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テレビの音を「サウンドバー」で強化。ハイレゾ/分離型など、いま狙いのモデルは?

 テレビの音声をもっと良くしたい、聴きやすい音にしたいときなどに最適な製品が、「サウンドバー」。横長のバー型スピーカーをテレビの前などに追加することで、簡単にテレビの音声が改善できる。

ヤマハ「YSP-2700」

 Blu-rayなどの映画や音楽ライブをホームシアターとして楽しみたいけれど、5.1chスピーカーなどを置くスペースは無いし、複雑な設定は面倒……という人に特におすすめ。製品数が増え、個性的なモデルも登場している中から、最近注目の3製品をピックアップした。

 3モデルで共通する特徴の一つとして、HDMI入出力端子を搭載し、テレビとケーブル1本で接続可能。テレビのリモコンからでも基本操作ができる、連携の良さがメリットだ。また、HDMI入力を複数持っているため、複数のプレーヤーやレコーダ、CATV STBなどがあっても、ケーブルを繋ぎ換える必要がなく、HDMI CEC対応機器同士であれば、入力切り替えも連動する(一部は互換性の無い製品もある)。

 また、Blu-rayなどHDオーディオのデコードにも対応。もし4K UHD Blu-rayプレーヤーを持っていたり、今後購入予定、または4K配信などのプレミアムコンテンツを利用したい場合に必須となる、著作権保護のHDCP 2.2もサポートしている。プレーヤーなどの4K映像もテレビへスルー出力可能で、将来的に4K対応機器の利用が増えても安心なのがポイントだ。

薄型でもハイレゾ対応、リアスピーカー追加も
ソニー「HT-NT5」

音を壁に反射させて7.1chサラウンド実現
ヤマハ「YSP-2700」

2つに分離して省スペース設置
パイオニア「HTP-CS1」

【まだまだ他にも】
より低価格なモデルを選ぶときのポイント

ハイレゾ対応でリアスピーカー追加もできるソニー「HT-NT5」

 テレビ本体のスタンドが低くなる傾向の中、薄さ58mmの筐体ながらハイレゾ対応のスピーカーを備えたモデルとして登場したのが、ソニーの「HT-NT5」。ワイヤレスのサブウーファとセットの2.1chシステムとなっている。実売価格は8万円前後。

薄型でもハイレゾ対応スピーカー内蔵のソニー「HT-NT5」

 無線LANとBluetoothを搭載し、スマートフォンやNASなどの音楽をワイヤレスで聴けるネットワークオーディオ再生にも対応。ハイレゾ楽曲も再生でき、WAV(PCM)やAIFF、FLAC、Apple Lossless(ALAC)の192kHz/24bitをサポート。DSD 5.6MHz/2.8MHzはリニアPCMに変換して再生できる。Google Castに対応する音楽配信サービスの曲などもネットワーク経由で聴ける。AVアンプなどに搭載されている機能を、サウンドバーだけで利用できるのが魅力だ。

 前方のスピーカーだけで、仮想的なサラウンドが実現できるバーチャルサラウンド機能の「S-Force Pro Front Surround」も搭載。画面の位置に合ったセリフの定位も実現する。

 さらにユニークな機能として、対応のリアスピーカーを追加することで、ワイヤレスの5.1ch環境も構築可能。最初は2.1chとして使い、スピーカーの設置スペースが取れる場合は、スピーカーの追加でリアルサラウンドへシステムアップできる。

 リアスピーカーとして使えるのは、無線LAN/Bluetooth搭載のソニー製「SRS-ZR7」または「h.ear go(SRS-HG1)」。なお、これらのスピーカーへの音声伝送はワイヤレスだが、それぞれに電源ケーブルの接続が必要なことは注意しておきたい。

「SRS-ZR7」などとワイヤレス接続し、リアスピーカーとして利用できる

 HDMI入力は3系統備え、4K/HDR映像のパススルーに対応。著作権保護のHDCP 2.2もサポートする。

 外形寸法は、サウンドバーのグリル非装着時が1,080×127×58mm(幅×奥行き×高さ)、グリル装着時は高さ64mm。サブウーファは約190×386×382mm(同)。重量は、サウンドバーが約3.2kg、サブウーファが約8.1kg。

音を壁に反射させて7.1chサラウンド。ヤマハ「YSP-2700」

 ヤマハ「デジタル・サウンド・プロジェクター」シリーズの特徴は、1本のサウンドバーに小型スピーカーを数多く内蔵し、音を“ビーム”のように飛ばして部屋の壁などに反射させ、リアルなサラウンドを実現できること。2.1ch構成の「YSP-2700」は、2.8cm径×16個のビームスピーカーを備えた高さ51mmのサウンドバー部と、ワイヤレス接続のサブウーファで構成し、7.1chのサラウンド再生が可能。実売価格は12万円前後。

ヤマハのデジタル・サウンド・プロジェクター「YSP-2700」

 設置する室内の形状などに合わせて、最適な設定を自動で行なえる「インテリビーム」機能も搭載。付属のマイクを使って、ビーム角度・音量・音質などをチャンネルごとに自動で設定し、視聴する位置を3スポットまで登録できる。

 無線LANを搭載し、ヤマハの対応機器と連携できる「MusicCast」が利用可能。スマートフォンアプリで、音量や入力切り替え、ヤマハ独自の音場創生技術「シネマDSP(10モード)」の選択などが行なえるほか、アプリでradiko.jpなどのインターネットラジオも利用できる。

小型のスピーカーユニットを16個内蔵

 iPhoneなどのAirPlayにも対応。また、DLNA再生時は、最大192kHzのWAV、FLAC、AIFFや、96kHzまでのApple Losslessなどのハイレゾファイルもサポートする。

 Bluetoothも搭載し、独自の音質改善技術「ミュージック・エンハンサー」により、スマホなどの圧縮音源も高音質化できる。さらにユニークなのは、音声の受信だけでなく、手持ちのBluetoothヘッドフォンやスピーカーへ送信ができる点。ネットワーク機器やBluetooth対応端末と電源の連動ができる「ネットワークスタンバイ」も利用可能。

 HDMI入力は3系統備え、4K/HDR映像のパススルーや、著作権保護のHDCP 2.2もサポート。外形寸法と重量は、サウンドバーが944×154×51mm(幅×奥行き×高さ)、4kg。サブウーファが147×353×444mm(同)、7.9kg。

2つに分離して省スペース設置。パイオニア「HTP-CS1」

 上記2モデルなど、一般的なサウンドバーの形状とは違った異色の存在が、パイオニアの「HTP-CS1」。フロントスピーカーが横長なのは同じだが、左右を分離してテレビの両脇に置く“セパレートサウンドバー”がコンセプトで、横置きもできるサブウーファとの2.1ch構成。実売価格は45,000円前後。

パイオニア「HTP-CS1」は、2つに分離するサウンドバーが特徴

 左右に分離するため、サウンドバーよりは、従来型のフロントスピーカーに近い形。低背デザインのため、テレビのスタンドが中央にある場合は、その両脇に置いてもテレビ画面に被らない。また、設置するテレビラックなどによって、テレビの前にサウンドバーなどを置くスペースが少ない場合にも最適。テレビのリモコン受光部をスピーカーで隠さないのもメリットだ。

 音質面の特徴は、パイオニア独自の「フェイズコントロール」機能。これは、BDなどマルチチャンネルのソースで「低音だけ遅れて聴こえる」ズレを補正するもので、低音から高音までの音域のスムーズなつながりにより、映画だけでなく音楽ライブやテレビ番組も映像に合った音で楽しめるものだ。

 また、視聴する時間帯によっては、振動や音漏れが気になる人にとっておすすめなのが、2種類の「マナーモード」。「マナー1」は、音の迫力はキープしたまま重低音や振動を軽減させるので、映画などの利用に適したもの。「マナー2」はサブウーファからの音をゼロにすることで、声がより聴き取りやすくなり、バラエティ番組や報道番組などで便利なモードとなっている。

 Bluetoothを搭載し、スマホなどの音楽をワイヤレスで受信して聴くことも可能。上記2モデルに比べて低価格なこともあって、無線LANは搭載しない。

 外形寸法と重量は、フロントスピーカーが150 ×88×57mm(幅×奥行き×高さ)、0.3kg。サブウーファが435×369×115mm(同/横置き時)、7.4kg。

より低価格モデルを選ぶときのポイント

 今回紹介した3モデルは、機能の豊富さが特徴だが、予算をもっと抑えたい場合は、HDMI無しのモデルや、より機能がシンプルなモデルも選択肢となってくる。

 ただし、HDMIが無い場合はテレビなどとの連携機能が少なく、サウンドバーのリモコンとテレビのリモコンの2つを併用するケースが多くなる。また、Blu-ray音声のドルビーTrueHD/DTS-HDなどのHDオーディオデコーダを搭載しないモデルも多いため、BDプレーヤーなどとデジタル接続したい場合は、サウンドバー側の対応音声フォーマットを確認しておきたい。

 ボーズ「Bose Solo 5 TV sound system」は、Bluetoothも備えて3万円のモデル。ニュースやトーク番組のスピーチを聞き取りやすくする「ダイアログモード」や、独自の信号処理技術で音量の大小による聴こえ方の差異を抑えて広大な音場を創出するという特許技術「TrueSpaceテクノロジー」も搭載する。入力端子は光/同軸デジタルとアナログを各1系統備え、対応する音声フォーマットはドルビーデジタルとPCM。

「Bose Solo 5 TV sound system」

 パナソニック「SC-HTB175」(実売24,000円前後)は、サウンドバー本体にサブウーファを内蔵しながら高さ5.5cmの薄型筐体を実現したのが特徴。HDMI入出力を各1系統備え、リニアPCMのマルチチャンネル入力に対応するほか、AAC、ドルビーデジタル、DTS音声にも対応。BDレコーダなどと組み合わせる際は、プレーヤー側でリニアPCM変換する「ブルーレイ リニアPCM」入力に対応する。光デジタル音声入力も装備。Bluetoothレシーバ機能も備えている。

パナソニック「SC-HTB175」

中林暁