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8K 360度カメラ搭載ドローン「Antigravity A1」見てきた。一度の飛行で、様々な動画を切り出せる
2025年12月19日 17:52
Insta360が第三者機関と共同で立ち上げたドローンブランド・Antigravity(アンチグラビティ)は19日、初の製品である8K 360度全景ドローン「Antigravity A1」を報道陣に公開した。
公式サイトや認定ストアで既に販売を開始しており、価格は標準版が209,000円、エクスプローラーキットが249,000円、インフィニティキットが263,900円。詳細は以下のニュース記事を参照のこと。
最大の特徴は、360度カメラをドローンに搭載している事。8K/30fps、5.2K/60fps、4K/100fpsの360度全景撮影が可能で、機体の上下にデュアルレンズの1/1.28インチセンサーシステムを搭載している。カメラのレンズは筐体前方に、上下に取り付けている。下に取り付けたカメラが地面にぶつからないようにするランディングギアも搭載し、離着陸時に自動的に格納、展開する。
これにより、例えば前方に向けて一直線に飛ぶだけで、正面に向かって飛ぶ映像と、視界を地上に向けて、道路を走る車をとらえた映像を同時に撮影できる。通常の360度カメラと同様に、撮影した最大8Kの360度全景の映像から、欲しいアングルの動画を切り出す事で実現している。
なお、360度カメラに自撮り棒を取り付けた撮影した時に、棒が映らないようにする技術があるが、A1にもそれと同じモノが搭載されており、撮影した映像にドローン本体は写り込まない処理がされている。
編集は、スマホの「Antigravityアプリ」や、PCの「Antigravity Studioデスクトップソフトウェア」が利用可能。自動リフレーミング、カラー補正、自動編集ツールも利用でき、SNS向けのクリップから、プロ品質の書き出しまで対応。自動ハイライト編集もでき、フライト中のベストショットを抽出し、ワンタップで映像を仕上げてくれる。
360度カメラを搭載しているため、ジンバル調整が不要で、撮り逃す角度もなく、「まず飛ばして、あとで構図を決める」ワークフローを実現。シネマ風のパン、小惑星、被写体追従など、多彩な演出も可能。FlowState手ぶれ補正も備えている。
さらに、販売するいずれのキットにもVisionゴーグルが付属。このゴーグルは、パイロットの頭の動きをリアルタイムにトラッキングでき、実際に自分がドローンに乗っているような感覚で、ドローンの機体が前方に進みながら、真横を見たり、後方を見たりと、360度全景を把握できる。
「ドローン本体の開発よりも難易度が高かった」というVisionゴーグルには、1インチのMicro-OLED/2,560×2,560ドットのデュアルディスプレイを片眼ずつ搭載。表示品質にもこだわったほか、最大150分の稼働が可能。
また、このVisionゴーグルには左目部分に、外側に向けてディスプレイを備えており、装着者が見ている映像が表示される。
なお、操縦者が1人のみで、自分でゴーグルを装着して操縦する場合は、ドローンの機体を見ながらの飛行ではないため、目視外飛行となり、飛行の申請や許可が必要になる。そのため、Antigravityでは、操縦者はドローンを目視して操縦し、ゴーグルを家族に装着させ、空を飛んでいる感覚を楽しんでもらうような活用も提案している。
操作方法としては、スティック型のグリップコントローラーを同梱。手の動きで、飛行方向を指示でき、トリガー操作で自在に操縦できる。
ドローンは標準バッテリー装着状態で重量249g。手のひらサイズで、EU C0クラスおよび世界各国の250g未満規制に適合。 最大24分の飛行が可能で、オプションの大容量バッテリーを使用すれば最大39分まで延長できる。
安全面では、水平方向に360度をドローンが把握し、障害物を回避してくれるほか、その場ですぐホバリングする緊急停止や、GPSが使える環境では離陸地点に自動的に戻るRTH機能も備えている。
さらに、レンズ部分やプロペラはユーザーが交換できる構造になっており、修理を容易にしている。同クラスのコンシューマードローンでは初搭載というペイロード検知システムも搭載。過剰な重量や危険な改造を自動検知し、検知した場合は離陸しない。
“飛ぶこと自体の楽しさ”を多くの人へ
Insta360 JapanカントリーマネージャーのKinki氏は、A1について「Insta360が積み重ねてきた映像技術へのこだわり、ユーザー目線のモノづくりを受け継ぎながら、人々がより自然に生活を記録し、共有するというビジョンを、地上から空にと変えていく製品」と紹介。
ブランド名のAntigravityは、「反重力という意味。これまでのドローンは、スペックや性能が話の中心で、“飛ぶこと自体の楽しさ”にあまり触れられていなかった印象がある。我々は常識にとらわれず、飛ぶこと自体を楽しめるプロダクトを作りたかった」と説明。
その上で、直感的な操縦ができるコントローラーや、Visionゴーグルと組み合わせる事で、「単なる“飛ぶカメラ”ではなく、誰もが自然に空間を記録し、共有する時代を作りたい。普通の人のための、最適なドローンとして開発した。一般ユーザーは今まで撮影できなかった映像が撮れる、プロはアングルや画角の制約から解放され、撮影や編集の幅が広がる製品になる」とアピールした。
ドローンに関しては、日本には厳しい規制もある。それでも参入する理由としてKinki氏は、「一部のドローン好きな人のためだけに作ったのではなく、飛ぶ感覚を多くの人に楽しんでいただきたいと思って作ったブランド。規制が厳しくても、日本のユーザーがドローンに興味が無いわけではないと思うので、安全性やルールを大切にしながら、これまでドローン飛ばしたことがない人に届けていきたい」と想いを語った。
なお、このように空を飛ぶ感覚を大事にしている事から、「Visionゴーグルは欠かせないものだと考えている」とし、Visionゴーグルが付属しない、ドローン単品での販売は現在のところ予定していないという。
また、コントローラーについては、片手で操作するものだけでなく、両手でホールドし、スティックで操作するようなタイプの投入は、検討しているとのこと。















