西川善司の大画面☆マニア

第193回

大画面マニア、自宅に4K放送を導入。「家4K」の魅力

4Kチューナ搭載「58Z10X」で「Channel 4K」を見る

 4Kテレビのラインナップが揃ってきた。

 それに連動して4K放送も6月に試験放送「Channel 4K」が、スカパー!プレミアム上でスタート、シャープからは録画対応で初の4K放送チューナ「TU-UD1000」が発売された。さらに、10月にはソニーから4Kチューナ「FMP-X7」が、そして東芝からは初の4Kチューナ内蔵テレビ「REGZA Z10Xシリーズ」が発売された。

4Kチューナ内蔵の東芝「58Z10X」
シャープ AQUOS 4Kレコーダー「TU-UD1000」
ソニー「FMP-X7」

 つまり、ディスプレイとなるテレビだけでなく、コンテンツ側でも4Kネイティブの準備が整ってきたといえる。

 筆者の連載「大画面☆マニア」における4Kテレビの評価も、そろそろ4Kコンテンツを使った評価をすべきフェーズに来たのかも知れない。「大画面☆マニア」は一部のケースを除けば筆者宅に評価機を設置して、長めの評価期間を使ってマニアックに評価するのが信条。その意味では、筆者宅も早急に4K放送を視聴できるように準備する必要がある。

 ということで、大画面☆マニア番外編として、4K視聴環境を設置するまでの経緯を体験記的にレポートする。

4K放送を見るためのアンテナ設置ソリューションは?

 4K放送を見るために、必要なものは以下の4点だ。

  • 4K放送に対応したテレビ(HDCP 2.2準拠のHDMI入力がある4K対応テレビ)
  • 対応受信機(4Kチューナ内蔵テレビでは不要)と、スカパー! ICカード
  • ハイスピードHDMIケーブル(4Kチューナ内蔵テレビでは不要)
  • 124/128度 CSデジタル放送対応アンテナ

 次回の大画面マニア評価用に、テレビ単体では初の4Kチューナ内蔵モデルである東芝「58Z10X」を用意するとともに、その比較用にとソニーの4Kチューナ「FMP-X7」も揃え、我が家に4K放送を迎え入れる体制は万全……のつもりでいた。しかし、実際には住まいやアンテナ設置に伴う障害もいくつかあった。ということで、筆者の自宅での4K導入の顛末を紹介したい。

 筆者は埼玉県内の一軒家に住んでいる。この家は、AV機器の評価やPC関連機器の評価が出来るように、かなり電気(電機)環境を重視して筆者自ら設計に加わり新築したのだが、それもいまや17年も前のこと。「配線をなるべく床や壁に這わさない」をコンセプトに、将来やってくる機器に備えて、AVやPCに関連したケーブルを予備配線として天井内や壁内に回して隠蔽配線したのだが、17年前当時のアナログベースのケーブルばかりで、デジタル前提の今となっては無用の長物になってしまった(笑)。

 アンテナも同様で、BSやCSのアンテナは当時のアナログ衛星放送のもので、「今は立っているだけ」で何の役にも立っていない(取り外し工事は有料なため)。

 現在、124/128度CSデジタル放送を見ている人であれば、4K放送導入のために対応テレビとチューナ、スカパー! ICカードがあればいいのだが、筆者の環境では、アンテナを立て直すことから考えなければならない。

 調べてみると、スカパー!プレミアムの「Channel 4K」試験放送を見るためには124/128度CSデジタル放送対応のアンテナを立てなければならないとある。と、その情報だけで近所の某大型電機量販店に出かけたのだが「アンテナ単体は販売していない」、「アンテナの取り付け等についてはスカパー!に電話して問い合わせて」と言われ、あまり親身に相談に乗ってくれなかった。

ケーズデンキで実施中の格安「スカパー!アンテナ設置」サービスは2015年の3月31日まで実施中とのこと

 仕方なく、その足で近所のケーズデンキに出向いたところ「スカパー!にはいるなら、ケーズデンキにおまかせ!」キャンペーンなるものをやっていると案内され、標準で税込18,600円のアンテナ取付工事を税込5,000円で行なえるとのこと。

 取り付けられるアンテナはBSデジタル、110度CSデジタル、124/128度CSデジタルの全てに対応したアンテナになるというから、今回の目的にもぴったりとはまる。

 一応、アンテナ取付工事後は、1chでもいいので、1年間はスカパー!の視聴契約を継続させることが条件だとのこと。それの条件を満たさない場合は18,600円の正規アンテナ工事費が請求されるという仕組みらしい。事実上の違約金に相当するものと考えていいだろう。

 なお「Channel 4K」はスカパー!の設備を使った放送だが、「スカパー!サービスの一環ではない」(サポートセンター側の回答)とのことで、Channel 4Kの契約だけでは前述の違約金が発生してしまうという。筆者のようにChannel 4Kが目的でアンテナを立てた場合、違約金を払いたくなければChannel 4Kとは別にもう一つ、スカパー!放送の視聴契約を1chは結ばなければならない、ということだ。

 ちなみに、スカパー!は月額基本料が税込421円で、最低の1チャンネル契約が税込401円。なので、「Channel 4K」だけがお目当てでも、1チャンネル契約をすることになり、1年間にして総額9,864円の視聴料を支払うことになる。ちなみに、初回の新規加入料は税込3,024円なので、最初のアンテナ工事費の5,000円も含めると17,888円(=9,864+3,024+5,000)となる。

 なるほど、18,600円のアンテナ工事費用とほぼ同額は支払うことになる。ただ、細かいことを言えば、違約金を払うより、最低条件を満たして1年間視聴した方が、712円(=18,600-17,888)はお得と言うことになる(笑)。

 なお、ネット通販等で124/128度CSデジタル放送対応のアンテナ単品を購入し、自分で設置してしまうのが最も安上がりな方策ではある。ただ、筆者は、このままケーズデンキのキャンペーンを申し込んでしまった。

色々と課題がのしかかってきた筆者宅のケース

 アンテナの設置は、ケーズデンキでの申込後、数日中に担当の方がやってきて工事してくれた。当日は雨だったのだが、「問題ないです」とのこと。風が強くない限りは多少の雨では問題なく工事は行なえるらしい。さすがプロ!

 ちなみに、もともとアンテナ固定用ポールに付いていたアナログCS(CSバーン)放送用アンテナは取り外してもらい、そこに置き換える形での設置となった。例の特別価格の5,000円での工事は、工事作業内容によっては追加料金がかかるのだが、筆者宅の場合はかからず。本来は屋根の上の設置は追加料金対象なのだが、筆者宅は旭化成のキュービックタイプのヘーベルハウスで、ベランダから脚立だけで屋根へ上がれる平屋根タイプだったので、追加料金対象にはならなかった。

工事の様子

 さてさて、アンテナ設置自体は無事に終わったのだが、ここで1つ問題が発生。なんと、放送受信チェックが行なえなかったのだ。

 原因はアンテナ施工業者ではなく、うちの環境だった。レビュー予定のREGZA「58Z10X」が届く前に工事日を迎えたため、4Kチューナとして編集部からソニー「FMP-X7」を送付してもらって用意していたのだが、FMP-X7はHDCP 2.2に対応したテレビでないとHDMI接続を完全に拒絶してしまう。普通のフルHDのテレビと接続しただけでは、全く機能してくれないのだ。

 「そりゃ4Kチューナなんだからあたりまえでしょ」という話なのだが、てっきり、受信した4K放送をフルHDにダウンスキャンして映してくれて、電波の受信状態くらいはチェックできるかな……と目論んでいたのだが、ダメだった。

 アンテナ設置をしてくれた担当技師の方が持参した電波強度を計測する計器によると、アンテナ自信の受信強度は十分だとのことだが、スカパー! の事務局に設置完了を報告するには、テレビの実機で映像が確認できないとダメだとのこと。

 ということで、次回の大画面☆マニアで評価する58Z10Xが到着したときに、再び、担当技師の方がうちにやってきてそこで映像が映ることをチェックするという流れとなった。

 まぁ、あまり筆者宅のようなケースはないと思うが、アンテナ工事は4Kチューナと4Kテレビが揃ってから行なうようにしよう(笑)。工事だけ急いでもよいことはない。

 その後、58Z10Xが届く。58Z10Xには評価用の登録済みICカードが装着済みだったため、原理的には、アンテナ線を繋げば「Channel 4K」は映るはずである。

 ところが、再び問題が。筆者宅の屋根裏に設置されているアンテナブースタが17年前の仕様であるため、CS周波数帯を内蔵されたローパスフィルターでばっさりとカットしてしまっているようなのだ。なにしろ、壁に出ているアンテナ端子からはアンテナ受信レベルが「ゼロ」という状況。これではアンテナを立てた意味がない。

 ということで、急遽、ブースターを最新世代のものに置き換える必要が出てきた。これについては、住宅会社の旭化成に連絡し、筆者宅の電気工事を担当した電装会社が対応してくれることになった。これはなかなか高く付いて、工賃込みで約45,000円程度。

元々設置されていたブースター。BSアナログ放送にまで対応したものだ。
今回取り付けた最新世代のブースター「CF30L2C」。ネットだと2万円以下で販売されているようだが、業者経由での施工となったので正規価格で高く付いた
「CF30L2C」は電源内蔵型。元々に設置されていたブースターは電源が別体型だった。ブースターも地味に進化しているようだ
ブースターの置き換え施工の様子。家の図面を参照して、位置を調べてからの作業となった

 あとは、4Kチューナやテレビに製品に、スカパー! ICカードを入れればいい。58Z10XにはICカードが同梱されておらず、スカパー!事務局に電話して、ICカードの発行を依頼する形となる。

 ICカードは、プレミアムサービス加入希望者ならびにChannel 4K視聴者には無償提供され、事務局に電話さえすれば、スムーズに手続きが進行する。送付はヤマト運輸の代引き便で行なわれ、カードは、申込手続きをして中3日ほどで到着した。ただし、今回勘違いして、初めて発行するにも関わらず再発行処理をしてしまい、送料込みで4,320円(税込)かかってしまった(笑)。

【訂正】
記事初出時に、「スカパー! ICカードの発行は送料込み4,320円(税込)」としておりましたが、誤って再発行処理を行なったためで、通常は無料で提供されます。(11月19日追記)

代引き便で届いたスカパー!受信用ICカード
スカパー! ICカード

 全ての問題が解決し、なおかつ必要なものが揃ったところで、ケーズデンキのアンテナ設置担当者に電話。実際に放送が映ることをアンテナ設置担当者に確認してもらって、スカパー!事務局にアンテナ設置完了を報告してもらうためだ。

 電話したその日のうちにやってきたアンテナ設置担当者は、無料のスカパー!のプロモーションチャンネルが、たしかに映っていることを確認。そして事務局に電話して、筆者が今回取り寄せたICカード番号を報告してくれた。このあと、筆者のICカードが有効化され、一通りのチャンネルが2週間無料で見られるお試し期間がスタートするはずである。

 ICカードの有効化は状況によって十数分かかるとのこと。適当な有料チャンネルに合わせてみたところ、しばらくしたら有効化されたようで、やっと映像が出た。これで万事終了と、お目当ての「Channel 4K」に合わせたところ映らず(笑)。

スカパー!プレミアムが開通してもChannel 4Kは別の事務局に別途登録しないとこのようなメッセージが出てしまう。注意!

 ICカードは有効化されたはずで、2週間のお試し期間もスタートしたはずで、なぜ映らないのか。アンテナ設置担当者も「不思議ですね」と再び首をかしげる。結局、スカパー!事務局に問い合わせてもらったところ、「Channel 4K」は、Channel 4K事務局に電話して登録する必要があるのだという。アンテナ設置担当者も、実は、Channel 4Kの視聴環境を担当したのが今回が初めてだそうで、この事実を知らなかったのであった。

 なお、スカパー!のチャンネル契約は24時間年中無休だが、Channel 4K事務局は10時から17時の間にしか受付が出来ないとのこと。慌てて時計を見ると17時10分過ぎ。その日はChannel 4Kを見られず。アンテナ設置担当者は自分に責任があるわけでもないのにばつが悪そうに帰って行った(笑)。

 と、このように、最後まで、つまずきがあったが、なんとか、最終的には、Channel 4Kが見られるようになった次第だ。

58Z10X。ついに自宅で4K放送が(写真はパソコンの外部入力を表示したもの)

 繰り返しになるが、4K放送受信に必要なものをまとめると、以下のとおりになる。筆者はかなり回り道をしてしまったが、今回の58Z10Xの例では、テレビとアンテナ、Channel 4Kへの申し込みだけ。別体の4Kチューナ+4Kテレビの組み合わせより、かなり手軽になるのが魅力だ。

【4Kチューナ内蔵テレビ】

  • 4Kチューナ内蔵テレビ
  • スカパー! ICカード(とChannel 4Kへの申し込み)
  • 124/128度 CSデジタル放送対応アンテナ

【4Kチューナ+テレビ】

  • 4K放送に対応したテレビ(4K対応テレビの内、HDCP 2.2対応のHDMI入力があるテレビ)
  • 4Kチューナ
  • スカパー! ICカード(とChannel 4Kへの申し込み)
  • チューナとテレビを接続するためのハイスピードHDMIケーブル
  • 124/128度 CSデジタル放送対応アンテナ

Channel 4Kを見てみる。Z10Xは[スカパー!]ボタン装備

 実際に4K試験放送を見てみると、操作面では拍子抜けするぐらいに普通だ。

 4K放送対応スカパー!プレミアムチューナ搭載のREGZA「58Z10X」は、リモコンの[スカパー!]ボタンを押すことで、すぐに「Channel 4K」にアクセスできる。

58Z10Xのリモコン
スカパー!ボタンでChannel 4Kにアクセス

 [地デジ][BS][CS]という3つの放送種別ボタンを備えたテレビは多いと思うが、58Z10Xはこれに加えて[スカパー!]ボタンを備えて、124/128度CSのスカパー! プレミアムサービスをワンボタンで呼び出せるのだ。別体のチューナボックスでなく、本体に4Kチューナを内蔵したからこそのシンプルな操作性が58Z10Xの魅力といえる。

 スカパー! プレミアムサービスの多チャンネル放送を利用している人は、このスカパー! ボタンからいろいろな番組を視聴できる。ただ、筆者はほぼ「Channel 4K」専用のため、番組表を立ち上げると、ちょっとさみしいことになってしまう。

番組表。局ごとに表示すると寂しい感じに……

 試験放送ということもあり、Channel 4Kの放送時間は短く、平日は12時〜19時(7時間)、土日祝日は10時〜22時(12時間)。番組は「世界遺産」、「富士山 四季 水の旅」のような4Kをじっくり味わえる紀行モノや、フィギュアスケート、ゴルフ、サッカーFIFAワールドカップなどのスポーツ、ポール・マッカートニーのライブなど音楽コンテンツが用意されている。ただし、多くがリピート放送となので、「いつも新しい4K番組が視聴できる」とまでは至っていない。

 ただ、毎月コンテンツは拡充されており、11月にはJリーグやテニスの4K生中継も予定されているなど、続々と増えている。なお、Channel 4Kの番組表はウェブサイトでも公開されているのでそちらも参照して欲しいが、4Kドラマなども放映されているので、導入した暁には見逃さないようにしたい。

 Channel 4Kに加え、2015年3月にはスカパーによる有料の本格放送も2チャンネル編成でスタートする予定だ。そうすればChannel 4Kをあわせて3つの4K放送チャンネルができるわけで、4Kネイティブコンテンツの本格的な盛り上がりにも期待したい。

すぐに体感できる“自宅で見る4K”の実力

 Channel 4Kで流れていた旅番組やスポーツ中継、教養番組を見てみたが、たしかに解像感が全く違うのを実感。家電ショーやメーカーの視聴評価室等で4K映像は幾度となく見ているはずなのだが、自宅の景色に浮かぶ4K映像はこれまた新鮮だ。

 現在の映像仕様はビットレートは35Mbps程度の4K/60Hz。野球中継などでカメラがパンしても30Hz映像のようなカクカク感はなく、普段見慣れた60Hzのスムーズさで4K映像になっているのが感動だ。

筆者宅でもChannel 4Kがついに視聴可能に!

 現在の試験放送の色解像度はYUV420とのことで、輝度解像度の4分の1しか色情報がないわけなのだが、目がいきやすい輪郭表現や葉脈や岩肌のような明暗ベースのテクスチャ表現などを見る限りは、そのデメリットさは感じない。4K映像を見慣れてきたときにどう見えるかは分からないが。

 4K放送は、今後、自然界の物体色を100%カバーしたと言われる色空間の新規格BT.2020に対応する予定だが、4K試験放送ではまだ対応していないようで、今回、視聴した限りでは、色関連での大きな感動は今のところ無し。ああ、ちょっと色がリッチになっているのかなぁ、と思う程度。また、その効果は、REGZA Z10X側の映像エンジンの恩恵である可能性もある。

画面右上にChannel 4Kの表示
4K/60pの4K放送を家庭で

 最も感動が大きかったのは、MPEGノイズの少なさだ。桜吹雪が舞う映像などで、ブロックノイズをほとんど感じない。Channel 4Kの4K映像は、次世代コーデックのHEVC/H.265でエンコードされており、現行デジタル放送のMPEG-2ベースよりも2世代も新しい。ここは「最も分かりやすい画質の差」といえるかもしれない。

 さて、4K放送を導入したこともあり、今後の大画面☆マニアでは、4Kテレビ、4Kプロジェクタ評価時には4Kコンテンツを使った評価も行なっていく。次回は、4Kチューナ内蔵のREGZA「58Z10X」の評価をお届けする予定だ。

(協力:東芝ライフスタイル)

トライゼット西川善司

大画面映像機器評論家兼テクニカルジャーナリスト。大画面マニアで映画マニア。本誌ではInternational CES他をレポート。僚誌「GAME Watch」でもPCゲーム、3Dグラフィックス、海外イベントを中心にレポートしている。映画DVDのタイトル所持数は1,000を超え、現在はBDのコレクションが増加中。ブログはこちら