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国内初の4K商用配信「ひかりTV 4K」、10月27日開始で月額1,080円~。NHK含む110本以上
(2014/10/3 13:09)
NTTぷららは、映像配信サービス「ひかりTV」における4K映像のVOD配信「ひかりTV 4K」を10月27日より開始する。料金は、従来サービスのままで利用でき、月額1,080円~3,780円(税込)で4つのプランで視聴可能。プランによって見放題作品の本数が異なり(開始当初45~110本以上)、見放題対象外のコンテンツについては、別途視聴料金が発生する。視聴には専用STBまたはチューナ内蔵の各社テレビ/レコーダ/メディアプレーヤーや、NTT東/西のフレッツ 光ネクスト光回線の契約が必要。
世界初“4K/60p”のVOD。各社の4Kテレビや専用STBで対応
シャープのAQUOS UD20/US20/U20が10月27日より対応するほか、12月下旬レンタル開始のひかりTV専用STB「ST-4100」でも視聴可能。また、東芝のREGZA Z10X/J10X、ソニーBRAVIA X9500B/X9200B/X8500B、LGの2015年 4K対応モデルでも2015年春より利用できる。パナソニックも2015年度前半に対応予定。ソニーの4Kメディアプレーヤー「FMP-X7」も2015年春に対応予定。
配信方式はストリーミングで、映像の解像度は4K/3,840×2,160ドット、コーデックはHEVC/H.265、音声圧縮方式はAAC。ビットレートは30Mbps以下、フレームレートは最高60フレーム/秒。ネットワーク環境にはNTT東日本/西日本の光回線「フレッツ 光ネクスト」、「Bフレッツ」またはNTT西日本の「フレッツ・光プレミアム」を利用する。NTT東西のフレッツ網から直接配信するため、オープンなインターネット網の混雑に影響されず、高品質に4K映像を楽しめるとしている。
ひかりTVでは、4K映像の商用VODサービスは日本初で、「4K/60p(秒間60フレーム)の高品質4K映像の商用VODサービスは世界初」とアピールしている。なお、配信作品には、24フレームや30フレームのコンテンツも含まれる。
12月下旬よりレンタル提供を予定している、ひかりTV 4Kチューナ「ST-4100」は、4K対応テレビに接続してひかりTVを受信できるSTB。HDMI 2.0/HDCP 2.2対応の入力を備えた4K対応テレビでひかりTV 4Kを楽しめる。レンタル料金は1,944円(税込)/月を予定しており、'15年以降に販売も予定している。4K VODの受信機能のほか、トリプルチューナや、IEEE 802.11ac/n無線LAN、Bluetoooth、光デジタル音声出力を装備。外形寸法は250×180×30mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約600g。音声マイク/タッチセンサー付きリモコンも同梱する。
110本以上の4Kコンテンツを用意。IP放送は'15年を予定
「ひかりTV」では、4月から4K映像のVOD配信トライアルを開始しているほか、商用の光回線を通じた4K映像のIP放送による配信トライアルも6月から実施している。今回サービス開始されるのはVOD配信。
開始当初は、映画やドラマ、ドキュメンタリーなど110本以上の4K番組を用意。ひかりTVで既に提供中の約3万本のHDビデオ作品に加え、4K映像も従来の料金体系のまま楽しめる。ひかりTV独自の4K番組29本のほか、TBSやテレビ東京と共同プロジェクトの4K番組も順次追加。
ひかりTV独自番組では、オリジナルドラマの「24時間女優 4K」(清水富美加出演)や、グラビアアイドルが登場する「4Kの女神」のほか、「陸上自衛隊 富士総合火炎演習 4K」、「行ってみたい! 動物園&水族館」などの番組をラインナップする。
4K VOD作品は、'15年3月末までに200本以上へ拡充することを目指しており、今後も自主制作コンテンツを増やしていくほか、米国や韓国などで4Kコンテンツ制作に積極的なプロバイダから調達することを検討している。
現在の基本料金プラン4種類で、4K VOD作品も視聴可能。4Kではない既存番組19チャンネルが見放題の「基本放送プラン」(月額税込1,080円)と、同62チャンネル見放題の「テレビおすすめプラン」(同2,700円)では、4K VOD作品45本以上が追加料金無しで見放題となる。
また、既存サービス19チャンネルとVOD 約9,000本が見放題の「ビデオざんまいプラン」(月額税込2,700円)や、62チャンネルとVOD約9,000本が見放題の「お値うちプラン」(同3,780円)は、開始当初110本以上の4K VODも見放題となる。
有料作品の単話購入は1話108円(税込)からで、主に500~700円前後の作品が多くを占める。映画作品の劇場公開開始と同時に配信開始するといった特殊なケースでは、1,000円以上の料金になる場合もある。
ソニー・ピクチャーズ エンタテインメントは「アメージング・スパイダーマン2」などの25本の4K作品を供給。順次作品数を増やしていく。見放題対象外の番組は、別途料金が必要で、視聴料金は432円/48時間(視聴期限)や756円/72時間(同)など。
既報の通り、NHKオンデマンドのコンテンツも、ひかりTVの4K映像配信サービス経由で実施。4K対応テレビなどに4K配信を行なう。特選ライブラリーの番組を配信予定で、単品で108円~216円、特選見放題パックは月額972円。配信予定の番組は、「ダーウィンが来た」や、土曜ドラマ「55歳からのハローライフ」など5作品。
IP放送の商用サービス開始時期については、総務省が8月に発表したロードマップに準じ、2015年より開始予定。前述したひかりTVの4K VODチューナを、アップデートすることでIP放送も視聴可能になる見込み。
4K利用者は、ひかりTV加入者全体の15~20%目指す
NTTぷららは3日、2014年下期の事業説明会を開催。板東浩二社長が、現在のサービス提供状況についてまとめたほか、下期の注力サービスとして、今回のひかりTV 4Kサービスを紹介した。
ひかりTVの会員数は、2014年9月末現在で293万。3月末からの半年間で約11万の増加となった。4K VODの利用者数の目標については、明確には設定していないものの「早い段階で、加入者全体の15~20%くらいは行きたい」と述べた。
これまで、放送局などのコンテンツプロバイダとやりとりしてきた中で、共通の要望として出てきたのは「単に過去の映像をこのプラットフォームにのせるのではなく、新しい映像制作に投資して欲しい」という内容だった。ひかりTVとしては、コンテンツプロバイダと共に4K映像制作を行なうことを今後も呼び掛けていくという。
一方、4Kテレビの今後の普及については「テレビの価格次第で、一気に普及するのでは」と見ており、4K撮影対応のスマートフォンやビデオカメラ、アクションカムなどが増えていることから、アマチュアによるコンテンツも4Kの普及を後押しすることにも期待を寄せた。
ひかりTV 4Kは「衛星放送やCATVよりも早く、本格的な4K映像が楽しめる」とアピールしており、今後はスカパーやJ:COMもそれぞれ4K放送を開始予定だが、「(4K配信/放送は)まだゼロのマーケット」とし、他社と競合するというよりは、多くの企業が参加することで市場が盛り上がるのを歓迎する姿勢を示した。
テレビ局やテレビメーカーも来場し、サービスの実現に向けた取り組みなどを紹介した。
NHKオンデマンド作品を提供する、NHKのオンデマンド業務室 辻泰明室長は、ひかりTV 4Kの開始について「放送と通信の融合を象徴する出来事。NHKオンデマンドから予定しているのは5番組ということで小さな一歩だが、放送通信融合という観点からは大きな一歩。この日が歴史の転換点として位置付けられるのでは」と歓迎した。
ドキュメンタリー番組「美術館のある風景」を11月に提供予定のTBSテレビ メディアビジネス局 ペイテレビ事業部 担当部長 ゼネラルプロデューサーの矢島公紀氏は、「4Kの持ち味である画質の高さを活かすために絵画の撮影を企画し、オルセー美術館やオランジュリー美術館で印象画家の作品などを撮影したことを紹介。美術館だけを扱うのではなく、パリの歴史ある店なども訪ねており、モネやセザンヌが画材を買った店なども含めて紹介する。
テレビ東京のドラマ「みんな! エスパーだよ」は、ある日から突然、世の中を変えるほどの超能力に目覚めた少年が、その力を世界のためではなく、エッチなことばかりに使うという園子温監督の作品。同作品の4K特番「みんな! エスパーだよ! エスパー都へ行く」(仮)をひかりTV 4Kに提供するテレビ東京のコンテンツビジネス局 福田一平局長は、「4Kというと、常識的に考えれば紀行ものやネイチャー、スポーツなどでスタートすると思うが、それはテレビ東京らしくないということで、あえて“異色の4Kジャンル”に挑んでみたい」とした。一見、4Kの画質は必要ないのではとも思えるが、4K制作された理由として、園子温監督が映画制作で4Kや5Kのカメラに慣れていることも挙げた。
ひかりTV 4Kに対応するテレビのメーカーを代表し、開始当初から同サービスを利用できるシャープのデジタル情報家電事業本部 液晶デジタルシステム第一事業部 事業部長 戸祭正信氏が4K放送/配信への取り組みなどを説明。AQUOSでは、発売予定の製品を含む4Kパネル搭載テレビ3シリーズ7機種でひかりTV 4Kを利用できることなどを紹介。「テレビ業界は、エコポイントやアナログ停波の反動がまだ収まっていないが、4Kには可能性があり、市場が動いている。4K映像配信で、一般家庭でも新しい4K体験ができることは大きな意義がある。今後もハードとコンテンツを融合できるようなモノづくりを展開したい」との意向を示した。