ニュース

アイアン・メイデン仕様のへヴィメタル向け音質ヘッドフォン。オンキヨーと共同開発

 オンキヨー&パイオニアイノベーションズは、へヴィメタルバンド「アイアン・メイデン(IRON MAIDEN)」のスティーヴ・ハリスと共同開発したヘッドフォン「ED-PH0N3S(エドフォンズ)」を'16年1月下旬に発売する。価格は39,800円(税込)。合わせて、アイアン・メイデンのメンバーによるカスタムイコライザを搭載したスマートフォンアプリ「Maiden Audio App」も提供開始している。

ED-PH0N3S

 アイアン・メイデンのベーシストであり、創始者/共同プロデューサーのスティーヴ・ハリスが音質を監修した密閉型ヘッドフォン。アイアン・メイデンのファンやロック/ヘヴィメタルファンが音楽を最大限に楽しめることを目指し、全周波数帯域においてチューニングを行ない、明瞭な音を実現したという。専用設計の40mmドライバにはチタンコートを施し、中域と高域をクリアな再現を追求。低域はサブチャンバーを複数持つ構造とすることで強化した。銀メッキ端子と太いケーブルにより、音声信号を正確にドライバーに伝達するという。

ED-PH0N3S

 ハウジング部には、キャラクターの「エディ」と、「MAIDEN AUDIO」のロゴをデザイン。9月に発売されたアイアン・メイデンの最新アルバム「The Book of Souls」は、スティーヴ・ハリスが「ED-PH0N3S」を使ってミキシングを行なったという。

 再生周波数帯域は10Hz~27kHz、最大入力は800mW、出力音圧レベルは105dB、インピーダンスは32Ω。ケーブルの長さは1.6mで、着脱はできない。ケーブル直出しにしたのも、音質面でのスティーヴ・ハリスからの要求だったという。プラグはステレオミニ。標準プラグアダプタも同梱する。ケーブルを含む重量は245g。

ハウジング部に、キャラクターのエディとロゴをデザイン
スティーヴ・ハリスとオンキヨーが共同開発し、へヴィメタルに適した音質を追求

メンバーによるカスタムEQ搭載再生アプリ「Maiden Audio App」

 「Maiden Audio App」は、アイアン・メイデンの全メンバー(ブルース・ディッキンソン、デイブ・マーレイ、エイトリアン・スミス、ヤニック・ガーズ、スティーヴ・ハリス、ニコ・マクブレイン)が、それぞれの求めている音に設定したというカスタムイコライザを搭載したiOS/Android用の無料音楽再生アプリ。App StoreとGoogle Playにおいて提供中。

 オンキヨーの「HF Player」に、アイアン・メイデン向けのチューニングを施したもので、有料のHDプレーヤーパックを購入する(iOS版1,000円、Android版1,200円)ことでDSDや、192kHz/24bitのFLAC、WAVなどのハイレゾ音源も再生できる。なお、ヘッドフォンのED-PH0N3S購入者や、HF PlayerのHDプレーヤーパック購入者も、Maiden Audio Appでハイレゾを聴く場合は課金が必要となる。

カスタムEQ搭載の再生アプリ「Maiden Audio App」

 メンバーのイコライザ設定以外に、ユーザー自身によるカスタムイコライザも設定可能。16,000以上の個別バンドを備え、タッチ操作で調整できるリニア位相FIRイコライザにより、ロスの少ない高音質でコントロールできるという。

DP-X1との組み合わせで再生
アプリのイコライザを変えると、曲の雰囲気まで大きく変わり、各メンバーの聴かせたい部分がわかりやすくなるという

 アイアン・メイデンは、1980年のデビュー以来、アルバムセールス累計9,000万枚以上のへヴィメタルバンド。現在まで59カ国で合計2,000回以上のコンサートを行なっており、2016年2月からは、ボーカルのブルース・ディッキンソンが操縦する747-400ジャンボジェットによるフライトで新たなワールドツアーがスタートし、来日も予定している。

スティーヴ・ハリス「“ロゴを貼り付けたもの”とは違う」

 12月8日には東京・原宿のアストロホールで発表会を行ない、来日したIron Maiden Holdingsのデイブ・シャック氏がコラボモデルの製品化を歓迎。また、ヘヴィメタル界で活躍する音楽評論家の伊藤政則氏を迎えたトークショーを実施したほか、アイアン・メイデンのトリビュートバンド「Death or Glory」によるライブ演奏も行なわれた。

スティーヴ・ハリスからビデオメッセージが届いた

 ビデオメッセージで登場したスティーヴ・ハリスが、「ここまで来るのに2年かかった。決して簡単なことでは無かった」と開発の経緯を説明。4、5年前から理想とするヘッドフォンを探していた中で、オンキヨーのマーク・シェフィンズ氏を訪ねたという。アイアン・メイデンの熱烈なファンでもあるというシェフィンズ氏は、ハリスの要求である「中音域の表現を高める」ために、日本のエンジニアと協力し、ボイスコイルの特性を従来品に比べて軽く、感度が良くなるように設計。何度も試作を繰り返し、ハリスの求める周波数の再現が可能になったという。ハリスも「よくある、ロゴを貼り付けただけのものとは違う」と仕上がりに自信を見せた。

オンキヨーのマーク・シェフィンズ氏
Iron Maiden Holdingsのデイブ・シャック氏
左から、伊藤政則氏、デイブ・シャック氏、Death or Gloryの西野氏、丹下氏
Death or Gloryのライブで盛り上がった

スティーヴ・ハリスのコメント

“The Book Of Souls”を製作するにあたって、ファンが聴く環境を考えた上で良いヘッドホンが欲しかった。レコーディングが始まる1年半も前から探していたが、求めているロックとヘヴィメタルに最適なヘッドホンが世の中に全く無かった。いくら探しても高域と低域を強調して、中域のニュアンスを疎かにする「ダンスミュージック向け」のヘッドホンばかりだった。探している音は、帯域幅が広く中域もきちんと出ていて、ロックとヘヴィメタルの複雑さが伝わるヘッドホンだった。オンキヨーにいる知り合いが「きっと求めている音を作れる」と言ってくれた。そこから共同開発を始め、求めている音を追及するために、周波数特性の違うドライバー、素材、コード材、端子類など、ありとあらゆる組み合わせを試し、パラメータの試行錯誤を行い、最適なバランスを見つけ出した。本当に最終仕様に満足している!

(中林暁)