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全メーカーの4Kテレビに匹敵? “4K相当”AQUOS XL10ヒットの理由とは

LC-60XL10

 シャープは26日、販売が好調な液晶テレビ「AQUOS クアトロン プロ XL10シリーズ」の営業施策についての説明会を開催。XL10シリーズが、従来機種の約2倍のヒットとなり、その中でも60型に人気が集まっているなど、従来の液晶テレビの売れ方とは少し変わった販売動向となっていることなどが報告された。

 AQUOS クアトロン プロ XL10シリーズは、フルHDパネルながら、4原色クアトロン技術と超解像分割駆動エンジンにより、“4K相当”の高解像度表現を可能にする液晶テレビ。'13年11月から順次発売しており、46型の「LC-46XL10」、52型「LC-52XL10」、60型「LC-60XL10」、70型「LC-70XL10」、80型「LC-80XL10」の5モデルを販売中。技術や製品の詳細については発表時の記事を参照してほしい。

 シャープのラインナップでは、フルHD AQUOSの最上位シリーズとなり、その上に4KのUD1シリーズ、下にフルHDのスタンダード機G9シリーズと位置づけられる。

前モデル比2倍のヒットに。60型の人気の理由

デジタル情報家電事業本部 国内AV営業統括 居石勘資氏

 XL10シリーズでは、超解像分割駆動エンジンによる“4K相当表示”や4原色技術、モスアイ、THXなどの「高画質」、2.1chサラウンドや独立ボックス搭載による「高音質」、Hybridcast対応などの新サービス対応やスマートフォン連携などの「新機能」などを訴求して、'13年11月より発売した。

 発売以降に着々と販売数を伸ばしており、3月23日までで15,000台以上を販売。これは、一世代前のXL9シリーズと比較して約2倍の販売実績で、特に3月は約2.2倍で推移しているという。

 45型以上の大型テレビにおいては、2月には6.8%、3月には7.5%となり、全メーカーの4Kテレビの合計値8.7%(2月)、8.3%(3月)と同等の販売数を記録。「全4Kテレビに匹敵する実績を上げることができた。“4K相当”というテレビをどうやって訴求するか、知恵を巡らせたが、市場で確固たるポジションを得ることができた」(シャープ デジタル情報家電事業本部 国内AV営業統括 居石勘資氏)とする。

XL10の販売台数はXL9の2倍以上に
4Kテレビ全数に匹敵するXL10の販売状況
買い替え提案

 興味深いデータが「画面サイズ」だ。中型以上の液晶テレビにおいては、通常30~40型が売れ筋となる。シャープは、46~70型を揃えたXL10シリーズにおいても、当初は売れ筋は46型、52型、60型の順と想定していた。しかし、実際には60型、52型、46型の順となり、結果として販売単価のアップにつながった。

 XL10の販売施策としては、まずはサイズアップを提案。買い替え需要の中心となる、2005年ごろの37型テレビ利用者であれば52型を、32型の利用者には46型など、近年のテレビの省スペース化による設置性の向上と大画面を訴求。さらに、(フルHDのスタンダード機)G9シリーズよりも少し“ランクアップ”することで、モスアイや4K相当などの高画質を手に入れられることを説明することで、販売を拡大した。

LC-60XL10

 展示面では販売店の協力の下、G9シリーズ、XL10シリーズ、(4Kの)UD1シリーズを一堂に並べ、スタンダードなG9と、フルHDだが高精細で広色域なXL10、4Kの魅力を持つUD1などのそれぞれの魅力を紹介。フルHD機の比較展示においては、冬のスポーツや映画など画質や音の違いを訴求することで、買い替え層へ“テレビの進化”を伝え、XL10の販売につなげたという。「“話題の4K”を求める方には4Kを。ただ、自宅に設置できるのは50型ぐらいまでという方には、フルHDより一歩進んだ、4Kに近い画質のプレミアムの製品として52/46型をおすすめしている。4Kを否定せずに、4Kでは実現できなかったサイズを提案することで実売を獲得した」(居石氏)

XL10の店頭展示展開
4Kモデル「LC-60UD1」(左)と「LC-60XL10」(右)

 面白いのは「60型が一番売れている」という点だ。4Kテレビの60型が、インチ1万円に迫る高価格になっていることもあり、相対的に“4K相当”のXL10の60型が安く見える。XL10がヒットしたのは、「(4Kより)安いけど4K的な画質が得られる」という部分なのだろうか?

「確かに(4Kと2Kの)価格差は大きい。ただし、4K相当という一点でXL10が受け入れられているというよりは、“モスアイ”の映り込みの少なさや、音質などのそれぞれの特徴が受け入れられている。説明して買ってもらえる商品。『スーパーカーではないけれど、ワンランク上の製品がほしい』という方に画質や音、新規格への対応などを評価していただいた(居石氏)」

 シャープでは4月以降、消費税増税駆け込み需要の反動により落ち込みを警戒しているが、販売店と連携し、買い替え/置き換え需要を狙ってXL10などAQUOSの魅力を訴求。反動減を抑えていく方針。

(臼田勤哉)