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“4つのOS”進化が示すAppleの次世代戦略。WWDCに見る「開発者サポート」

 今年も、アップルの年次開発者会議「WWDC」がスタートした。基調講演については、例年使われていたモスコーンセンターからビル・グラハム市民講堂へと移ることになったが、これは主に混雑緩和とセッションの円滑運営が目的と思われる。

会場となったビル・グラハム市民講堂。朝から大混雑となった。
モスコーンセンターも、セッション会場として使われる

「アップルにコミットする理由」を開発者へアピール

 今回のWWDCは「デベロッパーカンファレンスである」ことを大文字で書いたような内容だった。そのことは会場の外でもよくわかる。至る所に貼られたポスター類は、すべてコードを書くことをモチーフとしている。気づいた人だけがクスリと笑える内容も少なくない。

会場の装飾は「コードを書く」様子をモチーフとしたものに

 一般的な視点で見れば、「ハードウェアの発表」や「見たこともないような機能の発表」を期待したくなる。アップルは事実、そういうイメージをうまく使ってきた。「わかりやすい凄味」は、今回、薄かったようには思う。

 今回の基調講演で感じたのは、どこも似たルートをたどり始める一方で、「ソフト開発者がアップルへコミットする理由はなにか」を、アップルなりの形で、遠投ではなく短い距離のキャッチボールとして行なった、というのが筆者の見立てである。アップルが作ってきた、使ってきた技術への技術者のアクセスを広げることで、「ソフトをつくってもらうモチベーション」を高めようとしているのだ。プラットフォームの上で動くサービスとアプリケーションの価値最大化がすべて、という昔からの基本は変わっていない、ということであり、それは決して間違いではない。

 今回提示されたOSは、すべて「秋」に一般公開が予定されている。そこで、ハードウェアとの一体化によってどこまで「凄味」を出せるかが、アップルに問われる。

 アップルのティム・クックCEOは、例年通り、デベロッパーへの感謝から始まった。そして、自分たちのやり方がこれからも変わらないことをアピールする。

アップルのティム・クックCEO。

「我々にとっての北極星はなにも変わらない。素晴らしい製品の力で、人々の生活を変えていくことだ」

 会の最後には「Swift Playgrounds」というアプリが公開されたが、これもアップルとしてはデベロッパーのすそ野を広げる施策である。若いうちからSwiftに親しんでもらい、ひいてはアップル関連製品向けの開発者に……という思想だ。iPadの上で遊びながらプログラミングが学べるもので、一見子供向けであるが、アップルが過去にHyperCardをMacにバンドルしていたことを思うと、伝統の復活、ともいえる。

アップルが利用している開発言語「Swift」を楽しみながら学習できるiPadアプリ「Swift Playgrounds」を無償公開、ソフト開発者の底辺拡大を狙う

 WWDCに先立ちアップルは、一部の記者への取材に答える形で、アプリ配信のルールを変える方針を発表した。特に大きいのは、これまで「開発者7:アップル3」と固定だった、アプリケーション販売収入の取り分を、場合によっては「開発者85:アップル15」のように変化させる、というものだ。サブスクリプションについても自由度も上がり、アプリ開発者のモチベーションを上げよう、という意識が見える。現在、アプリビジネスは急速に保守化しつつあり、新規参入の人々が不利になっている。より幅広いビジネスモデルを許容することは、彼らにとってプラスであり、それだけ対策が急務なのだ。

watchOSはようやく真価を発揮

 アップルは現在、4つのOSを活用している。そのうち3つがiOSをベースにしたもので、残りがMac用OSだ。基調講演は、これらを順に説明していく形で進んだ。

 最初に紹介されたのは、Apple Watch用の「watchOS」だ。Apple Watchは注目こそされているものの、業界が期待するほどの大ヒットにはなっていない。ユーセージモデルの提案がまだ弱いためだ。

 課題はいくつもあるのだろうが、なにより、筆者が問題視したいのは「アプリを使うモチベーションが上がりにくい」ことだった。要は遅いので使うのが億劫になるのだ。通知などの基本機能ではユーザーを惹きつけるにも限界がある。

 アップルもそこはきちんと理解していたようで、watchOS3で手を入れたのもそこだった。デモを見る限り、よく使うアプリケーションに関しては、ほぼiPhoneなどと遜色ないスピードで呼び出せるようになっている。また、watchOS2までは、「デジタルクラウン」などの操作系、活動量計・心拍センサーなどを開発者がアプリで使うことに制限が多く、開発の自由度が低い、と開発者からは非難されていたが、ここも改善される。これでようやく、アップルがApple Watchでやろうとしていたことをする基盤が整った、といえるが、ずいぶん時間もかかってしまった。

最大の変更点は「アプリの起動速度」。よく使うアプリであればほぼ一瞬で起動するようになった。アプリ切り替え用のUIも変更に
Apple Watchのハードウェアを生かす機能をアプリから活用可能に

 アップルからの提案として面白いのは、「深呼吸」のタイミングを知らせてくれる「Breathe」という機能が搭載されたことだ。今のiOSでも、健康に配慮して1時間に一度「立ち上がるように」提案されるが、そこに「深呼吸」も追加されるわけだ。もちろん、自分で選ぶことになるが。

「深呼吸」のタイミングを教えてくれる機能が登場。深呼吸をする時間を教えてくれる他、深呼吸後の心拍数もわかる

 Apple TV用のtvOSは、「アプリこそがテレビの未来」という方向性が維持される。特に伸びているのが動画アプリ、というテレビの性質を反映してか、シングルサインオンなど、動画アプリの使い勝手をあげる方向性が目立つ。また、手軽に使えるよう、iPhone用の「リモート」アプリが更新され、iPhoneがApple TV用のリモコン代わりになる。モーションセンサーや文字入力もできる。また、ホームシアターなどの暗いところで使う時のための「ダークモード」搭載は、求められていた機能の一つと感じる。

Apple TVのリモコンの代わりにiPhoneが使えるようになる。モーションや文字入力も可能
tvOS2には「ダークモード」が搭載に。ホームシアターなどではこちらの方がいい

Mac用OSは「macOS」に

 Mac用OSは、噂通り「macOS」になった。ソフトウエアエンジニアリング担当シニアバイスプレジデントのクレイグ・フェデリギ氏は、「MacだけOSのネーミングルールが違う」と言い、新しいOSの名前を紹介したが、iOSが「10」になり、OS Xでは紛らわしくなったのも事実。そろそろMac用OSを「10」から解放してあげる時だ。新バージョンの愛称は「macOS Sierra」になる。

Mac用は「OS X」で、OSのネーミングルールが一つだけ違っていた。そこで今回から名称が「macOS」に。iOSが「10」になって紛らわしくなったことも原因か
新しいMac用OSの名前は「macOS Sierra」に

 macOS Sierraの大きな変更の中でも目立つのは、iOS機器との連携機能だ。Apple Watchをつけていると自分のMacを使い始める際のパスワード認証を「パス」する「Auto Unlock」はその典型だ。

 これに限らず、アップルはmacOSで、iOS機器と連携する機能を推した。これまでも、iPhoneで着信した電話やメッセージを連載させてきたが、macOS Sierraからはその幅がさらに広がる。「コピー」した内容を、機器の壁を超えて「ペースト」できるようになる、「Universal Clipboard」もその一環だ。

macOS Sierraで搭載になる「Universal Clipboard」。要はiPhoneやMacなど、自分が持っているアップル製品で、機器の違いを超えて「コピー&ペースト」が可能に

 実のところ、Auto UnlockもUniversal Clipboardも、似た発想で機能を実現したサードパーティーアプリはすでにある。そうした機能をOS標準にしていくのはアップルの伝統でもあり、悪くいえば「サードパーティー殺し」の部分もあるが、OSを持つところが最適化して実装することは、完成度を高め、使い勝手をあげる、という点ではプラスともおえる。デベロッパーにとっても痛し痒し、というところだろうか。

 しかし、機器を超えた連携という意味では、なにより本質的な変化となるのが「Apple Pay」がMacでも使えるようになることだ。もちろん、基調講演でも示されたように、下の写真のような状態になるわけではない。ウェブの一般的な決済でApple Payが使えるようになるのだ。これは、Apple Pay登場時から示されていたビジョンの一つであり、それがようやく日の目を見る。

Apple PayがMacに……といってもこうではない
Apple Payがウェブ経由での決済にも対応。一般的なウェブ通販での決済時に、iPhoneを介して決済情報を送る。そのため、クレジットカード情報などを入力する必要がなくなり、簡単かつ安全になる

 ウェブ決済でApple Payのようなものが使えるようになると、サービス側にクレジットカード番号などの個人情報を記録する必要がなくなる。また、自分のiPhoneがないと決済ができないため、なりすましも困難だ。二段階認証を採用するサービスが増えているが、本質は「自分が持っていて、他人が使えない機器を認証に使うこと」であり、Apple Payでのウェブ決済も、この流れに沿う。

 ネット通販の安全性を高める上では重要な変化だ。クレジットカード決済の世界では、カード情報を一度しか使えない暗号の形でやりとりする「トークナイゼーション」という仕組みが広がっている。Apple PayやAndroid Payなどの非接触決済は、この上に組み立てられたものといえる。トークナイゼーションに伴う決済はウェブももちろん対象なので、Apple Payの拡大も既定路線ではある。しかし、これが広がると、iPhoneを使っている人は、よりMacを、という流れを加速することは間違いない。

 次の興味は、日本でいるApple Payが解禁されるのか、ということと、Mac以外での連携がどうなるかだ。前者は秋に、との観測が強まっているが、今回は情報がなかった。Mac以外での連携は、Apple Pay利用者拡大には重要だが、アップルの戦略としてどう位置付けるのか、見えてこない。

Apple Payが利用可能になる国が、これまでのアメリカ・イギリス・カナダ・オーストラリア・シンガポールにくわえ、スイス・フランス・香港を追加。日本の動向はまだ見えない

 なお、macOS Sierra単独の機能として注目なのは、内蔵ストレージの空きを自動的に確保する機能が挙げられる。

これは、古いファイルや古いメールの添付ファイル、見終わった映画のデータなど、「すぐには使わない」ファイルをシステム内から見つけ出して削除し、空きスペースを確保するもの。ただし、単純に削除すると問題なので、それらのファイルを、アップルのクラウドサービスであるiCloudに転送、その後に削除する。アップルが示した例では、250GBのうち20GBしか空きのないドライブが、150GBの空きにまで広がっており、なかなかに面白い。このための仕組みは、今のMacで標準となったSSDなどのフラッシュメモリーベースのストレージに最適化されている。ハードディスクに比べ容量拡大にコストがかかり、進歩も遅いデバイスなので、こうした仕組みは確かに必要だろう。

ストレージ残量を最適化する機能では、クラウドを活用し、劇的に容量の節約ができる、としている。デモでは20GBの空きが150GBまで拡大した。

 気になる点としては、クラウド側への転送が伴うため、データ保存の信頼性や転送速度が挙げられる。日常的に使ってどうなのかは、使って評価しないとなんともいえない。

「クラウド」と「人工知能」をアップルも積極活用

 現在のIT業界は、どこも「ディープラーニング」「機械学習」が花盛りだ。大量のデータを集めた企業は、検索の次のアプローチとして、ディープラーニングベースの高度なサービスを打ち出しており、マイクロソフトやGoogle、IBMなどが先を行く。アップルも今回、そうした点を押し出した。ただし、他社が「遠投」とも思える長期的な方向性に見える動きが強い一方、アップルは「秋からのOSに、限定的ながら機能を組み込んでいく」という方向性で、企業とてのあり方の違いを思わせる。

 Siriはサードパーティーに解放された。macOSでも使えるようになり、ファイル検索なども行なえるようになっている。

ついにSiriがサードパーティーへ解放。音声対応の力が様々なアプリで使えるようになる

 ポイントは、アップル以外のアプリも対象になるため、「命令したいアプリを選んで命令する」「Siriが対象のアプリを把握しながら処理する」点だ。例えば、iOS標準ではないメッセージングアプリ(デモでは「WeChat」が使われた)に、Siriにメッセージの代筆を依頼できるようになる。Siriはどのアプリでどういうことをしているかを認識しているので、アプリをまたいで、画面をタッチすることなくiPhoneを使うことも可能になる。マイクロソフトも「会話はサービスである」として、アプリをまたいだグローバルUIとしてのチャットを推しているが、アップルも同じ道を歩む。グローバルUIとしてのチャットは、PCやMac以上にスマートフォンで有用と考えられるため、iOSでどう真価を発揮するかが重要で、そここそが他社との差別化点になる。

iOS 10では、使うアプリを認識した上でSiriが対話に答えて動作する。画面を意識せずに「グローバルUIとして」活用された場合の実用性が気になる

 我々が日常的に使うアプリの中でも有数の利用量であろう「写真」アプリは、写真に写っている人の顔や、背景に写っているモノ・風景の認識を行い、写真を自動分類するようになる。過去よりアップルは、iPhotoなどの写真で同じアプローチをしてきた。だが、ディープラーニングの力を活用することで、より非力なiOS機器でも、より高速かつ正確に処理と認識が行えるようになった。同様のことはすでにGoogleが進めているが、UIとしてのOSへの落とし込みでは、アップルに一日の長がある。iOS 10の機能として、多くの人にまずウケるのはこの機能か、とも思う。

アップルは110億もの演算を繰り返し、顔認識や背景認識などを実現する、と解説
写真機能は「ディープラーニング」の手法を活用、人の顔や背景となる風景などを自動認識して分類され、「Moments」では自動認識によって写真が分類され、ショートムービーで見られるようになる

操作性改善を軸にした「iOS 10」、LINE追撃のメッセージングサービスも?

 iOS 10そのものの改善は、UIと「ホーム」が軸になる。

ロック画面を中心に、様々な部分の操作にメスが入る

「ロック画面」は通知の活用も含め重要な場祖だったが、さほどリッチな機能はなかった。しかし今回、操作性の見直しに加え、通知内容のリッチ化が進められた。例えば、Uberでのタクシー配車の状況が通知から見えるようになる。

ロック画面が大幅改善。操作がしやすくなるだけでなく、通知の内容がリッチになるのがポイント。例えば、タクシー配車の状況が通知から見えるようになり、アプリを開かなくてよくなる

 この本質は「アプリを開かなくていい」ということだ。「通知でわざわざ……」という反応もありそうだが、今のアプリの利用状況を考えると、この改善は理にかなっている。アプリの新規ダウンロード数は減ってきており、ユーザーは保守的に「特定の定番アプリだけを使う」ようになってきた。アプリをダウンロードしていてもあまり開かない人が増えているのだ。そこで「通知」を活用すれば、アプリの機能とサービスへの導線が増える。開発者にアプリの可能性を開拓してもらい、引きつけるのはとても有用なものだ。

 音楽関連機能は、昨年の「Apple Music」に合わせて変更されたばかりだが、今年再びリニューアルする。より見やすく戸惑わずに使える方向性だろう。今の音楽機能はそれだけ評判がよくない、という証でもある。この辺については、近日中にもう少し詳しいお話をお伝えできると思う。

音楽機能と、アップルの音楽サービス「Apple Music」はユーザーインターフェイスを大幅改訂。より見やすく戸惑わずに使える方向性に変わった

 地図もリニューアルが進む。特に、自動車連携の「CarPlay」を推した。iOSの地図をリニューアルした上で、その価値を車にも提供することを目的としているようだ。

 そして、アップルが意外なほどの時間をかけて発表したのが「メッセージ」機能の改良だ。一言でいえば、絵文字機能の拡充や「ステッカー」機能、アプリ追加による決済などの機能拡張と、日本人の目から見ると、まるでLINEの要素をアップルが取り込んだような印象を受ける。

「メッセージ」機能を大幅拡充。文章から絵文字を推測して入れ替える機能のほか、「ステッカー」や音楽の埋め込みなど、LINEを思わせる機能群も

 全世界的に見ても、リアルタイムメッセージングは競争の激しい分野。FacebookにWeChatといった世界的な規模のライバルに加え、日本を中心としたアジアにはLINEもある。そこに、アップル製品で使えるリッチな機能を標準にすえ、価値拡大を狙った……と思える。ここでも、ステッカーや機能追加など、「メッセージ機能にデベロッパーの作ったものの価値を加える」流れだ。機器標準の機能で、使う人が多いものなので、そこにある市場価値も大きい。デベロッパーカンファレンスでここを推すのも、「アップルのプラットフォーム向けにビジネスをすることの意味」を、アップル自身がアピールしたかった、ということだと感じる。

 ただし問題は、この機能のすべてを使うためには「アップル製品同士である」必要がある、というところだ。メッセージングは友人・知人と使えることが重要。どうやってともだちや知り合いをLINEから移行させるか、簡単な道筋はない。

 iOSの機能として筆者が注目したいのは、家庭連携フレームワークの「HomeKit」が拡充され、統合管理アプリ「Home」が用意されたことだ。これを使うと、家庭にある複数の機器をワンアクションで操作できる。寝るときにiPhoneに「ヘイSiri、部屋を就寝モードに」などと伝えれば、明かりが消えてエアコンや空気清浄機を就寝モードにし、ホームセキュリティも深夜モードへ……といったことができるのだ。また、iPhoneの通知にホームセキュリティカメラの映像が入ってきて、その内容が通知の中から動画で確認できる……といったことも可能だ。

「HomeKit」が対応分野を拡大、統合アプリ「Home」からまとめてつかえるようになる。寝るときには明かりとエアコンを同時に制御、といったこともワンタップでOK
通知の機能拡大と併せて使うと、セキュリティカメラの映像をチェックすることも可能に

 スマホ連携する家電は増えているが、家電ごとにアプリがあって操作は煩雑になっている。HomeKitの立ち上がりには時間がかかったが、いよいよアクセルを踏む時、とアップルは判断したのだろう。

「日本での可能性」をどう判断するか

 アップルが提示した方向性は、「アップルのプラットフォームの中で開発してもらうことがビジネス価値になる」ことに尽きる。それはデベロッパーカンファレンスにふさわしい内容だ。

 一方で日本から見ると、多くの内容がアメリカ市場や中国市場を向いたもので、いまひとつピンと来ないものであったのも事実だ。市場としての日本が地位を落としているだけでなく、日本が少々特殊であり、対応コストが割に合わない部分も見える。

 しかし、日本の側としては、そこに「どこまで価値を認めるか」が重要になってくるだろう。決済にしろセキュリティにしろ家電連携にしろ、日本には日本に向いた機能があり、そこにアップルが考えることをフィットさせたアプリや製品が必要になる。

 短期的にみれば、アップルのシェアが高い日本で、いきなり他社製品がアップルをしのぐのが難しい。とすれば、いかにリーズナブルなコストで、すばやくアップル製品に対応した上で、しかも、日本の市場に価値を認めてもらえるアプリやサービスを作るか、がポイントになる。そう考えると、今年のWWDCは、非常に分析しがいのある内容であった、と思える。

西田 宗千佳

1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に、取材記事と個人向け解説記事を担当。朝日新聞、読売新聞、日本経済新聞、週刊朝日、AERA、週刊東洋経済、GetNavi、デジモノステーションなどに寄稿する他、テレビ番組・雑誌などの監修も手がける。
 近著に、「顧客を売り場へ直送する」「漂流するソニーのDNAプレイステーションで世界と戦った男たち」(講談社)、「電子書籍革命の真実未来の本 本のミライ」(エンターブレイン)、「ソニーとアップル」(朝日新聞出版)、「スマートテレビ」(KADOKAWA)などがある。
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