ソニー、無線LAN搭載ミラーレス「NEX-6/5R」11月発売

アプリDLで機能追加。位相差+コントラストの高速AF


NEX-6
左がNEX-5R、右がNEX-6

 ソニーは、ミラーレス一眼NEXシリーズの「NEX-6」と「NEX-5R」の2機種を、11月16日に発売する。価格はオープンプライス。ボディ単体の価格は「NEX-6」が95,000円前後、「NEX-5R」が80,000円前後。

 どちらの機種も、ボディ単体に加え、PZ16-50mmが付属する「パワーズームレンズキット」、PZ16-50mmと55-210mmが付属する「ダブルズームレンズキット」も用意。NEX-6の「パワーズームレンズキット」は11万円前後、「ダブルズームレンズキット」が135,000円前後。NEX-5Rの「パワーズームレンズキット」は95,000円前後、「ダブルズームレンズキット」は12万円前後。

 NEX-5Rのみカラーバリエーションを用意し、本体はシルバー(S)、ブラック(B)、ホワイト(W)から選択可能。キットレンズは、シルバーとホワイトの本体の場合、シルバーに。ブラックボディの場合はブラックのレンズとなる。また、ダブルズームレンズキットの55-210mmはシルバーのみ。


NEX-5Rのシルバーモデル

 どちらのモデルも、撮像素子に有効約1,610万画素のExmor APS HD CMOSセンサーを搭載する。ISO感度は100~25600まで設定可能。なお、上位モデルとなるNEX-7は、2,430万画素のセンサーを備えている。

 画像処理エンジンの「BIONZ」を搭載。NEX-5Rは、撮影画像を平坦、エッジ、テクスチャの3領域に分割し、それぞれに最適なノイズリダクションをかける「エリア分割ノイズリダクション」も備えている。


NEX-6
NEX-5R



■AFが高速化

水色の矢印が、コントラストAFをもとに内部のレンズが動いた軌跡。コントラストAFの場合、AFが迷って行ったり来たりしている。上の図では、位相差AF(黄色い矢印)をもとにレンズが動いた後で、コントラストAFで追い込んでいるのがわかる

 NEX-6/5Rの特徴は、NEX-7を含む従来のシリーズで採用しているコントラストAF機能に、新たに位相差AF機能も追加。2つのAFを組み合わせ、より高速で精度の高い「ファストハイブリッドAF」を搭載している事。位相差AFで高速に測距し、おおよその位置に合わせた後で、コントラストAFで追い込むというアルゴリズムになっており、コントラストAFより迷いが少なく、素早い合焦ができるという。

 その能力を活かし、常にピントを合わせ続ける事ができ、秒間10コマの高速連写でも、ピントを合わせた撮影ができるとしている。なお、NEX-7では連写中の追従AFには対応していない。

 なお、「ファストハイブリッドAF」は、新たに登場するレンズであるパワーズーム対応の「E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS」や「E 10-18mm F4 OSS」、「E 35mm F1.8 OSS」で利用できるほか、既存のEマウントレンズの中でも、「E 18-55mm F3.5-5.6 OSS」、「E 18-200mm F3.5-6.3 OSS」、「E 55-210mm F4.5-6.3 OSS」、「Sonnar T* E24mm F1.8 ZA」は、カメラ本体発売に合わせ、対応ファームウェアの提供を予定。その他のレンズも順次対応予定だという。




■操作面も変更

 NEX-7は、本体天面の背面側に2つ、背面に1つの、合計3個のダイヤルを装備し、これらを組み合わせて、露出設定やホワイトバランスなど、様々な設定がダイレクトに操作できる「トライダイヤルナビ」を採用している。

 それに対して、NEX-6は、天面のダイヤルが1つのモードダイヤルとなり、その外周にコントロールダイヤルも搭載した2段式のダイヤルを採用。さらに、背面にコントロールホイールを搭載し、これらを使って操作する形に変更。ディスプレイを見ながら撮影モードの変更を行なうNEX-7に対し、NEX-6ではモードダイヤルを回す事で、素早く確実にモードが切り替えられるなどの利点がある。

左がNEX-7、右がNEX-6
2段式のダイヤルに変更されたEマウントを採用シャッターボタンの横にファンクションボタンを備えているのはNEX-7と同じ

 NEX-5Rの天面ダイヤルは、コントロールダイヤル1つ。背面にコントロールホイールを備えている。また、NEX-5Rは背面ディスプレイをタッチしてシャッターを切る、タッチシャッターに対応する。NEX-6は非対応。

 背面のディスプレイは両モデルとも3型、約92万画素のエクストラファイン液晶を採用。NEX-6はカメラの背面に対して、上約90度、下約45度のチルトが可能。NEX-5Rは上約180度、下約50度で調整でき、液晶ディスプレイを跳ね上げて、自分撮りをする事もできる。

 NEX-6のみ、NEX-7と同様に、XGA(1,024×768ドット)の有機EL電子ビューファインダーも備えている。

NEX-5RNEX-5Rの背面
液晶を跳ねあげて、自分撮りもできるNEX-6の液晶は跳ね上げるまでは動かない

 NEX-6NEX-7
センサー
有効画素数
1,610万画素2,430万画素
AF方式ファストハイブリッドAFコントラストAF
ISO感度100~25600
(エリア分割NR対応)
100~16000
連続撮影速度10コマ/秒
AF追従
10コマ/秒
AF非追従
操作性モードダイヤル+Fnキートライダイアルナビ
通信機能Wi-Fi通信
PlayMemories Camera Apps対応
-
撮影可能枚数液晶モニタ使用時:約360枚
ファインダー使用時:約270枚
液晶モニタ使用時:約430枚
ファインダー使用時:約350枚
外形寸法
(幅×奥行き×高さ)
約119.9×42.6×66.9mm
重量
(電池/メモリ含む)
約345g約350g



■無線LAN搭載で後からアプリ追加で機能強化

 また、NEX-6/5RのどちらもIEEE 802.11/b/g/nの無線LAN機能を搭載。スマートフォンなどに対応アプリを入れる事で、カメラ内の画像を転送したり、DLNA対応テレビに写真を表示するといった連携ができるほか、カメラ購入後に機能が増やせる「PlayMemories Camera Apps」という機能も用意される。

 これは、無線LANでインターネットに接続したカメラから、アプリを販売するサービスに直接アクセス。追加機能をアプリという形式で購入・ダウンロードし、カメラに追加できるもの。アプリには有料のものと、無料のものがあり、PCなどでSony Entertainment Network(SEN)のアカウントを取得した上で、カメラからログインし、利用する。カメラ本体からのSENアカウント取得はできない。

「PlayMemories Camera Apps」機能にアクセスするところアプリケーションの管理画面好きな機能アプリをダウンロードできる

 ピクチャーエフェクトに6つの新しい表現を追加する「ピクチャーエフェクト+」(無料)、カメラから無線LAN経由で直接SNS(PlayMemories OnlineとFacebookから対応)に写真をアップロードできる「ダイレクトアップロード」(無料)、スマートフォンやタブレットにインストールした「PlayMemories Mobile バージョン2.0以降」から、カメラを制御できる「スマートリモコン」(無料)、シャッタースピードや絞り、フォーカス、フラッシュの4種類のブラケット撮影ができる「ブラケットPro」(500円)、高速連写した6枚の画像を合成し、ノイズの少ない撮影ができる「マルチショットNR」(500円)などを用意。11月16日より発売する。

スマートリモコンアプリの使用画面「ダイレクトアップロード」アプリから、アップロードするサービスを選んでいるところ「タイムラプス」アプリと、「シネマフォト」アプリも今後登場する

 他にも、配信日や価格は未定だが、一定の間隔をあけて撮影した静止画をつなげ、動画のように見せるタイムラプス映像を撮影できるアプリや、写真の一部だけを動画とし、静止画と動画を1枚で表現できる「シネマフォト」アプリなどが予定されている。

 なお、アプリ追加機能は、NEX-6/5Rのみの対応となっており、従来モデルでの対応は現在のところ予定されていない。また、AndroidやiOSのように、他社がPlayMemories Camera Apps用のアプリを開発できる可能性については、「SDK(ソフトウェア開発キット)の配布などの計画は、今のところ予定していない」とした。



■その他の仕様

 どちらのモデルも、動画撮影はAVCHD Ver.2.0に対応。PS(1,920×1,080/60p/約28Mbps)、FX(1,920×1,080/60i/約24Mbps)、FH(1,920×1,080/60i/約17Mbps)、FX(1,920×1,080/24p/約24Mbps)、FH(1,920×1,080/24p/約17Mbps)での撮影ができるほか、AVCのMP4形式での撮影も可能。1,440×1,080/30fps/約12Mbps、640×480/30fps/約3Mbpsから選択できる。

NEX-5Rは3色のカラーバリエーションを用意NEX-7

 NEX-6のみ、ガイドナンバー6のフラッシュを本体に内蔵。シュー部分は、NEX-6が「マルチインターフェースシュー」、5Rは「スマートアクセサリーターミナル2」となる。

 記録メディアはSD/SDHC/SDXC、メモリースティックPRO デュオ/PRO-HG デュオ。外形寸法と重量は、NEX-6が約119.9×42.6×66.9mm(幅×奥行き×高さ)、約287g/約345g(本体のみ/電池とメモリ込)。5Rが約110.8×38.9×58.8mm(同)、約218g/約276g。

 アクセサリとしてソフトキャリングケース「LCS-ELC6」(NEX-6用)、「LCS-ELC5」(5R用)を用意。5R用には、モニター保護セミハードシート「PCK-LM13」も用意する。

ソフトキャリングケースも用意している



■Eマウントレンズも発表

 本体と共に、新しいEマウントレンズも発表されている。キットレンズでも発売される「E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS」(SELP1650)は、静音性に優れ、滑らかなズームが可能というパワーズーム機能を備えた標準ズーム。現行の「SEL18-55」が全長60mmのレンズである事に対し、SELP1650はレンズ収納式で29.9mmと、約半分の薄型化を実現。EDガラスや非球面ガラスを採用し、薄型化しても高い光学性能を実現しているという。レンズ内光学式手ぶれ補正も備えている。キットレンズにはシルバーも用意されているが、単品販売はブラックのみで、2013年1月に、42,000円で発売予定。

「E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS」のシルバーとブラック
「E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS」のブラック左の「SEL18-55」とのサイズ比較

 「E 10-18mm F4 OSS」(SEL1018)は、Eマウント初となる超広角ズームレンズ。ワイド端は10mmで、35mm換算では15mmとなる。レンズ内光学式手ぶれ補正も搭載。価格は99,750円で、11月16日発売。

 「E 35mm F1.8 ISS」(SEL35F18)は、明るい単焦点レンズ。高い評価を受ける単焦点「50mm F1.8を超える高画質を実現した」という。レンズ内光学式手ぶれ補正を備え、価格は55,650円。12月発売を予定している。

超広角ズームレンズ「E 10-18mm F4 OSS」
明るい単焦点「E 35mm F1.8 ISS」



■10月31日から先行展示を開始

NEX-6にマウントアダプタを取り付け、α用のAマウントレンズで撮影しているところ

 10月31日から、銀座・ソニーショールーム、ソニーストア 名古屋、ソニーストア 大阪において、先行展示を開始。さらに、11月3日土曜日と4日の日曜日には、銀座・ソニーショールーム、ソニーストア 名古屋、ソニーストア 大阪にて特別体験会も開催。写真家によるトークショーなども予定されている。詳細は専用サイトを参照のこと。

 また、初回購入キャンペーンとして、NEX-5R/6どちらかを購入し、キャンペーンに応募した人全員に、PlayMemories Camera Appsの有料アプリ「ブラケットPro」と「マルチショットNR」をプレゼントする企画も実施。応募期間は11月16日~2013年1月31日まで。他にも、抽選で1,000人にオリジナルレンズケースがプレゼントされるキャンペーンも実施する。これらの詳細は専用サイトに記載されている。

 また、詳細は今後発表されるが、11月16日より、ソニーEマウントレンズ購入者を対象にしたプレゼントキャンペーンも予定しているという。


ソニーマーケティング デジタルイメージングマーケティング部の磯村英男統括部長

 ソニーマーケティング デジタルイメージングマーケティング部の磯村英男統括部長は、国内のミラーレス市場について、2012年は前年比138%の80万台(前年は58万台)に急成長すると予測。一眼レフは95万台で、ミラーレスが5割弱を占めるようになるとする。その中で、ソニーがこれまでシェアナンバーワンを獲得し、東日本大震災やタイの洪水の影響で一時期は供給不足に陥ったものの、生産体制が復活した後は再びナンバーワンとなっている事を紹介。「ナンバーワンポジションを、より強固なものにしたい」として、NEX-6/5Rを発表した。

 製品の魅力を伝えるメッセンジャーとして、5Rでは北川景子さんを起用。小型ながら、上位モデル並の大型センサーや高性能AFなどの機能を搭載している事から、「小さくても、何もあきらめない。」をキャッチコピーに、CMなどを展開していく。

 NEX-6は「写真にこだわる層」に向け、ミラーレスの最高峰で、一眼クオリティーを持っている事を訴求。ナショナル・ジオグラフィック専属カメラマンで、αシリーズを愛用しているという写真家のマイケル・ヤマシタ氏が、α99とも交えながら、NEX-6のスピードや、NEX-7の高画質などを“プロの目線”で語るCMを予定。NEX-6はファストハイブリッドAFの高速さ、連写機能をアピール。一方、NEX-7は2,430万画素でシリーズ最高画質を訴求していく。


メッセンジャーとして、5Rでは北川景子さんを起用ミラーレス市場の動向グラフ

 こうしたNEXシリーズと、α99などの住み分けについて磯村氏は、「価格やクラスの上下ではなく、両方をしっかりと訴求していきたい。入門機としては、やはり小型で取り回しやすさが求められるのでNEX-F3を。NEX-7のような上級モデルは、α99と一緒に持って行くというお客様も多いと思う。既存の一眼には、レンズバリエーションの数が豊富という特徴がある。また、AFのスピードも、今回のファストハイブリッドAFでNEXのスピードも上がり、迫ってはいるが、もう半歩届かないところもある。一方、NEXには小さくてハンドリングが良いという魅力もある」と、それぞれの違いを説明。

 さらに、「昨今、スマートフォンによるカメラ需要の減少が指摘されているが、スマートフォンで写真の楽しさを覚えた皆さんが、もっと上手な写真、本格的な写真を求めて専用機をお求めになるというケースがますます増えてくると考えている。そこで、進化するカメラ本体、レンズ、アクセサリ、撮った後の共有、上達、交流を促すことで、満足度を高めていく。これら全ての事業を手がけているソニーとしては、トータルで市場を強力に推進していきたい」と抱負を語った。


(2012年 10月 30日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]