プレイバック2016
カーナビ、PS4 Pro&VR。18Gbps HDMIが鍵を握った2016年散財遍歴 by 西川善司
2016年12月22日 08:00
パイオニア最後のPND購入
まずは、パイオニア(カロッツェリア)のカーナビ「AVIC-MRP660」だ。いわゆる「PND」と呼ばれるタイプのナビだ。
これは、今年、中古車として購入したホンダS660に搭載したもの。このS660の車両購入そのものの経緯については、Car Watchの新連載としてスタートした「西川善司のS660で楽しむ、ドラレコマニア」に詳しいので、興味がある人はそちらを参照頂きたい。
さて、このS660という車種は、カーナビを搭載するためのDINがなく、メーカーオプションで用意されるのは、スマートフォンを接続して使う簡易カーナビのみである。そこで、何らかのカーナビ機器を搭載しようとすると、必然的に「ダッシュボードに設置するタイプ」のカーナビしか選択肢がなくなる。現在このタイプとなると、ほぼ必然的にPNDしか選択肢がなくなるのである。
では、なぜAVIC-MRP660を選んだかといえば、「型番と車名が似ているから」とかではなく、現行PNDとしては珍しく車両からの車速信号を入力する機能を備えているため。
首都高はトンネルが多く、都内は高層ビルだらけなので、GPSに頼れない局面が多い。都内を走ることが多い筆者にとっては、車速信号を組み合わせた精度の高い自車位置測位機能は必須。もともとパイオニアは、フルスペック版カーナビ製品において自車位置精度は業界随一なので、その遺伝子を受け継いだPNDと言うことで一択、指名買いであった。
また、PNDでありながら交通情報サーバーにアクセスしてリアルタイム交通情報に配慮したルートガイドを行う「スマートループ」機能にも対応している。フルスペック版のカーナビ製品ではスマホとBluetooth接続してサーバーにアクセスさせることができる。この機能は先代の愛車のRX-7の時に搭載していた同じくパイオニアのサイバーナビで相当便利だったので、AVIC-MRP660にも期待していたのだが、落とし穴が……。実はAVIC-MRP660では「専用通信モジュールを搭載時のみ、スマートループ機能対応」だったのだ。これは誤算であった。
また、2014年モデルのAVIC-MRP600まではマップチャージと呼ばれる3年間地図更新無料の特典があったのだが、AVIC-MRP660にはなし。更新のたびに有料となるので、実質的な本体価格の値上げに相当する。実は、AVIC-MRP660の本体基板はMRP600と変わらないため、MRP660登場時には3年間無料地図更新特典付きのMRP600の方に駆け込み購入者が殺到。筆者が購入した2016年4月は、この駆け込みには一足遅れのタイミングであった。
なお、パイオニアはこのAVIC-MRP660世代をもって、PND市場から撤退。現在はホームページにおいても、AVIC-MRP660は生産終了品扱いとなっている。実際には市場流通品が相当数あるので、欲しい人はまだ買える。
パイオニア最後のプラズマ「KURO」の時ほど盛り上がってはいないとは思うが、高機能PNDが欲しい人は、パイオニア最終PND製品のAVIC-MRP660/MRP770の確保には急いだ方がいいかもしれない。
PlayStation VRとPS4 Proを購入
今年はVR元年と言うことで、筆者もソニーインタラクティブエンターテインメント(SIE)の発売したプレイステーション用VR製品「PlayStation VR」(PSVR)を購入した。といっても、PSVRは日本の店舗で買えなかったため、アメリカのAmazon.comで購入した。
アメリカのAmazon.comでは、定期的に在庫が補充されるようで、定価の399.99ドルで発売されていたのだ。「なぜ過去形か」といえば、この方法がそこそこ有名になってしまったようで、今は米Amazonも、日本のAmazon.co.jpと同様の「転売価格」になってしまったためだ。
筆者は、10月下旬に注文して、通常便で10日後くらいに商品が到着した。モーションコントローラのPlayStation MOVEを一機(29.99ドル)と同時購入して53,028円であった。なお、ここには関税が3,654円、送料が2,611円が含まれている。
現在、日本のAmazon.co.jpでは7万円前後で転売されているので、それと比較すれば、まぁ、悪くない買い物だったと思う。ただし、海外購入は日本のサポートの対象外となるので、その点は留意してほしい。基本的には日本での購入をおすすめする。
11月10日には、PlayStation 4 Pro(PS4 Pro)を購入した。
PS4 Proは、地元のヤマダ電機で普通に予約して標準価格で購入することができた。地元のヤマダ電機ではしばらく店頭在庫もあったようなので、PSVRほどの入手困難製品ではなかったようである。まぁ、12月21日時点では、Amazon.co.jpで1万円ほど上乗せした転売価格になっているようだが、郊外型の店舗には在庫があったりするのかも知れない。
偶然か必然か、PS4 Pro購入とほぼ同時にAmazon.comで注文していたPSVRが届いたので、その日から2日間ほどは、VRざんまいな日々を送ることとなった。
いろいろ体験したが、「シンプルに面白い」ということでは、筆者のお勧めは「Rez Infinite」と「Until Dawn:Rush of Blood」の2つ。「Rez Infinite」は、音楽シューティングゲームとも言うべき不思議な作品で、日本の伝説的なゲームクリエイター、水口哲也氏が手がけた作品。360°全方位から迫り来る、複数の敵機達を、視線マーカーでロックオンしてレーザーをジュバーっとやっつけるシンプルなゲームで取っつきやすい。映画「トロン」の世界のような、ワイヤーフレーム基調のグラフィックスが独特で、敵機を破壊したその爆発音が、BGMのリズムに同調して鳴り響き、なんだがプレイしている自分で音楽を奏でているかのような気分になるプレイ感覚がやみつきになる。
「Until Dawn:Rush of Blood」は、同名のサイコスリラー型ホラーゲーム「Until Dawn」の世界感で、ライド系ガンシューティングを実現してしまった作品。
プレイヤーは、レールの上を走るローラーコースターに乗って迫り来る敵や的を撃つだけ。緩急を使った「分かりやすいホラー演出」が「いかにもお化け屋敷」チックでプレイしている人の「ワー、キャー」を誘発しやすく、それでいてスコアアタック的な要素もあるので友人同士で得点競争を楽しむことも出来る。まさに接客ゲームにうってつけだ。
実は、11月末、仲間といった熱海温泉旅行に、PSVRを持ち込み、この作品をVR未経験者達を中心にプレイしてもらったところ「遊園地行かなくてこれでいいわ」とか「PSVR、絶対買う!!」と大反響であった。
2016年の西川善司のAV機器ライフは?
筆者のホームシアターは、プロジェクターはフルHD機のソニー「VPL-HW50ES」。AVアンプはヤマハRX-A2030で9.2chのサラウンドシステムを構築している。
4K時代に突入し、PS4 Proも導入したのに4K/HDR環境がないのはまずい…ということで、テレビは東芝REGZAの55Z700Xを導入した。REGZAを選んだのはやはり、ゲームプレイを重視すると、どうしても表示遅延を重視せざるを得ないため。0.6フレーム遅延(60fps時)は、倍速駆動対応テレビとしては業界最速レベル。
直下型バックライト採用のエリア駆動対応のため、HDR表示性能もなかなか優秀。HDR表示モードにおいても、余計な追加遅延もなし。
HDR対応ゲームとして評判の高い「FINAL FANTASY XV」や「アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝」も、「コントラストがどうこう」というよりも、光がそのシーンに充満しているリアリティが感じられて、VRとまではいかないが、ゲーム世界への没入感が各段に増す。
Ultra HD Blu-ray(4Kブルーレイ)のHDR映像は幾度となく、映像機器の評価で見てきていたが、HDRのゲーム映像は、ひと味違った見応えがある。コントローラでキャラクタを移動させたり視点を変えると、その情景がリアルタイムにHDR処理されて表示されるので、自分の操作によってHDR感が連続的に変わっていく面白さがあるのだ。
たとえば、森の洞窟の入口付近で、太陽の方を向けば、視界に入ってくる太陽のまばゆさと木々の様子がハイコントラストで描かれるし、太陽に背を向けて洞窟の中に目を移せば、太陽に照らされた部分だけが局所的に鋭く輝き、その間接光が周囲に広がって洞窟内部に柔らかい陰影をもたらす。ゲームグラフィックスなのに、単に色を盛ったピクセルが描かれるのではなく、光のエネルギーの伝搬を感じさせる映像を見せてくれるところに感動があるのだ。
4Kブルーレイに刺激を感じられなくなった人は、是非ともHDRゲームグラフィックスを試してもらいたい。
テレビはそんな感じだが、実はプロジェクタの方も、今年、4K/HDR対応モデルの購入を結構、真剣に考えていたのだ。
購入候補の筆頭だったのは、ソニーの「VPL-VW535」。昨年、大画面☆マニアで、ソニーの4Kプロジェクタの下位モデル「VPL-VW315」を取り上げたが、VPL-VW535は、このVPL-VW315の上位機種「VPL-VW515」の後継機にあたる。
VPL-VW315評価時に、ソニーの4K反射型液晶(SXRD)プロジェクタの基本性能の高さは実感できたし、そのHDR対応機の新バージョンと言うことであれば、さぞかしパーフェクトな出来映えになっているはず……と期待していたのだが、それほどパーフェクトでもなかった(笑)。
というのも、VPL-VW535は、そのHDMI入力が、18Gbps伝送に対応していないのだ。つまり、RGB888やYUV444の4K/60fps映像の表示ができないのである。筆者は、4K/60fpsのPCコンテンツの表示も行ないたいので、18Gbps HDMIに非対応は困る。
ただ、「18Gbps HDMIへの対応」は、今やそれほど無理な要求仕様でもない。2016年のほとんどの4Kテレビ製品が対応しているし、もちろんソニーの4K BRAVIAの2016年モデルも対応している。
VPL-VW535の価格は100万円。これだけ高価な4K製品が最新規格に対応していないのはどうにも解せない。ちなみに、800万円のソニーの4Kプロジェクタ「VPL-VW5000ES」は18Gbps HDMIに対応する。そして、競合のJVCは、ミドルレンジ製品のDLA-X570R(70万円)でも18Gbps HDMIに対応している。
結局、プロジェクタは今年も4K化を実現させることはできないのであった。ソニーさん。2017年には、VPL-VW535後継機を18Gbps HDMI対応で出して下さいませ。ホント、お願いします。
プロジェクタを諦めた大画面マニアの行き先は……
VPL-VW535の件が、あまりにも残念でならなかったので、今年は4Kプロジェクタを見送ることにして、代わりにAVアンプの方を新調することに。
前述したように、これまでヤマハのRX-A2030を使っていたのだが、これを下取りに出して、最新サラウンドフォーマットであるDTS:XとDolby Atmosにも対応した、同じくヤマハのRX-A3060に置き換えることにした。先代は2000型番だったのに、今回は奮発して3000番台に格上げを敢行したのだ。
もっと深く語りたいのだが、実は、購入に踏み切ったのが、つい先日で、まだモノが届いていないのである(笑)。このRX-A3060については、改めて語させてもらうつもりだ。
カロッツェリア AVIC-MRP660 | REGZA 55Z700X |
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