CEATEC 2001会場レポート その5
~デバイス編:PDPやMP3再生用LSIを出品~


開催期間:10月2日~6日(一般公開は4日から)

場所:幕張メッセ(日本コンベンションセンター)

入場料:一般1,000円、学生500円



 CEATECは情報系の「COM JAPAN」と電子デバイスの「エレクトロニクス・ショー」を統合したイベント。そのため、今回も「エレクトロニクス・ショー」の流れを汲んだ、デバイス系の展示が1~3、9~11ホールにかけて展開された。

 今回は、その中でも特に目立って出展されていた、AV機器向けのデバイスをレポートする。


■ 表示デバイス

 PDP(プラズマディスプレイパネル)の出展は、松下電器とパイオニアブースで行なわれた。松下は、今秋から開始されたワイド50型PDPのモジュールを出品。これは同社の民生用プラズマテレビ「TH-50PH3/S」のディスプレイパネル部を使用したもので、パネルをはじめとした構成部品単位での受注となる。価格は外装込み一式で130万円程度。

 パイオニアブースでは、8月発売の業務用ワイド50型「PDP-503CMX」のモジュールを展示した。こちらも構成部品単位の受注が可能。10月発売の民生用と異なり、PC入力時の解像度が1,280×768ドットと高い。ベースとなった「PDP-503CMX」と並べ、高画質をアピールしていた。

外販が始まった松下の50型PDPモジュール 松下製50型PDPモジュールの背面 パイオニアは業務用ベースの50型PDPモジュールを出品

 エプソンブースでは、デジタルカメラ用の撮像素子として、新方式の「ACDT(Advanced Carrier Detection and Transfer technology=新電荷転送方式」を紹介した。トランジスタ1個とフォトダイオード1個によるシンプルな構成で撮像するもので、イノテックの「VMIS技術」をベースにしている。シンプルなため、低電圧、低消費電力という特徴を持つという。加えて、高感度、高ダイナミックレンジも実現するとしている。

 今回は10万画素と150万画素を出品し、150万画素ACDTで撮影した画像を液晶モニタに表示するデモを行なった。

 ロードマップによると、2003年には1/1.8型200万画素タイプと同サイズの320万画素タイプを市場投入する計画。セルサイズはそれぞれ4.2μm、3.45μmという。さらに、2004年には35mm判サイズの4,800×3,200ドット品を開発するとしている。

 また、有機ELの参考出品もあった。写真ではわかりにくいが、64階調のアクティブ型でサイズは2.8型。製造には同社のインクジェット技術が活かされているという。

10万画素のACDTイメージセンサ。カセットケースに入っていた 150万画素ACDTの実写画像。高感度、高Dレンジが特徴 アクティブ型の2.8型有機ELディスプレイも出品


■ 映像記録デバイス

 松下は、同社のDVD-RAM/Rレコーダ「DMR-E20」をベースにした、DVDレコーダの評価セットを展示した。また、隣りには「DMR-E20」でも採用したMPEG-2エンコーダチップなどを搭載した基板を出品。第1世代の基板と並べていたが、約半分ほどのサイズにまで小型化されている。評価セットは2、3カ月以内に出荷される見通しという。なお、任意のIDEドライブを接続するタイプなので、DVD-RAM、DVD-Rだけでなく、DVD-RWにも対応する。

 また、同ブースにはIEEE 1394接続のAV用HDDが展示されていた。サイズは3.5型で、既に出荷が始まっている。容量は40GBと80GBの2種類。ハイビジョン放送の記録を主な目的にしており、内部にDTCPによる著作権保護方式を搭載。2ch同時記録も可能となっている。さらに、2.5型、3.5型のAV用の流体軸受けHDDなども展示した。

DMR-E20をもとにしたDVDレコーダ開発用評価セット 手前がE20搭載品、奥が第1世代の基板 AV用のIEEE 1394対応HDDも展示された


■ ポータブルオーディオ向け技術

 三洋電機ブースでは、ドルビーヘッドフォンのデコードチップを出品。5.1chの立体音響をヘッドフォンで再現するもので、1チップで構成。10月からサンプル出荷を開始する見込み。サンプル価格は2,000円となっている。

 また、三洋電機は、CD-DA、MP3のデコードと180秒分のアンチショックメモリ(CD-DA)などを1チップ化した「LC78683」を発表。MP3デコード部は、可変ビットレートにも対応。同時に、CD再生用のサーボチップ「LC78646E」も発表になり、両モデルを組み合わせた再生デモを行なった。

 ロームのブースでは、ポータブルCDプレーヤー用のアンチショックメモリチップを展示。同チップ搭載プレーヤーと非搭載プレーヤーを並べ、振動を加えて再生音の音飛びを検証するデモンストレーションを行なった。

ドルビーヘッドフォンチップの評価システム 三洋電機は、MP3デコードを中心にした1チップLSIを発表 CDプレーヤーの音飛び防止機能のデモンストレーションが行なわれた


■ オプトインターフェイス

 IEEE 1394(i.LINK)を光ケーブルで代替する技術は、シャープとソニーが「OP i.LINK」の名で規格化を進めている。会期前日に「OP i.LINK」Ver.2.0の発表があったが、シャープブースに展示品はなし。従来からのVer.1.0のデモを行なっていた。Ver.1.0について詳しくは7月開催のインターオプトの記事に掲載している。

 同じくPOFを使ったIEEE 1394伝送として、松下がS400(400Mbps)に対応したシステムを参考展示した。OP i.LINKがS100のため、現状では最速としている。既にサンプル出荷が始まっており、リンク部分のサンプル価格は25万円程度。

 東芝は、トスリンクを拡張したIEEE 1394インターフェイスを出品。これもインターオプトに出展されていたもので、伝送速度はS200(200Mbps)に対応する。マルチ画像伝送が特徴で、今回も3台のカメラを使い、Hubを介しての同時表示をデモンストレーションした。

松下製S400対応のPOF IEEE 1394評価展示 シャープは今回もOP i.LINKを紹介した 東芝のトスリンクによる光送受信インターフェイス


■ そのほかの注目される展示

東芝は、BSデジタルと同時に地上波デジタル放送に対応するLSIを展示。

 CPU、デコーダ、ビデオ機能を1チップ化し、低コスト、省スペースを実現できるという。現在開発中のため、単価などは未定

NECでは、DVコーデックを内蔵したIEEE 1394インターフェイスを参考出品。DVコーデックはカノープスと共同開発している。

 評価用ボードと同時に、同チップを組み込んだカノープスのDVコンバータ「ADVC-100」も展示されていた

ケンウッドは、Bluetoothモジュールを利用した「サウンドテーブル」を展示。

 テーブルの中にスピーカーとBluetoothモジュールを組み込み、無線伝送によりテーブルで音楽を再生するシステム。新開発の厚さ26mmの薄型サブウーファユニットと、テーブル両端のL/Rスピーカーで構成。

 テーブル内の音響設計なども新開発され、申請中、と取得済みを合わせて40に近い数の特許技術を使用している。ただし、現在のところ商品化の予定はない

組み込みブラウザを開発しているプラネットウェブジャパンでは、インターネットブラウザを内蔵したサムスンのDVDプレーヤーを出展。

 ブラウズ中に子画面でDVD再生画面を表示できる。海外では製品化されているが、プラネットウェブジャパンはソフトウェアを開発しているだけなので、日本市場で発売されるかはわからないと話していた

プラネットウェブジャパンのブースではでは、9月27日に発表された、デジタル写真CD-RをDVDプレーヤー上で再生可能する組み込みソフトウェア「Digital Photo Manager」も展示。

 現在は組み込まれたDVDプレーヤーが存在しないため、PC上でのデモだったが、「今後は組み込まれた製品が出てくると思う」と話していた


□CEATEC JAPANのホームページ
http://www.ceatec.com/

(2001年10月4日)

[orimoto@impress.co.jp]

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