hz~22kHz、感度は104dB SPL/1mW、インピーダンスは32Ω。iPhoneなどApple製品に対応したリモコンも装備する。重量は225g。
フォーカルのヘッドフォン「Spirit One」 |
■ その他
パイオニアは、9日に発表したオーバヘッド型のポータブルヘッドフォン最上位モデル「SE-MJ591」やスポーツヘッドフォンの「BASS HEAD」シリーズなどを出展。各モデルを試聴可能としている。
パイオニアブース | SE-MJ591 | 折りたたんで、キャリングケースに収納できる |
タイムロードは、32bit/384kHz PCMやDSDに対応するDAC「Qute HD」を参考展示。5月末の発売を予告している。価格は未定。また、今夏に取り扱い予定という、Lehmannaudioの新ヘッドフォンアンプも展示した。
Chordの「Qute HD」 | Lehmannaudioの新ヘッドフォンアンプ | ヤマハブースでは、直販限定のイヤフォン「EPH-100」などが試聴可能に |
ハーマンインターナショナルは、約14万円のカナル型「K3003」や密閉型「K550」などAKG製品を多数用意 | 新NCヘッドフォンの「NC495」も |
シンタックスジャパンは、RMEのオーディオI/F「Babyface」の漆塗りモデルを参考展示。発売予定は無いが、来場者の意見を聞いて検討していきたいとのこと | USB/FireWire対応のRME「Fireface UCX」も | ラディウスは「ドブルベ」シリーズなど展示 |
音茶楽は、カナル型イヤフォン「Flat4-粋」を会場で先行販売。午前中に売り切れていた | Flat4-粋のパーツも紹介 | イーフロンティアは、ノイズキャンセルヘッドフォン「Mode M40」などKlipsch製品を多数展示 |
オーディオテクニカは各製品の試聴を中心に展開 | クリプトンは「KS-1HQM」のホワイトモデルなど | サエクのヘッドフォンアンプ用ケーブル「SHC-100MM」(8,400円) |
今井商事は、米マイテック・デジタル製のDSD対応DAC「STEREO 192 DSD」を展示。'11年末に発売済みで、価格は231,000円 | テックウインドは、SCOSHCEのヘッドフォン「REALM」を発表。6月中旬発売予定で、価格は12,800円前後の見込み |
(2012年 5月 12日)
[AV Watch編集部 臼田勤哉]