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Chord、4.4mm出力、USB-C充電で進化したDAC兼ヘッドフォンアンプ「Mojo 2(4.4mm端子搭載モデル)」

Mojo 2(4.4mm端子搭載モデル)

エミライは、Chord ElectronicsのポータブルDAC兼ヘッドフォンアンプ「Mojo 2(4.4mm端子搭載モデル)」を12月19日に発売する。価格はオープンで、市場想定価格は82,500円前後。既存のMojo 2を進化させ、従来の3.5mm出力に加えて4線シングルエンド方式の4.4mm出力端子を搭載し、現代のトレンドに対応した。

さらに、3.5mmもしくは4.4mm出力の前回利用時の音量・DSP・クロスフィード設定へ自動復帰するメモリー機能も追加。複数のヘッドフォンの使い分ける時などに、便利に使えるようになっている。

Mojo 2(4.4mm端子搭載モデル)

また、従来のmicroUSBに依存せず、USB-Cでデータ通信と充電の両方を完結できるようアップデート。ミュート機能、4段階のクロスフィード調整、ボタンロック、UHD DSPによるロスレス・トーン・コントロールなど、Mojo 2の強みはそのまま継承しながら、現代的で使いやすいFPGA DACへと進化している。

4線シングルエンド方式の4.4mm出力端子について

Mojo 2(4.4mm端子搭載モデル)

追加された4.4mm出力端子は、 L+ / L− / R+ / R−を別個に配線した4線シングルエンド出力方式。一般的なバランス駆動用(左右独立・正相/逆相の二系統アンプによる差動駆動方式)ではない。

「ケーブル伝送のバランス/アンバランスという話ではなく、あくまでヘッドフォンをどのように駆動するのが最も理想的かという観点で選択されたもの」だという。

Mojo 2の中核となるPulse Array DACと、ディスクリート出力段は、本質的にシングルエンドでの動作に最適化されたアーキテクチャである事が関係しており、多数のパルスエレメントを組み合わせてアナログ信号を生成するこの方式は、単一基準点での精密動作、高度な時間軸制御、極めて低いノイズフロアを得意とするため、回路構成を複雑化させず、信号経路を可能な限り純度の高い形で維持することが重要となる。

このDAC構造を前提にすると、左右で完全に独立したリターンを持たせ、シングルエンドのまま信号純度とチャンネル分離を向上させるという4線式シングルエンド方式が、最も合理的な選択だという。「これは決して“バランス駆動の簡易版”ではなく、Pulse Array DACの性能を最大限に発揮させるための理にかなった構成」とのこと。

高速なFPGAとパルスアレイDACを活用

それ以外の主な特徴は既存モデルと同じ。外形寸法は83×22.9×62mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約185g。

Chord ElectronicsのDAC回路の中核となるのが、FPGAと呼ばれるプログラムが書き込まれたデバイス。Mojo 2(4.4)では、カスタム仕様のXilinx製「Artix 7」を採用している。

長年にわたり開発を牽引してきたデジタル設計コンサルタント、ロバート・ワッツが30年以上かけて開発した「WTAフィルター」を採用。D/A変換時の時間軸情報のタイミング精度を極限まで追求し、デジタルデータをFPGAに取り込んだうえで、本来A/D変換時に取り込まれたであろう元のアナログの波形を類推して補間することで、デジタル化される前のアナログの波形を高い精度で再現する。

演算タップ長は40,960タップ。タップ長は、オーバーサンプリングフィルターの演算精度を示すもので、タップ長が多いほど、精緻な処理が可能になる。Mojo 2(4.4)では40,960タップの16FS WTAフィルターを搭載し、40個の208MHz DSPコアを並列に使用してWTAフィルターを演算。初段目のWTAフィルターに続く2段目のリニアー・インターポレーション・フィルターにより、256FSまでオーバーサンプリングを行ない、時間軸情報の再構築精度を向上させた。

独自技術であるパルスアレイDACは、生来源信号を変調させる度合いが非常に低いことが特徴。

Chordは、ノイズシェイパーの性能について、パフォーマンス、特に正確な奥行き表現を人間が知覚するために極めて重要と考えており、Mojo 2(4.4)では4基のパルスアレイ・エレメントを搭載して9次でノイズシェイパーを動作させることで、ディテールの解像度とサウンドステージの奥行きの知覚を大幅に向上させている。

ジッター低減のためにデジタル方式のフェーズ・ロック・ループ(DPLL)を採用し、強力にジッターを除去。データは、PCM 768kHz/32bit、DSD256のネイティブ再生に対応する。

フルトランスペアレント型ロスレスDSP「UHD DSP」を搭載。705-768kHzで動作する104bitのカスタムDSPコアを採用した独自技術で、他のオーディオDSPと一線を画すという精度を実現。内部で徹底したノイズシェーピングを行なうことで、微小信号のフィルタリングを維持したまま、極めてクリアな音質を確保した。

UHD DSPを活用し、全周波数帯域を18段階で調整可能。ロスレス・トーン・コントロール機能により、オーディオ信号のイコライジングを簡単に変更できる。また、1モードあたり各18段階、1dB毎に調整ができ、最大9dBのブーストおよびカットができる。

FPGAベースのバッテリー充電システムを搭載し、高い充電速度を実現。電力損失が少ないため、低温環境でも効率よく充電できる。バッテリー駆動時間は約8時間。

改良版のインテリジェントデスクトップモードも搭載。一定時間充電し続けていると自動的に充電モードを切り替えて、内蔵バッテリーを維持するために充電動作を自動的に最適化。絶縁型バッテリーと電源ユニットの再設計により音質を損なうことなく動作し、フィルタリングとアイソレーションの改善も実現している。

デジタル入力は、光デジタル、同軸デジタル、Micro USB、USB-Cの4系統搭載。出力は3.5mmステレオミニと4.4mm4極シングルエンド方式の2系統。

Mojo専用ストリーマー/サーバーである「Poly」(別売)とドッキングし、ハイレゾストリーミングやmicroSDカードからの音楽再生が可能になる。