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パナソニック、声で操作できる新VIERAをCESで発表

「my Home Screen」搭載。北米で白物家電を拡大

パナソニックコンシューマーマーケティング ノースアメリカの北島嗣郎社長

 パナソニックは7日(米国時間)、International CES開催に先駆けてプレスカンファレンスを開催。カンファレンスは「今年のCESは、パナソニックにとって思い出深いイベントになるだろう」という言葉で始まった。

 最大の理由は、同社・津賀一宏社長が、同社社長としては初めて基調講演に登壇するため。「パナソニックは、テレビメーカーではないという新たなイメージを訴えたい」(津賀社長)とするなど、米国における同社の新たなイメージづくりに乗り出す考えだ。

 基調講演に先立って行なわれたプレスカンァレンスでは、まだ従来からのパナソニックのイメージを脱却するところまではいかないが、それでも新たに理美容製品群の投入を発表するなど、その片鱗をみせるものとなった。

 パナソニックコンシューマーマーケティング ノースアメリカの北島嗣郎社長は、「パナソニックは100年の歴史のなかでも、困難に挑み、それを克服し、強くなっている。このDNAを見せることができる」と切り出した。

 今回、同社が発表したのは、Smart VIERAの新製品など、32機種。プラズマテレビでは、42型~65型までの16機種、液晶テレビでは32型~65型の16機種を、2013年春から北米市場で発売する。そのうち、Smart VIERAの新製品は24機種にのぼる。

 新たなフラッグシップ製品として、Neo Plasmaパネルを搭載したプラズマテレビのZT60シリーズ、VIERA Connectやmy home Screen機能を搭載したVT60シリーズ、3D対応で電子タッチペンにも対応しているST60シリーズ、2DモデルのS60シリーズ、X60シリーズを発表。

液晶テレビでは、超狭額縁デザインを採用したWT60シリーズ、my Home Screenを搭載したDT60シリーズやET60シリーズ、2D対応のE60シリーズ、EM60シリーズ、HDモデルのXM6シリーズ、B6シリーズをラインアップした。

my Home Screenなどを搭載した、プラズマの「Smart VIERA VT60」シリーズ
超狭額縁デザインを採用した液晶の「Smart VIERA WT60」シリーズ

 いずれも、「きれい・かんたん・つながる・エコ・デザイン」の5つの要素を強化しものと位置づけ、カスタマイズ可能なホームスクリーンである「my Home Screen」を新たに提供。「マイホームスクリーン」と言葉で言うだけで、音声によるコンテンツ検索や、テレビの操作を可能にしている。

新たなSmart VIERAでは、my Home Screenを採用した
音声認識機能を利用して操作できる

 北島社長は、「2008年にパナソニックは、業界で初めてハイビジョンテレビにIPTVの機能を追加した。この数年でテレビは劇的に変化し、あらゆる情報やアプリケーションを利用できるスマートテレビの時代をリードした」としながら、「2013年はパーソナライゼーションと、Ease of Accessの2点に取り組む。パーソナライゼーションでは、my Home Screenという新たな視聴体験の方法を提供する」と語った。

パナソニックコンシューマーマーケティング ノースアメリカのビック・カールソン副社長

 パナソニックコンシューマーマーケティング ノースアメリカのビック・カールソン副社長は、「家族がパーソナライズされたコンテンツを、それぞれの嗜好にあわせて自動的に表示し、さらに音声機能により操作できるようになっている。また、昨年発表したSwipeの機能を利用することで、タブレットなどのモバイルデバイスに格納された写真や動画を、簡単な操作でテレビに表示できる。これはSwipe & Share 2.0と呼べるものだ」などとした。

 壇上では、音声認識機能や顔認識機能、電子タッチペン機能などを搭載した上位モデルのSmart VIERA「VT60」を使用し、タッチペンを利用して画像に書き込みをして、それを再び、タブレットに転送するといったデモストレーションも行なった。

 「音声認識機能は障害者にとっても、アプリケーションを簡単に操作できるものになる」(北島社長)とし、同時に骨伝導型の新たなヘッドフォンとして「RP-BTGS10」も紹介した。

Smart VIERA VT60を使用し、タッチペンで画像に書き込んだ
骨伝導型ヘッドフォンのRP-BTGS10

 なお、先日発表されたように、LG Electronicsや東芝らによって設立されたSmart TV Allianceに、パナソニックも参加。アプリケーション開発企業に対して、SDKを提供することも明らかにした。ここでは、YouTubeのフランシスコ・バレラ氏が登壇し、Smaert VIERAでYou Tubeを簡単な操作で視聴できることを実演。HSNのミンディ・グロスマンCEOが、VIERAスマートプラットフォーム上で開発したアプリケーションを利用することで、数クリックで商品が購入できることなどを示した。

YouTubeのフランシスコ・バレラ氏
HSNのミンディ・グロスマンCEO
スマートプラットフォーム上のアプリケーションを利用してHSNのショッピングサイトで簡単な操作で物品を購入できる



白物家電など、TV以外の新製品も

 ほかにも、タブレットを搭載することができる2.1chのワイヤレスピーカー「SL-NP10」、iPhone 5のLightningコネクタに対応したワイヤレススピーカー「SC-NE5」、BDプレーヤー「BDT-230」、ストリーミングビデオプレーヤーと位置づけるMiracast機能搭載の「DMP-MST60」、カムコーダの「X920」、「V720」、「V520」も紹介。デジタルカメラでは、無線LANとNFC(近距離無線通信)技術を搭載した「LUMIX ZS30」および堅牢性を実現した「LUMIX TS5」も発表した。

iPhone 5のLightningコネクタに対応したワイヤレススピーカー「SC-NE5」
ストリーミングビデオプレーヤーで、Miracast対応の「DMP-MST60」

 一方、北米市場における白物家電事業の拡大にも言及。理美容製品のラインアップ強化と、欧州市場向けに展開しているデザイン性の高い調理小物製品「BREAKFAST(朝食)シリーズ」を2013年春から北米市場に投入することを発表。BREAKFASTシリーズでは、コーヒーメーカー、ポップアップトースター、ケトルをラインアップする。

北米市場に理美容製品を投入する

 理美容製品では、ナノケアドライヤーやナノケアヘアアイロンなどを新たに投入。「Panasonic Beauty」による群展開を打ち出す。

 なお、8日から公開されるパナソニックブースでは、デジタルAV製品では、Smart VIERAの2013年モデルや、サウンドシステム、デジタルカメラ、カムコーダの新製品を体験型で展示。

 また、今年の展示では、BtoBソリューションの展示に力を注いでおり、自動車や航空機向けのエンターテイメントシステムに加え、デジタルサイネージやセキュリティなどの店舗向けソリューション、スマートタウンや太陽光発電などの大規模ソリューションを展示するという。

 さらに、アプライアンス製品として、掃除機、電子レンジ、調理小物を展示。同社がCESで白物家電製品を展示するのは初めてのことになる。

(大河原 克行)