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「攻殻機動隊ARISE」、6月22日に上映&先行BD発売

攻殻機動隊創設の物語。「2Dアニメの凄さを見せる」

左からプロダクションI.Gの石川光久社長、黄瀬和哉総監督、坂本真綾さん、冲方丁さん

 「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」、「イノセンス」、「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」シリーズに続き、第4の「攻殻機動隊」となる新作アニメ「攻殻機動隊ARISE」(アライズ)の製作発表会が12日、ニコファーレで開催された。50分の作品が全4部で構成され、第1作が6月22日から劇場上映。その上映劇場で、Blu-ray 第1巻の先行販売が実施される。なお、BD/DVDの一般販売は7月26日から。

 第1作のタイトルは、「攻殻機動隊 ARISE border:1 Ghost Pain」。6月22日からの劇場上映は、TOHOシネマズ 六本木ヒルズ、新宿バルト9他にて、2週間限定で実施。劇場上映期間中、上映館にてBDの先行販売が行なわれる。このBDは、シナリオ付きの劇場限定版となり、価格は8,000円。

 BD/DVDの一般販売は、7月26日より開始。価格は、BD版(BCXA-0739)が7,140円、DVD版(BCBA-4521)が6,090円となる。発売・販売元はバンダイビジュアル。

 また、6月22日からは劇場上映だけでなく、スマートフォンやタブレット向けの有料配信も開始予定。配信するサービスや価格など、詳細は公式サイトで告知するという。

タイトル仕様音声品番価格
攻殻機動隊ARISE 1
Blu-ray
本編約50分
特典約5分
片面1層
1080p
MPEG-4 AVC
16:9
(1)ドルビーTrueHD 5.1ch
(2)リニアPCMステレオ
BCXA-07397,140円
攻殻機動隊ARISE 1
DVD
本編約50分
特典約5分
片面1層
16:9
(スクイーズ)
(1)ドルビーデジタル5.1ch
(2)ドルビーデジタルステレオ
BCBA-45216,090円
攻殻機動隊 ARISE
(C)士郎正宗・Production I.G/講談社・「攻殻機動隊ARISE」製作委員会※BD/DVDのジャケットとは異なります

 総監督は、「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」、「イノセンス」、「BLOOD THE LAST VAMPIRE」などの作品に参加してきた黄瀬和哉氏が担当。シリーズ構成と脚本は、「マルドゥック・スクランブル」などで知られる作家の冲方丁氏が担当する。また、音楽にはコーネリアスが起用されている。

 ニコファーレで開催された発表会には、黄瀬総監督、冲方氏に加え、プロダクションI.Gの石川光久社長、ARISEの主人公・草薙素子を演じる声優の坂本真綾も参加。

 また、ARISEの発表会に先立って、「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」シリーズのオンラインゲームについても発表が行なわれた。ゲームの詳細は、僚誌GAME Watchで紹介する。

攻殻機動隊ARISEとは

 士郎正宗氏のコミックを原作とした攻殻機動隊のアニメ化は、'95年に押井守監督作の「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」が公開。2004年には続編「イノセンス」も公開された。

 また、2002年には原作とも劇場版とも異なる新しいシリーズとして、神山健治監督による「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」(S.A.C.)がテレビ放送され、第2期テレビシリーズの「攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG」や、長編作品の「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society」などが作られている。

 今回のARISE(発生する、起こるなどの意味)は、タイトル通り、従来作品の“前日譚”にあたるもので、「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」の前、2027年が舞台。凶悪犯罪の阻止を目的とした攻性の特殊部隊“攻殻機動隊”の創設と、これまでのシリーズで謎に包まれていた全身サイボーグのヒロイン、草薙素子の物語が展開。素子は陸軍機密部隊「501機関」に所属しており、上司であり保護者でもある野心の女・クルツ中佐との軋轢や、後の上司となる公安9課の荒巻、バトーやトグサといった、お馴染みのキャラクター達との出会いも描かれる予定。それだけでなく、電脳ウィルス“ファイア・スターター”を巡る、壮絶なアクションと電脳戦も展開するという。

ARISEの素子。まだ少女の面影が残っている
(C)士郎正宗・Production I.G/講談社・「攻殻機動隊ARISE」製作委員会
荒巻との出会いなども描かれるようだ
(C)士郎正宗・Production I.G/講談社・「攻殻機動隊ARISE」製作委員会

 プロダクションI.Gの石川社長によれば、原作の士郎正宗氏と石川社長は、2010年頃から「新しい攻殻を作りたい」という話をしていたという。その際、海外ドラマの「CSI:科学捜査班」などの脚本の完成度が高く、海外ドラマのような長さで、密度の濃い作品を「攻殻でもやりたい」という話になったとのこと。

 石川社長は、そんな作品を「士郎さんに書いてと言ったんですが、断られてしまいました(笑)。けれど、その2カ月後に、凄いプロットや原案が送られて来たんです。これを頼めるのは冲方丁しかいないと、そのままスルーで冲方さんに渡したんです」と笑う。

 攻殻シリーズから大きな影響を受け、大ファンだと語る冲方氏は、士郎氏からの原案を受け取った時、「これまでの攻殻で見たことがないもので、こんな情報が見れちゃって嬉しいという気持ちと、ハードルが高いなという気持ちがありました」と語る。「士郎さんの原案は、ビジョンが明確にあるのと、自由度が非常に高いんです。“お前はコレを見せられて、何を作れるんだ?”と言われているようでした。自由度が高いので、(新作を)過去(のお話)にも、未来(のお話)にも“振る”ことができたのですが、それならば今こそ過去をやろうと決めました」という。

 さらに冲方氏は、作品を貫くテーマとして、「絶対にブレちゃいけないのは、草薙素子の物語であるという事。生い立ちとか、彼女を人間としてとらえて、なぜ草薙素子が草薙素子になったのかを、目をそらさずにしっかり書こうと思っています。彼女の感情、生々しさ、テクノロジーが発展しているからこそ、浮き立つ人間の生々しさが重要だと考えています」と語った。

(C)士郎正宗・Production I.G/講談社・「攻殻機動隊ARISE」製作委員会

 総監督の黄瀬氏について、石川社長は、「彼はIGにとっての“最終兵器”」と紹介。「使わないから最終兵器なのですが(笑)、今回なぜ使うことになったのかというと、彼は今までIGの劇場作品のクオリティを支えてくれた人物。けれど、年齢も50に近づいているので、この時期を逃すと使えないというタイミング的な要素があった。もう1つは、攻殻はは世界中にファンがいる作品だということ。世界におけるアニメの潮流は、現在3Dになっていますが、その中で“2Dのアニメの凄さを見せつけたいんだ”という強い気持ちを持つ黄瀬が、総監督を務めることになった」と説明。

 黄瀬総監督は、石川社長から「“これから言う話を断るな”という社命で、監督をする事になった」と振り返る。「絵ばかり描いてきた人間が、演出ができるのか正直不安もあります。しかし、他のことも頑張っていかなければならないと思っています。ご期待に添えるよう、頑張りますのでよろしくお願いします」と意気込みを語った。

 そんな黄瀬総監督は、ARISEにおける各キャラクターのデザインについて、「士郎さんの絵に寄せた感じにしたかったんですが、男性側がリアルなデザインなので、“素子もそっち寄りに”と士郎さんに言われ、『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』の頃の、最初に戻そうと考えました」とのこと。

 キャストについては、“新しい攻殻”でもあるため、「まっさらに考えていいと思い、本当に声だけで決めました」という。キャスティングとしては、草薙素子を坂本真綾、荒巻大輔を塾一久、バトーを松田健一郎、トグサを新垣樽助、イシカワを檀臣幸、サイトーを中國卓郎、パズを上田燿司、ボーマを中井和哉が演じることになる。

 これまでのシリーズで、素子を演じていたのは田中敦子さんだが、ARISEの素子役に決まった坂本真綾さんは、彼女が15歳当時、'95年の「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」の中で、素子が少女の義体に入っている時(通称:コドモトコ)の声を演じていたという繋がりがある。

 ARISEで再び素子を演じられる事が決まり、坂本さんは「凄く嬉しかったです。(田中さんから声優が変わるので)きっといろんなご意見があるだろうなと思います。大好きなシリーズなので、そのことに慣れていただくまで、頑張らなきゃいけないなと思っています。コドモトコの経験を役立てたいです」と抱負を語る。

 また、ARISEの素子のキャラクターデザインを見た感想として、「ちょっと若返ったのかな? 幼さが少し見えます。以前から知っているという安心感と、前よりも表情が出やすそうな気がします。そこに以前との違いがあるんじゃないかと思っています。ARISEで素子を演じられる事に御縁を感じる。愛情を持って大切に演じていきたい」と意気込みを見せた。

STAND ALONE COMPLEXがオンラインゲームに

 同日に発表された「STAND ALONE COMPLEX」シリーズのオンラインゲームは、ネクソンと講談社が展開するもので、昨年の12月に概要が発表され、今回詳細が明らかになった。

 開発を担当するネオプルのカン・シンチョル社長が、概要を発表。タイトルは「GHOST IN THE SHELL ONLINE(仮)」で、ゲームのジャンルはFPS(ファーストパーソン・シューティング)になるという。

 「ジャンルの選択には多くの悩みがあった。攻殻機動隊の世界を仮想体験し、臨場感溢れる銃撃戦とアクションをうまく表現するのは、FPSが適していると判断した」という。既存のFPSと異なるところは、ハッキングなど、戦場の情報を操作するサイバーアクションも組み込まれている事で、単なる銃撃戦だけでない、戦略的なプレイが楽しめるようになるという。

 また、劇中に登場する思考戦車のタチコマも登場。プレーヤーはタチコマと協力しながら勝利を目指せるようなシステムが用意されるという。操作するプレーヤーは“攻殻機動隊の主人公”とのことで、「劇中の主人公になったような体験ができる」(カン・シンチョル社長)という。ゲームのサービス開始は、2014年上半期が予定されている。

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(山崎健太郎)