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全てのモノをネット接続する「Bluetooth 4.1」の概要発表

オーディオ製品の遅延改善も

Bluetooth SIGのスーク・ジャワンダCMO

 Bluetooth Special Interest Group(Bluetooth SIG)は6日、Bluetoothワイヤレス技術の最新規格「Bluetooth 4.1」のプレビューを含む、最新動向に関する記者説明会を開催した。

 会見では、Bluetooth SIGのスーク・ジャワンダCMO(Chief Marketing Officer)がBluetooth製品の広がりについて説明したほか、12月に正式発表予定の最新バージョン・Bluetooth 4.1の概要も明かした。会場には、Bluetoothプロモーターの東芝や、ソニー、Cerevoらのパートナー企業が最新のBluetooth製品を出展した。

Bluetooth 4.1で「全てのモノをインターネットに接続」

 「Bluetooth」という名称が正式に発表され、Bluetooth SIGが発足してから、2013年は15周年となる。ジャワンダ氏は、Bluetoothの広がりについて「IOT」(Internet Of Things:モノのインターネット)をキーワードとして説明した。

 ワイヤレスコミュニケーションの分野を見ると、ヘッドフォンやマウス/キーボードといったデバイスのワイヤレス対応が、Bluetooth誕生の'98年~'08年の間に、7社~1万社へ拡大。対応機器の累計出荷は世界で10億台に達している。

 その次のステージとして提案されたのがBluetooth 4.0による省電力が特徴の「Bluetooth Smart」機器。'12年に発売された「Bluetooth Smart Ready」製品のiPhone 4Sを皮切りに、Android 4.3、Windows 8.1、BlackBerry 10の各OSがBluetooth Smartにネイティブ対応。さらに、ナイキのFuelBandや、サムスンのGALAXY Gearといった端末にもSmart対応が広がっている。調査会社ABI Reserchの予測では、現在のBluetooth Smart機器は世界で25億台、'14年には30億台まで増加するという。

 Bluetoot 4.0までの機器は、「モノ同士がコミュニケーション(通信)すること」を実現してきたが、4.1では、「“全てのモノ”をインターネットに接続すること」が出発点となっている。具体的には、ネット接続機能を持たないセンサー単体が、Bluetooth 4.1によりIPv6対応の無線LANルータを経由してクラウドにつながり、情報の管理や他のアプリケーションとの連携ができるようになるという。

 例えば、農地の土の中にあるセンサーが水分などを測定し、それに応じてスプリンクラーでの水撒きON/OFFを制御したり、天気アプリケーションと連携することで水撒きが必要かどうかを判断するといったことが可能。その他にも、LTE通信とのシームレスな連携や、干渉の少ない再接続、効率的なデータ転送などもBluetooth 4.1の特徴として紹介した。

Bluetooth 4.1の主な特徴。詳細は12月に正式発表される

 “Bluetooth Classic”と位置付けられているオーディオ機器にも4.1のメリットがあるとしており、例えばサウンドバーなどとの接続時に音声の遅延をより低減したり、機器同士の接続をよりセキュアに行なうといったことを実現するという。「主要機能の向上よりも、最適化や問題改善に効果がある」としている。

 前述したようにセンサーが無線LANルータとダイレクトに接続するといった新しい機能を利用するには、ルータ側もハードウェアの変更が必要となるが、スマートフォンなどのBluetooth 4.0対応機器がBluetooth 4.1機器と連携するには、新しいチップなどハードウェアの変更は必要なく、ソフトウェアのアップデートなどで対応できるという。

スピーカー内蔵のLED照明や、ドリブルの数を測れるバスケットボールなど

会場に展示されたBluetooth機器

 発表会場に展示されていた、様々なBluetooth対応製品を紹介する。

 MiPow製の「PLAYBULB」は、スマートフォンで操作できるBluetooth Smart(Bluetooth 4.0)対応のLED照明兼スピーカー。従来の照明用ソケットに装着して利用でき、スマホの音楽を聴いたり、スマホ本体を振ることで明るさ調整することも可能。年内の発売を目指しているという。

 MiPowはBluetoothスピーカー「BOOMAX」と「BOOMIN」も出展。Bluetooth 3.0対応スピーカーで、アルミを用いた筐体デザインなどが特徴。マイク内蔵でスマホのスピーカーフォンとしても使える。12月の発売を予定しており、価格はBOOMAXが11,800円、BOOMINが5,980円。ヘッドフォンの「VoxOn 200」と「VoxOn 500」は、Bluetooth Smart対応で、内蔵バッテリで15時間の連続使用が可能。

スマホを振って明るさ調整できる「PLAYBULB」。奥にあるのがヘッドフォンの「VoxOn 200」
ポータブルスピーカーの「BOOMAX」
ハンドルの付いたものが「BOOMAX」、ストラップが付いた小さなモデルが「BOOMIN」

 InfoMotionの「94 Fifty Smart Sensor Basketball」は、バスケットボールに6つのセンサーを搭載し、ドリブルの回数やシュートの回転、シュート時にボールが飛んだ角度などを計測可能。スマホのアプリと連携し、「20秒間で60回ドリブルする」といったトレーニングが行なえ、最大5人でスコアを競うことも可能。自分の欠点を画面と音声でリアルタイムにフィードバックするといった機能も搭載する。ボールのサイズは7号で、重量も公式球と同じ。センサー部分には専用スタンドでワイヤレス充電できる。試合での使用は認められていないが、米国のコーチ連盟がトレーニング用ボールとして認定している。米国での価格は295ドル。

「94 Fifty Smart Sensor Basketball」(ワイヤレス充電時)
スマホアプリでドリブル数やシュートの回転数などを計測できる

 Cerevoは、デジタル一眼カメラをスマホからリモート操作できる「SmartTrigger」を紹介。さらに開発中の製品として、PC用のUSBキーボードをタブレットなどとBluetooth接続可能にする「EneBRICK」も展示。タブレットを支えるスタンドとしても利用でき、タブレットに給電できるバッテリも内蔵する。発売は2013年度内を予定。

Cerevoの「SmartTrigger」
Bluetoothアダプタ兼バッテリ/スタンドの「EneBRICK」
ソニーは発売中のBluetoothヘッドフォン/スピーカーや非接触ICカードリーダーの「PaSoRi RC-S390」などを出展
東芝は、健康機器で測定した結果を蓄積/グラフ化するための「Continua」対応機器とPCの間のデータマネジメントを行なうソフトウェアや、シニア向け住宅サービスなどを紹介
クアルコムのワイヤレス充電技術「WiPower」を用いた充電パッドも展示。スマホなどを置く位置や重なりなどを気にせず、文字通り置くだけで充電できることが特徴

(中林暁)