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東芝、2013年度はテレビ/PCが赤字。2014年度は過去最高益を目指す成長戦略へ

 東芝は、2013年度(2013年4月~2014年3月)の連結業績を発表した。売上高は前年比13.5%増の6兆5,025億円、営業利益は47.0%増の2,908億円、継続事業税引前純利益は13.3%増の1,809億円、当期純利益は34.3%減の508億円となった。

 東芝の久保誠代表執行役専務は、「過去の膿を積極的に処理した1年であり、米NINAの資産価値の見直し、医療ソリューション孫会社の会計適正化、欧州のガス遮断機のペナルティ費用など、有税で処理しなくてはならないものがあり、これが最終損益に影響している」としたものの、「すべてのセグメントにおいて増収を達成。電子デバイス部門では、メモリが年間を通じて好調に推移したことにより大幅増収を達成するとともに、営業利益では第4四半期に上期を上回る利益率を維持し、過去最高となる2,385億円を記録した。全社の営業利益は米NINAの資産価値見直しでの310億円のマイナスがなければ、過去最高の営業利益を達成していたことになる。その点では、2014年度には営業利益で過去最高を狙う下準備が整った」と述べた。

 セグメント別では、電力・社会インフラ部門の売上高が前年比11%増の1兆8,122億円、営業利益は528億円減の323億円。コミュニティ・ソリューション部門の売上高が15%増の1兆3574億円、営業利益は92億円増の519億円。ヘルスケア部門は売上高が8%増の4,108億円、営業利益が48億円増の286億円、電子デバイス部門の売上高が32%増の1兆6,934億円、営業利益が1,430億円増の2,385億円、ライフスタイル部門は3%増の1兆3,138億円、営業損失は前年に比べて87億円悪化し、マイナス510億円の赤字となった。その他部門は、売上高が前年比1%増の5,040億円、営業損失が21億円減の87億円の赤字となった。

 テレビおよびパソコン、白物家電で構成するライフスタイル部門では、上期から下期にかけて、各事業ともに大幅に損益を改善したが赤字から脱却はできなかった。上期は367億円の赤字、下期は143億円の赤字となり、「下期も黒字化はならなかった」という。

 また、テレビおよびパソコン事業は、それぞれ通期で赤字になったという。

 テレビの売上高は前年比11.0%減の2,318億円。パソコンは4.1%増の7,339億円、家庭電器は19.4%増の2,534億円となった。

 テレビは第4四半期に構造改革の一環として、欧州での在庫処理費用を計上。販売地域の絞り込みにより減収になったものの、構造改革効果や、売価の上昇などがプラスに働いたという。

 「テレビ事業は第3四半期には黒字になったが、第4四半期は赤字となり、通期も赤字となった。欧州全体のテレビ事業見直しのなかで、欧州での在庫処理費用が発生した。ただ、この在庫処理は、ポーランドの製造拠点を閉鎖したこととは直接連動はしていない」と述べた。

 パソコンについては、第4四半期には第3四半期の赤字をほぼ半減。だが、在庫処理費用の計上や円安などの影響により、通期での利益は悪化した。

 「2013年度は円安への対応や、部材価格の高騰に対して、パソコン価格の値上げ、BtoCからBtoBへのシフトなどにも取り組んできた」などと語った。

 家庭電器は第3四半期を上回る利益を計上し、黒字を継続。下期の商品強化や、円安対策が功を奏したという。

 一方、2014年度の連結業績見通しは、売上高は前年比3.0%増の6兆7,000億円、営業利益は13.5%増の3,300億円、継続事業税引前純利益は38.2%増の2,500億円、当期純利益は136.1%増の1,200億円とした。

 「営業利益は最低値として3,300億円を目指す。すべてがうまくいけば4,000億円にまで到達することになるだろうが、その点ではリスクを多めに見込んでいる。期中には確実に上方修正していきたい」とし、営業利益では過去最高を目指す姿勢を示した。

 セグメント別では、電力・社会インフラ部門の売上高が前年比7.6%増の1兆9,500億円、営業利益は377億円増の700億円。コミュニティ・ソリューション部門の売上高が3.9%増の1兆4,100億円、営業利益は61億円増の580億円。ヘルスケア部門は売上高が7.1%増の4400億円、営業利益が14億円増の300億円、電子デバイス部門の売上高が1.0%増の1兆7,100億円、営業利益が585億円減の1,800億円、ライフスタイル部門は0.3%減の1兆3,100億円、営業利益は540億円増の30億円と黒字転換を計画。その他部門は、売上高が前年比9.1%増の5,500億円、営業損失は27億円改善するものの、60億円の赤字見通しとした。

 ライフスタイルのうち、テレビの売上高は12.2%増の2,600億円、パソコンは3.3%減の7,100億円、家庭電器は2.6%増の2,600億円とした。

 「ライフスタイルは、黒字化には時間がかかっているが、着実に改善している。なんとかライフスタイルを黒字化したい」とコメント。さらに、「電力・社会インフラでは、2013年度に原子力に関する費用として600億円程度を計上することになったが、ここでもリスクを折り込んだ。また、電子デバイスでは、メモリでは営業利益率を前年の26%から5%ほど落とし、韓国ウォンとの為替リスク、電力料金の動向などの価格リスクを折り込んだことで減益の計画にしている」と述べる一方、「ライフスタイルはとにかく黒字化を目指すということで、リスクは折り込んでいない」として、ここでもライフスタイル部門の黒字化に向けた強い意志をみせた。

 なお、同社では、5月22日に、2014年度経営方針説明を行なう予定である。

(大河原 克行)