ミニレビュー
リモコンを変えるだけでUHD BDプレーヤーの満足度が大幅向上。パナ「DMP-UB90」を強化
2017年9月18日 08:00
西川善司、Ultra HD Blu-rayプレーヤーを買う
2016年にUltra HD Blu-rayプレーヤーとソフト作品が発売されて以来、筆者もお気に入りの映画はUltra HD Blu-ray(UHD BD)で購入するようにしている。かれこれ30本くらいはUHD BDソフトを購入したが、昨年末くらいまでは、編集部所有の「DMP-UB90」を大画面☆マニアの評価のたびに借りていた。
評価が終わるたびに返却していたので、見たいときに見られないということに何度か見舞われたこともしばしば。まあ、自分でも買えない金額でもないので思い切って購入。購入金額は、2016年末時点で約58,000円だった。
UHD BDの再生機能だけを安価に手に入れるということであれば、Xbox One Sという選択肢もあった。たしかにXbox One Sは2016年末時点で約38,000円なので、DMP-UB90よりも約2万円も安い。しかし、筆者は初期型Xbox Oneを既に所有していたし、2017年内には高性能版「Xbox One」(後にXbox One Xとして発表)も出るので、さすがに躊躇した。
パナソニックのBDプレーヤーはマスターグレード・ビデオ・コーディング(MGVC)に対応しているのもあるし、クロマアップコンバート機能が優秀と言われているので、結局編集部からよく借りていたDMP-UB90を素直に購入したのだ。
ちなみに、上位のDMP-UB900としなかったのは、機能面でDMP-UB90と大差がなかったから。まぁ、当時の価格差が約4万円と高く、手を出せなかった、という財布事情の方が大きかったのだが……。
DMP-UB900とUB90の違いは、UB900のみ、アナログ高音質出力や同軸デジタル音声出力端子、Wi-Fi対応となり、クロマ処理が「4Kダイレクトクロマアップコンバートplus」となること(UB90にはplusがつかない)。画質面の差は大きくないし、筆者の場合サウンド関連はHDMI接続を前提としているので、機能差は無視できる、ネットワーク機能についても有線LAN端子があるので困らない。
実際、DMP-UB90が届き、実際私物として使い続けていても「DMP-UB900の方にすればよかった」という後悔はなかった。……なかったはずだった(笑)。
DMP-UB90の性能に満足するも、そのリモコンには不満があった
大画面☆マニアの評価は、基本的に筆者宅のホームシアターで行なっているのだが、その際、映像鑑賞時には暗室にすることが多い。プロジェクタの評価の時は当然として、薄型テレビの評価の時も地デジ放送を見る時以外も同様だ。
その際、困ってしまったのが、DMP-UB90のリモコンだ。
画面からの明かりでリモコンのボタン概要までは分かるのだが、[早送り]ボタンなのか[次チャプター]ボタンなのかが分かりにくい。[一時停止]と[停止]を間違えて押してしまうこともしばしば。間違えて[停止]を押してしまうと、再び再生しなおしても、その場から再生が復帰せず、ディスクを入れたときと同様の著作権保護啓蒙メッセージや映画配給会社のロゴから見直さなければならず、「やってしまった」と、忙しい映像評価時には軽く絶望することも。
明るいところで使う分には不満はないが、暗い場所で使用するには、ボタンが発光して見える自照式のリモコンの方がありがたいのだ。
また、DMP-UB90のリモコンは「あって欲しいボタンがない」というのも残念であった。
評価の際は「今の場面をもう一度見たい、確認したい」と言うことが多いし、普段、楽しみで映画を見ているときでも「今の台詞が聞き取りづらかったのでもう一度!」という局面がある。そんなときに、DMP-UB90のリモコンでは、[早戻し]ボタンを押すしか手段がない。早戻し操作は、戻しすぎになることが多く、加減が難しいのだ。
最近のプレーヤー製品のリモコンでは、一度ボタンを押すときっちりと一定秒数だけ戻したり進めたりできる操作ボタンを装備しているものも多く、この操作は先ほどの述べたような用途では非常に重宝するのだ。しかし、DMP-UB90のリモコンにはそんな機能はない。
それと、筆者は洋画などは英語音声で聞きつつ、英語字幕と日本語字幕をザッピング感覚で切り換えて見ることも多く、最近のプレーヤー製品のリモコンでは[字幕]ボタンがあって、これを押すたびに順送り式に収録字幕を切り換えていける操作が行なえる。DMP-UB90のリモコンには[字幕]ボタンがなく、いちいち Blu-rayソフト側のメニューを出して切り換えるのが不便なのだ。
「そんな無い物ねだりをしたって意味ないでしょ」という突っ込みが入りそうだが、実は、上で述べたDMP-UB90のリモコンに対する要望は、上位機のDMP-UB900のリモコンでは全て満足しているのだ。
- 自発光ボタン
- [10秒戻し][30秒送り]ボタン
- [再生情報][字幕][音声]などの専用ボタン
【DMP-UB900用リモコンが魅力に感じたポイント】
UHD BDプレーヤーとしての画質性能等には不満がなかった筆者だったが、ことに操作系の面では、DMP-UB900はうらやましく思えたのである。
DMP-UB900リモコンが売ってる!
ある日の取材を終えての雑談の際に、上で述べたようなことを、某メーカーのエンジニア方に漏らすと、「耳寄りな情報」が。
「DMP-UB90とDMP-UB900は基本的に同一世代のUHD BDプレーヤーで、制御系の部分はほぼ共通なので、DMP-UB90でもDMP-UB900のリモコンが使えると思いますよ。動作保証はしませんけどね」
これは試してみる価値はある!……と色めきだった筆者だったが、そもそも、メーカー純正品のリモコンはどうやって買えばいいのか。修理サービスに頼んで補修部品の形で取り寄せればいいのか。だとすれば型番は? ……と次から次へと疑問が浮上してきた。
ただ、ちょっとネットを調べてみると、すぐにDMP-UB900用のリモコンの型式番が「N2QAYA000129」だと判明する。
さらに調べて見ると、普通にビックカメラ、Amazon、その他の通販サイトでも売られていることもわかった。
価格は4,968円(税込)。
思ったよりも「高くない」。と言うわけで速攻で注文したのである。
DMP-UB90で普通に使えてしまうDMP-UB900のリモコン
届いてしまえば、あっけないものである。
すぐに開封して電池を入れて動作するか試してみたところ、拍子抜けするほどあっさりと動いてしまった。なお、別の機種のリモコンで使うというのは、本来メーカーのサポート外の使い方。本記事の内容もあくまで筆者が試した限りであり、サポート対象外の動作であることをご理解いただきたい。
操作ボタンを自発光する[ライト]ボタンは、最下部左にあって親指からリーチしやすいし、周囲にボタンがないので手探りで押すことができる。このレイアウトよく考えられている。
暗闇でライトアップすれば、全ボタンが白く発光し、[一時停止]と[停止]のボタンも暗闇でバッチリと見える。
DMP-UB90のリモコンでは、ややもすると誤タッチでトレイ開閉ボタンを押してしまうこともあった、[開/閉]ボタンに隣接していた[画面表示]、[再生情報]も、DMP-UB900のリモコンでは[開/閉]ボタンから離れているし、ちゃんとライトアップされるして扱いやすい。新しいテレビを評価する際には、[画面表示]はちゃんとUHD BDがHDR再生されているかチェックするのに、[再生情報]も同様で映像や音声の再生フォーマットをチェックするのによく使うので、こうした操作性の向上はほんとありがたい。
DMP-UB90のリモコンではなかったボタンが、DMP-UB900のリモコンでちゃんと通じることも確認。
上で述べた筆者個人的に欲しかった[字幕]ボタンも効くし、一定時間の戻し、送りはそれぞれ[10秒戻し]、[30秒送り]として実装されていてこれも問題なく操作できる。
この手のボタンでちょっと驚かされたのは[ディマー]ボタン。当然、DMP-UB90のリモコンにはなかったボタンだが、これを押すとDMP-UB90フロントのVFD表示(インジケーター)の輝度調整できるのだ。
筆者が試した限りでは、DMP-UB900のリモコンのボタンでDMP-UB90で機能しないものはない。上位互換リモコンとして機能すると考えていい。
リモコンを変えるだけでプレーヤーの満足度が向上!
家電製品に限ったことではないが、どんなに機能が優れていても、使い勝手に不満があると、使っているときの満足度は上がらない。
今回、たまたま、DMP-UB900のリモコンがDMP-UB90で使えてしまったことで、DMP-UB90への満足度が以前よりも上がってしまった。DMP-UB90の操作に対し、筆者のような不満を抱えていたユーザーは是非とも試していただきたい。
そういえば、今夏、DMP-UB90の下位モデルとして、フロントVFDを省略してさらに低価格化を進めたDMP-UB30が登場している。こちらはDMP-UB90と同じリモコンを採用しているようだ。こちらも、恐らくDMP-UB900のリモコンが使えると思うので試してみてもいいかもしれない(使えなくても筆者は責任を持ちません)。
N2QAYA000129 | DMP-UB90 | DMP-UB30 |
---|---|---|