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ソニー、MDR-1Rの解像度を高めたヘッドフォン「MDR-1A」。USB DAC内蔵「MDR-1ADAC」も

 ソニーは、密閉型ヘッドフォン「MDR-1R」の新機種「MDR-1A」と、MDR-1AにUSB DAC機能も搭載した「MDR-1ADAC」の2機種を10月24日に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は「MDR-1A」が28,000円前後、「MDR-1ADAC」が37,000円前後。

 カラーバリエーションはどちらもブラックとシルバーを用意する。

MDR-1A
MDR-1A、左からブラックモデル、シルバーモデル

MDR-1Rを踏襲しながら振動板刷新/バランス対応したMDR-1A

 MDR-1Aは、MDR-1Rのデザインや音のコンセプトを踏襲しながら、さらなる高音質化を図ったモデル。ユニットは、新開発の40mm径HDドライバーで、振動板のハイコンプライアンス化により、低域再現性を高めつつ、100kHzの高音域再生に対応。軽量のCCAWボイスコイルを用いる事で、高域でのリニアリティの高いレスポンスも実現している。

 さらに、振動板は従来の液晶ポリマーフィルムの表現に、アルミニウムの薄膜をコーティングした「アルミニウムコートLCP振動板」を採用。高域における内部損失をさらに向上させ、超高域までナチュラルな再生を実現したとする。

MDR-1Aのシルバーモデル
振動板は「アルミニウムコートLCP振動板

 ハウジングは密閉型。ビートレスポンスコントロール技術を投入し、ハウジングに設けた通気孔を使い、低域の通気抵抗をコントロールし、過渡特性を改善。リズムを正確に再現できるという。

 ケーブルは片出しでステレオミニ端子で着脱可能なのは従来モデルと同じだが、バランス駆動に新たに対応。別売の専用ケーブルを用いる事で、対応ヘッドフォンアンプと組み合わせてバランス駆動ができる。ソニーが発売する対応ケーブルは、入力端子が3極ステレオミニ×2本タイプで、別売のバランス駆動対応ポータブルヘッドフォンアンプ「PHA-3」と接続できる。

片出しケーブルだがバランス接続にも対応できる

 付属ケーブルは1.2mのアンバランスタイプだが、グランドの扱いが通常のケーブルと異なる。通常のヘッドフォンでは、LとRからのグランドの帰り道を、ユニットの近くでまとめてしまっているが、付属アンバランスケーブルはLRのグランドを分けた4芯構造となっており、グランドが2本のケーブルに分かれたままステレオミニの入力端子まで戻っている。端子部分では1つにまとまるが、左右の分離が改善され、音の広がりと、引き締まった低音を実現するとしている。入力端子は4芯となっている。

 イヤーパッドには、エルゴノミック立体縫製を採用。頭部の凹凸にフィットする構造になっているほか、立体縫製により、低反撥ウレタンフォームが歪まずに、柔らかさを引き出している。また、イヤーパッドは内側に倒れこむ「エンフォールディングストラクチャー」構造を採用。気密性を高め、音漏れを低減。重低音再生にも寄与している。

 独自のハンガー構造の「インワードアクシスストラクチャー」も採用。ハウジングの回転軸をより内側に向け、装着安定性を高めている。ハウジングの表面には、一眼レフなどに使われる表面処理のプロット印刷を採用。ケーブル着脱部にはゴールドのリングを配し、ハイレゾオーディオをイメージしたという。重量は225g。

 なお、MDR-1A向けには、交換用ケーブルも別売する。往路と復路の導体を撚り合わせることで、外部に発生する磁束をキャンセルし、伝送ロスを低減するツイストペア構造のケーブルを用意する。

 ラインナップは、2mでバランス接続(ステレオミニ×2本)対応の「MUC-S20BL1」(10月18日発売/オープンプライス/店頭予想価格8,500円前後)、3mで標準プラグのアンバランスケーブル「MUC-S30UM」(同8,500円前後)、1.2mでステレオミニの「MUC-S12SM1」(同6,500円前後)を用意する。

2mでバランス接続(ステレオミニ×2本)対応の「MUC-S20BL1」
3mで標準プラグのアンバランスケーブル「MUC-S30UM」
1.2mでステレオミニの「MUC-S12SM1」

DACをヘッドフォンに内蔵したMDR-1ADAC

 前述のMDR-1Aをベースに、ハイレゾ対応USB DAC機能も内蔵したモデル。モバイル機器向けに最適化された、独自のフルデジタルアンプを、ハイレゾに対応させた「S-Master HX」を搭載する。

DACをヘッドフォンに内蔵したMDR-1ADAC
Xperiaとデジタル接続したところ
MDR-1ADAC、左からブラックモデル、シルバーモデル

 PCに加え、iPhone/iPod/iPad、さらにウォークマンとのデジタル接続が可能。Xperiaシリーズに限定されるが、スマートフォンとのデジタル接続もできる。PC、ウォークマン、Xperiaとの接続時には、アシンクロナス伝送が可能。

 なお、DACとしては192kHz/24bitまでのデータに対応しており、DSDも5.6MHzまでの再生が可能だが、DSD再生時はPCMに変換しての再生となり、ダイレクト再生には非対応。

 ステレオミニでのアナログ接続も可能。1.2mのケーブルも同梱する。ケーブル接続時はパッシブのヘッドフォンとして動作し、フルデジタルアンプの「S-Master HX」は使われない。

 重量は約300g。内蔵バッテリでの連続使用時間は約7.5時間。

デジタル接続用のUUSBケーブル
側面に入力を備えている。アナログ接続も可能だ

ファーストインプレッション

 MDR-1Aと初代のMDR-1Rを比較した。

 色付けの少ない、ニュートラルなサウンドはMDR-1Rから継承されている。低域のゆったりとした量感も健在だ。

 進化したと感じるのは解像感だ。中高域だけでなく、低域も含め、全体のフォーカスがピシッと合い、個々の音の細かな輪郭や質感が、よりクッキリ聴き取れる。ヘッドフォンを交換すると、何枚か透明のベールを剥いだような違いがある。MDR-1Aでは、ハイレゾ楽曲の美味しいところが、より聴き取りやすく進化している。

(山崎健太郎)