ミニレビュー

PinPや1080/60p対応したHDMIキャプチャ「AVerMedia GC550」を試す

 AVerMediaの「Live Gamer EXTREME」(GC550)は、HDMI経由で映像や音声をキャプチャできるHDMIキャプチャデバイス。PCとUSB接続することで、HDMIで接続したゲームやPCの映像などを録画したり、ライブ配信することが可能だ。Amazon.co.jpでは26,784円(税込)で販売されている。

GC550

 特徴としては、USB 3.0をサポートし、最大1080/60pのキャプチャに対応したこと。また、PCに接続したWebカメラの映像をサブ画面として表示するPinP(子画面表示)機能を搭載。さらにMIC/AUX入力を利用してマイク音声を取り込むことも可能になっており、いわゆるゲーム実況の機能が強化されている点も特徴の1つだ。

GC550を持ったところ

 本体前面にはステレオミニのマイク端子とAUX端子、背面にはPC接続用のUSB 3.0端子、コンポーネント端子、HDMI入力と出力を搭載。HDMIが入力だけでなく出力も備えているため、キャプチャしたい製品とディスプレイの間にGC550を接続することで、HDMI分配器などを別途用意する必要なく、画面を見ながら同時にキャプチャできる。外形寸法は145.3×97.2×29mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約182g。

本体前面
本体背面
カバーを取り外して自分好みにデザインをカスタマイズできる
同梱ケーブルはHDMI、USB 3.0、コンポーネント、PS3接続用、AUX用と充実

キャプチャにはPCが必須。高品質キャプチャはPCスペックも重要

 GC550でのHDMIキャプチャは本体のみでは行なえず、PCの接続が必須なほか、専用ソフト「RECentral 2」のインストールが必要。RECentralの対応OSはWindows 7/8.1/10で、Mac OS環境では利用できない。

RECentral 2

 RECentral 2の操作は非常にシンプルで、録画の場合はプルダウンから画質を選択し、右下の「REC」ボタンをクリックするだけ。画質は「最高」「良い」「標準」の3段階に加え、「カスタム」から自由に設定することも可能だ。

プルダウンから画質を選択
画質のカスタマイズも可能
『画質の設定】
解像度フレーム
レート
映像
ビットレート
音声
ビットレート
最高1,920×1,08060fps30Mbps256kbps
良い1,280×72030fps12Mbps128kbps
標準848×48030fps4Mbps128kbps
カスタム
(最大)
1,920×1,08060fps60Mbps256kbps
カスタム
(最小)
576×36015fps0.3Mbps32kbps

 ライブ配信の場合は画面左側のライブ配信アイコンをクリックしてメニューを切り替え、配信したいサービスを選択。対応サービスはUstream、ニコニコ生放送、YouTube Live、Twitchのほかに独自のRTMPサーバーへも配信が可能だ。指定したサービスにログインした後はライブ配信と同様に画質を選択し、右下の「STREAM」ボタンからライブ配信を開始できる。

配信の場合はタブを切り替える
対応配信サービス
Ustream、ニコニコ生放送の場合はIDとパスワードでログイン
YouTube Live、Twitchは「認証」ボタンからブラウザを起動して認証を行なう
YouTube Liveの認証手順。IDとパスワードでログインしたのち、画面にコードが表示されたら「続行」を選択
AVerMedia Live Streamingの要求内容を確認して承認
ライブ配信の品質設定
右下の「STREAM」を押して配信を開始

 特徴といえる1080/60pだが、今回うまく試せなかった。というのも、CPUにCore i7を搭載した初代「LaVie Z」で1080/60pのYouTube Live配信を試してみたところ、配信の映像はコマ落ちやブロックノイズが乱発、動画自体も早送りのようにフレームが飛んでしまい、品質的に満足がいくものではなかった。

 インターネット回線の問題かと思い本体に録画してみたものの品質はあまり変わらず、ビットレートを5Mbps程度まで落としても安定した映像品質にならない。

 1080pをあきらめ、720/30pまでスペックを落としてみると画質やフレームも落ち着き、やっと満足のいく映像になった。

 AVerMediaによれば、ノートPCの推奨スペックはCPU/グラフィックボード内蔵のハードウェアエンコーダが必須とのことで、1080p/60fpsという高い品質でライブ配信や録画を行なうには、相応のPCスペックが必要だ。

 また、今回試したYouTube Live配信では、設定した日本語タイトルが文字化けしてしまった。今後ソフトウェアが修正される可能性もあるが、現状はタイトルを日本語ではなく英語で設定するといった回避策が必要そうだ。

Webカメラで手軽に実現できるPinP

PinPの設定画面

 もう1つの特徴であるPinP(子画面表示)機能は、画面中央のタブを「ダッシュボード」から「シーン」に切り換えることで利用できる。シーン設定では画像表示やWebカメラ表示が可能なプリセットがいくつか用意されているほか、自分の好きな設定にカスタマイズすることも可能だ。

 設定した画像やカメラの映像は場所やサイズを自由に設定可能。また、Webカメラの映像をメインにし、HDMI経由の映像をサブとして表示するといった入れ替えも可能だ。なお画像の挿入は複数可能だが、Webカメラの表示は1つまでに制限されている。

複数の画像とWebカメラ画像を追加したところ
外部音声の取り込みはプルダウンから選択

 外部音声を取り込みたい場合は、画面左の音声入力ソースからプルダウンで設定を変更する。HDMIの音に加えてマイクや外部音声を取り込んだり、マイクや外部音声のみでキャプチャすることも可能だ。

 画質はWebカメラということもあり高くはないが、サブ画面として表示するのであれば十分。何より通常はスイッチャーなど高価な機材が必要になるPinPが手軽に導入できる点が魅力だ。

PinPは手軽で便利。高品質キャプチャはPCも高いスペックが必要

 GC550の大きな特徴は1080/60pのフルHD動画キャプチャとPinP(子画面表示)の2つだが、前者に関してはキャプチャする側のPCも非常に高いスペックが必要。そもそも1080/60pという動画は、低スペックPCではコマ落ちしたり再生が止まってしまったりと再生することすら難しい場合もある。高品質のキャプチャを行なうには相応のPCスペックが必要だと実感した。

 一方、PinPに関してはWebカメラやPC内蔵のカメラで手軽に実現できるのが嬉しい。画像の挿入もできるため、簡易的なテロップとして利用することも可能だ。基本的にはHDMIで接続した映像をキャプチャするための機器だが、ビデオカメラを接続すればライブ配信機材としての活用も可能だ。例えばイベントをライブ配信するときに登壇者をビデオカメラで、会場全体の雰囲気をWebカメラで、とうい使い分けも可能だろう。

 本製品本来の目的とされているであろうゲーム実況は、最近ではゲーム本体が配信機能を備える傾向にあるものの、好きなWebカメラを利用できたり画像を挿入したりといった自由度はGC550が上。また、そもそもWii Uはライブ配信機能を標準では備えていないため、本製品を使ってPinPで自分の顔を映しながらゲーム実況という環境も簡単に構築できる。

 同様の製品であるAVT-C875と比べると、SDカードを利用した単体録画という点ではAVT-C875も未だ魅力がある。1080/60pの高品質キャプチャやPinPを使いたいかどうかが、GC550を選択する基準と感じた。

AVT-C875とのサイズ比較
Amazonで購入
GC550

甲斐祐樹