プレイバック2014

リモート視聴やSVOD、4Kに感じる録画の変化 by 編集部:臼田

 仕事柄、各社の4Kテレビはひと通りチェックしたし、有名どころのヘッドフォンも大抵試聴するなどで、AV機器の進化が日々実感できた2014年。実際に購入し、なおかつ利用頻度が高かった製品は、10月に購入したパナソニックのBDレコーダ「DIGA DMR-BRZ2000」だ。

 DMR-BRZ2000については、先日レビュー記事を掲載しているので、そちらを参照して欲しいが、最新レコーダを導入したことで、自分の中で「“録画”という行為が変わりつつある」と実感した。

DIGA「DMR-BRZ2000」

 まずひとつは「リモート視聴」だ。宅外からの自宅のレコーダやテレビの録画番組やライブ放送をインターネット経由で視聴する機能だが、2月に規格化され、春にはソニーやパナソニックの製品で実用化されるなど、凄いスピードで実現された。若干の制限はあるものの、地デジ完全移行以来難しくなっていた「いつでもどこでもテレビ」環境がかんたんに実現できるようになったのは歓迎したい。

 ただし、自分の環境に導入してみたところ、「思ったほど使わない」というのも意外だった。ライブ性の高いスポーツイベントなどは、「WOWOWメンバーズオンデマンド」やスカパーなどの有料放送のストリーミングサービスが充実しており、そちらを使う機会のほうが多かった。リモート視聴を導入したことで、自分が思っていた以上に映像ストリーミングサービスに触れていたことを確認した。

 一方、BRZ2000を導入したことで、自宅内のタブレットなどへの番組配信も柔軟かつレスポンスよく行なえるようになり、自宅でタブレットでテレビ視聴というシーンが大幅に増加した。これは最新のレコーダならではの魅力と満足度の向上ポイントだ。

 また、定額制のストリーミングサービスも「dビデオ」と「Hulu」とを切り替えながら利用した。これにより、ちょっと昔の映画や海外ドラマなどはほとんど録画しなくなったのも'14年の録画事情の変化、といえるかもしれない。

 もっとも、画質的には市販BD→放送→ストリーミングで、特に放送とストリーミングの画質差はまだまだ大きい。ただ、ライブ性や利便性を活かしてストリーミングを活用する機会は、明らかに増えている。

 「利便性」では、録画→ストリーミングという時代の潮流を感じた2014年だが、一方で「質」の面での飛躍があったのも今年のトピック。

 6月には4K試験放送「Channel 4K」がスタートした。当初はかなり冷めた目で見ていたものの、4Kテレビの評価時などに身近な環境で4K放送を見ると、ネイティブ4K映像のインパクトは凄い。「将棋」番組の精細感などは、4Kでしか実現できない驚きに満ちている。

ソニーの4Kチューナ「FMP-X7」
Channel 4K

 また、NexTV-Fから毎月発表される「来月の追加番組」も、約10数番組と全部見られそうな絶妙なコンテンツの少なさが「所有欲」をくすぐってくれる。自宅にも早期に4Kレコーダを導入したいと考えているし、自分がここまで4K放送に興味を惹かれるというのも予想外だった。

 HDコンテンツの画質においては、BD→放送→ストリーミングの順。ただし、4K放送を入れれば、4K放送→BDといった序列になる。そして2015年3月からはスカパーの4K本放送で、[映画]、[総合]の2つのチャンネルもスタートする。一方で、'15年には4K BDの規格化が見込まれ、4KストリーミングやVODの本格化も予想される。来年の映像コンテンツでは「利便性」も「質」でも大きな変化が起こるのは間違いなさそうだ。

臼田勤哉