ミニレビュー

スマホと「エリアフリーTV Plus」でテレビを簡単リモート視聴。通信量はどれくらい?

 2014年は、スマートフォン/タブレットなどを使ってテレビの録画番組などを外出先からでも視聴できる「リモート視聴」対応機器が数多く登場した年でもあった。そんな中、シンプルな設定と操作でリモート視聴ができる製品として登場したのが「エリアフリーTV plus」だ。SoftBank SELECTIONオンラインショップで'14年12月20日から発売されており、直販価格は16,800円(税込)。これとNexus 5などのスマートフォンを組み合わせて、自宅の内外でリモート視聴を試した。

エリアフリーTV plus

 リモート視聴機能を使うにあたって1つ気になっていたのは、LTEの通信量がどれくらいになるかということ。テレビが外出先でも高画質で観られるのはうれしいが、そのためにキャリア/通信会社の容量制限を超えて速度が遅くなってしまっては、スマホ本来の使用に差し支えてしまう。実際に、どれぐらいの時間までなら使えそうかということもチェックしたので参考にしていただきたい。

スマホ/タブレット視聴に絞り、設定はとてもシンプル

 「エリアフリーTV plus」は、PC用のテレビチューナなどを手掛けるピクセラが設計と製造を担当し、SoftBank SELECTIONとピクセラのダブルブランド製品。無線LAN(Wi-Fi)やLTE回線を使って、スマートフォンで、フルセグの地上デジタルとBS/CSデジタルのテレビ番組が視聴できる。シングルチューナではあるが、最大2TBまでのUSB接続の外付けHDDを取り付けることで録画も可能だ。

 Softbank Selectionとしては2013年に「エリアフリー 録画対応デジタルTVチューナ」という機種が販売されていたが、今回紹介する「エリアフリーTV Plus」(SB-TV06-WRIP)は、その後継機種となる。SoftBank SELECTION オンラインショップ直販価格は16,800円(税込)。

以前のモデルから、iPhoneでは視聴できていた

 前機種から改良された点としては大きく2つある。1つは、視聴側の携帯電話の接続回線が携帯電話回線(LTE/3G)でもOKになったことだ。前機種ではWi-Fiでの接続にしか対応していなかったため、出先で使うにはモバイルルータなどが必要になっていた。もう1つはAndroidスマートフォン/タブレット、それにKindle Fireにも対応したこと。以前はiPhone、iPadシリーズのみの対応だった。

 対応機器としてアナウンスしているのは、iOS 7.1以降のiPhone 5/5s/5c/6/6 PlusとiPad Air/Air 2、iPad mini 2/3、Android 4.0以降のSoftBank/ワイモバイルスマートフォン、第2世代以降のKindle Fire。動作確認機種はSoftBank SELECTIONのWebサイトに記載されている通り、auのAQUOS PHONE SERIE、ドコモのXperia Z2、ARROWS NX F-06Eなど他事業者の端末も利用が可能となっている。なお、Android 5.0端末で接続できない問題があり、その対処方法も案内されている

 さて、前機種であるエリアフリー 録画対応デジタルTVチューナーが販売開始された2013年1月と違い、次世代放送推進フォーラム(NexTV-F)によって「リモート視聴要件」が定められた2014年現在は、スマートフォンでリモート視聴ができる競合機種がいくつか出てきている。

 それらと比較した場合の「エリアフリーTV plus」メリットは、視聴をスマートフォン・タブレットに絞ったために設定などが非常にシンプルで、かつ安価であることだろう。

 前機種からの変更点として、Wi-Fiでの家庭内LAN接続機能を省き、接続が有線LANのみとなった。これに起因して複雑なアクセスポイント設定やモード設定などが必要なくなったためか、接続前の設定がずいぶん簡単になった。ほかのリモート視聴可能な機器、たとえばBlu-ray Discレコーダなどと比べてもかなり簡単なのではないかと思う。

 セッティングには、家に有線LANと、LANにつながっているWi-Fiのアクセスポイントが既にあること、接続するLANのIPアドレスがDHCPによる自動振り当て設定であること、の3点が必須だが、「エリアフリーTV plus」にB-CASカード、LANケーブル(LANケーブルの逆端はルーター、あるいはハブに接続)、録画するならUSBハードディスク、そしてACアダプタの順に挿すだけ。これでチューナ側のセッティングが完了する。

背面。B-CASカードは、前機種のミニB-CASから変更されフルサイズになった
Google Playから専用アプリをインストール

 チャンネルスキャンなどのチューナに必要な初期設定は、このスマートフォン上のアプリから最初にチューナに接続した際に行なうが、これは何も難しいことはなく、基本的に画面の指示に従って進めていくだけでいい。

Androidスマートフォンでの視聴画面

 また、テレビの映像を写す端末側、すなわちスマートフォン・タブレットだが、こちらはテレビ視聴のために「エリアフリーTV Plus」専用のクライアントソフトを使う。そのため、このソフトをインストールしておかねばならないが、Android機の場合は、GooglePlayから、iPhoneの場合はApp Store、Kindle Fireの場合はAmazon アプリストアから無料でダウンローできる。これをインストールすると、スマートフォン・タブレット上でテレビ番組を見られるようになる。

 基本、宅内でスマートフォンでテレビ番組を見るだけならば、設定はこれで完了。非常にシンプルだ。初期設定では、アプリの表示が画面上半分がテレビ、下半分はWebというスタイルになっているので少しびっくりするかもしれないが、画面中央段の「CH」をタップすることで、チャンネル一覧画面を表示することができるので心配はいらない。

 ちなみに、2台、3台のスマートフォン・タブレットでテレビを見たいとなったら、同様に2台目、3台目のスマートフォンにアプリをインストールすればOKだ。

メニューから、視聴場所、画質を選ぶだけで屋外からも視聴が可能に

 この「エリアフリーTV Plus」は、NexTV-Fの「デジタル放送受信機におけるリモート視聴要件 Ver.1.0」に準拠した仕様となっており、1台のチューナに対して登録できる端末は6台までとなっている。これは他のNexTV-F リモート視聴対応レコーダやnasneなどと同じだ。

端末設定画面で外出先からのアクセスを可能にする

また、宅外でのリモート視聴には、チューナとアプリに追加で若干の設定が必要となる。このあたりの設定は、他のリモート視聴ができる機械も同じだと思うが、屋外からアクセスを可能にするために「ルータのUPnPの有効化」それに「外出先からチューナに接続する」設定を行なう。

 これらの設定は、スマホの「エリアフリーTV Plus」のアプリのひとつの画面でできる。それが「端末設定」画面だ。この「端末設定の画面」には「外出先から現在のチューナーに接続する」「UPnPを有効にする」設定がある、いずれもONにすることで、屋外からのアクセスが可能になる。回線が使えれば、海外からでも視聴可能だ。

 なお、NexTV-Fのリモート視聴要件に準拠した仕様で、「外出先からのチューナー接続」設定は、設定を行なってから90日間有効。それ以降も利用したい場合にはもう一度接続設定を行なう必要がある。

 いずれの設定もあっさりしており、簡単に設定できることが画面からもわかるだろう。

 前機種では、LTE/3G回線などに対応していなかったため、当時のレビューでもモバイルルーターを(Wi-Fiのように)使っての視聴となっていたが、本機の場合、スマートフォンのLTEや3G回線でもインターネットに繋がっていればどこでも、好きな場所で地上/BS/CSデジタル放送と、録画した番組を見られる。

 外出先でスマホの「エリアフリーTV Plus」アプリを開くと、最初に「自宅」「外出先(すべての機能)」「外出先(録画予約のみ)」というメニューが表示される。ここで[外出先(全ての機能)]メニューを選択することでテレビの視聴が可能だ。

 チャンネルの切り替えや録画した番組をみるための操作も非常に簡単で、画面上に表示されている「CH」をタップしてから、一覧として表示されているチャンネルをタップするだけだ。録画した番組を見るのも、フィルムの絵の録画アイコンをタップして録画番組一覧から見たい番組をタップすればいい。ちなみに、録画番組の再生を中断した場合、次に再生をしたときには自動的に中断した場面からレジューム再生が行なわれる。

 テレビ視聴中に番組表をメニューから選ぶと、その中から好きな番組をタップすることで、番組内容が表示され、番組の録画予約ができる。ほとんど遅延もなく番組表に移動し、屋外からも録画予約をすることができる。この辺の手順も手軽だ。

アプリを起動して最初に表示される「接続モード選択」
フィルムアイコンをタップすると、録画された番組一覧が表示。ここから選んで視聴する
メニューから番組表を選ぶ。外出先からの録画予約も簡単

 家の中で観るときに不満に感じたのは、録画番組を受信したスマホやタブレットからの外部出力が禁止されていること。エリアフリーTV Plusは、HDMIなどの出力端子を備えていないのでテレビなどへの直接出力はできないが、スマホからMHLなどのケーブルでの出力や、MiracastやChromecastでの外部出力、さらにはBluetoothでのスピーカ出力もできないようで、これらを使おうとすると強制的にアプリが終了してしまう。

 現在の規格における制限だとは思うが、個人で録画した番組を、家の中にある他のテレビの画面で見られないのは歯がゆい。

宅外視聴ばかりだと簡単に3日1GB制限対象に

 「エリアフリーTV Plus」は「高画質」設定であれば解像度は1,280×720ドット、30fpsで表示でき、スマホ画面では悪くはない画質だ。ちなみに、標準は解像度720×405ドット、低画質と低速回線画質は320×180ドットとなっている。

 ちなみに、4G LTEで屋外からテレビを受信してみたが、(下り実効5Mbps程度の環境で)高画質では多少ひっかかりがあるものの再生でき、それ以外の標準や低画質画質では問題なく再生できた。そのときの通信環境にもよるだろうが、基本的にはLTE回線であればスピード的にはそれほど問題なく再生できそうだ。

LTE回線で、屋外でも視聴が可能になった
画面が小さいスマートフォンでの再生のためか、標準や低画質で再生しても、データ量の減少ほどは画質に差を感じない

 ただ、LTE通信に関しては通信データ容量が大きさの方を心配したほうがいいだろう。というのも、番組を見るために必要なデータ通信の容量が「高画質」設定では30分番組で約1GBほど、「低速回線画質」の設定でも約250MBほどになるのだ。

モバイル回線を使ってアクセスしようとすると「通信料がかかる」と表示

 NTTぷららの「定額無制限プラン」など、最近MVNOから提供が始まっているLTE接続を無制限に利用できるプランなどを利用している場合はいいが、一般的にスマートフォンユーザーが利用している携帯電話事業者との契約は、非常に多いデータ量を通信すると通信を抑える速度制限がかかることがある。たとえば、ソフトバンクの回線の場合、3日間で1GB使用すると通信速度が128kbpsに制限されてしまう。低速回線画質でも30分番組を3日間で4本見るともう規制対象になるわけだ。

 なお、速度規制された場合どうなるか、試しに(ソフトバンク回線を本当に規制されると仕事に差し障るので、代わりに)MVNOの回線を使って200kbps規制下でリモート視聴を試してみたのだが、残念ながら「低速回線画質」でも、テレビ視聴が差し障りが出るレベルだった。数十秒に一回映像音声が途切れ、番組として楽しむことができない。利用には十分注意が必要だ。

 それとこれはアプリの問題かもしれないが、特にAndroid版はバッテリを消費する。Nexus 5の場合、1時間も番組を見ていると筐体が熱くなり、満タンだった電池が数割しか残っていなかった。

 これらを考え合わせると、このエリアフリーTV Plusは、外出先でモバイル回線を使って長い時間テレビを見る用途には厳しいかもしれない。筆者は最近、見る番組が週10本ほどになってしまい、溜め込んでいた録画番組をエリアフリーTV Plusにして移動時などに消化しようとたくらんでいたのだが、残念である。

 逆に、家庭内でWi-Fiを使い、スマートフォンをACアダプタに繋げた環境でテレビを視聴するという目的であれば、通信制限なども気にせず使えて、悪くない選択肢だと思う。宅内をうろうろ動きながらでも手軽にテレビが見られるというのは面白い。普段は家の中での視聴に使って、時々はリモート視聴も楽しみたいという人は、検討してみてはいかがだろうか。

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大和 哲

1968年生まれ東京都出身のライター。88年、パソコン誌「Oh!X」(日本ソフトバンク)にて執筆開始。PCやスマートフォン、モバイル関係のQ&A、用語解説、プログラミング解説などを書く。代表作は「ケータイ用語の基礎知識」(インプレス・ケータイWatch) Oh!X誌上では「オタッキー(で)」とも呼ばれた、その筋人。最終学歴は東海大学漫画研究会。ホームページはhttp://ochada.net (イラスト : 高橋哲史)