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ソニー、スポーツ番組など4K中継用ソリューション

薄型化した業務用25、17型フルHD有機ELモニタも

「CA-4000」を取り付けた「PMW-F55」と、プロセッサユニットの「BPU-4000」

 ソニーは13日、千葉市の幕張メッセで同日から開幕した「2013 国際放送機器展(Inter BEE 2013)」に合わせ、4Kでのスポーツ中継など、ライブ制作を実現する 「4Kライブ制作ソリューション」の新商品を発表。発売中の4Kカメラ「PMW-F55」をベースに、ライブ制作を可能にするカメラオアダプタやサーバー、スイッチャーなどを12月より順次発売する。

 さらに、業務用有機ELモニター「TRIMASTER EL」の新機種を2014年1月に発売。25型「PVM-A250」(693,000円)と、17型の「PVM-A170」(441,000円)で、従来と比べて大幅な薄型・軽量化を実現している。

4Kライブ制作ソリューション

CA-4000

 4Kカメラ「PMW-F55」に取り付けるアダプタ「CA-4000」を、12月に210万円で発売する。CA-4000には、システムカメラ用ビューファインダのインターフェースや、インターカム、タリーランプを搭載。PMW-F55で撮影した映像を、光複合ケーブルで別売のベースバンドプロセッサユニット「BPU-4000」(12月発売/231万円)に伝送する。

 「BPU-4000」では、撮影された4K映像の色調整などを行なう。カメラコントロールユニットの「HDCU-2000/HDCU-2500」と、リモートコントロールパネル「RCP-1501」を接続することで、カメラヘッドへの電源供給や、インターカムやリターン映像、カメラの遠隔操作も可能。マルチフォーマットカメラHDCシリーズと同様のワークフローと色再現性を実現しており、4K制作への移行時やHDCカメラとの混在使用でも違和感なく利用できるという。オプション機能として、4K映像から任意のHD映像を切り出す「HDカットアウト」機能や、4倍速のHD高速撮影機能も利用できる。

AVストレージユニット「PWS-4400」

 「BPU-4000」から伝送された映像は、4Kライブサーバーシステムが受ける。4K×4chの入出力に対応し、XAVCフォーマットで収録できるAVストレージユニット「PWS-4400」(12月発売/945万円)を中心としたシステムで、ストレージ容量は2TB。HD(60i/100Mbps)で約24時間、4K(60p/600Mbps)で約5時間の収録が可能。増設メモリオプション(2TB/PWSK-4401/12月発売/1,575,000円)を使い、最大8TBまでの拡張ができ、4K/60p/600Mbpsで約20時間まの収録に対応する。

USBコントロールデバイス「PWSK-4403」

 ライブ中継に必要な機能を搭載したUSBコントロールデバイス「PWSK-4403」(12月発売/63万円)や、タッチ操作ができるコントロールソフトProduction Control Software「PWA-PRC1」(12月発売/126万円)、「PWS-4400」で収録したファイルをリムーバブルメディアに転送するためのソフトMedia Gateway Software「PWA-MGW1」(12月発売/126万円)も用意する。

 スイッチャーでは、最上位機種「MVS-8000X」、「MVS-7000X」の4K対応機能をアップグレードするソフトウェア「BZS-8570X」(MVS-8000X用)と「BZS-7570X」(MVS-7000X用)を発表、いずれも2014年1月発売で、価格は各315万円。リアルタイムで4K信号処理する際に、従来より多彩なエフェクトが利用できる。コンバーターボード「MKS-8460X」(2014年1月発売/420万円)を使い、HD映像を4Kにアップコンバートする事も可能になる。

 また、12月には欧州と米国で4Kスティッチングソフト「PWA-4KS」と、テレストレーターソフト「PWA-TS1」を展開予定。日本での展開も検討されているもので、「PWA-4KS」は、2台の4Kカメラでスポーツのフィールドなどの全体を撮影。その全景映像から任意の部分をHD映像として切り出せる。テレストレーターソフトの「PWA-TS1」を組み合わせる事で、切り出したHD映像に選手データなどのグラフィックを付与できる。

業務用有機ELモニター「TRIMASTER EL」

 25型の「PVM-A250」と、17型の「PVM-A170」をラインナップ。どちらも1,920×1,080ドットの有機ELパネルを採用。10bitのパネルドライバと黒の再現性により、1,024階調を正確に表示できるという。

 パネルモジュールの構造から見直し、信号処理基板、素材や部品も軽量化を追求。従来モデルと比べ、「PVM-A250」で奥行き40%減、重量42%減の約6.1kg、「PVM-A170」は奥行き45%減、重量41%減で約4.2kgを実現。簡単に持ち運びできるという。外形寸法はPVM-A250が581×65.5×386.6mm(幅×奥行き×高さ)、PVM-A170が435×65.5×274mm(同)。

左から17型の「PVM-A170」、25型の「PVM-A250」
薄型、軽量化して持ち運びが簡単に

 ハードウェアの変更によりI/P変換時の遅延を0.5フィールド以下にし、ライブ制作などで即時に映像確認ができるようになった。

 さらに、Super Top Emissionのマイクロキャビティ構造とカラーフィルタによる独自の色抽出技術により、色純度を向上させた。低輝度でも正確な色再現性を維持できるという。また、新開発の有機ELパネルにより、従来パネルと比べて視野角による色の変化を半分以下に抑えている。入力は、3G-SDI×2系統、HDMI、コンポジットなど。

最大1Gbps以上の高速転送が可能な光ディスクアーカイブシステム

 コンパクトなカートリッジに12枚の光ディスクを内蔵し、1つの大容量ストレージとして扱える、オプティカルデスク・アーイブ・システムも12月に発売する。2月に発売したシステムの次世代機と位置付けられており、従来比約2倍となる最大1Gbpsの高速伝送が可能なUSB 3.0接続のドライブユニット「ODS-D77U」(987,000円)と、ファイバーチャネル対応の「ODS-D77F」(1,239,000円)を用意。

 ODS-D77Fを複数搭載できるPetaSite拡張型ライブラリのラインナップとして、マスターユニット「ODS-L30M」(3,076,500円)と、拡張ユニット「ODS-L60E」(1,638,000円)、「ODS-L100E」(1,638,000円)も発売。マスターユニットと拡張ユニットを組み合わせる事で、要望に合わせた容量のシステムが構築できる。最大容量802.5TBまで拡張可能。

オプティカルディスク・アーカイブ ドライブユニット「ODS-D77U」
PetaSite拡張型ライブラリーマスターユニット「ODS-L30M」

(山崎健太郎)