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シャープ、4K放送/VOD対応の新4K液晶TV「AQUOS UD20」
“4Kネイティブ”で4K元年にシェア拡大。52型が43万円
(2014/5/20 11:00)
シャープは、放送やVODなど、4Kコンテンツへの対応を強化した4K液晶テレビ「AQUOS UD20シリーズ」を6月25日より順次発売する。52/60/70型の3モデル展開で、52型の「LC-52UD20」は7月15日に、60型の「LC-60UD20」と70型「LC-70UD20」は6月25日に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は52型が43万円前後、60型が50万円前後、70型が70万円前後。
HDMI 2.0/HDCP対応のHDMI入力端子を装備し、別売の4Kチューナ「AQUOS 4Kレコーダー(TU-UD1000)」を接続することで、6月2日よりスタートする4K試験放送に対応。また、4K HEVCデコーダを内蔵し、10月よりNTTぷららがスタート予定の「ひかりTV」の4KビデオオンデマンドサービスをAQUOS UD20本体だけで受信可能になるなど、放送やVODなどの4Kコンテンツ対応を強化している。
4Kモスアイ+新ピクセルディミングでコントラスト感を向上
解像度3,840×2,160ドットの4Kモスアイパネルを採用した液晶テレビ。バックライトはエッジ型のLED。視野角は上下176度、左右176度。120Hzの倍速駆動パネルとなっている。なお、シャープ独自の4原色クアトロンではなく、3原色のパネルを採用しており、パネルの製造は亀山工場。
2013年の4K AQOUS UD1シリーズと同様に、外光や照明などの反射を大幅に抑える4Kモスアイパネル採用。映り込みを抑えることで、高精細な4Kコンテンツの微妙な明暗までをくっきりと再現でき、“黒”の表現力を向上した。
色域を拡張した「リッチカラーテクノロジー」も採用。新発光材料を採用したLEDバックライトと、色復元回路により、色再現範囲を従来機(UD1)比で約12%拡大し、地デジ放送の色域「ITU-R BT.709」を超え、デジタルシネマ(DCI)の色域に迫る高色域を実現。より自然で豊かな発色や臨場感の向上を実現したという。
米THXによる「THX 4Kディスプレイ規格」も52~70型の全モデルで取得。400を超えるTHXのテスト項目をクリアしており、THXに準ずる画質モードは「THX映画」という名称で用意される。
映像エンジンは、入力されたフルHD信号を4Kにアップコンバートする「AQUOS 4K-Master Engine PRO」を搭載。ピクセル単位の映像分析を行ない、明るさを再配置して輝度をコントロールする「ピクセルディミング」を新搭載し、黒の締りの向上やコントラスト感の大幅に向上を実現した。
また、映像の周波数解析により、帯域ごとに適切な4Kアップコンバートを行なう「アダプティブアップコンバート」も新搭載した。3Dにも対応。フレームシーケンシャル方式の3D対応だが、新たに無線方式の別売3Dメガネ「AN-3DG50-B」を用意する。
放送/VODなど4Kネイティブコンテンツ対応を強化
AQUOS UD20シリーズの特徴は、4Kネイティブコンテンツ対応強化。4系統のHDMI端子は、HDMI 2.0とHDCP 2.2をサポートし、4K/60Hz映像や4K試験放送の番組も入力可能にした。これにより、別売の4K放送チューナ「AQUOS 4Kレコーダー(TU-UD1000)」を利用した4K放送視聴が可能になる。なお、2013年の4K AQUOS UD1シリーズ「LC-70/60UD1」も本体のバージョンアップにより4Kチューナに対応。また、AQOUSクアトロンプロXL10シリーズも4K30pとなるが、4K試験放送の入力に対応する。
また、ネットワーク経由の4K対応も強化。EthernetとHEVCデコーダを内蔵し、10月よりスタート予定の「ひかりTV」の4Kビデオオンデマンドが受信可能になる。
ソニー、パナソニック、LGの4Kテレビでも4K HEVCデコーダを内蔵しているが、具体的な対応サービスなどは明らかになっていない。シャープは、AQUOS UD20シリーズで、ひかりTVの4Kサービスに正式対応を表明したことで、「業界初の4K配信対応」とアピールしている。
ひかりTVは、発売時点でテレビサービス(専門チャンネル)、ビデオサービス(ビデオオンデマンド)に対応。テレビサービスはUSB HDDへの録画も行なえる。ひかりTVが10月に予定している4Kサービスにあわせて、AQUOS側でも4K VOD対応を行なう予定。
ひかりTVの利用のためにはNTT東西の「フレッツ光ネクスト回線(IPv6)」や視聴契約が必要となる。
「サウンドバー」スピーカーで音質強化も
スピーカーはアンダースピーカー型で、8スピーカーの2.1ch構成。シャープで「サウンドバー」と命名している本格的なもので、テレビから独立したボックス構造を採用し、2cm径のツィータ×2、5.7cmミッドレンジ×4、4×7cmウーファ×2の3ウェイの8スピーカーを内蔵する。
総合出力は65Wで、2つのウーファを向かい合わせに配置することで低音を強化しながら、共振を抑えた「DuoBass」も採用している。また、スピーカー前面に金属製のパンチングネットを採用することで、高出力かつ抜けの良い音声を実現するという。
デジタルアンプを内蔵するほか、ミッドレンジユニットの振幅限界などをあらかじめ解析し、最大入力レベルでの駆動を可能にするという「インテリジェントドライブ」を搭載。また、従来は「AVポジション」という名称で、画質/音質を同時に制御していたが、音声モードだけを独立して切換する「音声切換」ボタンを装備した。
チューナは地上デジタル×3、BS/110度CSデジタル×2で、別売USB HDDへの2番組同時録画に対応する。Ethernetのほか、IEEE 802.11a/b/g/n対応無線LANも搭載。ひかりTVのほか、HuluやDMM.comなどAQUOS City経由で各種VODサービスに対応する。
また、USB HDD内のコンテンツを家庭内で配信できるDLNAサーバー機能やDLNAレンダラーなどに対応。操作メニューはテレビとネット情報を一覧表示できる「ビジュアルモーションガイド」。Hybridcastや、お客様相談センターのオペレータがAQUOSの状態をインターネット経由で確認しながら相談に応じる「あんしんリモートサポート」に対応する。
Miracastに対応し、対応スマートフォンの画面をAQUOS UD20に表示して楽しめるほか、Bluetoothにも対応する。SDカードスロットも装備し、SDカード内の写真閲覧も可能で、合計400MBまでの写真を本体メモリにコピー可能。本体メモリ内の写真は、「かんたん4Kフォトフレーム」により、リモコンのスライドショーボタンでBGM付き再生できる。
HDMI×4のほか、D5×1、コンポジット×1、D-Sub15ピン(アナログRGB)×1、ヘッドフォン出力×1、アナログ音声×1、光デジタル音声出力×1を装備。消費電力は約320W(70型)/約298W(60型)/未定(52型)、年間消費電力量は260kWh/年(70型)、226kWh/年(60型)、未定(52型)。
外形寸法/重量は70型が155.9×39.6×101.5cm(幅×奥行き×高さ)/44kg、60型が136.1×36.3×90.2cm(同)/34.5kg。52型は未定。
4Kテレビシェア30%へ。シャープが考える4K元年
シャープ デジタル情報家電事業本部 液晶デジタルシステム第一事業部の戸祭正信事業部長は、4K放送が6月に、4Kビデオ配信が10月にスタートすることに言及しながら、初の地上デジタルチューナ内蔵テレビなどでデジタル化をリードしたシャープのテレビ事業の経緯を説明した。
従来の4Kテレビでは、放送やBDなどのHDコンテンツの4Kアップコンバートや、写真、パーソナルビデオなどが中心となっていたが、2014年には放送/配信がスタートし、ネイティブ4Kコンテンツが増える。そのため戸祭氏は、2014年を「4K元年」と位置づけ、「4Kは配信に対応したテレビ、4K試験放送に対応したチューナを初めて発売する」と訴えた。
AQUOS UD20シリーズにより、シャープの50型以上の液晶テレビのうち、20%以上を4K対応とする見込み。4原色クアトロンプロで“4K相当“「AQUOS XL10シリーズ」とあわせて、50型以上で50%強を4K/4K相当に高めていく計画。
2013年度の4Kテレビ市場では、「全体の2%が4K。そのうちシャープのシェアは1割程度」とのことだが、「2014年は5%程度が4Kになる。その中でシェア30%を狙う」とした。
なお、4Kチューナのテレビ本体への内蔵については、「技術的な課題はそれほど無いが、4K放送の今後の展開はこれから決まっていく部分もあり、また、テレビの価格競争も厳しい。まずはチューナ別体のほうがよいと考えた」(液晶デジタルシステム事業部 商品企画部 指出部長)としている。