【スマホLIFE】RDのフル機能を使えるリモコン「RZタグラー」

豊富な対応機種。タグリストの番組情報共有も


RZタグラーでRD-A300をコントロール

 AV機器のスマートフォン活用が最も進んでいるジャンルが、レコーダとの連携操作だろう。前回取り上げたDIGA用アプリ「ビイトル」だけでなく、ソニーや東芝も対応を進めている。その中でも、もっとも意欲的なメーカーは、東芝だろう。今回はその東芝のレコーダ連携iOSアプリ「RZタグラー」を紹介する。

 東芝は、2010年10月にスマートフォンなどとAV機器の連携構想「REGZA Appsコネクト」を発表。REGZAブルーレイ「RD-X10」などの発売に合わせて、iPhone/iPod touch/iPadをレコーダの無線LANリモコンとして利用できる「RZコマンダー」と、RZコマンダーの全機能に加え、独自の「タグリスト」を作成できる「RZタグラー」を提供開始した。

 東芝が、正式にサポート機種として挙げているのは、2010年秋モデル以降のREGZAブルーレイと、CELL REGZAの2010年モデル「55X2」、「55/46XE2」、2011年春モデル「Z2シリーズ」などのテレビ。

 だが、RZタグラー/コマンダーとも一部機能が限られるものの、実は基本的なリモコン機能は2002年12月の「RD-XS40」以降のネットdeナビ対応レコーダでも利用可能。スマートフォン上のタイムバーを操作して、早送りができるタイムバーサーチも「RD-XS34(2006年10月1日発売)」以降のネットdeナビ対応レコーダであれば利用できるなど、かなり昔のRDシリーズ/VARDIAでも「スマートフォン操作」が可能になる点も特徴だ。ソニー、パナソニックも2009年以降の機種の多くがスマートフォン連携対応だが、RZコマンダー/タグラーが使える機器の数は圧倒的だ。今回も2006年発売のHD DVDレコーダ「RD-A300」でテストしている。

 利用前に東芝が運営するサーバー「HDEX」への登録と、レコーダ側のネットdeナビ設定が必要。あとは、同一ネットワーク内のRDシリーズ/REGZAが自動検出される。詳細なセットアップガイドもあるので、参照すれば作業自体はそれほど難しくないはずだ。

 機能も豊富。というよりは、電源ONから始まり基本的にレコーダの付属リモコンのほぼすべての操作をスマートフォン上で実現できる。なおかつ無線LANによる双方向通信を生かしたタイムバーを使ったスキップ操作が可能。操作のレスポンスも良好で、RD-A300でも付属リモコンとほぼ変わらない操作感を実現できる。また、無線LANのため赤外線のようにレコーダ本体にリモコンを向けなくてもいいので非常に使いやすい。

 RZタグラーは主に、チャンネル選択、カーソルキーを中心にした基本操作、番組再生、その他など5つの画面で構成されるが、この画面遷移に慣れさえすれば、アプリをメインのリモコンとして活用してもいいと感じる。タイムバーを見ながらのチャプタ打ちやスキップができるのもスマートフォンならではだ。

チューナ操作画面基本操作画面再生操作画面。タイムバーサーチが便利その他操作画面
ジャスチャーサーチ画面

 また、タッチパッドを使った「ジェスチャーサーチ」にも対応。タッチパッドをなぞることで、上下で音量、左右で再生/早送りなどの操作が行なえる。おもしろい機能だと思うが、「便利か?」と問われるとあまり使い道は無いように感じる。

 無線LANリモコンだけでなく、東芝ならではの機能といえるのが、「タグリストシェア」だ。録画した番組に対し、アプリでユーザーが時間情報(タイムコード)やタイムコードに紐づいたコメントを付与。その情報をサーバーにアップロードすることで、対応のREGZAやRDシリーズユーザー間でタグ情報を共有できるもの。このタグリストが作成できるのが、RZタグラー、作成機能を省いたものがRZコマンダーとなる。

 最近のレコーダで録画した番組であれば、基本的にCMと番組の間はチャプタが付与されているが、それだけでなくユーザーが見どころにチャプタではなく、「タイトル(タグ)」をつけて、その部分を頭出しできる。ユーザーがタグを付与するため、全ての番組にタグが用意されているわけではないが、主要なバラエティ番組やアニメには大抵タグが作成されていた。

 サッカー中継のゴールシーンだけにタグ付けとか、歌番組であれば、「CM」-「曲」-「トーク」-[曲]といった効率的に番組を見るために汎用的に使えるタグもあれば、AKB48でも「篠田麻里子」の出演シーンだけとか、タグを付与した人による見どころコメント付きとか、ユーザーがタグを作成するが故の楽しさがある。まれにタグの情報に間違いもあるが、ある意味、ほかの人の番組の見方をのぞき見できるような感覚が面白い。

 RZタグラーでのタグリスト作成はシンプル。番組再生中にタイムバーの下に現れる[タグ]ボタンを押すことで、任意の位置にタグを設定できる。番組を見終わった後などに、タグリスト作成でそれぞれのタグに名称を付けられ、完成したら[公開]すれば、他の対応REGZA/レコーダユーザーもそのタグを利用できるようになる。また、共有したタグについて、コメントを付与する「リタグ」の機能も備えている。

公開されたタグリストを見ながら録画番組を再生できるタグを作成。番組の任意の位置でタグを付与し、名前を設定

 タグリストのコンセプトはユニークかつ、タグのつけ方自体も簡単だ。ただ、タグはRZタグラー/コマンダー上でしか認識されない情報なので、チャプタとの違いが分かりにくいとか、仕組みを理解するためには実際に使ってみて、なおかつある程度の慣れが必要とは感じる。サービススタート後、半年といったところだが、もう少し「タグ」の数が増えてほしいところだ。

 ただし、東芝ではRZタグラーのAndroid版とPC版の提供も5月をめどに予定しているとのことで、特にPC版が提供開始されることでこうしたタグ編集の作業効率も上がりそうだ。また、RZタグラー/コマンダーだけでなく、「RZ現在番組」、「RZ見るナビ」、「RZアートリモコン」という3つのアプリも開発中とのこと。REGZAブルーレイとREGZAのスマートフォン拡張はまだまだ続きそうだ。


【RZタグラー】
(App Storeで見る)
【RZコマンダー】
(App Storeで見る)
発売元東芝
対応機器iPhone/iPod touch/iPad
OSiOS 3.1.3以降
バージョン
(公開日)
version 1.3.5
(2011年1月24日)
価格無料

(2011年 3月 8日)

[AV Watch編集部 臼田勤哉]