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シャープ、液晶で培った“モスアイ”で曇らずテカらないフェイスシールド

フェイスシールド「FG-F10M」

シャープは、液晶パネル開発で培ったモスアイ技術を活用した高性能フェイスシールドなどを11月9日より順次発売する。フィルムの形状やフレーム素材、サイズが異なる全4種・6モデルをラインナップ。価格は1,980円(税込)から8,980円(税込)。オプションとして、交換フィルムも用意。交換フィルムは3枚/2,980円(税込)から。

ラインナップ
・フェイスシールド「FG-800M」 Mサイズ チタン 8,980円 11月30日発売
・フェイスシールド「FG-800S」 Sサイズ チタン 8,980円 11月30日
・アイシールド「FG-500M」 Mサイズ チタン 7,480円 11月27日
・マウスシールド「FG-300M」 Mサイズ チタン 5,980円 12月7日
・マウスシールド「FG-300S」 Sサイズ チタン 5,980円 12月7日
・フェイスシールド「FG-F10M」 Mサイズ 樹脂 1,980円 11月9日

企業の受付や対面で接客を行なうサービス業などをターゲットとした、飛沫防止対策用のヘルスケアアイテム。

マウスシールド「FG-300M」
装着例
アイシールド「FG-500M」
装着例

液晶テレビ・AQUOS(XL9シリーズなどの一部機種)に採用した“モスアイ技術”を活用しているのが特徴。

AQUOSにおいては、液晶パネル表面にモスアイ技術を用いることで、パネルへの映り込みを大幅に抑制、表示映像のコントラスト感向上に寄与していたが、今回発売する製品においては、飛沫を防止するフィルム表面にモスアイ技術を活用。結果、従来フィルムと比べ高い低反射・防曇性能を実現し、常時クリアな視野をキープ。さらに軽量で強度に優れたチタンフレーム(FG-800/500/300シリーズのみ)と組み合わせることで、高いデザイン性と装着性を備え、一般的なフェイスシールドとの差別化を図った。

なお、モスアイ技術がAQUOSに採用されていたのは2012年から2014年までで、UD20シリーズ以降はモスアイ搭載モデルは発売していなかった。今回のフェイスシールドにより、約6年振りにモスアイ技術が製品に採用された。

フェイスシールド「FG-800M」

ラインナップとしては、顔全体をフィルムでカバーするフェイスシールド、目の周辺をカバーするアイシールド、口と鼻をカバーするマウスシールドを用意。フェイスシールドについては、樹脂製フレームで価格を抑えたモデルも用意する。

FG-800/500/300シリーズで使用するチタンフレームは福井県の鯖江製。フィルムはシャープ米子のクリーンルームで製造しており、全モデルとも高品質な「Made in JAPAN製」という。なお、各タイプに同梱するフィルムに性能差は無い。

モスアイは、暗闇でも飛行できる蛾(モス)の目(アイ)に似た、ナノサイズ(100~200nm)の凹凸構造が特徴。原理的には、この微細な凹凸が外光の屈折率を連続的に変化させ、反射を起こす界面をなくすことで低反射を実現しているのだという。

さらに短波長から、長波長まで幅広い範囲の光に対して低い反射率を維持。色付きの少ない、自然な色のフィルムに仕上がっているという。

ナノサイズ(100~200nm)の凹凸構造を持つモスアイ
微細な凹凸が外光の屈折率を連続的に変化することで、反射によるテカリを抑制
広い波長に対して低い反射率を持つ
モスアイ、非モスアイの比較
「FG-F10M」の装着例。周辺の様子がフィルムに映り込んでいない

低反射性能と合わせ、曇りにくい“防曇(ぼうどん)性能”も特徴。フェイスシールド用に新開発した特殊な超親水性アクリル系樹脂をモスアイ構造の表面に使用することで、微細な凹凸構造が水滴の表面積を増加。すると表面に付着した水滴がすぐに乾くため、多くの場合において曇りを防止できるとしている。

曇りにくい、高い防曇性能を備える
蒸気をモスアイ、非モスアイのフィルムにあてた場合の、曇り方を実演。モスアイは蒸気をあてても曇らずクリアに見える

さらにフィルムの基材には、CD/DVDや液晶バックライトの導光板にも使われるポリカーボネートを使用することで高透過性能を実現。モスアイ加工との組み合わせにより、広い波長で高い透過率を維持できるため、クリアで疲れにくく視界が保てるという。

クリアな視界を実現。見えにくさが無くなり、従来のフェイスシールドよりもストレス無く快適に装着し続けることができるという

なお、モスアイは極微細な凹凸構造であるがゆえ、以前は「油脂の付いた指紋が落としにくく、メンテナンスが難しい」との指摘もあった。

フェイスシールドの耐久性について、同社担当は「除菌用アルコールタオルのような柔らかい素材で拭き取ってもらえば、汚れや指紋は拭き取れる。また拭き取りを1,000回程度繰り返しても、モスアイの耐久性が維持できていることを確認している。使い方にもよるが、メンテナンス性や耐久性はクリアできている」と話す。

発表会には、フェイスシールドのデザインを担当した大浦イッセイ氏も登壇。

製品のデザインについて「マスクやフェイスシールドを装着した仕事・生活が当たり前になり、いまや感染予防は文化になった。ただ、そうした感染予防のアイテムを“プロダクト”として見た時、デザイン性やファッション性が乏しいと感じていた。今回デザインするにあたり、プロダクトデザイナーとして、衛生用具・感染防護具がファッションとなる提案をしたいと考えた。シールドの素材や形状、フレームの装着感、そして装着者のフェイスラインがきちんと見えるようにするなど、細部までこだわってデザインした」と語った。

フレーム部には、「SHARP」ロゴをレーザーで刻印