“Zooma!:ズームレンズ、ズームすること、ズームする人、ズズーンの造語”

 

第409回:NAB 2009レポート その1

~ やはり注目度の高いカムコーダ ~





■ 出足が鈍い初日
どことなく通路に余裕がある初日のセントラルホール

 本日月曜日から、いよいよNAB 2009の開幕である。例年であれば初日はもう、すれ違うにも難儀するほどの混雑で、写真を撮るのでさえ一苦労といった状況なのだが、今年は人が少なく、SONY、Panasonicのような超人気ブースでもあまり混雑は見られない。

 ある日本メーカーの説明員の感触では、日本からの来場者は例年に比べて半分程度ではないかと言う。また最終日を待たずに帰国する例も多く、商用ミーティングが会期前半に集中しているため、会場への出足が鈍っているのではないかと思われる。

 初日の今日は、セントラルホールを中心に日本メーカーの新製品を取材した。今年は人気の高いSONYブースがサウスホールからセントラルホールに移動してきたため、結果として日本企業の大半はセントラルホールのみで見られるようになっている。



■ デュアルSDカードのプロ機が登場したJVC

カムコーダで人気が高いJVCブース

 今年のCES取材でも一部限定で実機を見ることができたが、いよいよJVC(ビクター)のデュアルSDHCカードの業務用機が一般に公開された。

 上位モデルの「GY-HM700」は、デュアルSDHCスロットを持つショルダー型カムコーダ。コンシューマ機と同じくスロットA-B間で連続記録が可能で、使っていないスロットからカードを抜いて交換できる。


PLマウントアダプタでシネレンズを装着したGY-HM700スロットは右手側(担いだ時の外側)にある

 記録フォーマットは2タイプで、Final CutPro準拠のMPEG-2 Long GOPのMOVか、XDCAM EXフォーマット準拠のMP4。FinalCutPro(以下FCP)、というかMac OSは以前からMPEG-2の扱いが苦手で、汎用のMPEG-2ファイルを編集する際には結構苦労するのだが、このカムコーダが生成するMOVファイルはラッパーをFCPに合わせてあるので、収録したファイルをSDカードからダイレクトに編集が可能。

 エンコーダチップは、以前コンシューマ機「GZ-HD40」でも採用された事がある、MPEG-4 AVCとMPEG-2両対応の1チップLSIである。

 レンズマウントは1/3型バヨネットで、撮像素子は1/3インチのプログレッシブ3CCDを画素ずらしで使用している。ビューファインダは3板式LCOSを使用した新型を採用。

SxSのレコーダ「KA-MR100G」スロットは上部に1つ

 またカメラ後部に装着できるSxSのレコードユニット「KA-MR100G」も装着でき、XDCAM EXと同様の使い方もできる。MR100G装着時には、SDHCにMOVファイル、MR100GにはXDCAM EXのMP4ファイルの同時記録が可能。

 すでに米国では3月から発売が開始されており、キヤノンの14倍ズームレンズを標準装備して約7,000ドル程度。KA-MR100G単体では2,000ドル弱だが、これまで含めたトータルのセットで8,000ドル程度となっている。日本では6月発売予定。

 「GY-HM100」はHM700のハンドヘルドタイプで、1/4インチプログレッシブ3CCDのモデル。レンズはフジノン製F1.8 光学10倍ズームレンズとなっている。2種類の記録フォーマットやエンコーダは、HM700と同じ。ただしKA-MR100Gは装着できない。米国での価格は3,995ドルとなっており、日米で今月末発売。


こちらもシネレンズを装着したGY-HM100

SDスロットは内側の下部


□日本ビクターのホームページ
http://www.victor.co.jp/
□ニュースリリース(GY-HM700)
http://www.victor.co.jp/press/2009/gy-hm700.html


■ 着実に進化するIkegami GFシリーズ

 東芝と協業で'07年からGFシリーズを推進するIkegami。今回はデッキ2モデルを米国で初めてお披露目したほか、トータルソリューションを展示した。

 「GFS-V10PL」は、フィールドでの用途を想定したコンパクトGFプレーヤー。GFスロットを1基備え、HD/SD-SDI出力、アナログコンポジット出力、DVI-I出力を備え、バッテリー駆動も可能。ジョグ・シャトルコントローラも備えている。

 「GFS-P10」は、ローコストと小型化を図った、ハーフラックサイズのGFレコーダ。バッテリ駆動も可能。フロントパネルにLCDモニタを備え、映像のモニターやサムネイルの確認ができる。再生用にアップ/ダウンコンバータを内蔵し、接続するモニタを選ばないのが特徴。出力はHD/SD-SDIとアナログコンポジットを備えている。


GFシリーズの小型プレーヤー、「GFS-V10PL」

GF Station Portableこと「GFS-P10」

 先に発売されている据え置き型レコーダのGF Stationは、128GBの内蔵メモリを備えており、一台で出し受けの編集が可能だが、P10には内蔵メモリはない。なおこれらのデッキはIkegamiブランドで販売されるが、製造は東芝が担当している。

 GFシリーズで使用するメディアはGFパックと呼ばれているが、今回初めてサードパーティ製となるMaxellのメディアが登場した。また純正品として、中にCFカードを入れて使用するタイプの廉価版GFパックも登場した。いわゆるメモリなしの外側だけという感じである。価格は199ドル。CFカードは別途自分で購入するわけだが、メモリ価格の下落が激しい昨今ではまさにリーズナブルな選択だろう。


GFパックにMaxellが参入

GFパックに「ガワだけ」が登場(奥)

 GF CAMの新しいオプションとして、Bluetoothオプションが登場した。これはカムコーダのUSBスロットに市販のBluetoothモジュールを挿すことで、外部からのコントロールが可能になる。

カメラ後部のUSBスロットにBluetoothモジュールを挿す

 オプション付属のPC用ソフトを使えば、50mぐらいの遠距離からカムコーダ内の収録サムネイルが一覧できるほか、クリップの再生や記録開始コマンドをカメラに送ることができる。またメタデータの書き換えもこのソフトから行なうことができる。

 またBluetooth対応の携帯電話とペアリングすれば、携帯電話を使ってメタデータの入力も可能。メタデータ自身はテキストファイルとなっており、PROJECTなど規定の名前に続いて入力した文字列が、メタデータとして入力される。


PC用Bluetoothコントロールソフト。EeePC程度でも十分実用になるという携帯電話でもメタデータの変更が可能

 従来はPCで編集したテキストファイルをUSBメモリに入れてカメラに差し込み、メタデータを更新していたが、Bluetoothを使ってリアルタイムに更新できるのは画期的だ。同様のソリューションはGlass ValleyのInfinityでも実現していたが、今後はこういう手法が一般的になるのかもしれない。

GFパックのデータを管理する「GF Media Manager」

 GF CAM付属の管理ソフト、GF Media Managerでは、収録済みのGFパックの映像をPCで確認できるほか、メタデータの変更も可能。またHDDへのコピーやBlu-rayへのアーカイブ機能も備えている。

 編集環境としては、Avid Media ComposerとApple Final Cut Proは、サードパーティ製プラグインを別途購入することで編集に対応した。CanopusのEDIUSはそのままでネイティブ編集できる。

 GFシリーズは現在ワールドワイドで、約300セットぐらい出荷しているという。数字的にはまだまだこれからだが、メモリ記録ならではのユニークなソリューションに期待したい。



□池上通信機のホームページ
http://www.ikegami.co.jp/
□池上通信機のNAB出展内容
http://www.ikegami.co.jp/event/e20090324.html

(2009年4月21日)


= 小寺信良 = テレビ番組、CM、プロモーションビデオのテクニカルディレクターとして10数年のキャリアを持ち、「ややこしい話を簡単に、簡単な話をそのままに」をモットーに、ビデオ・オーディオとコンピュータのフィールドで幅広く執筆を行なう。性格は温厚かつ粘着質で、日常会話では主にボケ役。

[Reported by 小寺信良]