アクシス、AyreのUSB対応高級ADコンバータ「QA-9」

-LPやテープを高音質デジタル化。DSD録音連携も


USB搭載ADコンバータ「QA-9」

 アクシスは、米Ayre AcousticsのUSB搭載ADコンバータ「QA-9」を5月に発売する。価格は、シルバーモデルが504,000円、ブラックモデルが546,000円。

 LPレコードやマスターテープなどのアナログプレーヤーを接続。QA-9で高品位にデジタル変換し、USB接続したPCに音楽ファイルとして保存するための製品。ライン入力されたアナログ信号を、最大24bit/192kHzでデジタル化し、USB、もしくはAES/EBUでデジタル出力する。

 USB接続の場合、PCのOSはWindows XP/Vista/7、Mac OS X 10.6.4以降、Linuxなどに対応。WindowsのUSB2.0(192kHz)で取り込むためには、専用ドライバをインストールする必要がある。なお、録音ソフトが別途必要で、保存ファイル形式は録音ソフトに依存する。

 デジタルレコーダや、デジタル入力を備えたオーディオシステムとの連携には、AES/EBU出力を利用。サンプリングレートはリアパネルのスイッチで、44.1kHz~192kHzまで、6種類の選択ができる。

 録音レベルを設定するための可変ゲイン・アナログ・サーキットを搭載。プリアンプ「KX-R」で開発されたバリアブル・ゲイン・サーキットを使っており、入力信号のレベルには手を付けず、増幅回路の増幅率を変化させることで最適なアナログレベルの設定を可能にしている。アッテネータを使った場合の、インピーダンス変動による周波数特性の変動がないため、SN比を改善できるという。

 なお、A/D変換時のデジタルフィルタは2種類備えており、時間領域の精度を高めリンギングを最小にするという独自のMP(Minimum Phase)フィルタを使った「Listen」か、周波数領域の精度を追求した「Measure」かを選択できる。

 アナログ増幅には、フィードバックループを一切排したというゼロフィードバック方式のEquiLockアナログ増幅回路を採用。EquiLockは、Ayre MX-Rの開発で培われたカスコード/カレントミラー増幅回路を発展させた独自の回路で、ゲイン・デバイスの電圧変動に由来するコンダクタンス/キャパシタンス変化を防ぎ、安定した動特性や低歪率、高いリニアリティー、正確な位相特性、ダイナミックレンジの向上などを実現するという。アナログ回路構成はフルバランス。

 電源にはEIトランスと大電流リニア整流回路を搭載。AC入力ラインには、電磁的なヒステリシスを起こさず、フィルターリング効果が安定したパワーライン・RFIフィルタ、Ayre Conditionerも搭載する。


「QA-9 Pro」の背面図。通常モデルでは、上部の4つのBNC端子が無い

 なお、「QA-9 Pro」というモデルもラインナップ。DSD-Raw入力や、SDIF-3入力を備えたDSDレコーダと接続する事で、アナログ音声をDSDに変換できるようにするもので、DSD-Rawフォーマット(SDIF-2インターフェース形式)でのデータ出力、またはSDIF-3フォーマットでのL/Rデータ、クロックの三線DSDデータ出力に対応。リアパネルのディップスイッチで64倍、128倍、256倍のサンプルレートとワードクロック出力の設定ができる。このため、「QA-9 Pro」には通常の入出力端子に加え、背面に4つのBNC端子を備えている。

 通常モデルの入出力端子は、入力がアナログバランス(XLR)×1系統、出力がUSB、AES/EBUを各1系統。消費電力は25W。外形寸法は21.5×30.5×7.5cm(幅×奥行き×高さ)、重量は2.3kg。



(2012年 5月 24日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]