プレイバック2014

ハイレゾをより身近にしたウォークマンA by 編集部:中林

 「今年の製品」というには最近すぎるかもしれないが、買う前の期待を大きく上回る良さで、ほぼ毎日使い続けている、ソニーのハイレゾ対応ウォークマン最小モデル「NW-A16」(32GB)を挙げたい。

NW-A16

 それまでは'13年発売のFシリーズ「NW-F887」(64GB)を使っていて、最初に「IFA 2014」の会場で披露された新Aシリーズを目にしたときは、“ついに低価格モデルが出た”と衝撃を受けた。ただ、microSD対応などのうれしい進化はあったものの、DSDが再生できない(F887はWAV変換で再生できる)こともあり、やや冷静な目で見ていた。

 しかし、10月のレビュー記事を読みながら試聴していたところ、想像していたよりも断然いい音だと感じ、これなら乗り換えてもいいかもと思い始めた。そして、あるイヤフォンのレビューをする際に、F887以外のプレーヤーでも試したいと思ったのをきっかけに、発売後間もなくA16を購入した。購入時の価格は26,460円だった。「どうしても欲しかった」というより「買っても損は無さそう」ぐらいな気持ちだったが、結果的には今もほぼ毎日使っており、1日のうちでテレビやBDレコーダの次に使う時間が長い機器になっている。

 気に入った点はいろいろあるが、一番のメリットはやはり小型/薄型になったこと。これまで使っていたF887は4型ディスプレイで、小さめのスマートフォンと同程度のサイズ感だが、普段はiPhone 5sを使っているので、スマホを2台持ち歩いているようなもの。A16はポケットに入れても膨らまず、手をポケットに突っ込んだまま操作しやすい。

左がFシリーズ「NW-F887」、右が新しいAシリーズの「NW-A16」

 操作感については、従来のF887でもサイドキー操作に慣れていたので大きな不満は無かったが、A16にしてからは、前面ボタンが大きく、手袋をしていても簡単に操作できる。ただ、中央の再生/一時停止ボタンが大きく押しやすいだけに、誤って再生を止めてしまうことも多い。コートのポケットに入れて体を屈めた際などに再生が止まってしまうことが何回もあった。誤操作を避けるにはHOLDにすればいいのだが、聴きながら曲送りを頻繁に行なうので、その場合にいちいちHOLDを解除して、再度HOLDするのは面倒。このボタン形状は、周囲のボタンを誤って押さないように配慮した設計なのは分かるが、個人的にはここまで出っ張らなくても……とは思う。

操作ボタン部
側面にボリュームやHOLDスイッチ
横から見ると、再生ボタンが少し出っ張っているのが分かる

 上記のように気になった点はあるものの、コンパクトさのアドバンテージは大きく、結局はこれまでのF887を全く使わなくなり、日常使いとしてA16がメインとなった。今年も様々なメーカーからハイレゾプレーヤーが登場したが、持ち運びやすさと高音質、操作性といったバランスで、Aシリーズはトップクラスにあると思う。起動が素早く、バッテリの持ち時間が長いところも、Android OSのF887に比べた長所で、乗り換えた理由の一つだった。単に「エントリーのハイレゾプレーヤー」と言い切ってしまうのはもったいない。

オーディオテクニカ「ATH-IM03」(左)や、Westoneのカスタムイヤフォン「ES60」(中央)、FitEar「fitear」(中央)などと組み合わせて使っている
microSDスロットを装備

 microSD/SDHC/SDXCに対応したことで、コンパクトながらも最大128GBの容量追加ができるのもポイント。A16用に購入したサンディスクの128GBカードは約15,000円だったので、安価とは言えないが、大容量のカードさえ買えば、あとはサイズの大きなハイレゾ楽曲もどんどん入れられる。

 microSDカード対応で地味にうれしかったのは、他のプレーヤーにカードを入れ替えてもすぐ聴けたこと。一般的な使い方ではないものの、複数のプレーヤーで同じ曲を聴き比べたいときに、カードを入れ替えるだけですぐに聴けたのは便利。例えばウォークマンAのmicroSDXCカードにPCソフトのMedia Go経由で転送した楽曲は、iriver Astell&Kernの「AK240」に挿してもそのまま使えて、メタデータなども表示された。もちろん全部に互換性があるかはわからないし、カードを入れ替えるという方法はプレーヤーとして原始的にも思えるが、このやり方が一番簡単で、パソコンからの転送を待たずに使える。

 また、F887でも使えた機能だが、USB DACなどにデジタル接続できるのも便利。正式にサポートされているのはソニー製のUSB DAC/ポータブルアンプの対応機種のみで、全てのUSB DACで同様に使えるとは限らないが、機種によっては給電(セルフパワー)対応のUSBハブなどを介して、ウォークマンAをデジタルトランスポートのように使える。micoSD対応で容量が大きくなったことで、“楽曲の入れ物”としても便利になった。家ではティアックのUSB DAC/アンプ「UD-301」と給電対応USBハブを組み合わせて、デスクトップオーディオとしても活用している。ただ、この使い方ではバッテリ消費が普通の再生時に比べてとても早いのは難点ではある。

ティアックの「UD-301」(下)と組み合わせたところ

 これから試したいのは、このウォークマンAと様々なポータブルアンプとの組み合わせ。せっかくの小型プレーヤーにゴツいアンプをくっつけるのは台無しというのは十分承知しているが、ウォークマンを普段は単体プレーヤーとして使い、時々はもっといい音で聴くためにアンプをつないでみたい。新しいプレーヤーが登場するたびに買い替えるのは現実的に難しいが、アンプだけを変えて音の違いを楽しめたら、もっと長く使えると思う。

 高音質で楽しむために活用したいのはデジタル接続。アナログ接続でももちろん効果はあると思うが、せっかくウォークマンのWM-PORTからデジタル出力できるケーブル「WMC-NWH10」があるので、これを介して、ソニー製以外でもUSBデジタル接続できるアンプを中心に購入検討したいと思っている。正式にウォークマン対応を謳わないモデルの中にも実際は使えるアンプがあるかもしれないので、それを自分で探してみるもの面白そうだ。

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NW-A16(32GB)
NW-A17(64GB)

(中林暁)