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【11月30日】 【11月29日】 【11月28日】 |
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松下通信工業株式会社は19日、ヘッドフォン向けの独自サラウンド再生技術のLSI化に成功したと発表した。製品化の予定は未定。従来のヘッドフォンを利用でき、モバイル製品、カーマルチメディア、AV機器などへの応用を検討する。 発表されたのは、5.1chソース、または2chソースに適用できる疑似サラウンド化技術で、同社が2年前から神戸大学とともに開発していたもの。LSIとソフトウェアが試作されたため、今回の発表となった。頭の中で音を感じる状態「頭内定位」をなくすと同時に、方向感の再現や、聞き疲れしにくい音を実現したという。 従来技術との違いは、「外耳道音響伝播特性整合技術」と「頭部伝達関数の精密測定技術」を導入したこと。前者は、音が鼓膜に伝わるまでの経路のうち、外耳道の特性をデジタル信号処理で再現したもので、外耳道が本来持っている共鳴特性をシミュレート。ヘッドフォン装着時に変化していた共鳴特性を、ヘッドフォンなしの状態に近づけることで、頭内定位が解消されるという。 頭部伝達関数(HRTF=Head-Related Transfer Function)とは、頭や耳の形により音響特性が変化するときの変化量のことで、人が音の方向を判断する材料にもなる。これを測定するため、同社は補聴器の技術を応用した「耳孔挿入型超小型マイクロフォン」を開発。多人数を測定し、なるべく個人差の少ない関数を割り出したという。これにより従来以上に正確なHRTFを得ることができ、「高い臨場感が得られる」としている。 また、ソフトウェアで処理する場合でも「通常のノートパソコンや携帯電話内のDSPでリアルタイム処理が可能」(松下通信工業)としている。
発表会では、5.1chのテスト音声、DVDビデオ(ジュラシックパーク III)、2ch音楽ソースを用いたデモが行なわれた。プレーヤーと評価ボードはデジタル接続し、分配器を通してヘッドフォンへと出力された。 用意されたヘッドフォンは、ポータブルCDプレーヤーなどに付属しているクラスのインナーイヤータイプ。実際の使用では、インナーイヤーのほか、密閉型、オープンエアなどタイプを問わないという。 会場で試聴したところ、原音に比べて帯域特性が変わるものの、確かに頭内定位はなくなっており、包囲感や方向感も従来技術より若干鋭く感じられた。なお、ジュラシックパーク IIIのドルビーデジタルトラックをソースとして使用。今後、DTSなどほかのディスクリート音源への対応も考えているという。
(2002年12月19日) [AV Watch編集部/orimoto@impress.co.jp]
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