ミニレビュー
BDレコーダを「DMR-BRZ2000」に買い換えたら快適に
タブレット連携やNAS対応で広がるレコーダの可能性
(2014/12/15 00:00)
この冬、主力のレコーダを買い替えた。購入したのはパナソニック「DIGA」のトリプルチューナ搭載の2TBモデル「DMR-BRZ2000」。3年前の3チューナ/1TBモデル「DMR-BZT700」からの買い替えだ。
筆者(編集部:臼田)は、DIGA以外にもnasneや東芝REGZAのタイムシフト(全録)機、初代全録DIGA「DMR-BXT3000」などを併用しながらも、基本的にメインのレコーダとしてDIGAを2世代使い続けてきた。
全録機は“地デジだけ”であれば最高に便利なのだが、筆者はBS/CS契約もしており、特にWOWOWの録画が多い。全録機で割り込み的にBS/CS録画を入れるのはどうも慣れず、結果的にDIGAを主力とし、全録機はサブと位置づけている。
nasneは、テレビやタブレットからの視聴も便利で、録画予約も簡単だが、いかんせんシングルチューナ。複数台の併用もできるのだが、BS/CS視聴のため、それぞれのnasneにB-CASカードが必要になってしまう。ただ、nasneはタブレットへの番組配信がしやすいため、主に寝室でのテレビのライブ視聴やNASとしても活用している。
いろいろな録画機を試してはいるものの、単体の「BDレコーダ」を中心に録画するというスタイルからまだ離れられそうにない。
最近BZT700のHDD残量が逼迫してきたほか、新モデルでは外出先からの「リモート視聴」に対応したり、4K/30p出力やNAS機能の追加など、さまざまな新機能が盛り込まれたこともあり、DMR-BRZ2000への買い替えを決めた。
DMR-BRZ2000に感じる地道な進化
購入を後押ししたのは、リモート視聴などDTCP-IP/DLNA配信機能の強化と、NAS機能だ。これまで使っていたDMR-BZT700に大きな不満は感じていなかった。
ただ仕事柄、最新製品に触れていると、やはり細かな不満が出てくるもので、その一例がホームネットワークにおけるDLNA/DTCP-IP番組配信だ。BZT700も番組配信に対応しているが、録画番組のみで、操作レスポンスも良くない。特にnasneと比べてしまうと不満は高まる。また、'14年春には「リモート視聴」が規格化され、外出先から自宅のテレビやレコーダにアクセスし、番組視聴できるようになった。このような新しい機能が増えていると、やはり主力のレコーダを更新したくなる。
実際にDMR-BRZ2000を使ってみると、操作レスポンスも良くなっており、3年あまりの進化は少し使うだけで感じられる。HDDが1TBから2TBに拡大したことに加え、USB HDDも追加可能になったこと(DIGA BZT700の次の世代からUSB HDD録画対応)も録画番組を慌てて見て消す必要がなくなるなど、心のゆとりも少し出来た気がする。
DIGAでは少し前の世代からスタート画面を用意し、[録る]、[見る]といったアイコンをベースにしたGUIでわかりやすい操作性を訴求している。ただ、昔からレコーダを使っている筆者にとっては、番組表/録画リストを中心とした操作性のほうが馴染みやすい。とはいえきちんと機能や設定が整理されているので、ほとんどマニュアルを見なくてもさまざまな機能にアクセス可能になっている。
また、BRZ2000では「セレクトバー」というユーザーインターフェイスも搭載している。これは、録画番組の検索性や出会いを高めるための新しいアプローチとなっており、リモコンのセレクトバーボタンを押すと、番組の上下左右に機能バーが表示され、それらをリモコンで選択すると、画面にオーバーレイする形で録画番組リストなどを表示し、再生できる。
セレクトバーの[上]は、左メニューに表示する項目を切り替えるもので、録画番組/新番組/最新ニュースなどが選択できる。[左]は上メニューで選択した録画番組や動画を選択、[右]は番組のシーン一覧、[下]は「似たものおすすめ」を表示する。番組を見ながら、次の再生コンテンツを選べるというのが特徴だ。セレクトバーの存在を思い出せるとわりと便利に使える。ただ、まだ自分の“習慣”とまでは至っておらず、使う機会はそれほど多くない。
気に入ったのは、新「フルリモコン」に搭載した[テレビ操作]ボタン。パナソニックVIERA以外の他社製テレビもHDMI接続していれば操作可能になるもので、実際にBRZ2000を接続しているREGZAのほとんど機能を特に設定も行なわずに利用できた。ちょっとテレビ側の機能を触りたい、といった時もテレビのリモコンを探さずにこのリモコンだけで完結できるので便利だ。
DLNA/リモート視聴が圧倒的に便利に
個人的にDMR-BRZ2000に期待していたのが、DLNAやリモート視聴などのネットワーク配信機能を使った番組視聴可能だ。これは期待通りの満足感が得られている。
DIGAでは、DTCP-IP/DLNAで家庭内の対応機に録画番組などを配信する機能を「お部屋ジャンプリンク」と呼んでいる。DMR-BZT700では録画番組のみの配信対応だったため、放送のライブ視聴用にnasneを併用するなど面倒な組み合わせになっていたが、BRZ2000の導入により、この家庭内配信を1台に集約できるようになった。
iOS/Androidでの番組視聴アプリ「メディアアクセス」が用意されており、レスポンスも良好。主にiPad 2で利用しているが、放送番組の場合は視聴開始まで約7~8秒、録画番組の場合は4秒程度で再生開始する。
画質は高画質(6Mbps)、標準画質(2Mbps)などが選べるが、家庭内であれば高画質でいいだろう。iPad 2で見ている限り画質に不満を感じたことはない。不満を言えばチャプタスキップができないことぐらいだ。
とにかく1台のレコーダの録画/放送番組を家庭内のどこからでも視聴できるというのは満足度が高い。
配信機能のもうひとつの特徴といえる「リモート視聴」だが、実はそれほど使っていない。導入からまだ2カ月程度であまり長期の外出が無いというのもあるが、ライブで見たいスポーツなど以外、積極的に使う機会は少ないように感じている。また、WOWOWやスカパー!など有料放送のスポーツだと、放送局が用意するオンデマンドサービスが充実しているので、そちらを見ている場合が多い。
ただ、11月のテニスのATPファイナルの「錦織圭×フェデラー」などは、BS朝日で23時頃に放送されたが、帰宅時間だったためリモート視聴を使って地下鉄内でずっと視聴していた。このように月に数回でも、ありがたみが感じられるシーンはある。
リモート視聴の画質は3.5Mbps/1.5Mbps/650kbps/400kbpsだが、iPhone 5sで使う限りは650kbpsで十分満足できる。
地味ながら重宝しているのが新アプリの「メディアアクセス」。番組の視聴に使えるほか、インターネット経由での録画予約サービス「DIMORA」の機能も内包しており、スマートフォンからの録画予約も簡単に行なえる。これまでもスマホからブラウザ経由でDIMORAを呼び出せば録画予約が行なえたのだが、一つのアプリに機能集約されて使いやすさは高まった。なお、メディアアクセスの対応デバイスは、iOS 7以降のiPhone/iPod touch/iPad/iPad miniと、Android 4.0.3以降。
地味だけど便利なNAS対応。アクションカメラユーザーに最適?
また、DMR-BRZ2000の発表時に心動かされたのが、NAS(LAN HDD)対応だ。従来もUSB HDDやSDカード経由でDIGAに取り込んだ動画や音楽をDLNA配信することができたが、BRZ2000ではWindowsパソコンから、Windowsのファイル共有機能を使って、DIGAにファイルをドラッグ&ドロップしてコピーできるようになった。そのためPCデータを蓄積する汎用的なNASのように利用できる。
設定は[ネットワーク通信設定]の[ファイル共有サーバー]を[入]にし、パスワードを設定するだけ。Windowsパソコンからネットワーク上のDIGA(初期設定では[DMR-BRZ2000])にアクセスすると、[DIGA_movies]、[DIGA_photos]、[USER_area]の3つのフォルダが表示される。このうちパソコンかでデータをコピーできるファイル共有領域は[USER_area]で、その他の2つはSDカードなどから取り込んだ動画や写真の記録領域となる。
1.32GBのMP4ファイルをVAIO Pro13から無線LAN(IEEE 802.11g)経由でコピーしたところ、約5分で転送完了した。
普通にレコーダとして使っている場合、録画データは膨大になるので、単にNASとして使うのは勿体無い。ただ、パソコンからのアクセスが楽になったことで、ビデオや音楽サーバーとしての利用価値は高まっている。筆者の場合、カートや自転車で撮影した動画をYouTubeにアップロードして、友人などとシェアするケースが多いのだが、アップロードが終わった動画はDIGAに移してパソコンのSSDを節約している。
転送したファイルは、DIGAのスタート画面-[動画ファイル(MP4)を再生する]から再生可できる。
アクションカムのような主観視点の映像は、テレビの大画面と相性が良いので、自宅に来た友人や家族に見せたりするのもいい。また、BRZ2000は30pまでの4K出力に対応しているので、ビデオカメラやアクションカムの4K映像を4Kテレビで見る際にも重宝しそうだ。
さらに、12月中旬のアップデートではハイレゾオーディオサーバーの追加も予告されている。レコーダだけでなく、NASとしてどのように進化するか、ユーザーとしてはこうしたアップデートの機能追加は素直に嬉しい。
[30秒スキップ]ボタンの配置が最大の不満
と、気に入った点を中心に書いてきたが、不満が全くないわけではない。それはリモコンのボタン配置。筆者は番組視聴中に[30秒送りボタン]を多用している。ドラマやバラエティ番組に中だるみを感じたり、急いでニュースを見たい時などに非常に便利な機能だ。
しかし、BRZ2000のリモコンのこの[30秒送り]ボタンのすぐ上に同じ形状の[予約確認]ボタンがあり、これを誤って押してしまうことが非常に多いのだ。予約確認を押してしまうと、番組の再生を止めて予約リストが表示されてしまうため、元の番組に戻るために録画リストを立ち上げて番組を選ぶという面倒なステップを踏むことになる。
DMR-BZT700の[予約確認]ボタンは一回り小さな丸型な上、そもそも離れた場所に配置されていたので、まず押し間違えることがなかった。それだけに、BRZ2000ではストレスが溜まる部分だ。ぜひ改善を望みたいポイントだ。
また、YouTubeなどのネットワークコンテンツの利用動線は今ひとつこなれておらず、個人的には使いこなせていない。この辺もう少しスマートにならないかな、とは感じる。
とはいえ、画質面では高階調映像を記録した「マスターグレードビデオコーディング(MGVC)」や、4K/30p対応など、最新レコーダならではの進化が盛り込まれているし、新著作権保護のSeeQVault対応なども魅力だ。
従来のUSB HDDの場合、DIGAやVIERAなどに紐付いた専用フォーマットのHDDとして管理される。そのため、DIGAで利用していたUSB HDDを他のDIGAにつないでも、HDD内のコンテンツは認識されない。一方、SeeQVault(SQV)は、SQV対応機器とHDDの組み合せで、録画した番組を他の機器でも再生可能になるのだ。
今回DMR-BZT700からBZR2000に移行するにあたって、BZT700の録画番組を2層50GBのBD-REディスクにダビングして、BRZ2000に書き戻す(BDムーブバック)という面倒な作業を数日繰り返すことになったのだが、SeeQVaultやDTCP-IPムーブ機能などを使えばもう少し簡単になるはずだ。
まあ、今回はSeeQVaultの恩恵は受けられていないのだが、今後こうした手間は発生しないのだろうなーと思いながら、BDムーブバック作業に勤しんだ。
なお、'12年秋発売以降のDIGAであれば、BRZ2000にDTCP-IPムーブの仕組みを使った番組の「引越し」が可能。さらに、'12年春モデル以降のAQUOSブルーレイからの引っ越しも行なえるという。最近のBDレコーダはこうしたユーザーの不満を少しづつ解消するように取り組んでいるのは心強いところだ。
プラスの進化で高まる満足感
これまでのDMR-BZT700には大きな不満を感じていなかったが、最新のDMR-BRZ2000に移行してみると、新しい製品ならではの魅力が細かな部分にまで感じられ、満足のいく買い物となった。不満といえば、前述のリモコンの[30秒スキップ]ボタンの仕様ぐらいだ。あとは10月の発売直後に8万円台で購入したのだが、翌週には7万円台中盤まで下がっていたので、購入タイミングをミスった、と自らを呪う部分は無くもない(いまでは更に値下がりしている)。
だが、11月11日に予想もしていなかったアップデートが発表された、12月中旬(まもなく!)にハイレゾ音源などの音楽ファイルのホームネットワーク配信機能やハイレゾ音楽配信サービス「e-onkyo music」の購入楽曲の自動ダウンロード機能が追加されるという。
これらの機能については今後試してからレポートしたいが、購入後のサプライズは、製品への満足度もアップする。購入直後でも期待値を超えてくれたが、さらなる今後への期待感も含め、いい買い物だったと思っている。
DMR-BRZ2000 |
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