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【レビュー】ソニー製ヘッドフォンの“顔”。「MDR-1R」を聴く

液晶ポリマーフィルムと切れ込む低音。NCモデルも


 ソニーが10月27日に発売した「MDR-1R」は、同社を代表する、“ソニーのヘッドフォンの顔”として開発されたモデルだ。

 定価は30,975円と高価だが、量販店では10月30日現在、既に25,000円程度まで下がっており、5万円以上も珍しくない各社プレミアムクラスの中では、比較的購入しやすいモデルと言える。

 同時に、バリエーションモデルとしてノイズキャンセリング「MDR-1RNC」(49,350円)や、NFC(近距離無線通信)対応のBluetoothモデル「MDR-1RBT」(43,050円)も展開。“1Rシリーズのベース”となるモデルでもある。Bluetoothモデルは別の機会に紹介するとして、今回は「MDR-1R」を中心に、「MDR-1RNC」も聴いてみた。


「MDR-1R」のシルバーモデル 「MDR-1R」のブラックモデル



■ZX700とZ1000の間に収まらないモデル

新モデルの「MDR-1R」(左)と「MDR-1RNC」(右)

 「MDR-1R」の立ち位置を理解するために、2010年9月から発売されている「MDR-Z1000」(61,950円)と「MDR-ZX700」(12,390円)の2機種に遡りたい。

 「MDR-Z1000」は量販店でも販売されているモデルだが、スタジオモニターヘッドフォンとしてプロ向けにも訴求されている。モニターヘッドフォンの定番である同社「MDR-CD900ST」に負けないモデルとして投入されたものだ。

 「Z1000」の目玉は、ユニットの振動板に「液晶ポリマーフィルム」(伸度の高い液晶ポリマーワニスを用いたキャスティングフィルム)という新しい素材を使っている事。スピーカーでもヘッドフォンでも同じだが、振動板の理想の材料は、“軽量かつ高剛性”で、なおかつ“内部損失が高い”(固有の音を持たない)事。歪が出ず、音に固有のキャラクターがつかない素材が求められる。


モニターヘッドフォンの「MDR-Z1000」
「MDR-ZX700」。デザインはZ1000とほぼ同じだ

 液晶ポリマーフィルムは、この理想の素材にかなり近いものとして採用された。確かに、一般的なヘッドフォンに良く使われる「PETフィルム」という素材を指でクニクニしてみると、いかにもフィルムっぽい「ペチャペチャ、クチャクチャ」という音がするのに対し、液晶ポリマーフィルムでは、そうした“変な音”がほとんど出ない。

 それゆえ、Z1000のサウンドは、モニターとして非常に高解像度であると同時に、音色が極めてナチュラル。人の声の暖かさや、アコースティックギターの響きの木のぬくもり、打ち込み系楽曲の電子音の冷たさが同じ色に染まらず、異なる温度でキッチリ描き分けられる。

 同時に、モニターヘッドフォンであるため、音楽の“アラ探し”をするための道具としても機能。音像がリスナーと近く、むき出しの音が迫ってくるようなサウンド。コンサートの最前列から身を乗り出して、バンドの中心に頭を突っ込んだような聴こえ方で、モニターとしては理想的だが、椅子にどっしり座り、ゆったり音楽を楽しみたい時には、ちょっとキツイという側面も持っている。

 民生用の上位モデル「MDR-ZX700」は、振動板にPETフィルムを採用して価格を抑え、音場も広く、音像とリスナーの間にも適度な距離を確保。最前列で椅子に座って音楽を楽しんでいるような聴こえ方をするモデルになっている。

 その事から、Z1000とZX700のレビュー記事では、両者の“いいとこ取り”をして、液晶ポリマーフィルムを使いつつ、ZX700のような民生機寄りの音像定位で、価格は6万円(Z1000)と1万円(ZX700)の間くらいのモデルが欲しいと書き、開発者の方にも「ZX700とZ1000の間をぜひ」とお願いしていた。

 そのお願いが通じたのかはわからないが、「MDR-1R」は民生向けのヘッドフォンで、なおかつ液晶ポリマーフィルムを採用。値段もちょうど30,975円(定価)と、ちょうど中間ぐらいで登場。名前も「MDR-ZX800」とか「MDR-ZX900」かと思ったのだが、「MDR-1R」というシンプルなものになった。MDRシリーズの看板モデルという意味が込められているそうで、ZX700とZ1000の間に収まらないモデルと見る事もできるだろう。いずれにせよ、同社の自信が現れている型番だ。


左がMDR-Z1000の振動板。右が1Rの振動板。同じ液晶ポリマーフィルムを使っている



■色付けの無い音と、新しい低音

 前置きが長くなったが、製品を見ていこう。「MDR-1RNC」がブラックなこともあり、「MDR-1R」はシルバーをお借りした。シルバーなのはハウジング部分で、イヤーパッドやヘッドパッドはブラウンで渋めの配色。見た目は高級感があるが、素材はプラスチック部分が多い。重量は約240gで、手にしてみると密閉型の高級機としては非常に軽い。これならば屋外にも気軽に持っていけるだろう。ハウジングを平らにする事もできる。

MDR-1Rのシルバーモデル ハウジングを平らにする事もできる

 特徴は前述の通り、40mm径ユニットの振動板に液晶ポリマーフィルムを使っている事。再生周波数帯域は4Hz〜80kHzと、ハイレゾ音源にも対応可能なワイドレンジ仕様。感度は105dB、インピーダンスは24Ω、最大入力は1,500mWだ。

 数値だけではわかりにくいので、iPhone 4Sに直接接続。静かな部屋で、ボリュームバー位置が80〜90%程度でちょうどいい音量が得られる。フルボリュームだとうるさく感じるほどの音量だが、耐えられずにヘッドフォンを外すほどではない。

 イヤーパッドには、低反撥ウレタンフォームを立体的に縫製したものを使用。イヤーパッドがあえて内側に倒れ込む構造で、耳を包みこむような働きをする。また、独自のハンガー構造を採用し、ハウジングの回転軸を内側に向ける事で、より安定した装着を可能にしている。

低反撥ウレタンフォームを立体的に縫製したイヤーパッド 側圧はソフトだが、耳をしっかりと覆ってくれる

 装着してみると、軽さと快適なフィット感が組み合わさり、ほとんど負担を感じない。側圧はソフトだが、吸い付くように頭部にフィットし、耳の下もしっかりカバー。頭を動かしてもズレない。イヤーパッドの触感もソフトで、数時間つけっぱなしでも苦にならない。細かい点だが、ジョイント部分にはシリコンリングを使い、可動部のガタつきを低減し、音楽鑑賞時の静けさを確保したという。

 ケーブルは着脱式で、ヘッドフォン側の端子は普通のステレオミニ。気軽に様々なケーブルを試せるのは嬉しいポイントだ。なお、付属ケーブル表面には、縦方向に溝が作られている。これは、からみの原因となる表面の摩擦を低減するための工夫で、ソニーでは「セレーションコード」と呼んでいる。長さは1.2mで、iPhone/iPod/iPad用のマイク付きリモコンを備えたタイプも同梱。キャリングポーチも付属する。

シリコンリングでガタつき防止 ケーブルは着脱可能。端子はステレオミニだ
ケーブルは片出しで、右ハウジングの末端には赤いカラーリングがある。これにより、手にするとすぐに左右が判別できる マイク付きリモコンのケーブルも用意 表面に溝が作られたセレーションコード

 「MDR-1RNC」のデザインは、「MDR-1R」とほぼ同じ。実は、搭載しているユニットは50mm径でこちらの方が大口径なのだが、カラーがブラックなので、頭につけてみると「1RNC」の方がむしろ目立たない。ヘッドフォンを目立たせたいか、そうでないかでカラーを選ぶと良さそうだ。

MDR-1RNC。ブラックなので、1Rのシルバーよりもむしろ小さく感じる

 振動板は液晶ポリマーフィルムで、装着感に関する構造も1Rとほぼ同じ。ノイズキャンセリング(NC)には「デジタルデュアルノイズセンサーテクノロジー」が使われている。

 これは、ヘッドフォン内部に配置したマイクが、耳元に近い位置で集音した騒音を、ノイズキャンセリング回路で解析し、逆相の音を出す「フィードバック」方式と、ヘッドフォンの外側に設置したマイクで騒音を集め、キャンセル信号を再生する「フィードフォワード」方式を組み合わせたもの。

 1RNCでは、ヘッドフォンの外側と内側の両方にマイクを搭載。集音した騒音と、プレーヤーからの音楽信号を、DNC(デジタルノイズキャンセリング)ソフトウェアエンジンでデジタル化し、フィードフォワード・フィードバックの2つの方式を統合。騒音を打ち消す、逆相の音を高精度に生成。約99.7%のノイズキャンセリング性能を実現したという。

 なお、環境に合わせてNCモードを切り替える「AIノイズキャンセリング」機能も備わっているが、動作がフルオートなので、ユーザーは何も操作しなくても、その環境に合ったNC処理を行なってくれる。

 バッテリは内蔵のリチウムイオン。充電はUSB経由で、所要時間は4時間。約22時間の使用が可能。再生周波数域は5Hz〜24kHz。インピーダンスは51Ω。最大入力は100mW。感度は103dB(電源ON時)、101dB(電源OFF時)となる。ケーブルまわりの特徴は1Rと同じ。重量は330gだ。

ハウジングの底部にNC機能のON/OFFスライドスイッチ 充電はUSB経由で行なう ハウジングを縁取る赤いラインが特徴だ
イヤーパッド部分 1RNCの付属品 付属のキャリングケース



■色付けの無い音

試聴の様子

 比較用には、Z1000とZX700も用意した。なお、1RNCの音は後ほど記載する。ポータブルプレーヤーはiBassoの「HDP-R10」を、据え置きヘッドフォンアンプには、ラトックの「RAL-24192HA1」や、まだ発売前だがDSD対応の「RAL-DSDHA1」などを使っている。

 1Rの全体的な傾向として、ワイドレンジで高域の抜けが極めて良く、開放型のような爽やかさがある。低域はトランジェントが良好で、切れ込むような鋭さがある。膨らんだ重低音がヴォーヴォーと淀むヘッドフォンの対極にある。

 細かく見ていこう。まずZ1000で、高域がキツ目な「坂本真綾/トライアングラー」を再生。Z1000の特徴はとにかく高解像度で細かな音が聴き取れる事だが、高域がキツくて耳が痛く、「細かい音が聴こえるわー」と嬉しがりながら、梅干しを食べたような顔で音楽を聴く事になる。

 1Rに交換すると、「これが同じ音楽か」と笑ってしまうほど違う。高域がしっとりと滑らかになり、同程度の音量でもまったくキツさは感じない。Z1000では、ヴォーカルのサ行とドラムの高音がカサカサした、同じような音に聴こえてしまうが、1Rでは質感の違いがキッチリ描き分けられている。


 高域がキツくないと言っても、頭を抑えられたナローな音ではない。抜けは極めて良く、ハウジングからの鳴きはまったく聴こえない。Z1000がむき出しの解像度を追求した音ならば、1Rは“情報量の多い美音”だ。

 音像の定位も大きく異なり、満員電車のドア付近のように、耳穴に向かってヴォーカルや楽器が俺も俺もと飛び込んでくるZ1000に対し、1Rはスッと奥へ下がり、ヴォーカルと楽器が並び、自分との間に適度な距離を作ってくれる。自分とアーティストとの間の空間を感じると共に、ヴォーカルと楽器の間の何もない空間も聴きとる事ができ、広い音場に、音像が定位する立体的なサウンドが楽しめる。長時間リスニングに適した音だ。

 特筆すべきは、音像と距離がありながらも、そこから発せられる音には、細かい部分までビシッとフォーカスが合っており、Z1000から解像度が低下したという印象は受けないこと。Z1000の音像が、そのまま後ろに下がったようだ。それゆえ、高域がキツイ曲をかけても眉間にシワが寄らず、「細かい音が聴こえて気持ちいいなぁ」と、うっとり目を閉じられる。

左がZ1000、右が1R

 次に音色をチェック。「藤田恵美/camomile Best Audio」から「Best of My Love」を再生。Z1000と1Rはどちらもヴォーカルの声が非常に生々しく、Z1000は口の中が見えるようなリアリティを感じる。この2機種を聴いた後で、PETフィルムの振動板を採用しているZX700に変えてみると、声が若干硬質になり、音像が薄くなったように感じられる。生身の人間が、作り物っぽくなったと言い換えても良い。

 これは、振動板固有の音が再生音に乗っているため。この違いに気付くと、Z1000/1Rがアコースティックギターの弦の金属音と、木の筐体が振動する響きの温度差をキッチリ描きわけているのに対し、ZX700は両社にPETフィルムの硬い音が重なり、かすかなキャラクターが付帯している事がわかる。

 イヤフォンでも同じだが、ダイナミック型を聴いた後で、バランスド・アーマチュアに切り替えると、解像度が上がると同時に、音が固く、金属質に聴こえる。しかし、何日も聴いていると気にならなくなる。ZX700の音も、単体で聴いている限りは特に不満は感じないのだが、より生々しいZ1000/1Rを聴くと、付帯音込みで聴いていた事に気づいてショックを受ける。聴き慣れた人の声で特に違いがわかりやすいので、この違いに注目して聴き比べて欲しい。

 「山下達郎/Ray Of Hope」の「希望という名の光」は、量感のあるベースの張り出しとヴォーカルが重なる楽曲だが、1Rでは胸が圧迫されるような音圧を感じながらも、ヴォーカルがそれに覆われず、明瞭に聴きとれる。時折入るギターやバックのストリングスも含め、個々の音が何色にも染まっておらず、音の周囲に余計な付帯音が無く、音像の彫りが深くて立体的。それゆえ、音楽が持つメッセージが、とても強く伝わってくる。

 ZX700では、ベースの押し出しが弱く、胸に迫る圧迫感が少ない。ヴォーカルは解像度の面では明瞭だが、ベースの音色と似通っており、音像は平坦になる。1RとZX700はコンシューマ向けの、似たような音場再生型のヘッドフォンなので「あまり違いは出ないのでは?」と思っていたが、別次元だ。比較なので着け変えているが、正直1Rを聴いてしまうと、ZX700を再び装着しようという気が起きなくなる。



■特徴的な低域

 1Rは低音にも特徴がある。開発にあたっては、現在の電子音楽で低音のピークになっているという30〜40Hzをしっかり再生できるよう、ソニー・ミュージックの協力も得ながら、ロンドンの音楽スタジオで音作りを追求したそうだ。

 一聴してわかるのが、トランジェントの良さだ。適度な締まりがあり、普通は低音を「ボンボン」、「ズシンズシン」などと表現するが、「トストス」と、まるで切れ味の良い包丁でキュウリでも輪切りにしてるかのような、鋭さのある低音を聴かせる。あまり他のヘッドフォンでは聴いたことがない低音だ。

1Rのハウジング上部。穴が開いている

 この低域には「Beat Response control」と呼ばれる技術が使われており、ハウジング上に通気孔を設けて、低域の通気抵抗をコントロール。振動板の動作を最適化し、低域の過渡特性を改善。「リズムを正確に再現できる」というのがウリだ。

 ケニー・バロン・トリオ「Fragile」から、ルーファス・リードのベースでZ1000と比べてみる。Z1000は、背骨にズシンと響くような最低音の沈み込みがあり、固く、芯のある重い低音が聴こえる。膨らみは極力抑えられ、モニターらしい締まりのある低域だ。

 1Rは沈み込みの深さは若干負けるが、Z1000よりも切れ込みが鋭い。同時に、低音の余韻として残る響きは少なく、全体の印象としてはサッパリとした低音に感じる。歯切れが良く、ドロドロと後に残らず、スッと消える。ヴィクター・ウッテンの技巧派ベースが気持ち良い。

 ホームシアターのサブウーファのように、地鳴りがするような低域とは方向性が異なるため、聴く人によっては「沈み込みが甘い」、「硬さが足りずに腰が弱い」と感じるかもしれない。ただ、このあたりをもっと強くしていくと、おそらく1Rが持つ全体的な軽やかさ、ハイスピード感が失われていくような気がする。この低域をどう感じるかが、このヘッドフォンを気に入るかどうかの重要ポイントと言えるだろう。

 また、iPhone 4Sなど、スマートフォンと直接接続する場合、かなりボリュームを上げ目にしないと低音の心地よさが出て来ない。可能ならばよりドライブ力のあるプレーヤーや、外部アンプの使用を検討した方が良いだろう。

 なお、音漏れはそれなりにあり、前述の通気孔に耳を近づけると、けっこう漏れている。iPhone 4S直接接続で80%程度のボリュームにすると、静かな部屋で隣に座ると「シャカシャカ」という音が聴こえる。走行中の電車では騒音でわかりにくくなるだろうが、すぐ近くに他の人がいる時は、音量を下げ目にした方が良いだろう。



■MDR-1RNC

MDR-1RNC

 ノイズキャンセリングモデルも聴いてみよう。まずはNC能力だが、これがかなり優秀だ。電車の中で使ってみると、「ゴーッ」という走行時の騒音はまったく聞こえなくなり、加減速時のモーター音と、レールの繋ぎ目のタタンタタンという音がわずかに残る程度。車掌さんのアナウンスのみが異様に明瞭に聴こえて面白い。

 深夜の工事現場で「ヴォー」と唸り続ける大型発電機の音も消える。深夜の自室で、タワー型デスクトップPCの隣でONにすると、冗談抜きでPCの音が無音になり、耳を寄せても聞こえない。色々なNCヘッドフォンを自室で試してきたが、ここまで綺麗サッパリ消えるのは初めてだ。NC機能はトップクラスと言っていいだろう。

 これで1R並の音質なら文句無しだが……。NC機能OFFで聴いてみると、1Rでは感じなかったハウジングの反響音が聴こえ、高域の抜けが若干悪くなる。ドライバが大型になっているためか、低域の量感が増え、中低域の盛り上がりも強くなる。「トストス」と切り込むような低音が、ヴォーヴォーと膨らみがちになる。迫力が増したとも言えるが、個人的にはちょっといただけない低音だ。

 NC機能をONにすると音が激変。まるで頭の上からかぶっていた布団をバサッと外したように、サァーッと抜けが良くなり、ハウジングの反響音も消え、肥大化していた中低域がサッと引っ込み、1Rに近いバランスになる。

 だが完全に1Rと同じではなく、低域が少し強く、中高域の分解能はわずかに落ちる。メリハリが強く、ある意味で1Rよりわかりやすい音だ。音色面では、デジタルっぽいというか、若干強調されたキャラクターを感じ、滑らかさが少ない。1Rに変更すると、アナログライクなホッとする音に戻り、コントラストは低いのだが、全体としては情報量が増加する。

 ただ、1Rと比較するとこうした違いを感じるだけの話であり、1RNC単体にフォーカスしてみると、強力なNC機能と、NCヘッドフォンながら抜けの良い、開放感のあるサウンドを実現した実力機と言えるだろろう(ただしNC機能ON時のみ)。




■まとめ

 1Rは装着感の良さも含め、個人的には疲れて帰宅した後にボーッと音楽を聴くには非常に適した製品だと感じる。普段、音を聴きながらリアルタイムに感想を書いているのだが、心地が良いため、「記事は後でいいや」という気になり、指が止まってしまう。ゼンハイザーのHD800でも似たような事があったが、ある意味危険なサウンドだ。

 分解能の高さ、抜けの良さを持ちながら、気品を感じる高域。重さや硬さは少し足りないが、ハイスピードで気持ちのいい低域、そして何より色付けの少ない、リアリティのある音そのものが魅力のモデルだ。モニターヘッドフォンより気軽に音楽を楽しみたいけれど、派手目な低音はいらず、分解能やキャラクターの少なさを重視するという人にはマッチするだろう。極端な部分が無いため、多くの人にオススメしやすいモデルだ。

 同時に、美音というか、綺麗な音に上手くまとめあげられている感覚があり、モニターライクな音を求める人や、低域の迫力を重視する人には「大人しくてパンチが弱い」と感じるかもしれない。高域が美しい女声ヴォーカルや、低域に迫力のあるロックなど、傾向の異なる曲を携えて、試聴してみて欲しい。

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MDR-1R
MDR-1RNC
(ノイズキャンセリング)
MDR-1RBT
(Bluetoothモデル)

(2012年 11月 2日)

[ Reported by 山崎健太郎 ]