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クリスティ、レーザー光源の4K DLPシネマプロジェクタ。輝度2倍、4K/120Hzの3Dも

 クリスティ・デジタル・システムズは、レーザー光源を使用した4K/3D対応の業務用DLPプロジェクタ「Christie Mirage 4K LH」を10月に発売する。デジタルシネマやプロジェクションマッピングなどのイベント演出、設計製造のシミュレーションなどの業務用途を想定している。価格はシステム構成によって異なり、最低構成で2,000万円~。

Christie Mirage 4K LH(左がプロジェクタヘッド部、右がレーザー光源ユニット)

 Christie Mirage 4K LHは、3チップの1.38インチDMDを搭載したDLPプロジェクタ。解像度は4,096×2,160ドットで、フレームレートは最大120Hz。3D映像にも対応する。コントラストは2,000:1。

RGBのレーザーを光源に使用することでキセノンランプよりも高輝度・広色域を実現

 光源にRGBのそれぞれの色が独立した「ピュアレーザー」を使用。プロジェクタヘッド部とレーザー光源ユニットが分離した構造となっていることが特徴で、光源ユニットの数を変更することで輝度を5,000~60,000ルーメンまで調整できる。ヘッド部と光源ユニットは光ケーブルで接続されているため設置の自由度が高く、上向き・下向きなどの投写も可能。

 光源にレーザーを用いることにより、キセノンランプ型と比較して、高輝度や広色域を実現。耐久性にも優れ、投写時間はキセノンランプで最大700時間程度なのに対し、最大30,000時間を実現するという。

INFITEC 3Dシステムの説明

 3D映像の投写は、波長分光フィルタを用いた「INFITEC 3Dシステム」に対応。分光フィルタにより光を6つの波長帯に分割し、2台のプロジェクタから右目用・左目用にそれぞれ波長の異なったRGBによる映像を投写。INFITECフィルタを搭載したパッシブ型の3Dメガネをかけて見ることで、左右の映像が分離されて目に届き、立体映像として認識するという。

 偏光方式と異なり、高い反射率のシルバースクリーンを使用せず、どの角度から見ても破綻のない3D映像を投写できることが特徴。ドームのような湾曲型スクリーンや、多面型スクリーンと相性が良いという。また、左右の映像が同時に投射されるため、左右交互に投写するフレームシーケンシャル方式よりもチラつきが少なく、高輝度を維持できるという。2台のプロジェクタを使用するINFITEC 3Dシステム以外にも、1台で投写できる各種3Dフォーマットに対応し、従来の設備や3Dメガネも使用できるとしている。

 入力はDisplayPortやHDMI、HD-SDIに対応。外形寸法/重量は、プロジェクタヘッド部が644×1,211×480mm(幅×奥行き×高さ)/102kg。レーザーモジュールが443×3,800×130mm(同)/32kg。モジュールを収納するラックが744.6×1,375.6×2,296.6mm(同)/303.9kg。

レーザー光源により高輝度化。INFITEC 3Dシステムによるリアルな3D映像も

 メディア向けに行なわれた新製品発表会では、4K映像や3D映像のデモムービーが上映された。「INFITEC 3Dシステム」による3D映像では、CGレンダリングされた自動車の映像が4K/120Hzで投写され、フルHDの3D映像よりも高精細でなめらかな立体映像を体験することができた。

上映された4K映像
クリスティ・デジタル・システムズの半澤衛日本支社長

 同社の半澤衛日本支社長はレーザー光源を用いるメリットについて、「キセノンランプを使った従来機(Christie Mirage 4K35)では最高でも35,000ルーメンしか出力できなかったが、Christie Mirage 4K LHではレーザーユニットを複数使って最大60,000ルーメンと2倍近い高輝度の映像を投写できる。ユニットの数を調節することで、様々なシーンにも対応できる」とした。また、「RGB3色のレーザー光は内蔵モジュールの内部で合成され、一つの白い光となって光ケーブル経由で出力される。分離した光源とプロジェクタヘッドを光ケーブル1本で接続でき、機器設置の自由度が高いことも特徴」という。

 INFITEC 3Dシステムによる3D映像は、右目と左目に波長の異なるRGBを見せることで立体的に見せる方式のため、片目で見た場合、それぞれの目で色味が変わって見える。これについて半澤氏は、「左右の目に波長の異なるRGBを見せているが、どちらの色もハリウッド映画などで求められるDCIのコンプライアンスをカバーしているため、仮に片方の目で見ても問題の無い色再現ができている。厳格な色再現性が求められる製品デザインの投写などの場合には、左右のカラーの中間色を出力することも可能」と説明した。

東京ビッグサイト

 同社は、東京ビッグサイトで6月25日~6月27日まで開催されている「3D & バーチャルリアリティ展」(主催 リード エグジビジョン ジャパン)に出展。今回発表された「Christie Mirage 4K LH」は出展されないが、2013年に発表した4K/3D対応プロジェクタ「Christie Mirage 4K35」を使用した巨大3D映像のデモや、3Dプリンタ製の自動車モデルに車体の色やホイールデザインを投写するプロジェクションマッピングのデモなど、多数の製品やソリューションを展示している。展示会への入場料は事前申し込みを行なった場合は無料。当日申し込みの場合は5,000円。

Mirage 4K35を使った3Dデモ
プロジェクションマッピングのデモ。車体のカラーやホイールはすべて投写されたもので変更も可能
参考展示されていた業務用4Kディスプレイ「Christie QuadHD84」

(一條徹)