西田宗千佳のRandomTracking
4K/60p配信をリードする「ひかりTV 4K」の狙い
HEVCエンコードや4K制作の苦労や秘密は?
(2014/11/28 08:15)
NTTぷららは10月27日より、同社の映像配信プラットフォーム「ひかりTV」で、4K映像のVOD配信「ひかりTV 4K」をスタートしている。好調な販売を維持する4Kテレビだが、4K解像度のコンテンツを見る方法はまだ少ない。その中で、回線種別などに条件があるとはいえ、家庭にある光回線で4K映像、それも4K/60pのものが見られることの意義は大きい。
同社はどのような戦略で「4K配信」に臨んでいるのだろうか? そして、どうコンテンツを準備し、配信しているのだろうか? NTTぷららでひかりTV 4Kの技術面を担当する、技術本部ネットワーク管理部の土井猛氏と、コンテンツ調達などを担当する、サービス本部コンテンツ戦略部副部長の西土祥子氏に話を聞いた。
4K向けに専用サービスを用意、フレッツ光の特徴を活用
まず最初に、「ひかりTV 4K」の概要についておさらいしておきたい。
ひかりTVは、NTTぷららが提供する映像配信サービスだ。2008年3月よりサービスを開始しており、VODの他、地上デジタル放送やBSデジタル放送のIP再送信も行なっている。NTTグループの企業であり、サービスのための回線としては、NTT東日本/西日本が提供している「フレッツ光」を利用していること、という条件はあり、一般的なVODとは提供形態が異なるものの、ネット回線を利用した配信ビジネスであることに違いはない。配信はNTT搭載の持つフレッツ網を足回りとするため、インターネット自身の混雑には影響されず、安定的な配信が行なえる、という特徴がある。
「ひかりTV 4K」は、ひかりTVに4KでのVODを追加したものであり、利用には「フレッツ光ネクスト」などのNTTの光回線の契約が必要だ。10月27日のサービス開始時には、シャープ製の4KテレビAQUOS UD20/US20/U20が対応していたほか、東芝、ソニー、LG、パナソニックの4Kテレビの2014年モデルも、アップデートでの対応を予定している。12月下旬からは、4KサービスひかりTV専用STB「ST-4100」のレンタルも開始される。
4Kサービスは、対応テレビやSTBを必要とする付加価値型のサービスではあるが、「ひかりTV」のサービスとして、4Kのために追加料金を徴収することはない。月額1,080円~3,780円(税込)のひかりTVのパックサービスに加入している人であれば、相当数のコンテンツが追加料金無しで見放題になる。映画やグラビアなどのプレミアムコンテンツについては、都度課金によるVODとなる。
まずは「デモ」で大人気?! 初期からトラフィックは上々
ひかりTV 4Kで、映像圧縮方式にHEVCを使って配信されている。4K/24pや4K/30pだけでなく、4K/60pのコンテンツも用意されている。ネット配信として、4K/60pのVODサービスに対応しているのは、世界でもひかりTV 4Kだけだ。4K/60pともなると広い帯域が必要になり、現在は最大30Mbpsで配信されている。インフラ面の対策はどうなっているのだろうか? 土井氏は「今のところ、自信を持っている」と話す。
土井氏(以下敬称略):帯域については、実は2008年のHD解像度でのサービスの時点で問題にぶつかっています。現在採用しているトリプルチューナーのモデルでは、地上波の15Mbpsを3本に加え、映像のサムネイルなどもバックグラウンドで取得しています。ですから、最大で下り60Mbpsくらいは出ている時があるのです。
我々はフレッツ光のネットワークパフォーマンスも熟知しています。カスタマーサポートとも連携し、多くの契約家庭でこれだけ出ている回線であれば、4Kの1ストリームで30Mbpsくらいでも大丈夫ではないか、ということは決めていました。
このあたりは、諸外国でのネット4K配信とは地上が少々異なる。他国はフレッツのようなネットワーク接続サービス網に依存せず、「普通のインターネット」にストリームを流す形態だ。もちろんCDN(ネットワークを使ったコンテンツ配信を最適化するサービス)は最大限に活用するものの、4Kを確実に配信できる回線品質が維持できるところは多くない。そのため、「4Kで配信できるところでは4Kで、そうでないところではビットレート・解像度を落として」という、ベストエフォート的なサービスになるのが一般的だ。しかしひかりTV 4Kでは、4K向けとHDとを切り分け、「インフラが対応しているなら、確実に4Kで配信する」形態のサービスになっている。
西土:テレビ向けをメインとしてサービス開発をし、今年4月からトライアルを続けてきました。その過程では、チューナーとエンコーダーを、NTTの研究所と一緒になって開発してきました。まずはNTTのショールームなどでテストを行ないましたが、とても注目度が高かったのです。また、一部の量販店さんでもテストしたのですが、これも注目していただけました。4Kテレビは売れてきたとはいうものの、4Kのコンテンツを目にすることはまだ少ないので、量販店さんから見ても、注目商品への刺激を強める、という意味で魅力的だったようです。
こうした「量販店での活用」は、今も続いている。ひかりTV 4Kは家庭だけでなく量販店でも利用可能であり、回線側でもそうした配慮が行なわれているが、量販店の4Kテレビでデモ用に使われており、人気が高いという。スタート直後の休日には、「トラフィックを見て、急遽調整をしたくらい」利用量が増した。
西土:4Kのニーズはだいぶ変わってきた、と感じています。テレビメーカーさんとしても量販店さんとしても、しっかりとした展示スペースを用意して、ひかりTV 4Kで高画質なコンテンツを見せて、より高額な製品へとお客様を誘導したい、という考えが広まってきたため、回線の準備も含め、協力をうけやすい状況です。
土井:そうした商用のお客様のアクションには、我々も興味を持っています。弊社のVODのトラフィックパターンを見ても、2つの山が出来るようになっています。今までになかった山が4Kになって出来上がっていて、それがなにかというと、量販店でのデモンストレーションでのトラフィックなんですよ。もちろん我々も、そうしたことは理解した上でネットワークを監視していますが、現在はほぼ一日中ピークトラフィックが来るような状況です。
おそらくですけれど、接客中にお客様が興味を持たれたら、実際にそこでコンテンツを見せているのでしょう。正しくご説明いただけているのだな、と思えるようなトラフィックが出ています。また、ひかりTV 4Kのコンテンツが、4Kテレビの売り場の他のコンテンツよりインパクトがある、ということなのでしょう。
ここでポイントになっているのは、「光回線を引けばつながる」という、ある意味での手軽さだ。
西土:量販店で4Kの映像を見て「いいね」と思っても、それを家に届ける手段が、現状ではまだあまりありません。そういう意味では、「光回線をつなげば、あとはテレビに接続するだけ」という形が10月に始まった、という点は、インパクトが大きいと考えます。
現在、放送としては「Channel 4K」があり、我々もNexTV-Fには参加して一緒にやらせていただいています。量販店のデモ環境を華やかにしようと、フォーラムでも一緒に色々がんばっています。しかし現状、4K放送はまだ録画できる環境が十分にありません。観たいものをすぐに選べる、という気軽さがまだない状況です。我々のサービスでは、ドラマやドキュメンタリーなどをジャンル分けし、選んで見ていただけるようになっているので、そこも大きいのかも知れません。
また、自宅に帰って4Kテレビを設置し、すぐに4Kのコンテンツを色々チェックしていただける、というところも大きいようです。オンデマンドですから、確認がしやすいんですよね。「やっぱり4Kは違うね」と言ってもらえるのはうれしいです。
これらの点は、同じ要素に基づく。要は、「4Kがどのくらいの可能性があるものなのか」をネイティブ4Kで確認するコンテンツが少なく、それをより手軽な手段で行なえるものとして、ひかりTV 4Kが選ばれている、ということだ。確かにVODであれば、量販店などでリモコンを触ってもらい、来店者に好きなコンテンツを選んで見てもらうのに向いている。
土井:フレッツ光の利用者は現在日本に1,800万人いらっしゃいます。当初は、ひかりTVもインターネットへのリテラシーの高いお客様向け、という部分がどうしても大きかったのですが、だんだんより一般的な方々へと移りつつあります。
正直「このタイミングで4Kはどうだろう」という話は社内にもありました。技術的な面でも、マーケティング的な面でも、トライアルが非常に大きいものです。しかし、我々技術屋の側面から見ても、4Kほど引きの強いサービスは、過去にないですね。そのため、「いかにネットの土管で安定して4Kを流すか」以上の分析も行なっている、というのが現状です。
規格化に平行しエンコーダ開発、現在は実時間の20倍・画質優先で処理中
技術上ポイントとなるのは、やはりコーデックとしてHEVCを使っているということだ。AVCの2倍の効率を持ち、今後の標準となるのは間違いないが、まだ出来たばかりのもので、活用例も多くはない。なにより、製作・エンコード環境は走りながら整備している状況だ。
土井:HEVCは2013年の4月に標準化が完了しましたが、コーデックの開発はそれと平行して行なわれていました。実際にプロトタイプのコーデックがR&D(研究開発部門)から上がってきたのが、同年の9月です。11月くらいからNTTの研究所と組んで、この4月から実際にテスト、というようなスケジュールで進めてきています。今回の「4K/60pで30Mbps」というのは、その中で出てきたスペックです。
今まで我々は、機器メーカーが開発したエンコーダーを「標準技術に則って選定する」やり方でした。しかし今回は違います。標準化と同時に、まだ日本語のドキュメントもない状態からそれを読み込み、開発を続けてきました。この業界、少なくとも日本においては、HEVCのトップを走っている自信があります。
とはいえ、1年しか経っていないものですから、正直色々課題はあります。HEVCでの4Kは確かにきれいなのですが、やはりエンコードが破綻する瞬間というのはあって、それがHDに比べて落差が大きいので、どんな人にも「あれっ?」と感じられてしまう可能性があります。そうした事情への対応が、トライアルをやっている時も含め、もっとも大変なところでした。
どうしても演算の限界でつぶれるところはあるのですが、いま研究所と作っているものは、シャープできれいなところはできるだけ残して、目立たせてあげよう、という作りになっています。お客様の目に「きれいですよ」とわかるように届けるようなチューニングになっています。フィルターをかけてやるとエンコード効率はあがるのですが、華やかな色や精細感を潰してしまいます。そうした部分もできるだけ生かしています。
たしかにひかりTV 4Kの映像は、その多くが「4Kらしい」もので、画質的にも申し分ない。4K試験放送は正直いまひとつな映像もあり、4Kの価値を出し切れていないと感じたのだが、筆者の目からの見ても、かなり違う感触を受ける。そこで土井氏が指摘するのは「VODならでは」の点だ。
土井:これは、放送であるChannel 4Kとは異なるところですが、我々はVODなので、少々マシンパワーを使い、時間をかけてでもエンコードできます。本来演算すべき部分をすべて演算しつくしています。画質面では、我々のできる限界のところまで見せている、というのが現状です。
今はエンコーディングに、最大でリアルタイムの20倍かかります。1時間もので20時間、ですね。
そこで西土氏が苦笑する。
西土:まだかかる、と思われるかも知れないんですが、これでも「驚くほど速くなった」んですよ。最初は本当に時間がかかって……。なので、映像の納品の締め切りがびっくりするくらい前になるんです。
土井:最初は80倍から60倍くらいでしたかね。西土からテストのためにエンコードを依頼されて、「いつできます?」と聞かれたんですが、コマンドを入れてから進行を確認し、「一週間後ですね」と答える感じでした。
昔はエンコーダーというと「箱もの」、アプライアンス的な機器が中心で、安定度も高かったんです。しかし今はPCでやるのが主流。では、そのPCがアプライアンスのように安定して動きますか? というと……。
僕たちにとって、それはちょっと耐えられないので、今回商用化に際しては、放送用に求めていたサーバーの安定度を依頼しました。
西土:時間が20倍・30倍なのは、待つだけなのでいいんです。でも、出来上がった後のものを検品した結果、「もう一回パラメーターを変えてやり直そう」となると、その時間が大変ですね。
土井:現在のエンコーダーでも、840pのカメラで撮影したものを60pで再生することによって、4コマに1コマ程度ですが、エンコード前の素材には存在しないフリッカーを感じる場合があります。ここは今後の大きな改修ポイントです。
HDのひかりTVでもやっていますが、早送りなどのトリックプレイに対応するため、4Kでも、映像には500msec毎にIフレームを刺しています。さらにそれが若干フリッカーの元になっています。
僕たちエンコーダー屋は、これまでは製作の担当者とあまり話をしなかったのですけれど、今はかなり密接にやりとりをしています。
HDとは違う製作の苦労、ドラマ含め独自製作を推進
ひかりTV 4Kでは、現在120本以上の4Kコンテンツが用意されている。これは、現在世の中にある4Kコンテンツの数を考えると、相当にがんばった数字だ。中には、同社が独自製作した4K番組29本も含まれる。
西土:4K配信というからには、アップコンではなく、4Kで製作したものをご提供したい、という思いがあります。しかしご存じのように、4Kできちんと製作された番組というのは、まだ地球上にそんなにない状況です。今年4月、ひかりTV 4Kを、弊社社長の板東(浩二氏)が「年内に100本以上を揃えてスタート」と発表した際には、映像業界の方から「100本も大丈夫?」と言われました(笑)。
小さいですが、社内にも製作の部隊がいますので「とにかくはじめてみよう」というところからスタートしました。4Kでの自主製作は去年('13年)から開始しました。残りは、パートナーの方々との共同製作、という形です。3月末までには200本を越える形に出来るのではないか、と考えています。
実際のところですね、製作はHDの時とはだいぶ異なります。「4Kで撮ろう」と思って機材を用意して進めても、すぐには4Kらしい映像にならないんです。
弊社の場合、視聴ログもしっかりとっているので、どのような映像が好まれるかはわかってきています。現状は4Kの特徴を捉えた、高精細でくっきりしていて、細かいところまで出るような映像が求められるようです。
もちろん、そうしたことはハイビジョンの初期にもありました。最初は「ハイビジョンらしさ」が求められましたが、そのうちドラマもバラエティも皆ハイビジョンで撮るようになると、そういう部分は減っていきます。4Kもそうなっていくのだとは思いますが、まずはHDとは違うものを、という話になっています。
土井:2013年くらいは「すべてがお試し」の状態でした。じっさいにやってみると、HDと同じパターンで撮っていてはいけないのだ、ということに気付くんですよね。HDでは分からなかったけれど、4Kになったら「ピントの位置が不自然だった」ということがわかったりもします。
西土:社内で製作をやっていると、強いところも苦しいところもわかってくるんですよ。それを技術と共にフィードバックし合って、進めていくことができます。
例えば4Kの場合、暗い部分がHDよりも見えてくるようで、奥行きが見えてきます。撮影側からはいやがられる部分もあるのですが、暗い部分は照明が少なくても、より奥行きを出せますから、HDでは苦手としていたような立体感のある表現も撮影に盛り込めるようになります。臨場感、という言い方をしますが、以前の3Dとも違い、より実際の状況に近い「実写感」とでもいうようなものが生まれます。グラビアなどでは、肌の質感、肌感が全然違うんですよ。
ただその分、メーキャップなどは大変です。グラビアの場合ですと、本当に肌の白い方だと、逆に血管が浮き出てみえてしまったりもするんですよ。ファンデーションも従来とは違う、エアスプレーのようなものに変えることもあります。
撮影時に奥まで映るので、周辺の小道具にはやはり気をつかいますね。あるいは、ロケ地周辺の細かい石や葉っぱまで気をつかうような感じでです。ですから、撮影の負担は上がっていますね。
「その場にいる感」が高い映像として、我々で水族館を撮影した映像も作っています。ただ、水族館の中は暗いので、とても撮影はしにくかったです。
土井:水族館は照明を当てると、当然全部反射しちゃうんですよね。HDの時は、反射は全部カラーコレクションの段階で落とすことができたのですが、4Kになると、もう情報量が多くなりすぎて、反射をカラコレで剥がすのは無理になってきています。
現在、ひかりTVでは4Kでのドラマ製作にも取り組んでいる。サービス利用者の中でも4Kドラマはやはり人気が高く、「新作が出ると視聴量がぐっと上がる」(西土)状態だ。ドラマのように「作り込む」作品を4Kで撮影するのは大変だが、今後も同社は積極的に4K製作を行なっていく、という。
西土:いまは「隅々までキッチリ映る」ような4Kっぽい映像が喜ばれます。また特に弊社製作の映像で人気なのが、「陸上自衛隊 富士総合火炎演習 4K」です。自衛官の方々の顔まではっきり見えますし、60pでのスローによるミサイルの発射シーンなどは、見たこともないような映像になっています。デモなどでも一番人気で、みなさん食い入るように見ていらっしゃいますね。特に男性が(笑)
今は「4Kでみたいもの」にきれいなシーンを入れていく、という形になっています。同じコンテンツはHDでも出しているのですが、みなさん「4Kで見れるなら4Kで」という形になっています。昨年から製作を開始し、先行してノウハウを蓄積している状況ですが、ある程度手探りな部分はあります。今後はドラマも含め、一般的に人気なコンテンツを4Kで撮ってみて、そこに4Kらしさを盛り込んでいきます。
「テレビに直接配信」の価値を訴求、今後は低ビットレート化にも着手
もちろん、まだ技術的な課題も多い。ひかりTVとしても、積極的にそこに取り組んでいく。それが「サービスとしての手軽さの実現」につながるからだ。
土井:現状は量販店と先進層の視聴が中心で、HDのものとはトラフィックパターンが異なっています。しかし今後一般化すると、HDサービスのビデオのトラフィックパターンに重なってくるでしょう。その時に備え、総量を増やす、要は土管を太くする必要はあります。
同時に、4Kで必要な帯域、ビットレートも下げようと考えています。もちろん、それでも品質を維持した上で、です。できる・できないはともかくとして、将来的に20Mbpsを切りたいと考えています。
しかし問題は、画質を維持したままビットレートを減らしていくことは、初期の受像器に処理面では負担になります。一度サービスインしたからには、その機器があるかぎりずっとサービスを維持しなければいけないので、そうした部分も考えなくてはなりませんが。
また、速度に応じてビットレートを変える「アダプティブビットレート」も検討しています。これは年度末から次年度にかけて入れていきたいです。
理由は回線にあります。フレッツ光も万能ではありません。いまは戸建てに強く、マンションでは弱めです。今後マンションでの利用が増えてくると、共用の回線も増え、戸建てほど十分な回線速度にならない家庭も多くなるでしょう。そういった場合でもまんべんなく対応できるようにするには、先ほど挙げた低ビットレートやアダプティブビットレートへの対応が必要になります。
今後の視聴手段の提供として、STBとテレビ内蔵で分けるつもりはないです。しかし、現在は以前に比べ、テレビでの対応がやりやすくなってきています。まずHEVCのデコーダーが入っている4Kテレビでなければいけない、ということはありますが。
我々のサービスは、すべてHTML5で作っています。現在のテレビは、Hybridcast対応のため、HTML5対応のものが多くなりました。現在、すべてのHybridcast対応テレビを製造しているメーカーに、お声がけさせていただいています。以前はSTBとの機能差分をとるのが大変でしたが、ブラウザーで吸収し、テレビでフルサービスを提供するのが容易になりました。
テレビに搭載されるブラウザーの機能により、実際にはHTML5への対応状況や動作も異なるのですが、サーバー側でどのテレビがアクセスしてきているのかを判別できるので、その上でグレードを変えられます。
西土:「なんでこんなに急いで4Kをやるのですか」と言われたこともあるのですが、我々はサービスとしての優位性を、より早く確保したいんです。
ひかりTVのサービス開始は2008年から。すでにCSなどのマーケットが出来上がった後であり、我々はHDでは少々出遅れたところがあります。HDのサービスは「キャッチアップ」という面が強かったのも事実です。
しかし、4Kは違います。今4Kテレビをお買い求めになるような、はやくいいものに飛びつく方々に入っていただくには、やはり4Kが必要です。4Kが見れる、ということをきっかけにして入っていただき、いいお客様になっていただければ、と考えています。
そこで、テレビの中に内蔵されている機能で見られるため、ハードルはとても低くなっていると思うのです。