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「JAPAN PREMIUM」で攻めるパナソニック4Kテレビ戦略
テレビ事業部復活で“4Kリーディングメーカー”に
(2015/4/3 11:24)
パナソニックは、2015年4月1日付けで、テレビ事業部を発足。新生テレビ事業部の第1号製品として、4K対応VIERA「CX800シリーズ」6機種と、「CX700シリーズ」3機種を発表した。
大阪市内で会見したパナソニック アプライアンス社テレビ事業部・品田正弘事業部長は、「住空間の価値を高め、家庭に感動をお届けするディスプレイを提供する。こうした思いを込めて発足したのが新生テレビ事業部」と語り、「新生テレビ事業部の日本市場での使命は、顧客起点で、独自のプレミアム価値観を確立していくことにある」と述べた。
また、品田事業部長は、「テレビは単なるテレビではなく、住空間の価値を高めるディスプレイに進化させること」、「パナソニックならでは安心・信頼と先進性を兼ね備えることで、日本の顧客の暮らしに寄り添った商品を提供すること」、「パナソニックの強みを武器に、感動の高画質と驚きの使いやすさを届けること」の3点を、新たなテレビ事業部の使命にあげ、今回の新製品が、それらを実現する第1号製品になることを訴求した。
「パナソニックは、2014年度に構造改革の手を打ち終えて、集中する地域も明確になっている。攻略する地域に向けて、スピーディに事業を展開するフェーズに移っている。市場に合致した作戦を、事業部長自らが現場で決断していけることが大きな違いになる。ターゲットとする市場にあった戦略を作り上げる年になる。テレビ単品ではなく、住空間における価値を向上させる事業であり、テレビの在り方を考えていきたい」とした。
とくに、CX800シリーズは、「JAPAN PREMIUM」として、日本のテレビメーカーが、日本のユーザーに向けて提供するプレミアム製品であることを強調してみせた。
品田事業部長は、「プレミアムな価値を確立するのに重要なのは、やはり画質である」と前置きし、「CX800シリーズによって実現されるJAPAN PREMIUMとは、高画質化回路であるヘキサクロマドライブの搭載により、日本の美しい風景を余すことなく映し出すことができる点があげられる。また、日本人が美しいと感じる色を再現するために、日本で設計し、日本で作りあげた製品であるのもJAPAN PREMIUMの特徴。高い信頼性と高品質を実現するMade in JAPANも、JAPAN PREMIUMの条件になる。JAPAN PREMIUMによって4Kの次元をさらに引き上げたい」などとした。
CX800シリーズについては、「画質」、「音質」、「デザイン」、「使いやすさ」の観点から特徴があるとし、パネル開口率の高い「高輝度&広色域IPS液晶パネル」の採用や、独自の「ヘキサクロマドライブ」の採用により、従来のAX800シリーズに比べて1.6倍の色表現力を実現。次期ブルーレイの輝度規格であるHDR規格への対応、アップコンバートできる4Kファインリマスターエンジンの採用などに言及。また、合計最大出力40WのダイナミックサウンドシテムPROの搭載、クアッドパッシブラジエーターの採用による音質へのこだわりや、和室と洋室が混在する日本の住宅環境にあわせたスラントデザインとフラットデザインの採用、VODへの対応やFirefox OSを活用した使いやすさの追求などについても触れた。
「テレビ放送だけでなく、様々なコンテンツ、あるいはPCをはじめとする様々なデバイスとの連携をシームレスに展開するという点で、Firefoxを採用する理由がある。様々なサービスやアプリとの連携、家のなかで情報が集中するなかで、テレビが中心的な役割を果たす。なにが使いやすいか、あるいはどうやってアプリやコンテンツを増やすのかという点で、Firefoxを活用した。HTML5で世界中の人たちにアプリを開発してもらうことができる。だが、Firefoxを活用しながらも、使いやすさやサクサク感などの点で、我々独自の提案をしていきたい」などと述べた。
また、「JAPAN PREMIUMという言い方は、CX800シリーズと、プロが認めた4K高画質を実現したAX900シリーズの2製品に使うことになる。パナソニックならではの日本の上質感によって、4Kの次元をさらに引き上げる」とした。
なお、パナソニックの4K対応テレビは、現在、85型~40型まで、3シリーズ、7サイズ、13機種のラインナップとなっている。今回発表したCX800/700シリーズは、すべてFirefox OSを搭載している。
一方で、品田事業部長は、昨今の4Kテレビの需要動向についても言及。「2014年の4Kテレビの販売台数は、前年比約5倍の25万台。2015年には、約3倍の77万台に達し、2016年には前年比約1.7倍の約127万台に達する」と今後の4Kテレビの成長を予測。さらに、「2015年の4K対応テレビの販売台数構成比はテレビ全体の10%強だが、46型以上の大画面テレビに限定すると、4K対応テレビの構成比は過半数に達する。2016年には、大画面テレビの約8割が4K対応テレビになる」などと予測した。
4Kテレビが今後の国内テレビ市場の成長を牽引することを示しながら、「パナソニックは、2013年に初めて4K対応テレビを発売。後発での市場参入ではあったが、現在では、5シリーズ12機種を発売。多様なニーズに合わせたラインナップを用意。リーディングメーカーである」とコメントした。
パナソニックは、国内4Kテレビ市場において、年明けからトップシェアを獲得。2015年度も1位の立場を確保しつつ、30%を超えるシェアを目指すとした。
さらに、「今後は、4Kコンテンツが急速に充実して行くだろう。スカパープレミアムサービスでの4K実用放送のほか、VODでは、アクトビラ、ひかりTVが4Kコンテンツの配信サービスを開始し、Netflixも今年秋のサービスインにあわせて、4Kコンテンツを配信する予定だという。そのほか、2016年のリオデジャネイロでのオリンピックでは、4KのBS試験放送が開始され、2018年の韓国ピョンチャンオリンピック、ロシアサッカーワールドカップではBS実用放送がスタート。2020年の東京オリンピックでは、4K放送と8K放送が本格化することになる」と指摘。「パナソニックは1988年からオリンピック公式スポンサーとして、テレビをはじめとする最先端のAV機器を納入し、オリンピック大会の運営をサポート。映像技術や放送環境の進化に貢献してきた。東京オリンピックに向けた4Kにおいても、放送の現場から家庭まで、End to Endで新たな感動を届ける機器の開発に取り組む」とした。
加えて、品田事業部長は、「4K時代の到来となる2020年に向けて、テレビ市場は新たな変革期に入った。また、スマートフォンとの連携機能も当たり前になり、今後は、アナログ停波特需の買い換えニーズも期待できる」とも語り、今後のテレビ市場の回復に期待を寄せた。
「パナソニックは、デジタル一眼やデジタルビデオカメラ、ウェアラブルカメラ、BDレコーダー、シアターシステムなど、4K対応製品のラインナップを拡充しており、4Kで撮る、4Kで残す、4Kを聴く、4Kで見るという、トータル提案ができる唯一の企業になる」とした。
一方で、パナソニックでは、Jコンセプトと呼ぶ、シニア層向けのこだわり家電製品を展開しているが、「Jコンセプトのテレビは、熟成という要素が加える必要があり、今回の製品とは違う。現在、商品企画中である」とした。