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「ウォークマンM」は“スマホと2台持ち”の不満を解消

12月7日発売。S-Master MX強化で「非ハイレゾはF880同等」

ウォークマンM(NW-M505)

 ソニーは、12月7日より発売する「ウォークマンM」(NW-M505)を製品化した意図や、操作性/音質の進化点などに関する説明会を開催した。

 ウォークマンMは、本体での音楽再生だけでなく、他のプレーヤーのBluetoothヘッドセットとしても利用できる点が特徴。同製品の発売が近づいたことに合わせて、「スマホフレンドリー」を謳うMシリーズの特徴や、主な利用シーンなどを紹介した。

スマホで音楽を聴く人の「3つの不満」を解消

 ウォークマンMの「NW-M505」は、縦長の本体に16GBのフラッシュメモリと、3行表示/モノクロ有機ELディスプレイを装備し、単体でオーディオプレーヤーとして利用可能。本体脇のジョグコントローラで操作を行ない、3行表示のディスプレイを見ながら選曲できる。

 さらに、Bluetoothオーディオレシーバー/ヘッドセットとしても動作するため、スマートフォン内の楽曲をBluetoothで受信して再生したり、スマートフォンの通話にも利用できる。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は18,000円前後。

 Mシリーズが他のウォークマンと大きく違うのは、このBluetoothヘッドセット対応により、ポータブルオーディオプレーヤーとスマートフォンの“2台持ち”をする人を新たなターゲットとした点。ユーザーアンケートにおいて、音楽をスマートフォンで聴く理由として「スマホ以外のポータブル機器を持ち運びたくない」という回答が全体の80%を超える結果が出たことから、「2台持ちが苦にならない、携帯性と操作性の実現」を目指し開発された。

 Bluetoothヘッドセットとしての利用時は、S-Master MXデジタルアンプやデジタルノイズキャンセルなどソニー独自の高音質化技術を使ってスマートフォンからの音声を高音質に再生できる。Bluetoothの対応プロファイルはA2DP、AVRCP、HFP、HSP、コーデックはSBC、AAC、aptXをサポートする。

本体カラーはブラック、シルバー、バイオレット、ピンクの4色を用意
高音質/コンパクト、スマホ連携などが大きな特徴
ユーザーアンケートで得られた「(スマホとプレーヤーの)2台を持ちたくない」という意見
従来のBTヘッドセット購入者の意見を反映して、小型化を実現
Bluetoothは、SBCだけでなくAAC/apt-Xもサポートして高音質化

 ウォークマンMの本体は「Bluetoothヘッドセットと同等」とする外形寸法85.5×21.3×19.9mm(縦×横×厚み)、重量40gで、衣服などにクリップで留めることも可能。スマホと音楽プレーヤーそれぞれにイヤフォンをつなぐのではなく、1つのイヤフォン(とウォークマンM)で、両方の音楽を高音質で楽しめることを特徴としている。NFC対応のスマートフォン/ウォークマンであれば、ワンタッチでペアリング可能。音楽を聴いている最中に着信が来ても着信が通知され、ウォークマンMのマイクとイヤフォンを使ってそのまま通話も可能。

 こうした結果、スマホで音楽を聴く人に多いという3つの不満も解消。1つは「バッテリ」で、音楽再生の役割を、専用機であるウォークマンに任せることでスマホのバッテリ消費を抑えられる。2つ目は「音質」で、ウォークマンのデジタルアンプ「S-Master MX」やデジタルノイズキャンセリングなどで解決できるとする。3つ目の「操作」は、ウォークマン側からスマホの音楽をコントロールできることなどで改善するという。

同社調査による「スマホで音楽」の不満点
本体の小型化で「BTヘッドセットのサイズ感」に
1台で、プレーヤーとスマホ2台分のイヤフォンとして使用
NFCを使ってワンタッチでスマホや対応ウォークマンと接続できる

 ウォークマンMは、小型携帯性、高音質、操作性を軸に「スマホフレンドリー ウォークマン」として打ち出し、音楽のBluetooth受信や、スマホのヘッドセット通話などをシームレスに利用できる製品としてアピールしていく。

バッテリ、音、操作の不満を解消したという
スマホ音楽だけでなく、通話とのシームレスな利用も
“スマートフォンフレンドリー機能”として音楽再生や通話などの連携を訴求
着脱式のクリップで服などに留められる
別売で、シリコンケース「CKM-NWM500」(左)や、ネックストラップ付きソフトケース「CKS-NWM500」(右)も
同社調べによると、ウォークマン全体では、2013年モデル発売後もデジタルメディアプレーヤーにおいてアップルを上回るNo.1シェアを維持しているという

デジタルアンプのS-Master MX進化で、「非ハイレゾはF880とほぼ同等」

MシリーズにおけるS-Master MXの進化点

 ウォークマンの高音質化技術の核ともいえるデジタルアンプのS-Master MXが、新モデルのウォークマンMにおいて進化したことも説明された。

 DACでアナログ変換してから増幅するアナログ方式のアンプと比較すると、デジタルアンプのS-Master MXは最終段のパワースイッチまで高精度なデジタル信号処理/伝送を行なうことから、アナログ化によるノイズを抑えられることが特徴。最終段のパワードライバの直前にマスタークロック回路を置き、スイッチングを行なうタイミングの精度も高めている。

 また、パルス変調回路において、限られた分解能の中に大きなダイナミックレンジの音楽信号を含ませるための「ノイズシェーパー」を、S-Master MXでは独自開発して搭載している。そのほか、音量調節に「パルスハイトボリューム」を採用。パルスの高さを増減することで音量を調節し、デジタル領域でデータを操作しないことから、情報の損失が無く、小音量から大音量までディテールを再現可能としている。

内部回路などのパーツ

 こうしたS-Master MXの技術をベースに、ウォークマンMでは新たにウォークマンZX1やF880シリーズと同様に、S-Master Driver駆動用のマイナス電源を追加。従来モデルのF800シリーズなどとは異なり、デジタル出力とヘッドフォンをカップリングコンデンサ不要で接続できる。これによって、特に低域の沈み込みやキレが向上したという。

 さらに、Mシリーズではヘッドフォン駆動やオーディオ出力の+/-電源とオーディオ出力の左右電源を合わせて4つの電源を独立して搭載。各電源の負荷が軽減され、余裕を持ったヘッドフォンのドライブを可能とする。左右の音の相互干渉も軽減され、ステレオ感も強調するという。

 これらの結果、MシリーズのS-Master MXと、F880シリーズに搭載するハイレゾ向けの「S-Master HX」との違いが、ハイレゾ音域(20kHz以上)におけるノイズシェイプの有無のみとなり、「ハイレゾ以外の音源については、F880シリーズとほぼ同等の音質を実現した」としている。

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(中林暁)