スマホLIFE

スマホの充電もできる無線LAN SD/USBリーダー

デジカメ画像をスマホで活用。ラトック「REX-WIFISD1」

 以前、このコーナーで無線LAN SDカードリーダーの「MeoBankSD」(加賀ハイテック)と、「NUBES」(挑戦者)を紹介した。今回レビューするラトックの「REX-WIFISD1」もほぼ同時期の'12年12月に発売された製品で、同様にSDカード内の写真などをワイヤレスでスマートフォンから見られるリーダー。ユニークなのは、スマートフォン充電対応のバッテリを備えている点だ。

 無線LAN SDカードリーダーは、デジタルカメラで撮影した写真を、ワイヤレスでスマートフォン/タブレットにコピーでき、SNSアップロードなどに活用可能な製品。SDカードスロットの無いiPhone/iPadユーザーには特に便利で、無線LAN搭載デジタルカメラ/SDカードを持っていなくても、手持ちのデジカメ/SDカードで利用できる点がメリットだ。もちろんAndroid端末や、PCでも利用できる。

 スマートフォンユーザーの中には、充電が切れた時のためにモバイルバッテリを持ち歩いている人も少なくないと思うが、今回の「REX-WIFISD1」は外部充電も可能な大容量バッテリを内蔵。iPhoneなどのバッテリが切れても充電が可能だ。他社製品とも比較しつつ、使い勝手を試した。今回も、接続機器はiPhone 4Sと第3世代iPad、Android搭載ウォークマンのNW-F807/Sを使っている。

細部まで作りこまれたアプリ。ルータとのブリッジ接続も

REX-WIFISD1

 「REX-WIFISD1」(以下WIFISD1)は、外形寸法は約118×79×14mm(縦×横×厚さ)で、iPhone 4Sなどのスマートフォンと比べるとやや幅広なサイズ。スマートフォンでいえば、5.5型ディスプレイのGALAXY Note II(約151×80×9.7mm)と同等の本体幅だ。厚さはそれほどないので、スマートフォンと重ねても片手で持てる程度。

 本体にSD/SDHC/SDXC対応カードスロット(128GBまで対応)と、USB 2.0端子を備え、SDカードやUSBメモリ内のファイルを無線LAN経由でスマートフォンなどからアクセス可能。同時に5台までの機器と無線LAN接続できる。

SDカードスロットと、外部充電用のUSB端子
側面の電源スイッチと、本体充電用のマイクロUSB端子
iPhone 4sと厚さ比較
WiDrawerアプリ画面

 スマートフォンとの接続には、専用アプリ「WiDrawer」を使用。アプリはiOS 4.0以降のiPhone/iPad/iPod touchと、Android2.2以降のスマートフォン/タブレットに対応している。本体の電源ON後にスマートフォン側でWIFISD1の無線LAN SSIDを探して接続した後、アプリを起動すると自動でSDカードやUSBメモリのファイルを表示できる。電源ONから無線LAN接続できるまでの時間は40秒ほど。加賀ハイテックのMeoBankSDと同時にONにすると、iPhone側でほぼ同時に認識された。

 アプリ画面でSDカード内のファイルにアクセスすると、SDカード内の構造がそのまま表示され、階層をたどって目的のファイルを探す。他社製品のように、動画や音楽、写真といったカテゴリ別にファイルを抽出する表示画面は用意されていない。ただ、他社アプリに無かった機能として、ファイル名での検索が可能となっていた。写真はiPhoneの場合4列×3行のサムネイル、またはリストで表示され、タップすると全画面で表示できる。

 USBメモリ内のファイルも同様に表示可能。なお、同じくSD/USBを備える加賀ハイテックのMeoBankSDは、SDとUSBを両方挿すと、SDが優先される(USBは表示されない)ようになっていたため、USBメモリを使う場合はSDを一度抜く必要があった。WIFISD1では、USB/SDの両方を挿したままで、ファイルを表示可能。細かな点だが、抜き差しの手間が減るのはうれしい。また、他社製品ではSDカードなどの抜き差しを行なうと、本体やアプリを再起動しなければならないものもあったが、WIFISD1では再読み込みだけで表示されていた。

USBメモリ内の画像なども表示できる
SDとUSBどちらも読み込める

 表示された写真は、スマホ本体への保存や、SNS共有が行なえる。複数選択して同時にダウンロードしたり、SDからUSBへコピーするといったことも可能。WiDrawerアプリが、Facebookやメールなど、他のアプリと連携してアップロードできる。撮影した写真を、その場にいる友人に渡したい場合も、その人のスマホにアプリをダウンロードしてもらうことで、好きな写真を選んでもらえる。メールで何回も送るよりは手間が少ないだろう。

 SNSなどへのアップロードにはインターネット接続が必要だが、スマートフォンをWIFISD1と接続したままで、室内の無線LANルータなどへ接続可能。WIFISD1は、スマホとルータのブリッジ接続にも対応しているのだ。これにより、SNSへアップロードする際にも、いちいち無線LANの接続先を変更する必要が無い。ブリッジ接続するための設定も、アプリから行なえる。「設定」メニューの「Wi-Fi接続設定」で接続先のSSIDを選び、パスワードを入力すればOK。インターネット接続が成功すれば、本体の一番左にあるランプが緑色に点灯する。

写真を拡大表示したところ
選択した画像をiPhone本体やUSBメモリに保存できる
複数選択でまとめてコピーすることも可能
共有/メール添付が可能
メール添付したところ
ウォークマンでFacebookへ投稿
ルータなどへのブリッジ接続設定もアプリから行なえる
インターネット接続完了すると、本体の一番左のランプも点灯

 写真だけでなく、動画や音楽も再生可能。対応するファイル形式はiOSとAndroidで異なり、iOSは音楽がMP3/AAC/M4A/WAV/AIFF、動画がMP4/MOV/M4V、静止画がJPEG/TIF/GIF/BMP/PNG、ドキュメントはTEXT/Excel/Word/Power Point/PDF/Keynote/Numbers/Pagesのファイルに対応する。Androidは、MP3、MP4、JPEG/PNG、TEXT/Excel/Word/PowerPoint/PDFのみ対応。ファイルシステムはFATのほか、exFATやNTFSもサポートしている。

 iPhone 4SやiPadで音楽再生を試したところ、Apple LosslessのAACも再生できたほか、MP3はジャケット画像表示も行なえた。リピートやシャッフルも可能だった。動画については、1,920×1,080ドット/30pのMP4ファイルも、読み込みの間を少し待っていればスムーズに再生できた。ウォークマンF807でも同様にMP3ジャケット表示は可能だったが、Apple Losslessは再生できなかった(Google Playミュージックアプリ利用時)など、iOSと全く同じではなかった。この辺りは端末の再生対応形式や搭載アプリによって違いがあると思われる。

フルHD動画再生画面(iPad)
音楽再生画面(iPhone)
音楽再生画面(ウォークマン)
PC用ソフトはラトックのサイトで公開されている

 パソコンとWIFISD1を無線LAN接続する場合は、ラトックの製品情報サイトでダウンロード提供しているソフト「FindWiDrawer」を使用。無線LAN接続先としてWIFISD1を選択し、ソフトを起動すると、ネットワーク内にあるWIFISD1を検出し、接続できる。パソコンの対応OSはWindows XP/Vista/7/8と、Mac OS X 10.5以降。

 PCで接続するとWebブラウザ上に設定画面が表示。ここでブラウザにIPアドレスが表示されるので、これをブックマークしておけば、毎回ソフトを立ち上げなくてもWIFISD1の画面にアクセスできる。なお、ライバル製品のMeoBankSDやNUBESのPC向けの設定画面は英語表示だったが、WIFISD1の設定画面は日本語表示となっていた。Webブラウザからアクセスすると、スマホアプリで利用できる機能のほかに、SDカードからUSBへのファイルの移動、削除、名前の変更、ファームウェアアップデートなども行なえる。

 このIPアドレスはiPhoneの無線LAN設定画面でも確認できる(「ルーター」の項目に表示される)ため、これをWebブラウザから打ち込めば、PCを使わなくてもiPhone/Androidから設定画面(表示はPC向け)に入ることができた。

PCからアクセスしたときのメニュー画面
細かなインターネット設定が行なえる
WIFISD1のSDカードにあるファイルの消去や名前の変更なども可能

うれしい長時間動作。モバイルバッテリ+αとしても

USB経由でiPhoneなどを充電可能

 WIFISD1の特徴であるバッテリ充電機能も試した。本体に3,000mAhのバッテリを内蔵しており、iPhoneなどUSB充電対応の機器へ充電可能。外部給電の端子はUSB-Aで、出力は最大DC 5V/1A。iPadへの充電も行なえた。充電時のケーブルはスマートフォンなどに付属するものを使用し、iPhone 4Sならフル充電も可能だ。なお、WIFISD1本体のみでの連続動作時間は約9時間で、ライバル機の3~5時間に比べて圧倒的な差がある。もちろん本体はそれなりに大きなサイズだが、電池の残量を気にせず使えるところは大きなメリットだ。

 スマホへの充電中も、無線LAN機能は利用可能。本体のバッテリが少なくなると、LEDの色が赤色に変わって知らせる。なお、WIFISD1使用中にバッテリ残量がどれくらいあるかを確認することはできないが、もしアプリなどでパーセント表示が可能なら、さらによかったと思う。WIFISD1への給電はマイクロUSB端子を使用し、本体付属のケーブルでUSBから充電できる。パソコン接続時は、SDカードリーダーとしてとも利用可能だが、その際は無線LANは使用できない。

 直販価格は7,980円で、ライバル機に比べるとやや高価(MeoBankSDは実売5,980円、NUBESは直販4,180円)。ただ、余裕のあるバッテリや、SD/USBの同時利用対応、アプリやPC設定画面の細かな作りなどもあり、この価格差は納得できる範囲だ。最近は大容量バッテリ内蔵のスマホも増えてきたが、スマホ用に普段モバイルバッテリを持ち歩いている人は、バッテリのついでにSDリーダー/ポータブルサーバーとして使えるWIFISD1を検討してみると良いだろう。

製品名REX-WIFISD1
発売元ラトックシステム
対応機器iOS 4.0以降のiPhone/iPad/iPod touch
Android 2.2以降
発売日2012年12月下旬
価格直販7,980円
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REX-WIFISD1

中林暁